HOME >区議会質問>本会議討論
区議会報告議員紹介政索と見解お知らせリンクご意見ホーム
区議会質問
第52号議案、豊島区立区民集会室条例の一部を改正する条例(儀武さとる)

2016年7月11日

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題となっています第52号議案、豊島区立区民集会室条例の一部を改正する条例について、可決することに反対の立場から討論をおこないます。
 
 本議案は、2017年度に指定管理者制度の導入を予定している池袋図書館及び目白図書館には、池袋第3区民集会室、目白区民集会室が併設されていることから、図書館の指定管理業務に併せて区民集会室の管理業務に指定管理者制度を導入するものです。
 今回の条例改正理由として、?従来の利用に加え、指定管理者の提案(自主事業)による図書館併設の特質を活かした区民集会室の利用、図書館事業の充実並びにサービス向上など、より一層の有効活用が図られる。?区民集会室に指定管理者制度を導入することにより、保守契約等(貸室管理、機械警備、冷暖房機、清掃、光熱水費等)を図書館と分けることなく指定管理者が一括で契約することができるとしています。
 本区は、2005年度より指定管理者制度を導入し、現在、文化、スポーツ施設、福祉施設、駐輪場、図書館など39施設、約400ある区の施設のうち約1割の施設に指定管理者を導入しています。昨年の第2回定例会では、豊島区立図書館条例の一部改正により区立図書館においても指定管理者制度の導入を決定し、本年4月より駒込図書館、上池袋図書館に指定管理者を導入しました。
 わが党は、指定管理者制度の問題点として、住民の福祉の増進のために住民の平等な利用を保証するという公の施設の本来の趣旨から考えて、公の施設が一部企業の収益の道具とされること自体が、本来の趣旨と異なること。住民サービスの低下や特定事業者との癒着の恐れ、雇用問題の発生などの様々な問題点があるので、その導入については、基本的にふさわしくないとの立場をとってきました。
 特に、図書館は、利用者の読書、知りたい、調べたい、ことを保障することが役割です。生活、生業、学業のためには、資料、情報は欠かせません。図書館は「生存権の文化的側面である学習権を保障する機関」です。
 図書館に指定管理者を導入することは、管理運営を民間企業に「丸投げ」するものです。司書の専門性の蓄積、長期にわたるコレクションの形成、読書の自由の保障など危うくなります。図書館に指定管理者制度を導入することはサービスの後退、変質を招くものであり、その充実の妨げになり不適切です。
 区も従来、図書館サービスが無料と法定されているため、民間のノウハウを活かした収益事業の展開が難しく、指定管理者制度になじまない。また、職員の非常勤化や業務委託等により既に経費を削減しており、制度導入しても大幅な経費削減は見込めないので指定管理者制度になじまない、としていました。今回の委員会で私が「なぜ、その見解をかえて導入するのか」と質問しても、区は「休館日を減らし、開館時間の延長やWiFiサービスなどでサービスの向上を図った」と繰り返すのみで、従来の見解を変更するまともな理由を述べることができませんでした。直営でも、区が本気にやれば、その程度のことは十分可能であります。
 ましてや、図書館に併設されていることを理由に、区民集会室に先行して指定管理者を導入することは言語道断であります。以下、本条例に反対する理由を述べます。
 
 第一に、図書館と併設の区民集会室に指定管理者を導入することで、これを契機に他の施設にも指定管理者を拡大するおそれがあるからです。
 私が、これを契機にして、「他の施設にも導入の拡大することを考えていないか」とただすと、区は「場合によっては導入することはあるかもしれないが、現在は検討していません。」答弁しました。
 地域区民ひろばについては、現在、各地域区民ひろば運営協議会による自主運営化を進めており、区民ひろばの理念にも反するものであるから、「今のところ、導入の考えはない」と答弁がありました。区民ひろばと併設の施設に適用しないのは当然です
 しかし、図書館にはなじまない、としていた見解を変えてしまったように、今後も変わらないという保障はありません。条例上は「できる」とあるので区が決めればやれるのです。
 
 第二に、指定管理者の自主事業の拡大で、登録団体、町会の利用が狭まる可能性があるからです。
 今回提案されている池袋第3区民集会室と目白区民集会室の利用実績は、それぞれ、21.2%と32.7%です。区民集会室30か所の平均利用率が45%ですが、利用率が低いのは、図書館との併設で、カラオケやダンスなど音量が大きい利用ができない、利用が制限されているためです。
 指定管理者が自主事業を行いサービスの向上を図るとしていますが、自主事業の拡大で従来、区民集会室を利用している団体などが利用できなくなることが、絶対にあってはなりません。その点を確認すると、区は、町会や登録団体が先に予約、申し込みをした後に、「空きコマ」を活用して自主事業を行うので、「利用ができなくなる」ことは起こらないと答弁しましたが、区民がいざ、利用したいときに、その時間帯(コマ)に自主事業が入っていれば区民が利用できません。
 
 第三に、そもそも、区民集会室は指定管理者になじまないからです。
 わが党は、先ほども述べたように、公の施設に指定管理者を導入することに反対の立場ですが、区も区民集会室は指定管理者になじまないとの立場でした。これまで単独施設は、豊島区シルバー人材センター等に管理を委託しているが、高齢者の地域雇用に寄与しており、最小限の経費で 運営しているため経費の節減が期待できない。 併設施設は、主な施設の職員が受付・使用料の収納業務を行い、夜間は豊島区シルバー人材センターを活用して効率化に努めているので、区民集会室は経費の節減が期待できないので、指定管理制度になじまないとしてきました。これについても区の見解を変更するまともな説明はありませんでした。
 区はこれまで、図書館サービスは原則無料、区民集会室はこれ以上の経費節減は望めないので指定管理者制度はなじまないとしてきましたが、図書館への指定管理者を強引に導入したことで、図書館と区民集会室の併設施設の管理の問題が発生したのであります。図書館への指定管理者を導入しなければ区民集会室の指定管理者の導入問題も発生しなかったのであります。区民集会室の指定管理者はやめるべきです。
 
 以上の理由により、第52号議案、豊島区立区民集会室条例の一部を改正する条例について、可決することに反対する討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。