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区議会質問
28陳情第25号 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の増設等を求める陳情(儀武さとる)

2016年11月28日

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題となっています28陳情第25号特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の増設等を求める陳情について、不採択とすることに反対し、ただちに採択することを求めて討論をおこないます。
 安倍政権は、医療、介護、年金など社会保障を切り捨てています。社会保障の自然成長分1兆円を5000〜6000億円に圧縮してきました。一方で、一部の大企業には、法人税減税、大型公共事業の大盤振る舞いです。軍事予算は当初予算ではじめて5兆円を超えました。「介護離職ゼロ」「女性が輝く社会」などと言っていますが、言うこととやることが、まったく逆であります。介護職員をはじめ労働者の賃金を引き上げ、医療、介護、年金など社会保障を拡充してこそ、内需拡大につながり、消費も活発になり、経済の循環もよくなります。今まさに、国や自治体の役割が、問われているのであります。

 この陳情は、高齢者が安心して豊島区に住み続けられるために、第1に、特別養護老人ホームの区内増設計画をつくり、増設をすすめること。第2に、利用料の食費・居住費の負担増は改定前に戻すよう国に意見書を提出すること。第3に、介護職員の処遇改善と確保について区独自の対策を講じることを求めるものです。

第1に、特別養護老人ホームの区内増設計画をつくり、増設をすすめることについて述べます。
 豊島区の特別養護老人ホームの待機者数は、2014年12月の546人、(うちAランク208人)から2016年9月末現在、673人(うちAランク251人)と待機者数が127人、Aランクも43人と増え続けています。2015年に特養ホームを2か所増設し、定員を194人増やしましたが、待機者は減るどころか増え続けているのです。しかも、入所基準を要介護度3以上に厳格化したにもかかわらず増えているのです。それにもかかわらず、特養ホームの区内増設計画はありません。今定例会で、わが党の清水議員の一般質問で、区内に特養ホームの増設を求めたところ、区は「土地が見つかれば計画になくとも整備」しますと答弁しました。委員会でも同様な答弁が繰り返えされました。わが党はこの間、造幣局跡地、国有地や都有地を活用して特別養護老人ホームの増設を繰り返し求めてきましたが、区は、賑わいの創設を理由に市街地開発などをすすめているのであります。
 区は、100床規模の特養に適した3000uの土地はないと言います。また、有識者会議では、圏域外も含めて平成37年度までに156床程度必要だと検討していると答弁していますが、区の具体的な計画目標ではありません。どう具体化するか示すべきです。現在ある特養ホームの周辺には2000uの国有地などもあり、サテライト型の特養ホームを建設することは可能であり、今まさに、本気になって区内に増設計画を建てるかどうかが問われているのであります。

第2に、利用料の食費・居住費の負担増は改定前に戻すよう国に意見書を提出することについてです。
 特養ホームは終の棲家でした。介護保険制度の創設時には、入所者の利用料は2〜3万円の負担でした。その後、食費・居住費の負担増、補足給付の支給要件の変更によって、2014年度は、本人非課税、世帯全体が住民税非課税による負担増を強いられた人は1803件、2015年度は配偶者非課税、本人資産が1000万、(夫婦で2000万)以下で影響を受けた人は1428件、2016年度は遺族年金、障害年金などの非課税年金を収入に勘案し補足給付の適用外になった人は1277件にも上ります。2015年8月から一定の収入のある高齢者は2割負担となりました。いまでは、要介護度5で月16万円も負担する相談事例もあります。すでに負担の限界を超えており、年金だけでは払い続けることができません。介護保険制度は創設以来改悪に次ぐ改悪でした。高い保険料、利用料の負担増で使いにくくなっており、まさに保険あって介護なしです。利用料の食費・居住費の負担増を改定前に戻すよう国に意見書を提出することは当然でありませんか。

第3に、介護職員の処遇改善と確保について区独自の対策を講じることについてです。
 介護の質を左右する人材不足も深刻です。2009年4月の介護報酬改定と補正予算による処遇改善交付金を措置、2012年4月の介護報酬改定、2015年4月の介護報酬改定で、合計月額で43000円相当の効果があったとされていますが、介護現場では賃金に全額反映されたという実感はありません。区も検証しようとしていません。また、区による介護人材確保の取り組みとして、特別養護老人ホーム施設長会と区の共催による合同説明会の開催を行っていますが、2015年度は参加者60名、就職決定者は0名、2016年は参加者79名、就職決定者は5名です。前年度と比較すると一歩前進ですが、人材を確保することがいかに困難かの現れです。陳情書でも指摘していますが、介護労働安定センターの「介護労働実態調査」結果では「賃金が安い」は61.3%「仕事がきつい」は49.3%で、離職率も16.5%と高い水準と言われています。また、理事者も「人材確保は困難」と答弁しました。介護職員の賃金は、全産業の労働者と比較すると、月額で10万円も低いのです。介護職員の処遇改善と確保は喫緊の課題です。委員会では、他の委員からも「介護報酬で賃金の引き上げを行うと、保険料の引き上げに直結します」と指摘もありました。だからこそ、陳情者は、国や自治体に独自の対策をとることを求めているのであります。

 委員会審査では、自民、公明は「区も十分にやっている」「制度を維持させるためには必要」「国に意見書を上げることはない」と主張し不採択としました。民主ネット、刷新の会は「陳情者の気持ちは理解できる」と言うものの「財源には限りがある」などと言って、継続を主張しました。採決で、継続審査が少数で否決されると、不採択としました。

 最後に一言触れます。委員会審査で、秩父市に移住をすすめる「CCRC構想」についての議論がありました。課長の答弁にもありましたが、区の定住意向調査では、「いつまでも住み続けたい」は年齢が高くなるにつれて高くなる傾向がみられ、60歳以上では52.9%、「当分住み続けたい」は38.2%で、合わせると91.2%になっており、陳情にあるとおり「区民の大半が豊島区に住み続けたいと願って」いるのであります。
 よって、28陳情第25号 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の増設等を求める陳情をただちに採択すべきです。
 以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました