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区議会質問
27陳情第24号「旧庁舎跡地・周辺まちづくりについての陳情」についての討論(清水みちこ)
2015/12/04

 私は日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題となりました27陳情第24号「旧庁舎跡地・周辺まちづくりについての陳情」について、不採択に反対し、ただちに採択することを求め、討論をいたします。

 本陳情は、「旧庁舎跡地・周辺まちづくり」に関する説明会が10月に3回行われたが、定期借地賃料の根拠や、総額いくらの税金が使われるのかが、まったく明確にされなかった。12月8日の開催予定分を含めても、たった4回の説明会だけでは不十分でないか。十分に区民に説明し、合意が得られるまで拙速に進めないでほしいという陳情です。

 区が10月に行った説明会は、19日に西部区民事務所、21日に東部区民事務所、29日に生活産業プラザで行われました。12月8日には豊島公会堂で4回目が行われます。私も説明会に参加しました。
 説明会では、区長の開会挨拶、区側から@池袋駅周辺まちづくりの動向について、A旧庁舎跡地開発事業・(仮称)豊島区新ホールについて、B豊島区新区民センターについての説明のあと、区民のみなさんとの質疑応答がありました。
 配布資料には、きらびやかな完成イメージ図、新ホールや新区民センターの概要や女性用トイレのことが大きく取りあげられ、資金計画については「76年間の定期借地の一括地代191億円」以外、一切書かれていないのであります。
 どれだけバラ色の計画を説明されても、「民間に建てさせ区が買取る新ホールが一体いくらなのか」、「新区民センターの建替えにいくらかかるのか」、「中池公園、周辺道路整備にいくらかかるのか」、「総額どれだけの税金が使われるのか。その資金計画はどうなっているのか」が、まったくわからないままでは、陳情者でなくとも心配になり、豊島区の将来、これから生まれてくる子どもたちのことを思うと、拙速に進めないでほしいと願うのは当然です。

 今回、採択すべき理由を3点あげます。
 その第一は、これまで3回の説明会の中で、区民のみなさんから様々なご意見、ご質問が出されたことに対して、区は説明責任を果たしていないということです。
 私の参加した説明会でも、「資金計画がどうなっているのか」、「定期借地の地代は本当に妥当な額なのか」、「豪華な劇場より、区民要望の高い認可保育園や特養ホームをつくるべき」、「区民センターに豪華な女性用トイレを作るより、地域の公園のトイレをもっときれいにしてほしい」、「小・中学区域ごとにもっと説明会を開いてほしい」など様々なご質問やご意見がでました。
 時間の制約があったにしろ、これから先76年に渡る計画は区民にとって大切な問題です。しかし区は区民が納得できる答えを何ら示していません。あまりにも無責任な態度です。

 区が作った、豊島公会堂で行われる4回目の説明会のチラシには「これまでいただいたご意見を踏まえ、さらに分かりやすく事業の目的や内容を説明します」と書かれています。
 委員会で私が4回目以降の説明会開催予定について質したところ、区は「全体的な説明会は今回で最後。今後は様々な事業の設計等の進捗に合わせて説明していく」ことを明らかにしました。わが党の小林委員の指摘で「4回目の説明会でも資金計画や経費については明らかにできない」との答弁がありました。
 これまで区民のみなさんから再三、疑問の声が上がっている資金計画や経費について明らかにできないのであれば、何を「さらに分かりやすく」説明するというのか。これでは区は区民の声に真摯にこたえようという気がまったくないと言わざるをえません。こんなやり方は認めるわけにはいきません。

 第二に、非公開の情報が多いということです。
 事業者の選定は、「公募プロポーザル方式」で行われました。6グループから提案書が出され、「豊島区現庁舎地活用事業者審査委員会」で審査をされ、それを受けて今年3月区が「優先交渉権者」を決定、公表しました。「審査会」については、「審議の内容」も、メンバーについても非公開です。さらに、「プロポーザル方式による事業者選定情報に係る情報公開基準」があり、契約締結前には、「仕様書、募集要項」、「事業者を選定するための評価項目・配点」以外はすべて非公開で、ほかにどのような提案があったのか、については知りえない状況になっています。
 第三回定例会で、豊島区議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例の一部を改正する条例が成立、「5000u以上の土地の定期借地件設定」について、議会の承認を必要とするよう改正されました。議会の関与を可能とする点ではわが党も議案に賛成しました。来年の定例会には、議決が予定されていますが、議決をするにあたって、判断材料がほとんどないということです。76年間の長きにわたる契約について、議会が議決するのは重いものです。それほど重い議決を、わずかな情報だけでできる、議会は責任を持てるというのでしょうか。

 そして第三は、このまま計画を進めれば際限のない税金投入になるということです。変更につぐ変更で経費がどんどん膨れ上がっています。
 今年3月の優先交渉権者決定時の発表で「7つの劇場」だったのが、いつの間にか9月には「8つの劇場」に、劇場がひとつ増えていました。
 また、区が建替えをする新区民センターも、民間事業者の建てるオフィス棟、新ホールの外観仕様と合わせるとしています。新区民センターは既存の生活産業プラザと合築されるのにもかかわらず、生活産業プラザの外観は現状のままで、ひとつの建物なのに外観がバラバラなのは不自然であるうえに、経費も上がることは区側も認めています。
 また、2013年当初の豊島区民センター改築基本計画案では7階、2014年3月の豊島区民センター改築基本計画の策定では8階に、そして今年2015年9月にはとうとう9階にまでなったのです。
 新ホールも当初、現行公会堂と同規模の800席だったのが、成人式、区内小学校一学年全員収容できる1200席に、さらに興業的に成り立つにはと1300席にまで増えています。
 整備スケジュールも東京オリンピック・パラリンピックの行われる2020年春に3棟グランドオープンが組まれています。いまでもオリンピック・パラリンピックの影響で資材、人件費等が高騰しており、これからどれだけ経費が膨れ上がるのか予想すらできない状況です。

 今議会でわが党、儀武議員が一般質問で指摘したように、今、東京オリンピックに向けて、首都圏で公演会場が次々と閉館、改修が相次ぎ、コンサートや公演会場が足りないとして『2016問題』がクローズアップされ、深刻な事態です。逆に言うと、東京オリンピック前後には劇場ホールや公演会場が次々と改築され、一定のパイを奪い合う熾烈な競争が始まるということです。そうなった場合に、大赤字の施設に際限なく税金投入することになります。そうなると2重3重に区財政に負担をかけることになります。

 そもそも、区は、新庁舎建設には「区民の税金をつかわない、借金をしない」といって、庁舎跡地を定期借地権で民間に貸し付け、その地代を前払いで受けとり、新庁舎整備に充てるとしてきました。2008年の計画では、50年の定期借地権を設定し25年分を前払いしてもらえば、公会堂や区民センターの建て替えをしても10億円の黒字になるといってきたのです。ところが、景気が悪くなり地価が下がり、区役所の移転条例を可決した2010年には、25年分の前払い賃料の想定は143億円となり、庁舎建設費141億円を賄うのが精いっぱいとなってしまったのです。日本共産党区議団は、民間の不動産市況に頼った資金計画はやめるべき、庁舎を建ててしまった後に貸し付けをするのは業者に足元を見られて、「バナナのたたき売りになる」とこの資金計画に反対してきました。
 2013年に発表された「現庁舎地の活用及び周辺整備」は、新ホール、区民センターの建替え、中池袋公園や区道整備と、破たんした資金計画を取り繕うため、結局区民の税金114億円を使って事業者を呼び込み、区民の貴重な財産である区有地を民間企業の儲けに差し出し大型開発を進めるためのものでした。

 区内のあちこちで、「本当に大丈夫なのか」と不安の声が上がっています。説明会でも区民から、「区民の意見を聞いて計画をつくっていく説明会かと思って参加したら、区の計画を承認するだけの場だ」という意見も出ています。区民の不安をよそにこのまま計画を進めてしまったら、区民の切実な願いである認可保育所、特養ホームの増設など、どうしてもやらなければならないものができないではありませんか。今、不要不急の大型開発が入り込む余地はありません。将来、区民負担を招く無謀な計画はきっぱりと断念すべきです。

 しかし、自民、公明、民主ネットは、「地元町会からも、新庁舎ができたのだから旧庁舎のほうも早く進めてほしいという声がある」、「区民には同時進行で説明していけばよい」、「新庁舎の整備スキームは、区民に負担をかけずにきた土壌がある」「これを着実に進めることが議会でも必要」、「76年後に生きてないから計画をやらないというわけにはいかない」、「いままで積み上げてきたものがある」と採択に反対しました。

 決まったことだから、というだけで進めていくというのでは、区の説明会と同じです。陳情者の「十分に区民に説明し、拙速に進めないでほしい」という切実な願いに背を向けることは絶対にあってはなりません。

 よって、27陳情第24号「旧庁舎跡地・周辺まちづくりについての陳情」について、不採択に反対し、ただちに採択することを求め、討論を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。