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区議会質問
「戦争法案」すなわち「安全保障関連法案」の廃案の意見書提出を求める請願、陳情についての討論(清水みちこ)
2015/07/03

 私は日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております27請願第3号『日本を「海外で戦争する国」にする「戦争法案」の廃案の意見書提出を求める請願』、27請願第4号『「平和安全法」案は、国民の理解と納得を得るまで期限を定めず審議をつくすべきであるとの意見書を国に提出することを求める請願』、27陳情第9号『集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定を撤回し関連法律の改正を行わないことを求める意見書を衆議院及び参議院に提出する陳情』、並びに27陳情第10号『安全保障関連法案の審議に関する意見書を衆議院及び参議院に提出する陳情』について、不採択にすることに反対し、ただちに採択することを求めて討論を行います。
 これらの請願、陳情は、「戦争法案」すなわち「安全保障関連法案」を廃案にすること、国民の理解と納得を得るまで審議をつくすことなどについて、国に意見書提出を求めるものです。

 今、国会で審議されている「戦争法案」は、アメリカの起こす戦争に協力するために、世界中のどこにでも自衛隊を派兵し、参戦、軍事支援できるようにするものです。「戦争はしない」と決めた憲法を投げ捨て、日本を「海外で戦争する国」に作り変える、戦後最悪の悪法です。
 衆議院の憲法審査会で参考人として出席した3人の憲法学者が、自民党推薦の方も含めて全員「憲法違反」との見解を明らかにしました。圧倒的多数の憲法学者が「憲法違反」と表明し、日本弁護士連合会も戦争法案に反対の声明を出しました。
 ところが、安倍政権と自民、公明は、戦争法案をゴリ押しするために、9月27日まで、95日間もの国会の大幅会期延長を6月22日に強行しました。このような憲法破壊の大暴走を、絶対に許すわけにはいきません。いまこそ、思想信条の違いをこえて、すべての政党・団体・個人が共同し、国民的大運動で、戦争法案を廃案に追い込まなければなりません。
 わずか一か月間の質疑の中で、戦争法案の違憲性・危険性が、いよいよ明らかになっています。
 第一は、集団的自衛権を行使できるようにする、としていることです。集団的自衛権の行使とは、日本は攻撃されていないのに、「他国防衛」の名目で、海外で武力行使することです。憲法違反は明確であり、一内閣が憲法解釈を勝手に変え、行使を認めるなど、許されません。しかも、行使の判断は、時の政権まかせです。アメリカは、国際法違反の先制攻撃を方針とし、実際に、イラク戦争など無法な侵略戦争を繰り返してきました。安倍首相は、志位委員長の追及に対し、アメリカの戦争に日本が反対したことが「ない」と認め、イラク戦争についても擁護しました。アメリカに「ノー」と言えない日本が、アメリカの言われるままに無法な戦争に参戦し、侵略の共犯者になる―こんなことは絶対に許されません。
 第二は、自衛隊を戦闘地域すなわち戦場にまで派兵し、武器・弾薬や兵員の輸送など、米軍の「後方支援」=「兵たん」活動を行えるようにするという問題です。「兵たん」活動は、「軍事活動の不可欠の一部」であり、国際法上の戦争行為です。しかも、戦闘地域での兵たん活動が、武力行使と一体の憲法違反の活動であることは誰の目にも明らかです。
 兵たん活動で戦地に入れば、敵と見なされ攻撃され、応戦すれば、たちまち戦闘になります。「自衛隊員が”殺し、殺される”危険が決定的に高まる」−志位委員長の追及に、安倍首相はまともに答弁できませんでした。
 第三は、「停戦合意」はあるが、なお戦乱が続いているところにも自衛隊を派兵し、治安維持活動などをさせようとしていることです。アフガン報復戦争では、こうした活動でNATO軍に3500人も戦死者が出ています。それを自衛隊に肩代わりさせようというのです。
 安倍政権は、「国際情勢が変わった」と言い、憲法違反の戦争法案を正当化しています。
 しかし、何がいつ、どう変わったのか答えられず、戦争法案の根拠のなさが浮き彫りになっています。
 北東アジアをはじめ、世界の平和と安定のために、いま何より重要なことは、話し合いによる紛争の平和解決に徹することです。憲法9条を生かした平和外交で、紛争解決をリードする―これこそ日本の進むべき道です。もっぱら軍事で事を構えるのは、地域の国々と緊張を高める最悪の道です。

 委員会審査で、私は「戦争法案」が違憲であるかどうかの見解を、区長と各委員に尋ねました。しかし、誰からも答えはありませんでした。
 そのうえで、自民党は、中国と北朝鮮の脅威を挙げ、抑止力は必要、集団的自衛権は国際法上も認められていると、不採択を主張。衆議院、憲法調査会で三人の憲法学者が「憲法違反」と表明したことを、「あくまで憲法学者の私的解釈」と切りすて、「政府見解、裁判所判決によるべき」と砂川判決まで持ち出しました。
 砂川判決は、小林ひろみ委員も指摘したように、日米安保条約による米軍駐留の合憲性が問題とされたのであり、集団的自衛権の行使の可否は問題となっておりません。もともと論点になっていない「集団的自衛権の行使」について、それが憲法で認められているという根拠を同判決に求めるのは、まさに無理なこじつけ以外の何物でもありません。破たんした議論をひたすら根拠とするしかないのは、追い詰められているということです。
 他にも自民党からは、憲法改正には手続きに時間がかかるから、この法案成立に向け政府のさらなる努力を求めていくと言った発言がありました。これも小林ひろみ委員の指摘した通り、立憲主義を平然と破壊し、沖縄基地問題と同じく、数を頼みに何でもできるという驕り以外のなにものでもありません。
 公明党は、「戦争法案」を国会の論議としながらも、国際状況の激変、大量破壊兵器の脅威や、弾道弾ミサイルの抑止力として、日本の防衛、国際貢献のために必要、憲法違反というようなことはないと考えるなどとして、不採択を主張しました。
 民主ネットは、憲法違反は明らかとしながら、会派内の意見が違うとして27請願第3号については継続を主張、これが否決されると退席。27請願第4号、陳情2件については採択を主張しましたが、結局、採決では請願、陳情ともに不採択となりました。

 請願者の意見陳述にあったように、「戦争法案」に反対する国民の声は日に日に高まっています。
 6月29日の産経新聞、FNNフジネットワーク共同世論調査では、「戦争法案」は「違憲」が57.5%、今国会での成立に「賛成」が31.7%、「反対」は58.9%でした。「違憲」「反対」が6割近くに上っています。
 6月22日の共同通信の世論調査では「違憲」が56.7%、「戦争法案」に反対が58.7%で、前回5月の調査から11.1ポイント上昇しています。公明支持層にも反対が広がり、「戦争法案」に反対した人は、前回5月調査より、12.1ポイント増え47.2%、「賛成」は53.9%から36.6%となったため、賛否が逆転しています。
 国会周辺や全国各地でも、「戦争法案」反対の集会やパレードが繰り返されています。憲法違反の法案を強行するのは、立憲主義にも民主主義にも反するものです。
 歴代の自民党元幹事長の野中広務氏、古賀誠氏や、公明党元副委員長の二見伸明(フタミ ノブアキ)氏らが、次々と赤旗誌上に登場し、安倍自公政権の暴走を批判しています。

 私が直接体験したこととしては、昨年末の総選挙や、4月の区議会議員選挙で、多くの中学、高校の男子生徒が「戦争は絶対にいやだ。戦争に行きたくない」と真剣に訴えてきたことです。私の小学生の息子もテレビで安倍首相を見るたびに、「安倍首相はうそつきだ。戦争は怖い。戦争で死ぬのはいやだ。」と訴えてきます。子どもたちは身近に戦争への危機感を募らせています。未来を担う子どもたちに、このような不安感や絶望感を与える政治は絶対にあってはなりません。

 また請願者の意見陳述で、先の大戦の敗戦体験にあった、極寒の中国東北部から病死、遺棄、生き別れなどで帰国することができなかった同世代の子どもたちのお話や、90歳を超えるお母様の、政府も関東軍という軍隊も日本国民を守らず、高級官僚や上級将校は誰よりも早く帰国していたというお話に、一番に戦争の犠牲になるのは国民なのだと、胸がえぐられるような思いがいたしました。請願者の方の、日本は何があろうともふたたび戦争をしてはいけないという言葉を私は忘れることはできません。
 もう一人の請願者の方は、40年以上の保育士としての経験を話されました。子どもがケンカをしたとき、力任せに叩きあうのではなく、お互いが分かり合えるまで話をして、人間関係を構築しようというお話には、紛争の解決も同じだと深く感銘を受けました。
 以上のことから、これらの請願、陳情はただちに採択すべきです。
 最後に採決にあたり一言述べます。日本は今、戦争か、平和か、大きな別れ道です。この場にいらっしゃるみなさん、他人ごとではなく、ご自身のこととして、よく考えてください。自分自身が、大切なご家族、お子さん、恋人、友人が戦場で血を流し、殺し殺されるようになってしまうのです。私は大切なわが子を絶対に戦場には送ることはできません。そのことを申し述べて、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。