HOME >区議会質問>本会議討論
区議会報告議員紹介政索と見解お知らせリンクご意見ホーム
区議会質問
マイナンバー条例反対討論(小林ひろみ)
2015/10/27

 私は日本共産党豊島区議団を代表してただいま議題とされております第62号議案 豊島区行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例、第63号議案 豊島区手数料条例の一部を改正する条例について可決に反対する立場から討論を行います。なお、後ほど議題となります、第65号議案豊島区印鑑条例の一部を改正する条例、第66号議案 豊島区住民基本台帳ネットワークシステムのセキュリティ対策に関する条例の一部を改正する条例 についても反対の立場から合わせて討論します。

 「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」及びその関連法いわゆるマイナンバー法は、2013年5月に自民・公明・民主・維新・みんなの党(当時)による賛成多数で成立しました。国民一人ひとりに個人番号を付番し、様々な機関や事務所などに散在する様々な国民の情報を個人番号によって名寄せ、参照することを可能とすることで、行政などがそれらの個人情報を活用しようとするものです。まずは、税、社会保障、災害の分野での利用から始まり、官民の様々な分野に利用を拡大することが狙われています。安倍政権はマイナンバー制度の積極活用を「成長戦略」や「骨太の方針」に位置づけ、法律の検討規定を前倒しして利用範囲のさらなる拡大に向けた方針を打ち出し具体化を進めています。今年9月には、マイナンバーの施行前にもかかわらず、また6月の年金情報流出に反省もないまま、プライバシー性の極めて高い個人の預貯金や特定健診情報なども利用対象にするマイナンバー法の改悪も行われました。
 マイナンバー制度導入の本当の狙い、最大の狙いは、国民の収入・財産の実態を政府がつかみ、税・保険料の徴収強化と社会保障の給付削減を押し付けることです。さらには、従業員の個人番号を扱う企業、特に中小企業に重くのしかかるセキュリティ費用や新たなシステムへの対応などは、事実上のマイナンバー増税です。
 10月に入って、制度導入に関連する厚生労働省の発注事業を舞台にした汚職事件が発覚しました。税金による初期投資だけで3000億円以上、さらにセキュリティ対策などで波及効果が一兆円規模に上るとされる「マイナンバー市場」が「食い物」にされているということです。10月5日以降、住民票の写しに誤って番号が記載されるミスが各地で相次いでいます。また、マイナンバー詐欺による被害が多発しています。国民にとって便利になるどころか、不都合ばかりであります。先行して実施されている韓国やアメリカでは、個人情報の漏えいと成りすましが問題になっています。国民にとっては、分散していた個人情報の収集を容易にするマイナンバーがひとたび外部に漏れ出せば、悪用され、個人のプライバシーが侵害される危険は飛躍的に大きくなります。また、実施を中止したとしても、住民生活には何の支障もないのであります。
 提案された条例案は、マイナンバー法の10月5日施行や、10月半ば以降に発送されると言われている通知カードや来年1月から発行する番号カード(マイナンバーカード)の再発行、来年4月からの住民票、印鑑証明書、税証明のコンビニ発行などについて、規定を整備するための条例の新設や改正であります。今必要なのは、このような条例制定や改正ではなく、ただちにマイナンバー制度を中止することです。

 第62号議案 豊島区行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例についてのべます。
 マイナンバーで税務情報などの添付書類が不要になることが、利便性が高くなる具体例としてあけられています。豊島区では、これまでも独自に添付書類の省略などを行ってきましたので、大きなメリットとなるのは他の自治体から転居してきた場合の前年度税情報について添付書類が不要となることですが、これは国・自治体を通じた情報連携が開始をされる2017年9月からで、まださきの話です。それどころか、これまでは住所氏名を書けばよかったものが、今後は様々な書類に「マイナンバー」を書くことが求められることになり、かえって不便になります。
 マイナンバー法では、法により利用が定められた事務以外にも、自治体が条例で定めることにより、独自に利用することができるとされています。一見地方自治体の自主性を尊重しているように思えますが、そうではなく、国は、これまで豊島区が税情報等の連携を進め添付書類の省略や処理時間の短縮を行ってきたものについて、新たに条例に規定することを求めているのであります。豊島区として様ざまな努力をして添付書類を不要としたりして、効率化を図ってきたのに、この条例を策定しないと、それが使えなくなってしまう、違法状態になってしまうとのことです。
 総務省からは、「10月5日の法施行までに作ることが望ましい」とされていましたが、本会議最終日は10月27日。間に合いません。区も昨年から準備をすすめてきており、本当は第二回定例会で制定したかったが、国の通達などが遅れたため、10月までにはできないことになってしまったのです。さらに、まだほかにも条例に規定しなければならない事務があり、国の通達をまって第四回定例会、来年第一回定例会にも提案することも検討しているというのです。
 また、この条例を提案するにあたり、区はパブリックコメントをしましたが、「精査中」といって何を規定するのか明確にならないままでのパブコメで、いったいどんな事務がマイナンバーにかかわってくるのか、まったくわからない、意見の書きようがないもので意見募集をしたのです。国からいわれてやっている事務なのに、国のせいで、形だけ整えることさえまともにできないまま、進められています。
 なお、ハブリックコメントでは実際に、出された意見もわずか2通、それでもそのうち一通には、「そもそもマイナンバー制度には反対です」と明確にあったのであり、委員会でも出されていましたが、多くの区民は「よくわからない」「大丈夫か、不安だ」と感じているのです。

 第63号議案 豊島区手数料条例の一部を改正する条例について、あわせて第65号議案豊島区印鑑条例の一部を改正する条例について述べます。これらは来年4月から個人番号カードを使いコンビニで印鑑証明をとれるようにする印鑑条例の改正と、住民票、印鑑証明書のコンビニ発行などについての手数料の設定、来年1月からの通知カードと個人番号カードの再発行の手数料を規定するなどのための手数料条例の改正です。
 国は、「マイナンバーで効率性・利便性があがる」といい、また個人番号カードの普及を進めようとしています。
 マイナンバー制度、マイナンバーカードの利便性の一つとして、コンビニでの証明書交付があげられます。区役所に行かなくても、全国のコンビニで証明書が取れるといいますが、区民にとって住民票や印鑑証明が必要なことが、年に何回あるのでしょうか。ある方は15年間で印鑑証明書をとったのはたった2回だといっていました。
 個人番号カードには、住所、氏名、性別、顔写真などに加え他人に見せてはならないマイナンバーが記載され、これを持ち歩くことは、個人情報の保護にとってマイナスです。ところが政府はこの普及率をあげるため、国家公務員について身分証明書にして取得を義務化しただけでなく、「企業や団体が一括で申請し、職員が職場でカードを受け取れるようする」とか、はては、17年4月から消費税10%にしたときに食料品に「軽減税率」を適用し、年間4000円限度で還付するために、番号カードを使うという提案までしました。さすがに税金還付に番号カードを使うことはやめるようです。
 個人番号カードを使えば自分のパソコンからインターネットで「マイナポータル」で自分の情報も見ることができる、各種手続きができるといいますが、つまりは、外部から個人情報に接触できるということです。ネットバンクで預貯金を盗まれる被害が起きていますが、完全に情報漏えいを防ぐことは困難です。
 手数料の金額の根拠も不明確です。区は、なぜボール紙でできた通知カードの再発行の手数料が500円なのか、ICチップの入った個人番号カードの再発行が800円なのかについて、「国がだしてきた数字なので」とか、「実物は見ていないが、ボール紙といっても偽造防止の印刷がされているので」という程度しか答えられませんでした。

 第66号議案 豊島区住民基本台帳ネットワークシステムのセキュリティ対策に関する条例の一部を改正する条例は、マイナンバー法の施行にともない改正するものであり、反対します。

 以上のことから、第62号議案 豊島区行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例、第63号議案 豊島区手数料条例の一部を改正する条例、第65号議案豊島区印鑑条例の一部を改正する条例、第66号議案 豊島区住民基本台帳ネットワークシステムのセキュリティ対策に関する条例の一部を改正する条例 について反対します。以上で討論をおわります。ご清聴ありがとうございます。