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区議会質問
国保請願反対討論(渡辺くみ子)
2014/10/24

 私は日本共産党豊島区議団を代表し、只今議題となりました26請願第9号「国民健康保険料の引き下げを求める請願」について不採択に反対し直ちに採択することを求め討論します。
 今請願は、今年度の一人当たりの国民健康保険料は103,103円と昨年度より大幅に値上げされ、「区民からは高すぎるとの声が上がっている」として、国保加入の区民が安心して医療が受けられるよう@国、都に対し財政負担の拡充を求めること。A一般会計繰り入れ削減の中止。B全加入世帯に国保証を送付し、短期証、資格証の発行は慎重におこない、差押はおこなわないこと。C保険料減免の実施。D区独自の国民健康保険料への補助制度の創設等を求め、豊島区社会保障推進協議会から提出されたものです。   
 今回より請願者から意見陳述が行われるようになりました。陳述者は「友人らが異口同音に国保料が高すぎると言っている。何故こんなに高くなるのか改めて勉強し請願を提出した」として請願内容の説明がなされました。
 国民健康保険料は毎年値上げされています。区の資料でも一人当たりの保険料は2012年度が95,277円、13年度が98,456円、そして今年度が103,103円です。
 2011年度に保険料の積算方式が住民税方式から旧ただし書き方式に変更され、低所得世帯や子育て世帯、障害者世帯などが特に大幅に引き上げられました。さらに激変緩和措置が2年間で打ち切られ、その上、今年度は所得割率や、均等割額、賦課限度額が引き上げられ、一人当たりの保険料は遂に10万円台となったのです。とんでもないことです。
 以下、今請願を採択すべき理由を述べます。
 
 第一は国の支出金を大幅に削減していることです。
 1983年まで国の支出金は45%でした。しかし1984年国保法が改悪され2012年度は22,8%、2013年度は21,6%と大幅に下がっているのです。そして被保険者の保険料負担率は2012年度が24,6%、13年度では25,9%で負担額は前年度より6億円も増えています。さらに、今年度から4年間で各区が一般会計から全額繰り入れてきた高額療養費分と減額措置に要する費用を、保険料に反映する仕組みに切り替えられました。
 このように国の支出金をどんどん下げ、反対に保険料負担分を増やしていることが保険料の大幅な値上げにつながっているのです。
 区長は、わが党小林ひろみ議員の一般質問に「構造的な課題かかえている」とし、構造的課題を解決するために国の財政支援の強化を要望していると答弁しています。そうであれば区民にも積極的に問題提起し、区民とともに大きな運動を起こし世論を喚起し、国の支出増を強く要求していくくらいのことを行うべきであります。
 
 第二は区民の医療を受ける権利を奪う短期証、資格証の発行についてです。
 国保加入者は中小零細企業や退職後の高齢者が多く占めています。その上、この間の国の悪政のもとで、大企業の雇用破壊による失業者や非正規労働者が国保に加入し、また自営業者の経営難、廃業が増加するなどさらに「国保加入者の貧困化」が進行しています。
 本区でも例外ではなく、区の資料によると、2013年度国保加入世帯は62,437世帯で加入率は38,3%、区民の約4割の世帯が国保に加入しています。そして加入世帯の40,9%が所得金額が無く、所得200万円以下の世帯が37,5%、両方合わせると78,4%、なんと国保加入者の約8割の人が所得が無いか、低所得の区民です。
 このように国保制度は財政基盤が脆弱で、もともと国庫負担を入れて運営する仕組で作られた制度です。しかし先ほども指摘したように国の支出をどんどん下げ、反対に保険料を大幅に引き上げ続けているのです。これでは保険料を払えない区民が増えるのは当然のことです。
 ところが区は、高すぎる保険料が払えない世帯に「負担の公平」といって資格証や短期証を発行し続け、区民の医療を受ける権利を奪っています。
 今年の3月の資格証発行数は3,188世帯で23区では実数、率ともに2番目に多くなっています。短期証発行数も7,325世帯におよんでいます。理事者は「資格証や短期証の発行を通じて納付相談を増やすために必要な施策」などと言い訳をしていますが、保険証を必要とする人がいかに多いかということです。
 わが党は資格証問題について国会でも取り上げてきました。
 その中で厚労省は「資格証だが、医療を受けたい」との申し出があれば「まず医療の確保に努める」ため「保険証を発行する」と答弁しています。
 この点について理事者は本区でも同様で、「逆にお医者さんに行くことに躊躇することはよくない。相談に来てほしい。短期証になるが発行する」と答弁しました。そうであれば「お金が無くともまず保険証は発行する」「医療が受けられる」ことを区民に周知徹底すべきです。直ちに取り組むよう求めます。
 
 第三は保険料の減免制度が活用されていないこと、合わせて区独自の補助制度がないことです。
 2013年度の保険料免除は4件のみです。委員会でも言いましたが、私はかつて条例に基づいて保険料減免は区長の裁量でできること。特に自営業者にとっては、現行の廃業を条件にするだけではなく、経営状況の悪化について区長の裁量で保険料減免の対象とするよう要求してきました。しかし区は拒否し続け、いまだに改善されていません。改めて条例にそって区長の裁量で減免規定を拡充することを求めます。
 また、区独自の保険料の補助制度創設に関しては、「23区統一保険料」なので、「保険料の独自設定はできない」としています。そうであれば、「国保料福祉手当」とか「医療手当」等保険制度の枠外で制度を創設すべきです。
 理事者は、国保制度はその目的に「社会保障である」と記されていることを認め、社会保障制度だから「国、都、区から公費負担している」と言います。しかし実際は「保険制度である」と繰り返し、保険料を払っている人といない人の不公平を強調し続けています。これでは「社会保障制度」の立場に立っているとはいえません。ぜひ「社会保障制度」の立場に立ち制度運営に携わるよう改めて求めるものです。
 
 さて委員会審議で、自民や自治みらいの委員の方々は「保険料をきちんと払っている人と払っていない人とは不公平」として保険料の収納率の向上や医療費抑制を強調し、区はよくやっていると評価しました。また区独自の補助制度については、国保加入者だけに区民の税金を投入するのは不公平と言って請願を不採択にしました。
 
 「国保だけに税金投入は不公平」と言いますが、困っている区民にそれぞれ必要な施策を提供することこそが真の公平です。しかも区民の4割近くが加入している国保制度です。税金を投入することがどうして不公平といえるのでしょうか。「区民の安全・安心」というならまず区民の命を守ることに一番重きを置くべきです。
 また年々医療費は高騰していますが、医療費の高騰は高度医療や研究費など様々な内容が含まれています。抑制のためジェネリック医薬品の使用促進や検診の拡充等を否定するものではありません。しかし同時に早期発見、早期治療で医療費が抑えられてきたことは周知の事実です。保険制度を充実し安心して早期に医療を受けられる環境整備が重要ということです。
 この間、自民党は制度の維持のため保険料を上げるのは致し方ないとよく言っていましたが、高すぎる保険料のため区民が必要な医療を受けられない制度では「だれのための制度維持」と言っているのかと言わざるを得ません。
 
 さらに一言付け加えますが、理事者は「構造的問題を解決するためには広域化が前提」と繰り返しました。しかし後期高齢者医療制度では、区議会選出の議員からは経過も内容の報告も一切議会に示さず、区議会が関与できる場所はまったく無いまま決められています。これでは区民の切実な声を反映することもできません。
 国保の広域化はこのように区民の実態を制度に反映できなくなるということです。このような広域化は大問題です。やめるべきです。
 
 以上、区議会として区民の健康と命を守る立場に立ち、26請願第9号「国民健康保険料の引き下げを求める請願」は不採択とせず直ちに採択することを強く求め、討論を終わります。
 ご清聴有難うございました。