HOME >区議会質問>本会議討論
区議会報告議員紹介政索と見解お知らせリンクご意見ホーム
区議会質問
第16号議案、豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例ついて(討論)(儀武さとる)
2016/03/15

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題となっています第16号議案、豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例ついて、可決することに反対の立場から討論をおこないます。

 本議案は、来年度に向けた特別区の保険料率等を改定するとして、 基礎賦課額と後期高齢者支援金等賦課額の所得割率を8.43%から8.88%へと0.45%引き上げ、均等割額を44,700円から46,200円へと1,500円引き上げ、賦課限度額を69万円から73万円に引き上げます。そして、これまで一般会計から全額繰り入れていた高額療養費分の100分の67を保険料賦課総額へ算入するものです。この結果、一人当たり保険料は、106,545円から111,189円へと4,644円の大幅な値上げとなります。
 また、介護納付金賦課額の所得割率は1.49%から1.55%へと引き上げ、均等割額、賦課限度額は昨年と同額となるものの、一人当たり保険料は、30,408円から30,991円へと583円の値上げとなります。
 今でも負担に耐えられない多くの区民がいます。今回の大幅値上げによって、さらに負担増を強いられることになります。
 以下、反対の理由を述べます。

 反対の理由の第一は、大幅な値上げが区民のくらしに重大な打撃を与えるからであります。 
 本区の国保加入世帯は、2016年3月末時点63,385世帯で、そのうち所得が200万円以下の世帯は、48,985世帯と約8割を占めています。所得のない世帯についてみると24,429世帯もあり、国保加入世帯の約4割にも上ります。この現状を区は、「負担能力の低い所得層が多く加入している実態となっており、国民健康保険制度が抱える構造的問題の1つ」としていますが、経済基盤の弱い世帯が国保に加入しているのです。にもかかわらず、来年度も大幅に値上げするのです。
 区は、低所得者には減額措置を実施していると言いますが、収入別・世帯構成別の保険料を試算した資料によると、給与所得者65歳未満3人世帯200万円では、219,088円から227,227円へと8139円も値上げです。また、給与所得者65歳未満4人世帯200万円でも192388円から208747円16359円の値上げです。この2つのモデルケースでは、実に収入の1割以上が国保料にもなるのです。消費税増税、物価の高騰で区民のくらしは一層深刻です。区民の負担増は限界です。

 反対理由の第二は、保険料の大幅上昇で滞納世帯が増加し、医療を受けられない区民がますます増えるからであります。
 国保加入者は、年金生活者、自営業者、非正規雇用者などで構成され、その8割が年収200万円以下の低所得者です。それにもかかわらず毎年、国保料が値上げされ、保険料を払いたくても払えない滞納者が増えています。
 区民から「収入は増えないのになぜ昨年より保険料が高いのか」「保険料の算定方式を知りたい」などの声が寄せられています。消費税増税、円安で物価がどんどんあがるなかで、保険料の値上げに悲鳴が上がるのは当然です。
 区は滞納者に対して短期証、資格証を発行し、2015年5月31日現在では、短期証は3951人、資格証は2539人となっています。2014年度から滞納世帯数に、資格喪失世帯数も含むようになりました。滞納世帯数は29374世帯、世帯割合は前年対比で28.01%から36.75%となり、実に3世帯のうち1世帯が滞納する深刻な事態です。23区でダントツの1位であります。
 資格証になると、医療機関を受診した際、窓口で医療費の10割全額を払わなければなりません。保険料を払えず滞納している方が医療費10割全額を払うことができるでしょうか。当然、受診抑制になり、低所得者は安心して医療を受けることができない事態がうまれています。事実上、区民の医療を受ける権利が侵害され、国民皆保険制度が空洞化しているのであります。

 反対理由の第三に、国保の広域化に向けて保険料の値上げを5年間かけて大幅に行うからです。
 国保の広域化は、国保制度の安定化を図るためとして、都道府県が財政運営を担い、国保財政の管理、病床削減、給付費の総額管理の下で、都道府県の「標準保険料率」の提示に基づき区市町村で保険料を決めることになります。区は、資格管理や保険給付、保険料の徴収などを担うことになります。
 2018年度からの広域化導入に向けて、2014年度から段階的に高額療養費分の一般財源から繰り入れ分を賦課総額に算入するようになりました。来年度の1人当たり保険料の値上げ4,644円の51%は、この制度改正の影響によるものです。私が国保の広域化で「保険料は下がりますか」と質すと、区は「上がる傾向にある」と答弁しました。この間わが党が指摘してきたとおり、国保の広域化は、都道府県を保険者にすることで、国の責任を軽減し、市区町村の法定外繰り入れを廃止し、結局、区民の保険料の値上げになるのです。国保料が上がれば、払えない区民がますます増えることは、はっきりしています。
 委員会審査で、他会派の議員は「医療費が上がっている。制度維持のために仕方が無い」「23区統一方式だから仕方がない」などと主張しました。23区全体でも2015年6月1日現在、20600世帯の資格証が発行されています。これだけの世帯で保険証が交付されていないのです。事実上、国民皆保険制度が機能不全、空洞化しているのであります。
 国民健康保険制度は、国民皆保険の理念のもと、高齢者や自営業者、失業者など経済基盤の弱い人々が安心して医療を受けられるためにつくられた制度です。財政投入しなくても良い、保険料は高くても仕方がないというのは、結局、国の責任と保険者である地方自治体の責任をなし崩しにするものです。保険料が高すぎて払えない人が増えれば皆保険ではなくなるのであります。
 今こそ国と自治体が責任を持ち、住民の命と健康を守るために、そして制度を維持するためにも国庫負担の大幅増額をおこない、安定した国保財政にするために責任を負うべきです。それが実現するまでは、区が一般財源を投じてでも保険料を引き下げるべきです。
 よって、第16号議案「豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例」について可決に反対します。
 以上、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。