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区議会質問
元海兵隊員の米軍属による女性死体遺棄事件に強く抗議し再発防止を求める意見書についての賛成討論(儀武さとる)

2016年6月24日

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題となっております、議員提出議案第9号「元海兵隊員の米軍属による女性死体遺棄事件に強く抗議し再発防止を求める意見書」について、可決に賛成の立場から討論します。また、議員提出議案第10号米軍属の元海兵隊員による女性死体遺棄事件に抗議し、再発防止を求める意見書については、可決に反対の立場で討論します。
 
 沖縄でまた「米軍基地あるがゆえの悲劇」が起こりました。うるま市の20歳の女性が行方不明になっていた事件で、米空軍嘉手納基地の元海兵隊員の米軍属が死体遺棄容疑で逮捕されました。遺体が見つかったのは米海兵隊キャンプ・ハンセン近くの恩納村の雑木林で、容疑者は女性の首を絞めナイフで刺したと供述しています。これからの人生に夢と希望を抱いていただろう若い女性の命を無残にも奪った残虐な事件に激しい憤りを禁じ得ません。女性の無念さ、無事な帰りを願っていた家族らの心情を思うと胸が締め付けられます。
 沖縄では、戦後71年、日本復帰からでも44年もの間、「米軍基地あるがゆえの事件・事故」が絶えず繰り返されてきました。県民は、米軍人・軍属などによる凶行の犠牲者になる危険と常に隣り合わせの生活を余儀なくされてきました。
 1972年の復帰から2015年末までの米軍関係者(軍人、軍属、家族)による犯罪の検挙状況は5896件に上ります。このうち殺人、性的暴行、強盗、放火といった「凶悪犯」は574件と1割近くを占めています。国土面積のわずか0・6%の沖縄に、在日米軍専用基地面積の約75%が集中している異常な事態が背景にあることは間違いありません。

 安倍晋三首相は「沖縄の基地負担軽減」を繰り返していますが、日米首脳会談で、「厳重な抗議」「再発防止」などを述べるだけで、県民の多くが望んでいる基地撤去はおろか、最小限の緊急要求である日米地位協定の見直しも提起しませんでした。オバマ大統領も「遺憾」としながら謝罪の言葉がなく、日米地位協定の見直しも否定しました。日米地位協定は米軍人・軍属による公務中の事件の第一次裁判権を米側に与えるなど、在日米軍にたくさんの治外法権的特権を与え、そのことが米軍人・軍属による犯罪が絶えない重大な土壌になっています。そうした屈辱的な日米地位協定の見直しは、沖縄県民が島ぐるみで願っていることです。「沖縄県民の心に寄り添う」と言いながら、この切実な願いに背を向ける態度は許しがたいと言わなければなりません。 
 同じ敗戦国のドイツでは、日本と違って必要な時には米軍基地への立ち入りもできます。警察権の行使もできます。演習や訓練では事前の政府の承認も必要になります。なぜ日本ではそれができないのか。
 さらに、イギリス人ジャーナリストのジョン・ミッチェル氏が情報公開請求で米国政府から入手した資料によると、米海兵隊の県民蔑視の「新兵研修」が行われていることが明らかになりました。在沖縄米海兵隊の文書は、「(沖縄の世論は)論理的というより感情的。二重基準、責任転嫁」本土側の罪の意識を沖縄は最大限利用するなどと県民蔑視の内容が記さています。在沖縄海兵隊が新兵に対して沖縄県民蔑視の教育をやっていて、どうして犯罪がなくなるのか、これが厳しく問われなければなりません。
 
 沖縄の米軍関係者の事件・事故をめぐる歴史が示しているのは、いくら米政府や軍が謝罪し、「再発防止」や「綱紀粛正」を約束しても守られたためしはないということです。
 今年3月に米海兵隊キャンプ・シュワブ(名護市)の米軍人が那覇市で、寝込んでいて抵抗できない女性に性的暴行を加えたとして逮捕された事件でも、日本政府は米側に対し「再発防止」などを申し入れていました。今回の事件は、その直後に起きました。
 「米軍基地がある限り、今後も犠牲者が出る恐れは避けられない」―。今回の事件を受けて、沖縄からほうはいとして沸き上がっている声です。米軍の「再発防止」策に限界があるなら、選択肢は一つしかない。基地の撤去しかありません。 基地撤去こそ米軍犯罪根絶の「唯一の解決策」です。
 
 沖縄では19日、「被害者を追悼し、海兵隊の撤退を求める県民大会」が開催されました。炎天下、主催者の予想を上回る約6万5千人が参加しました。未来ある命を奪われた20歳の女性を追悼し、日米両政府に改めて謝罪と完全補償を求め、二度と悲劇を繰り返させないため米海兵隊の撤退を迫りました。  
 大会決議では、基地あるが故に絶えまなく引き起こされる米兵による事件や事故に「県民の怒りと悲しみは限界を超えた」としています。
 県民大会であいさつした翁長雄志知事は、21年前の少女暴行事件にも触れながら、「政治の仕組みを変えることができなかったことは政治家としての痛恨の極み」と語り、沖縄に基地を押し付けてきた日米両政府の「壁」を突き崩す決意を表明しました。
 現在、沖縄に駐留する米軍の主力は、海兵隊です。沖縄の海兵隊は、「第3海兵遠征軍」という名称が示すように、海外侵攻=“殴り込み”専門部隊であり、「日本防衛」の任務を持っていません。実戦のために激しい訓練を繰り返す海兵隊は、沖縄での米軍犯罪の温床です。大会決議が「県民の人権といのちを守るためには、米軍基地の大幅な整理、縮小、なかでも海兵隊の撤退は急務である」と強調しました。
 本来、沖縄の米軍基地の抜本的縮小、撤去に踏み出さない限り、「基地あるがゆえの犯罪」は決してなくなりません。

 議員提出議案第9号「元海兵隊員の米軍属による女性死体遺棄事件に強く抗議し再発防止を求める意見書」は、「沖縄県及び県民の声に真摯に耳を傾け、米軍人・軍属等の犯罪を根絶するために米国政府と協議するとともに米軍基地の整理・縮小、日米地位協定の見直しを視野に入れた再発防止対策を強く求める。」ものであります。今回の意見書(案)には、新基地建設反対や海兵隊の撤退を求める表現はありません。この意見書の内容は、都内の6議会で、全会派一致で可決されています。沖縄県議会では、「日米地位協定の抜本改定」「米海兵隊の撤退を」求める意見書、抗議決議を公明党も含めて可決されています。それなのに、なぜ豊島区議会では同意することができないのか、本当に残念でなりません。
改めて、可決することを求めるものであります。
 
 先ほど提出された自民党と公明党の共同提案、議員提出議案第10号「米軍属の元海兵隊員による女性死体遺棄事件に抗議し、再発防止を求める意見書」について述べます。
 表題は似ていますが、内容は似て非なるものです。「再発防止策を早急に構築すること」「日米地位協定の在り方を再検討するとともに基地の整理・縮小を進め、ひいては沖縄と米軍の関係を改善していくことを強く要望する」としています。
 
 沖縄と米軍の関係を改善することで再発防止をできるものではありません。
 これまで、「綱紀粛正」「徹底した再発防止」などというのは、この数十年、何百回も聞かされたが、現状は全く何も変わらなかったのです。
 先ほどものべましたが、米軍人・軍属の犯罪が繰り返される要因は「基地あるがゆえ」の問題に加え、日米地位協定という特権的な状況があり、軍人・軍属が占領意識を持って県民を見ていることが大きいのです。
 在日米軍に治外法権的な特権を保障している屈辱的な日米地位協定の抜本的な見直しは、軍人・軍属らの犯罪を防止する上でも不可欠です。
 
 昨日6月23日の沖縄は、第2次大戦末期の沖縄戦で日本軍の組織的な抵抗が終わった日とされる「慰霊の日」です。糸満市の平和記念公園で「沖縄全戦没者追悼式」を開きました。平和宣言で翁長知事は「悲惨な戦争の体験が平和を希求する沖縄の心の原点」とし、その心をよりどころに、復興と発展の道を歩んできたと述べました。
 沖縄戦で県民の4人に1人が犠牲になった沖縄にこれ以上の基地負担押し付けは許されません。いまこそ、沖縄の民意と連帯しようではありませんか。

 よって、議員提出議案第9号「元海兵隊員の米軍属による女性死体遺棄事件に強く抗議し再発防止を求める意見書」について、ただちに可決することを求めます。また、議員提出議案 第10号「米軍属の元海兵隊員による女性死体遺棄事件に抗議し、再発防止を求める意見書」については、可決に反対することを求めて討論を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。