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区議会質問
庁舎跡地 定期借地他 反対討論(小林 ひろみ)

 私は日本共産党豊島区議団を代表してただいま議題となっております、34号議案 定期借地権の設定について、あわせて後ほど議題となります第35号議案財産の無償譲渡について、第37号議案 平成27年度豊島区一般会計補正予算(第五号)について、可決に反対の立場から討論します。

 これらの議案は、旧庁舎跡地(庁舎跡地と公会堂跡地)を東京建物とサンケイビルに76年6か月間定期借地で貸し付け、191億円を一括前払いとして受けとる、旧庁舎と公会堂の建物については無償譲渡し、事業者が解体撤去できるようにするためのものです。また、補正予算の主なものは、財産収入として受け取る借地料191億円を、旧庁舎と公会堂の解体費として8億円を計上する、157億円は財政調整基金へ、26億円は公共施設再構築基金に積み立てるものです。

 これらの議案に反対する理由は以下のとおりです。

 第一に、区は説明責任を果たしていないからです。
 これらの議案は、後ほど述べるように新庁舎建設の資金計画として進められてきた「庁舎跡地活用」に係るものです。
 今回、プロポーザルに参加した六事業者の提案内容の一部が示されました。しかし、優先交渉権者以外の事業者名や提案の詳しい内容、特に賃料の金額は公開されていません。区は、議決後に契約締結した後には、六事業者の採点結果は公表するとしていますが、それ以外については、「公募の際の条件にはいっていない」「落選した事業者の社会的地位にかかわるものなので公表できない」というばかりです。採点結果のように、のちに公表されるものまで明らかにしないままに、議会審議をするとは、議会軽視です。

 昨年10月及び12月の説明会での説明から、建物の高さが30階から33階に増えていたり、ホールの階数や高さも高くなっています。2010年のときに17億円だった公会堂は、2013年7月に50億円となり、現在なんと75億となっています。この新ホールは公会堂跡地に民間事業者がライブ劇場や駐車場と建設し、完成後に買い取ることにしており、今年の秋には正式に売買契約を結ぶことになっていますが、その際示される予定の金額も、その後さらに上がる可能性があります。
 一貫して指摘をしているように、区民不在のやり方であり、このような大事なことがはっきりしないままに、進める姿勢は許せません。

 第二に、ここに賑わいを作るとして区が買い取る新ホールは区民のための施設ではないことです。
 新ホールの運営費は、概算で年間4億円とされているだけでまだ精査されていません。区は、また、オペラや歌舞伎、タカラヅカができるといいますが、質疑の中でもはっきりしたように「興業として一流のものを池袋でみられるということで検討している」「リーズナブルな料金で内容がそれなりいうことではなくて」ということで、区民が気軽にみられるものではありません。

 第三に、区民の貴重な財産である区有地を民間企業のもうけに差し出すものだからです。
 区は、今回の議案提案にあたって2社の定期借地権の鑑定結果を出してきました。それぞれ139億円、146億円となっています。これを上回り、また、区が新庁舎建設にかかるとして「目標額」として示した141億円を上回ったからいい、評価をするという意見があります。しかし、たとえば区が答弁しているように鑑定の手法の一つ「賃貸事業分析法」では、オフィス賃料等でどう収益が上がるかこまかく積み上げていくものです。賃料をどう設定するかによってどうにでもなるのであります。
 また、この土地は区の答弁でも、売却したら215億とか220億円という鑑定がだされています。あるいは、行政財産の使用許可の場合の算定式で76年6か月分の賃料を毎年受け取ると計算すると、約320億円になります。
 それだけの価値のある土地なのです。
 また、定期借地権方式は事業者から見れば「財産を持たずに収益事業ができる」やり方です。土地を買えば、不動産取得税やら固定資産税やらかかりますが、定期借地ではかからないのです。事業者にとっての「土地をもつリスク」を軽減するやり方なのです。
 日本共産党区議団は、何も区有地をもっと「高く売れ」といっているわけではありません。貴重な区民の土地だからこそ、区民の意見をきいて、豊島区に住み続けたい、暮らしていきたいという区民にとつて必要なものに使うべきと言っているのであります。

 第四に76年間に豊島区の負う「リスク」は大きく、その負担はまさに孫子の代まで続くものだからです。
 他会派は「リスクを残さないように」などと言っています。理事者はリスクをさける目玉について、賃貸借で行うことで、区の承諾がなければ譲渡はできないことを上げています。また、「民間事業者から業績不振による中途解約はできない」などとしています。しかし、本当にこれでうまくいくのでしょうか。ご存知のとおり、日本有数の企業も経営が破たんする時代です。シャープを台湾の企業が買収するのかという事態です。倒産で競売にかけられたときには、裁判所の命令で承諾の代わりになりますし、そもそも合併の場合には、承諾は不要です。リスク回避などできないではありませんか。
 また、理事者は自民党委員の質問に答えて、事業者の業績不振にならないように、にぎわいを作るために区と民間事業者が一体になって取り組む、などとしていますが、行政が賑わいをつくるのは簡単ではありません。一体になってやる、となったら、ますます区が税金で対応しなければならなくなります。すでに、周辺整備で、ホールをはじめ158億円の税金投入をすることにしているのです。

 そもそも、区長は、「税金は使わない」「借金はしない」といって、新庁舎建設を進めてきました。当初は、学校跡地など区有地を使って市街地再開発事業で庁舎を作り、保留床購入費をまかなうためには、旧庁舎跡地を民間に50年の定期借地権で貸し付け25年分を前倒しで賃料176億円を受け取れば、区民センターを22億円で建替え、公会堂を17億円で整備しても10億円の黒字になるといっていたのであります。
 日本共産党区議団は、当時から新庁舎建設については「区民の十分な合意がないこと」「市街地再開発事業というやり方では情報が公開されないこと」「民間分譲マンションや商業施設と一体では、管理、修繕、建て替えが困難なこと」「資金は現庁舎地を50年の定期借地権で貸し付け、25年分を一括してうけとれば10億円の黒字となるというが、その保証がないこと」を指摘、反対してきました。
 結局区の資金計画はもろくも崩れ、2010年に庁舎位置変更条例を議会で審議したときには、すでに25年分の前倒賃料を143億円と試算、庁舎建設費をまかなうのが精いっぱいとなっていました。それでも、区長は「この方法しかない」と進めてきたのです。これに反対したのは、日本共産党6名と無所属2名だけでした。

 その後も、地価は下がりわが党は何度も、「資金計画をだすべき」「不動産市況に左右される民間任せの資金計画はやめるべき」と求めてきたのですが、区は資金計画もださず、進めてきたのであります。
 2013年6月の招集挨拶で区長は突然、「あらたな整備方針」をしめしました。新公会堂については1200人収容の新ホールとし整備費は50億円とするというもので、7月には「現庁舎地の活用及び周辺整備について」を発表、区民センター改築や中池袋公園の改修、周辺区道の改修などをすすめるとしたのです。10月に費用の概算として総額114億円、そのうち35億円は借金と発表されたのであります。

 2014年3月に、区は「現庁舎地活用事業者公募プロポーザル実施要綱」を発表、「現庁舎地活用事業者審査委員会」の答申を経て、2015年3月「優先交渉権者」として、東京建物、サンケイビル、鹿島建設のグループを決定、「7つの劇場が生み出す圧倒的なにぎわい」、76年6か月の賃料191億円一括前払いなどを発表したのです。それが、昨年9月には、「7つの劇場」が「8つの劇場」に、新区民センターは二つのホールと30ブース以上のトイレをもつビルになりました。
 2013年に114億円だった周辺整備は、新ホールが税込で75億円、新区民センターと生活産業プラザ改築が66億円などで今や158億円となり、さらに増える可能性があります。庁舎建設に136億円、周辺整備に158億円、合わせて294億円、191億円の地代一括前払いを受けても、103億円もの赤字になっています。
 こんなやり方を続けていたら、区民への負担は際限なくなるではありませんか。今こそ、こんなやり方をやめるべき時です。

 よって、第34号議案 定期借地権の設定について、第35号議案財産の無償譲渡について、第37号議案 平成27年度豊島区一般会計補正予算(第五号)について、可決に反対することを述べ討論とします。
 ご清聴ありがとうございました。