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区議会質問
27陳情第25号 介護報酬の引き上げと国庫負担の引き上げを求める意見書提出の陳情について(討論)(儀武さとる)
2015/12/04

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題となっています27陳情第25号介護報酬の引き上げと国庫負担の引き上げを求める意見書提出の陳情について、不採択とすることに反対し、ただちに採択することを求めて討論をおこないます。
 この陳情は、住民の介護を守り、地域の介護資源を維持させるためには、介護経営の維持と介護労働者の大幅な処遇改善が必要で、利用者負担に拠らない介護報酬の「大幅プラス改定」と国庫負担割合を大幅に引き上げる意見書提出を国に求めるものです。
 2015年4月より実施された介護報酬は、介護サービスの充実にプラス0.56%、処遇改善にプラス1.65%を除くと4.4%の大幅なマイナス改定となりました。
 施設関係では特別養護老人ホームが基本報酬で5%を超える引き下げ幅となり、小規模ディサービスでは約10%、予防通所介護・予防通所リハビリに至っては20%を超えるマイナス改定となっています。以下、採択することを求める理由を3点について述べます。

 第一に、介護事業所の経営悪化は、地域の介護力を不安定にするからです。
 10月に発表された東京商工リサーチの調査では1月から9月までに57件の倒産があり、マスコミでも「介護・福祉の倒産、過去最多」と報道されました。直近の10月までだと、62件に増えています。今後もさらに増えることは必至です。
 委員会の質疑で、区は「豊島区内では倒産はありません」が「統廃合は一部あります」と答弁しました。これは、介護報酬の引き下げで、まだ倒産の報告はないけど事業所が生き残りを図るために、事業所の統廃合を進めている事実を認めたものであります。陳情書でも指摘していますが、豊島社保協の「介護報酬改定の影響」に関するアンケート調査に対して、介護報酬の減収対策として、「自費事業の強化」「職員の不補充あるいはパート化」などと答えています。介護事業所は、利用者の保険外負担の強化と人件費を削減するために、介護職員が退職しても人を増やさない、正規職員をパート化にして何とか経営を維持しようとしているのです。区もその実態を「厳しい現状だ」と認めたのであります。

 第二に、介護職員の安定した雇用の確保にならないからです。
 区は、今度の改定で介護職員の処遇改善に1.65%一人当たり12000円相当の給与改善を図ったとしています。新設の「加算1」は一定評価しますが、不十分です。処遇改善が行われたどうかを確認すると、区は「国が調査中です」と答弁するのみです。他会派は今回の処遇改善を評価していますが、半年が過ぎた今でも、実際には処遇改善が行われたかどうかの検証もされていません。
 委員会で、私が「介護職員の年収は全産業と比較してどうか」質すと、区は「月収で約10万円少ない」と答弁しました。介護福祉士の資格を持っていても、独身の時は良いけど、結婚し家族のことを考えると展望が持てないなどと離職する人が絶えません。最近では「派遣労働者を募集しても応募者がないなど人手不足はより深刻な状況です。
 先ほども述べましたが、施設関係では特別養護老人ホームが基本報酬で5%を超える引き下げ幅となり、小規模ディサービスでは約10%、予防通所介護・予防通所リハビリに至っては20%を超えるマイナス改定となっています。介護事業所の統廃合、経営悪化がすすめば、月収では12000円相当の改善が図られても、夏季、年末の一時金で減収、調整があるなど確実な処遇改善に繋がる保証はありません。ましてや、パートの職員が多数いる小規模事業所では賃金が上がる保障は全くありません。知人の介護職員に賃金は上がりましたかと確認したら、「全く上がっていません」と返事が返ってきました。ですから、介護職員を安定的確保するためには介護職員処遇改善交付金を復活することがどうしても必要であります。

 第三に、介護保険料、利用料の引き上げにならないために国庫負担割合を大幅に引き上げる必要があるからです。
 介護保険制度がスタートして16年目になります。現在、6期の事業計画が進められています。当時と比較して、65歳以上の高齢者は44000人から57000人、要介護者は5000人から11000人、認定率は11%から19%に増えたので、「制度を維持する」ためには仕方がないという意見がありました。私が、介護保険制度がスタートした際、1期から6期までの65歳以上の基準保険料はいくらになったのかと質問したら、区は1期3025円、3期4364円、6期、5790円と答弁しました。当初と比較すると3025円から5790円に、なんと約2倍の保険料になっています。介護保険料は特別徴収ですので、半ば強制的です。区民の負担は限界です。ですから、介護保険料の引き上げにつながらないためにも国庫負担割合を25%から大幅にひきあげるべきです。この方向でこそ、安心して、必要な介護をうけられることになります。
 委員会審査では、与党会派は、「制度を維持するためには仕方がない」「処遇改善では国も努力している」などと言って陳情を不採択としました。

 委員会でも指摘しましたが、自民、公明の安倍政権は、突如「新3本の矢」の経済政策を発表しました。その内容は@国内総生産600兆円、A希望出生率1.8、B介護離職ゼロ、「一億総活躍」としていますが、先ほども述べましたが、実際には介護報酬の切り下げで介護離職をさらに加速させる政策を進めています。また、労働者派遣法の改悪で、生涯派遣労働者として使い捨ての低賃金労働者で「一億総活躍」させるつもりでしょうか。介護離職ゼロを本気でやる意思があるなら、介護経営の維持と介護労働者の大幅な処遇改善をすすめるために27陳情第25号 介護報酬の引き上げと国庫負担の引き上げを求める意見書提出の陳情をただちに採択して、その実行を迫るべきです。
 以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。