HOME >区議会質問>本会議討論
区議会報告議員紹介政索と見解お知らせリンクご意見ホーム
区議会質問
議員提出議案、第24号「名護市辺野古の米軍新基地建設工事の中止を求める意見書」(儀武さとる)
2015/12/04

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題となっております、議員提出議案 第24号「名護市辺野古の米軍新基地建設工事の中止を求める意見書」について、可決に賛成の立場から討論します。また、議員提出議案 第23号米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を進めるとともに、正確な情報発信を丁寧に行うことを求める意見書については、可決に反対の立場で討論します。

 一昨日、沖縄の米軍普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の新基地建設問題で、翁長雄志知事による埋め立て承認取り消しの撤回を求め、安倍晋三政権が起こした「代執行」訴訟の第1回口頭弁論が福岡高裁那覇支部で開かれました。翁長知事は意見陳述で、国土面積のわずか0・6%の沖縄に米軍専用基地の73・8%が集中し、さらに来世紀まで使用可能な新基地建設が強行されようとしていると批判し、「日本には本当に地方自治や民主主義は存在するのか」と問いかけました。新基地建設の阻止は、日本の民主主義を取り戻す全国的意義を持ったたたかいです。

 もともと今回の提訴自体、沖縄県民の圧倒的多数の意思に反した新基地建設をなりふり構わず強行しようとしている安倍政権の民主主義じゅうりんの強権姿勢をあらわにした不当極まるものです。
 地方自治法に基づく「代執行」は、他に「是正」の手段(今回の場合、翁長知事による埋め立て承認取り消しの撤回)がない場合のやむを得ない最終手段として位置付けられています。

 しかし、安倍政権は、国民の権利救済が目的の行政不服審査法を悪用し、翁長知事の取り消し処分を執行停止にし、新基地建設工事を再開しています。これは、新基地建設を「唯一の解決策」とする安倍内閣の下、沖縄防衛局長が知事の取り消し処分の執行停止を申し立て、所管の国交相が認めるという"自作自演"の卑劣極まる無法な措置でした。

 そうした無法な「是正」措置を強行した安倍政権に、さらに「代執行」に向けた訴訟を起こす資格はありません。それは「法治主義の名の下に法を乱用してまで(沖縄の)民意を抑えつけ」るための許し難い「訴権の乱用」(県の答弁書)に他なりません。

 翁長知事は意見陳述で、沖縄の基地問題の原点として、約20万人が犠牲になった凄惨な沖縄戦でほとんどの県民が収容所に入れられ、その間に米軍が県民の土地を強制接収し、普天間基地など広大な基地を建設したこと、その後も住民が住んでいる土地も「銃剣とブルドーザー」で強制接収し、新しい基地を造ったことを挙げ、「沖縄が米軍に自ら土地を提供したことは一度もない」と強調しました。

 戦後70年、あろうことか今度は日本政府によって、「銃剣とブルドーザー」をほうふつとさせる行為で美しい辺野古の海を埋め立て、普天間基地にはない軍港や弾薬庫などの機能強化が図られ、耐用年数200年ともいわれる最新鋭の基地が建設されようとしている。この翁長知事の告発は県民共通のものです。

 昨年の県知事選など一連の選挙で新基地反対の民意が明確になっているにもかかわらず、日米同盟最優先の立場から政府が建設を強行していることについて翁長知事が「米軍施政権下と何ら変わらない」「国内外から日本の真の独立は神話と思われているのではないか」と提起したのは当然です。

 翁長知事は、那覇市長として、2007年の歴史教科書問題の県民大会、2010年の普天間基地閉鎖・撤去、県内移設反対の県民大会、2012年のオスプレイ配備反対の県民大会など、「島ぐるみ」のたたかいの先頭に立ってきた政治家です。これらのたたかいでオナガさんが一貫して訴えてきたのは、"基地問題で保守と革新が敵であってはならない。保守と革新の垣根を越えて「オール沖縄」で団結してこそ、沖縄の未来は開ける"ということです。

 この沖縄県民の思いが集大成されたのが、オスプレイ配備撤回、普天間基地閉鎖・撤去、県内移設断念を求める2013年1月の沖縄「建白書」です。オナガさんは、市長会会長として、県内41自治体の全市町村長、議会議長、県議会全会派代表、主要な経済的、社会的団体の代表が、直筆で署名し、連名で提出した、この歴史的文書のとりまとめの要となって大きな役割を果たされました。

 昨年9月7日の名護市議選挙では、新基地建設反対の稲嶺市長を支える与党の当選者が過半数を占めました。名護市では、2010年の市長選以降、2回の市長選、2回の市議選で市民が「新基地建設反対」の意思を示しています。
 そして、昨年11月の沖縄県知事選挙での翁長知事の誕生、12月の総選挙での四つの小選挙区での基地建設反対を掲げたオール沖縄の候補者の勝利。沖縄県民の「新基地建設反対」の強い意思表明にほかなりません。
 ところが、安倍政権は沖縄県民のこの意思を踏みにじって、強引にすすめているわけで、これで民主主義の国といえるでしょうか。
 また、仲井間前知事は自らの「県外移設」という公約を裏切って、新基地建設に「承認」を与えたのであります。
 一昨年12月安倍政権は、「札束」の力で、仲井真知事に「県外移設」の公約を撤回させ、新基地建設を「承認」させました。あの時の知事の一連の言動は無残なものでありました。首相が示した「沖縄振興予算」を、「有史以来の予算」と天まで持ち上げ、「ありがたい」「うれしい」と15回も「感謝」をのべ、「われわれは総理の応援団です」と媚びを売り、「良い正月になる」と言い放ちました。地元紙は「おぞましい光景」と痛烈に批判しました。

 安倍政権は、県民に何とか新基地建設を押しつけようとしています。
 第一の「基地押しつけ論」は、「辺野古移設を受け入れなければ、普天間基地が固定化する」というものです。
 しかし、1996年に普天間基地の返還で合意しながら、その後1ミリたりとも基地が動かなかったのは、「県内移設」という条件がついていたからではありませんか。狭い沖縄のなかで基地の痛みはどこに移しても同じ痛みであり、「県内たらいまわし」では問題は絶対に解決しない。これは歴史が証明したことであります。 だからこそ、「建白書」は、「県内移設断念」を求め、「普天間基地の閉鎖・撤去」を求めているのであります。
 そもそも、米軍の沖縄占領直後に、沖縄戦を生き残った住民を16の収容地区に閉じ込めておいて、その間に、住民の土地を思いのままに略奪し、米軍基地として囲い込んだのが普天間基地であります。普天間基地の場所には、集落も、役所も、学校もありました。その古里を、当時の戦時国際法をも無視して、強奪した上に築かれたのです。。
 無法に略奪した基地は、ただちに閉鎖し、返還するのが、当たり前の道理というものであります。

 第二の「基地押しつけ論」は、「普天間基地の移設は、沖縄の負担軽減となる」というものです。
 安倍首相は、普天間基地と辺野古の埋め立て面積を単純に比較し、埋め立てはわずか160ヘクタール、「面積は3分の1になる」などと繰り返しています。
 辺野古の海は、驚くような透き通る海、ジュゴンの食べる海草、400年かけて成長した巨大なハマサンゴ、あのサンゴとジュゴンの美(ちゅ)ら海に、10トントラックで350万台分もの土砂を投げ込むことが、どれだけ環境への負担、環境の破壊になるでしょうか。大量の土砂で美ら海を埋め立てて、そのことがもたらす重大な意味にまったく思いが及ばないこと自体、絶対に許されるものではありません。
 辺野古の海を埋め立てて建設されようとしている海兵隊の新基地は、普天間基地の単なる「移設」などという生やさしい代物ではありません。

 第一に、滑走路は、普天間基地は1本ですが、辺野古の新基地では1800メートルの滑走路が2本となります。第二に、新基地には、300メートル近い埠頭を持つ軍港が建設され、いま佐世保に駐留している世界最強の強襲揚陸艦などが接岸できるようになります。さらに約110メートルのタンカーが接岸できる燃料桟橋も建設されます。空だけでなく海でも、海兵隊の「殴り込み」の一大拠点が築かれるのです。
 第三に、普天間基地では軍用機の弾薬を直接積むことができず、嘉手納基地にまで行って積む必要がありますが、辺野古の新基地では広大な弾薬搭載エリアが建設されます。
 第四に、こうして造られた新基地は、大規模改造が進められているキャンプ・シュワブや辺野古弾薬庫と完全に一体で運用されることになります。一体で運用される基地の面積は、現在の普天間基地の約5倍、嘉手納基地の約1・2倍に相当します。
 第五に、さらに、キャンプ・ハンセン、高江など北部訓練場、伊江島飛行場などとも連動して、海兵隊の基地機能は飛躍的に強化することになります。
 第六に、辺野古新基地の耐用年数は200年です。22世紀どころか23世紀の先々まで、沖縄を基地の鎖でしばりつけることになります。
 いったい、このどこが「負担軽減」なのでしょうか。老朽化した普天間基地に代えて、大幅に機能強化され、半永久的に使用できる、最新鋭の巨大基地を建設するのであります。
 こんな「負担軽減」論で、辺野古新基地を押しつけることはできません。「抑止力」をふりかざしての新基地建設の合理化は通用しないのであります。

 第三の「基地押しつけ論」は、沖縄に海兵隊がいることで、「抑止力機能をはたし、日本は平和と安定を手に入れることができる」というものです。
 しかし、海兵隊は平和のための「抑止力」ではなく、「殴り込み」を任務とする「侵略力」です。ベトナム戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争など、世界中でアメリカが引き起こす無法な戦争で、つねに先陣を切って「殴り込み」の任務を果たしてきたのが、沖縄の海兵隊です。
 そして、海兵隊と在沖米軍が、沖縄県民にもたらしてきたものは、県民の記憶に共通して刻まれている痛ましい事故・事件であります。
 6歳の少女が乱暴され殺されて海岸に打ち捨てられた1955年の「由美子ちゃん事件」。小学校に米軍機が墜落して多数の犠牲者を出した1959年の「宮森小学校事件」。米軍の大型トラックが横断歩道を渡っていた少年をひき殺した1963年の「国場君事件」。米軍機から落下傘で落とされたトレーラーに、少女が自宅の前で押しつぶされて亡くなった1965年の「隆子ちゃん事件」。島ぐるみの怒りが沸騰した1995年の少女暴行事件。2004年の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事件。
 これらは、決して忘れることができない痛みの歴史であります。

 私たちの住む北東アジアには、さまざまな緊張や紛争の火種があります。しかしそれに対して、「抑止力」増強の名で、もっぱら軍事で構えたらどうなるでしょうか。「軍事対軍事」の悪循環に陥ってしまいます。どんな問題も、平和的な外交交渉によって解決する、憲法9条の精神に立った平和の外交戦略こそ必要ではないでしょうか。沖縄にはそういう平和な交易によって栄えてきた伝統があるではありませんか。沖縄からこそ9条の精神を発信することが大切ではないでしょうか。
 基地に頼らない産業・経済を目指してこそ、沖縄の未来は開けるのであります。

 私は、9月1日から4日まで、「辺野古・高江激励訪問ツアー」に巣鴨、駒込地域のみなさんと12名で参加しました。訪問先は、炎天下の下で座り込みを続ける辺野古・高江をはじめ、普天間基地、嘉手納基地、南部戦跡、平和記念公園、平和の礎、「集団自決」があった渡嘉敷島での聞き取り調査などです。参加者は、「沖縄の米軍基地の現状を、実際に見ることで、認識を深めることができた」「激励するつもりでしたが逆に自分が激励された」「国道58号線沿いは、延々と基地が続き、基地の中に沖縄がある」などと感想がだされました。私は、辺野古新基地建設中止、高江のヘリパッド建設中止を、オール沖縄、オールジャパンの連帯の輪をひろげ、なんとしてでも実現するために決意を新たにしました。
 新基地建設を阻止することは「沖縄、そして日本の未来を切り開く」たたかいです。私ども日本共産党は、新基地建設を断固拒否する翁長知事を支え、沖縄に連帯するたたかいを今後も大いに発展させていく決意です。
 よって、議員提出議案 第24号「名護市辺野古の米軍新基地建設工事の中止を求める意見書」について、ただちに可決することを求めます。また、議員提出議案 第23号「米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を進めるとともに、正確な情報発信を丁寧に行うことを求める意見書」については、可決に反対することを求めて討論を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。