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区議会質問
第65号議案 平成28年度 豊島区国民健康保険事業会計 補正予算第2号(儀武さとる)

2016年7月11日

 私は日本共産党豊島区議団を代表して、只今、議題となっています第65号議案 平成28年度 豊島区国民健康保険事業会計補正予算第2号について、可決することに反対の立場から討論します。
 
 2015年5月「医療保険制度改革法」が成立し、国保制度の安定化を図るためとして、国保の広域化により都道府県が国保財政の管理、病床削減、給付費の総額管理を行い、各保険者は都道府県に収めるべき国保事業費納付金や標準保険料率の提示に基づき各保険者が保険料を決定することになります。また資格管理や保険給付、保険料の徴収などは今まで通り各保険者が担うとしています。
 今回の補正予算はこれらの決定に基づき、都が国保事業費納付金の算定に際し、算定に必要なデーターを区が都に提出するため、本区の電算システムに機能追加をするための改修経費です。改修期間は本年9月までで、事業は専門業者に委託し、その費用が648万円で全額国庫負担となっています。
 
 わが党はこの間、国保の広域化に反対の立場を表明してきました。そこで改めて国保の広域化について反対の理由を述べます。
 まず第一に「広域化」が「区民にとって安心して医療を受ける条件が作られるのか」という点で、特に保険料についてです。
 今年度、一人当たりの平均保険料は111,189円と前年度より4,644円と大幅な値上げとなりました。昨年度は3,442円の値上げをしており、2年間でなんと8,000円を超える大幅な値上げです。6月16、17日に国保加入者に保険料通知が発送されていますが、17日以降約10日間で区民からの問い合わせは2,047件、その内容は「なぜ保険料が高くなったのか」「通知書の見方がわからない」等となっています。 
 ではなぜこのような値上げが行われているのか。
 23区では保険料を低く抑えるために各区が法定外繰入として、一般財源から高額療養費分を負担してきました。それが広域化導入に向けて、当初は2014年度より4年間で毎年4分の1ずつ加算し、賦課総額に算入することを決定しました。今年度は広域化の実施が1年先送りで2018年度からとなりましたから、高額療養費分の100分の67を賦課総額に算入しました。その結果、保険料の大幅な値上げとなり、来年度も上がります。委員会審査で理事者は、高額療養費の賦課総額算入について「広域化を進めるにあたり、政令基準に合わせることが必要」と繰り返し答弁しました。そして「国保制度の維持のためには財政基盤の安定化が必要」「医療費に見合った対応が必要と考える」と強調しました。つまり、「国保の広域化」は、自治体独自の保険料軽減策を「政令基準に合わせる」としてやめさせ、保険料を上げているということではありませんか。
 区は他の委員の質問に「保険料が上がるかどうかわからない」と言い、この間の私の質問でも同様の答弁を繰り返していますが、保険料が上がることは必至です。これでは区民負担を増やすばかりで、区民の医療を受ける権利を守ることはできません。
 
 第二の問題は保険料の徴収強化についてです。
 最初に申しあげましたが、「広域化」で保険料の徴収業務は区市町村の役割とし、都道府県は国保財政の管理を行い、各保険者の都道府県への「納付金」と各保険者への「保険給付費等交付金」を決定します。このような中で、都道府県が各保険者の収納率を示すことで、各保険者は医療給付費の削減や保険料の一層の徴収強化を進めることが懸念されます。
 本区では2015年度の差し押さえ件数は504件で 差し押さえ件数に伴い区に入る報奨金は約3000万円となっていることが、私の質問で明らかになりました。
 私はこの間の委員会等で資格証お短期証の発行が23区でも上位となっていることを取り上げてきました。これは高すぎる保険料で払いたくても払えないとい区民に対して、今でも過酷な制裁を加えているということです。さらに徴収強化が進められれば、保険証が取り上げられ区民の医療を受ける権利は全く保障されなくなるという事です。
 
 第三の問題は「広域化」の進め方であります。
 区は「広域化は財政基盤の安定のため」と繰り返していますが、「広域化でどう財政基盤の安定化が保証されるのか」「区民にどう影響するのか」等、区民にはまったく示されていません。区は今回のシステム機能追加の改修後の「10月には保険料等の簡易版が示される」「区の保険料等の条例改正は平成30年度以降」と言いますが、区は保険者であるにも関わらず、国の法改悪に対してそのまま受けいれ、議会にも区民にも何の説明もせず、進めるやり方は言語道断あります。
 
 国保料がさらに上がり、さらなる徴収強化につながる懸念がある「広域化」はやめるべきです。今回の補正予算は「広域化」を進めるためのシステム改修であり認めることはできません。 
 国保の財政基盤の安定化と言うのであれば、半減された国庫負担金をもとに戻すなど国の財政負担を拡充することです。
 国は財政が厳しいと言いますが、要は税金の使い方の問題です。
 区は区民の命と健康を守る立場に立ち、国に対して財政負担を大幅に増やすよう強く求めるべきであります。
 
 以上の理由により、第65号議案 平成28年度豊島区国民健康保険事業会計補正予算第2号について可決に反対する討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。