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区議会質問
第54号議案 豊島区立豊島区民センター条例を廃止する条例 
第56号議案豊島区立子どもスキップ条例の一部を改正する条例 討論(小林ひろみ)

2016年7月11日

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま一括して議題とされております五議案中、第54号議案 豊島区立豊島区民センター条例を廃止する条例 第56号議案豊島区立子どもスキップ条例の一部を改正する条例 について、可決に反対の立場から討論をおこないます。

 まず、第54号議案 豊島区立豊島区民センター条例を廃止する条例 について討論します
 本条例は、施設の老朽化に加え、旧庁舎及び旧公会堂の跡地と一体になって整備を進める必要から建替えることとしたため、豊島区民センターを廃止するとして提案されたものです。豊島区民センターの建替えに合わせて、今後隣接する生活産業プラザの大規模改修工事も行い、完成時には「(仮称)新区民センター」を整備するとしています。
 以下反対の理由を述べます。
 
 第1は、これまで利用されてきた会議室などの貸室が大幅に減らされ、代替施設が十分でないことです。
 区は、「主に区民センターの廃止に伴う代替施設として」、としま南池袋ミーティングルーム、3室、205uを設置しますが、それでも大きく減らされてしまいます。2014年度に区民センター、生活産業プラザ、勤労福祉会館において17室1504uだった集会室は、2015年度には一時的に大幅に貸室は増え30室2496uとなりましたが、16年1月からは勤労福祉会館が大規模改修で使えなくなったため、20室1449uとなりました。この時、区は、勤労福祉会館の代替施設として区民センターがあるとしましたが、もともと池袋西側の施設の分を東側の区民センターに増やしても利用者から言えば、代替施設にはならないし、さらに使用料についていえば、区民センターの使用料は高く勤労福祉会館会議室の使用料は、勤労者の文化、教養、福祉の観点から区民センターの70%で設定されてきた経過があることを指摘してきました。
 そこにきて、今回の廃止条例で区民センターが廃止となるとミーティングルームがあっても部屋数としては10室と半減、面積は839uとなってしまうのです。
 来年4月に、としま産業振興プラザが開設されれば、貸室数は19室1886uとなりますが、2018年度には、今度は生活産業プラザが工事に入り使えなくなります。部屋数としてはなんと7室、面積として758uとなってしまうのです。
 
 第2は、これまでの区民の利用実態を把握せずに進めていることです。
 区は、区民センターの代替施設として、としま南池袋ミーティングルームの部屋数等を決める際に、区民センター会議室の利用実績について、行政と営利団体を除く区内を拠点とした団体の利用は件数で22.7%であり会議室面積の不足1000uに対し利用割合22.7%を勘案して、約220u3室程度として考えてきた、今回のミーティングルーム205uでほぼ代替施設となりうるとしています。しかし、この利用割合は、曜日や午前、午後、夜間と言った時間区分ごとの分析も全くされておらず、これまでの利用の実態を表すものではありません。
 
 第3は、建て替え後の「(仮称)新区民センター」の問題です。
 今回の廃止の理由には「老朽化とともに旧庁舎及び旧公会堂の跡地と一体になって整備を進める必要から建替える」とあります。この旧庁舎及び周辺整備については、今議会のわが党森議員の「区長は、『文化芸術の拠点となる。なおかつ賑わいの創出となる。お金を落とす。観光が増えることで経済効果が生まれる。それが回りまわって様々な産業に循環していく』というがこれは、アベノミクスと同じ発想ではないか」との一般質問に区長は「そう評価されても構わない」と答えています。区民生活や区民の利用を優先に考えたものではありません。
 旧庁舎及び周辺整備は、2013 年の時点では、新ホール50億円、新区民センターは44億円で、周辺区道整備と中池袋公園大規模改修を含めて総額114億円だったのが、現時点では、新ホール 69億5千万円(税込75億円)、新区民センター66億円と金額が膨らみ、総額は158億円となったのです。2010年の時点では、公会堂建て替え17億円、区民センター建て替え22億円で、総額39億円と示されておりましたので、当初計画と比較すると119 億円もの増額です。この整備費用158億円には国や東京都の補助はつかず、全てが区の持ち出しになるのです。中でも起債でまかなう91億円の償還計画について示さないまま、進めようとしているのです。
 また、新区民センターが低廉な料金で区民が借りられるものになるかどうか、この間、わが党は繰り返し質問してきました。理事者は「検討する」と繰り返すのみです。せめて勤福並みになるのかの質問にも、「それを含めて今後の検討」というだけです。低廉な料金で区民が借りられる保障はどこにもありません。
 
 我が党は、古くなった施設を改築するのは必要なことと考えますが、今回の廃止条例は、会議室が大幅に削減され、区民の利用実態を把握しないまますすめるものであり、新たにできる新区民センターも区民のための区民が低廉で利用できる施設となるか不明であります。
 
 よって第54号議案 豊島区立豊島区民センター条例を廃止する条例 については、可決に反対するものです。

 続きまして、第56号議案豊島区立子どもスキップ条例の一部を改正する条例の可決に反対の立場から討論します。
 
 この条例は、今年8月29日より子どもスキップ池袋本町を新設することに伴い、子どもスキップ条例に位置づけるとともに、豊島区立児童館条例と豊島区立学童クラブ条例を廃止するものです。これで、豊島区から児童館がなくなるのです。以下反対理由を述べます。
 
 第1に、児童館そのものを廃止してしまうことであります。池袋本町児童館部分は区民ひろば池袋本町として使用することになっています。
 これまで児童館が進めてきた子育て支援は、乳幼児のためのプログラム、小学生以上の子どもたちには、放課後や学校休業日の地域の遊び場と活動の拠点として、そして中高生の居場所として、さらには地域のいろいろな団体と協力して、子どもを中心としたイベントや行事を行ってきたのであります。我々は、小学校の放課後活動を豊かにするために、学校の有効活用を否定するものではありません。しかし、スキップ事業は、小学生だけを分離し、学校施設を利用して放課後を過ごさせるというもので、小学生以下と中学生以上との異年齢交流を断ち切るものであります。
 「区民ひろばでも小中学生を受け入れている」「スキップも今後は質の向上をしたい、相談なども受けられるようにしたい」との答弁はありますが、職員配置などみてもふさわしい態勢がとれているわけではありません。
 これまで長い間、児童の福祉施設と位置付けられてきた施設を廃止する、特に23区でも児童館を全廃するのは豊島区だけであります。児童館は存続すべきであります。
 また,本条例は、児童館、学童クラブそのものを廃止する重大問題にもかかわらず、附則において、付け足しの形で廃止を規定しています。長い間、地域の核として役割を果たしてきた児童福祉施設を廃止するのに、別の条例の附則で廃止させることは決して正しいやり方ではありません。
 
 第2に、職員配置の問題です。そもそも子どもスキップは、子どものことを考えて検討されたものではありません。財政効果を生み出すために、一番金のかかる人件費を削ることにし、常勤職員を大幅に削減したのであります。質が下がり、機能を維持することができなくなるのは当たり前であります。池袋本町児童館では、館長1名のほか正規職員1名、非常勤の学童指導員が7名配置されています。8月29日からは、これまでの児童館での体制と同じ正規職員2名と説明されましたが、来年4月からの体制は検討中としてはっきりしていません。特に池袋本町は学童クラブの登録が多く128名も登録しています。スキップになると利用者はさらに増え、一般利用も含めると1日180人から200人とも予想しています。こんな状況で職員体制は増やすことはあっても減らしてはなりません。さらに、理事者は全校に子どもスキップができたので、今後は質の向上をしたい、相談なども受けられるようにしたい、といっていましたが、それなら専門職や正規職員を増やさなければ対応できないではありませんか。
 
 第3に、増えている学童クラブの児童に対して対応できず、質の向上の面からも十分ではないことです。
  近年の子どもの増加と女性の社会進出を反映して、学童クラブの登録者が増えています。区内では100人を超えているのは、池袋本町、目白、高松のスキップです。池袋本町は現在でも128名が登録し、1日の児童館の利用児童は140名程度です。理事者はスキップになると学童と一般利用合わせて、1日180人から200人が利用すると予想しています。
 2015年4月から子ども子育て支援新制度が始まりました。豊島区でも放課後児童健全育成事業の設備及び運営の基準に関する条例が制定されました。そこには、「専用区画」について、その面積は、児童1人につきおおむね1.65平方メートル以上でなければならない、とあります。学童クラブにおいては、これを基準に「定員」も定めています。ところが、豊島区はもともと学童クラブの児童専用のコアスペースだけでなく、一般利用の児童も使うセカンドスペースも含めて専用区画として定員を定めています。さらに、池袋本町の場合はコアとセカンドを含めても161u余で、現在の登録者数128名に対する必要面積211uには足りず、多目的室(生活課室)を放課後はほぼ専用として使えるからと面積にいれて、220u135名分を確保するとしているのです。また、学童クラブについては、児童集団の設定として、1の支援の単位を構成する児童の数は、おおむね40人以下とすることとなっていますが、これも実質的に守れません。学童クラブは、「保護者が労働等により昼間家庭にいないものにつき、家庭、地域等との連携の下、発達段階に応じた主体的な遊びや生活が可能となるようにする場所」、つまり児童が学校から家に帰ってくるように、「ただいま」といって帰ってくる場所です。遊びの場所であるとともに落ち着いて過ごせる場所としても重要なのです。理事者は、国の指針でも許容されているので、とか、体育館や校庭のほか雨の日には、武道場や多目的室も使えると答弁しますが、既存の建物を使っている場合に困難なのはともかく、新しい建物を作ったのに学童クラブとして十分な場所が確保されないのは問題です。
 
 よって、第56号議案豊島区立子どもスキップ条例の一部を改正する条例の可決に反対するものであります。
 以上で、討論を終わります。御清聴ありがとうございました。