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区議会質問
第68号議案 豊島区立学童クラブ条例の一部改正条例討論(かきうち信行)

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、第68号議案 豊島区立子どもスキップ条例及び豊島区立学童クラブ条例の一部を改正する条例について可決に反対する立場から討論を行います。
 本案は、子どもスキップ及び児童館の学童クラブ利用料を改定するとして提案されたものであります。区は、改正の趣旨として学童クラブ利用者の要望の高い、学校休業日及び土曜日の開始時間並びに平日の終了時間を延長することに伴い、利用料を改定するとしております。区民要望に沿って利用時間の延長を図ることは結構なことであり、否定するものではありません。問題は、利用料の値上げであります。
 これまで学童クラブの利用料は、上限額が4000円と条例で定められていました。
18時までの一般の学童利用は、3000円ですが、新一年生応援保育として延長保育を希望する事業に1000円を徴収することにしましたが、それでも規定する4000円を超えることはありませんでした。
 ところが今回は、夏季休業の利用料1000円の徴収と平日の19時までの延長利用料1000円のほか、これまでの18時までのいわば基本料金となる一般学童利用料を4000円とする値上げであります。これにより条例改正は、その上限額を6000円に改正するということになります。
 この値上げは、子育て中の保護者への負担となります。利用料について区は減免制度を設けており、生活保護、住民税非課税世帯は免除、就学援助、住民税均等割課税世帯、二人以上の児童利用世帯の2人目以降は、5割減額としています。しかし、学童クラブ利用登録者1591名の8割以上の世帯が値上げされることになります。
 今、子育て中の多くは、共働きで収入を得ないと生活が大変という声は依然として大きく、増税、社会保障の切り下げに加え、住宅、食費、教育費などの負担は家計を圧迫しています。区が支援を行うべき重点の一つのはずです。今でも利用料を徴収しない区が、あるように子育て支援、福祉の心があれば自治体の裁量で住民に転嫁しないで済むのであります。受益者負担といって、値上げを強いることは福祉の心が欠落しているということです。
 さて、これまで区が、利用料徴収の算定根拠としてきたのは、区への国庫補助金の割当て額でした。無料から有料する際に、その保護者負担額は、この国庫補助金額を人数で割りかえして算出すると、4千789円となり、保育料の運営費に占める割合を考慮して最終的に上限を4000円の利用料としたと説明しております。
 今回の値上げ条例についても、やはりその根拠に、国庫補助の運営費がもとになって保護者負担額を求めるものになっています。
 放課後児童クラブ事業は、新システムで、介護保険制度同様の考えに基づき、占める運営費の半分を保護者に負担を求めるようになっているのです。最終的にはその金額は自治体の裁量にゆだねられるのですが、国の示すこのような算出方法計算すると利用料の保護者負担額は、本区の場合、月額7720円にもなってしまいます。
 事業を拡大し、運営費が増えると利用料負担が増えるという介護保険の子ども版で、国の言うとおりに、その仕組みを本区は受け入れているということです。今回は、限度額2000円の引き上げですが、こうした算出方法を受け入れる限り際限なく利用料は上がることになるのです。
 委員会審査で、理事者は運営費に占める保護者負担割合を保育園同様に今後15%までにしたい旨の答弁がありました。結局、受益者負担といって区民に犠牲を強いるやり方です。
 本区の学童クラブの利用料は、歴史的な経過あります。
 そもそも学童は、99年度までは無料で運営されてきました。ところが、98年に児童福祉法が改悪され、放課後児童健全育成事業として法制化されるとともに、必要経費の一部を保護者から徴収することができるものとされました。
 区は、財政難を口実にした行財政改革で、時間延長実施と合わせ2000年度より利用料を徴収することを打ち出し、99年の第3回定例区議会に利用料徴収を定めた学童クラブ条例を提出したのであります。
 その額は、児童一人当たり月4000円を超えない範囲で区長が定めるという条例で、2000年4月からは月3500円、2001年4月からは月4000円とすることを規則で定めるというものでした。
 この条例が審査されたのは当時の福祉衛生委員会でした。私も審査に加わった一人であります。委員会は、この条例とあわせて区民から利用料については保護者の負担を極力少なく制定してほしいという内容の陳情を審査したのです。議案と陳情の議論は、区の提案した利用料金額が妥当なのかに焦点があてられたわけです。
 無料施設が行革で次々と有料化され、税金でつくられ、運営される施設なのに、受益者負担とは、「税金の二重取りだ」と批判が寄せられました。福祉要素の強い施設についてはなおさらで、学童クラブの有料化には強い批判がありました。
 こうした中での審査では、私だけでなく与党会派からも「いささか高すぎる」という意見があり、区は、利用料の見直しを検討すると表明したのであります。
 その後、区は、規則で利用料は3000円とすることを報告。今日まで6時までの利用料は3000円で推移してきたというのが経過であります。当時の委員会議事録を読み返しながら自民党も公明党も「昔は、区民のほうを向いていたんだなぁ」と思い出した次第です。
 しかし、今回はそうはなりませんで、与党の委員は、今回の値上げは、時間延長する分利用料の徴収する改正だから理解すると可決に賛成しました。利用料の算出根拠そのものが大幅に値上げされる仕組みになっていること。そして区の裁量で利用料は値上げしなくても済むのに子育て世帯に負担を強いるやり方をすすめることをどうして認めてしまうのでしょうか。
 区長は、区民の暮らし、福祉、教育が基本とよく言いますが、財政難と言っては金をとる、財政を立て直したといってももとに戻さない。事業を拡充すると受益者負担と言っては値上げ、言っていることとやっていることはあべこべです。
 来街者のために劇場ホールをいくつもつくる、池袋駅のデッキなどに多額の税金を投入しようとしていますが、その前にやるべきことはたくさんあるではありませんか。子育て世帯の支援のためにもこの値上げは行うべきではありません。
 よって第68号議案 豊島区立子どもスキップ条例及び豊島区立学童クラブ条例の一部を改正する条例について可決に反対するものです。ご清聴ありがとうございました。