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区議会質問
2013年度 決算本会議討論(儀武さとる)
2014/10/24

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、認定第1号、2013年度一般会計決算並びに認定第2号、国民健康保険事業会計決算、認定第3号、後期高齢者医療事業会計決算、認定第4号、介護保険事業会計決算の認定に反対の立場から討論を行います。
 決算年度は、株価の上昇で「アベノミクスが成功しているのでは」という期待感が広がり内閣支持率も上がりました。アベノミクスで経済、暮らしがよくなるかのように言われましたが、海外の投機的な資金が流れこんでいることが「株高」の原因ですので、世界経済の動向によって株価が乱高下するなど不安定です。しかも安倍内閣は「株高」を演出するために年金基金まで株式に投入しようとしています。
 いま、「株高」の恩恵を受けているのは、大企業と大資産家のみで、国民の大半は、生活がよくなったとの実感が全くありません。安倍政権は、国民の知る権利、取材の自由を抑制する秘密保護法の成立、教育委員会制度の改悪、集団的自衛権の行使容認の「閣議決定」の強行など財界・アメリカいいなり政治、戦争ができる国づくりをめざしています。
 昨年8月の生活保護基準の引き下げ実施は、社会保障の全面改悪の突破口に位置づけられ、医療、介護、年金制度の改悪が進められています。それにもかかわらず、消費税増税は「社会保障のため」というのは、国民を愚弄するものであり、絶対に認めるわけにはいきません。消費税増税、集団的自衛権の容認、原発の再稼働、沖縄・辺野古への新基地移設など過半数の国民、県民の声に耳を傾けず強行するのは、本当に民主国家といえるのでしょうか。安倍政権は百害あって一利なしです。即刻退陣すべきです。
 都政もこれまで同様に、基本的に、石原都政以来の長期ビジョンを継承し、外環道、臨港道路などの幹線道路建設、過大な港湾開発、都心等の拠点機能の充実など大型開発を最優先するものとなっています。特区や国際金融センター構想などで外国企業を呼び込み、大企業に減税すれば、都民や中小企業も潤うという、すでに破綻が証明されているトリクルダウン経済政策に立っています。
 
 このような国や都の動きのもとで、区民の暮らしはどうでしょうか。
 日本共産党区議団の2014年区政アンケート調査結果でも、この1年で「生活が苦しくなった」が57%、「良くなった」はわずか4%でした。生活が苦しくなった理由として、「住民税や健康保険料、介護保険料の負担が重くなった」が全体の69%、前回より2.5ポイント増加、また「これ以上の負担増に耐えられない」は77%、前回より3.1ポイントも増加しています。区民のくらしがいっそう深刻になっているのは明らかです。
 私たちに寄せられる相談も「認可保育園に入りたい」「特養ホームに入りたい」「住民税、国保料、介護保険料が高すぎる」「都営、区営住宅に入りたい」などです。今、区民の実態を直視し、くらしと福祉を守る本来の自治体の役割を果たすことが求められているのです。
 
 この立場から、日本共産党区議団は2013年度決算審査にあたり、
第1の観点に、深刻な区民生活を支えるものになっていたかどうか、
第2の観点に、区民の生活を守る財政運営になっていたかどうか、
第3の観点に、住み続けられる街づくりになっていたかどうか、
の観点で審査をしてまいりました。
 
 まず、第1の観点、深刻な区民生活を支えるものになっていたかどうか、についてです。
第1に、保育園についてです。
 今年4月の待機児童は新定義で240人(旧定義では563人)でした。平成25年度当初予算では、保育園待機児解消策としての認可保育園のさらなる増設計画も、緊急策もありませんでした。その後、緊急の補正予算が組まれ、新規拡充事業である「待機児童対策緊急プラン」でスマート保育、保育ママ、事業所内保育などが盛り込まれました。しかし、これでも待機児童は解消しませんでした。姑息な手段では待機児童は解決しないことがはっきりしたのです。
 今年2月、区長はようやく、遅きに失したとは言え、認可保育園の5園増設300人から500人の定員増を表明しました。区は子ども子育て支援新制度にむけ、ニーズ調査を行い、その需要を認識し認可保育園の確保が必要と考えたといいますが、その直前、豊島区でも認可保育園に入れない保護者の方が区長に直接申入れもしました。認可保育園増設を表明したのは、保護者の切実な要求と運動があったからではないでしょうか。区長は、もっと早く決断すべきでした。

 豊島区議会で認可保育園の増設を、と一貫して求めてきたのは日本共産党区議団です。わが党は具体的な場所などもあげて認可保育園増設の提案をしてきました。そのうちの一か所が具体化し、来年4月から開設の予定となっています。ただし、4月開所予定のもう一か所は、株式会社です。利益第一の株式会社は、本来、保育園とは相いれないものです。子どもの安全が守れるでしょうか。わが党議員の区政報告会に参加された若いお父さんが「今は埼玉から自分の母親が来て、子どもを見ている」「保育園それも、園庭のある、子どもがのびのびと遊べる質の良い保育園をつくってほしい」と発言したそうです。いま、区民が求めているのはそういう認可保育園なのです。

第2に、学童クラブについてです。
 これまでもスキップの問題点は指摘してきました。現在は、ほぼすべての学童クラブの利用者が40人以上となっています。中でも登録者が多い学校は、80以上が本町、池一、要、高松小学校です。70名以上は仰高、駒込、清和、朋有、南池袋、千早小学校となっています。スキップには受け入れ限度がないので待機者はいないことになっています。多くの子どもたちが詰め込まれているのであります。同時に、来年4月からは、条例で学童クラブ児童一人当たりの面積基準ができることになっていますが、これまた、学童専用のコアだけでなく、セカンドやサードスペースなども使えば現状で間に合う、などとしています。
 せっかく条例を作って基準を設定するのに、現状を改善する姿勢が全く見られません。
 また、非常勤職員の更新は4回で雇止めになります。指導員が定着しない、応募者が減る原因の一つになっています。更新4回で雇い止めにすることは、ただちに止めるべきです。
 
第3に、生活保護についてです。
 決算年度は、安倍内閣が670億の生活保護基準を3年間で削減することを始めた最初の年です。生活扶助費を平均で月1千円から7千円減らします。母と子2人世帯では、扶助費約15万から9千円減らし、70歳代単身では7万6千円弱にしました。さらに来年に向けて平均8千円削減します。今年H26年4月には消費税を8%に値上げしました。保護受給者は生きていくだけの最低の生活さえ保障していません。憲法25条違反であります。貧富の格差が広がり、食料品など最寄商品を扱う地元商店は景気が悪くなるのも当然であります。区として保護を受けなければならなかった区民に対し、国のひどい仕打ちである扶助費の削減に異議を申し立てるとともに法外援護の拡充をすべきです。わが党は、繰り返し削減した入浴券の支給枚数を戻し、周辺区と同様にすべきと主張(公衆浴場の売り上げを増やすことにもつながる)しましたが、区はかたくなに拒否しています。財政調整基金を100億円以上もため込んでいるのに、入浴券や、身障者のタクシー券の復活をしないのは本当に冷たい区政です。こんなやり方は認めることができません。
 
 第4に、就学援助・私費負担についてです。
 生活保護基準の引き下げによる就学援助の2015年度の影響については、理事者は旧基準を適応し影響がないように措置すると答弁しました。一歩前進です。
 しかし、まだ不十分です。2013年度の保護者私費負担小学6年生は年間で、106,275円、中学3年生は男性が157,280円、女性が157363円です。私の一般質問に対する答弁では、学校給食費は極力抑えています、としていましたが、請求した資料をみると、小中学校の給食費の値上がりが大きいことが判明しました。小学校6年生では、2013年の53,814円から57,386円、3,572円の大幅値上げ、中学3年生では61,920円から63,075円、1,155円の値上げであります。その上、消費税増税で保護者の負担はさらに増えています。就学援助の認定基準は現在、生活保護基準の1.2倍です。認定基準を大幅に引き上げることを求めたところ、区は拒否しました。これは認めることができません。

第5に、障害者福祉基盤整備助成金についてです。
 障害者のグループホームが、この年実績ゼロです。本年1か所予算計上していますが、いまだに実績がありません。親の高齢化対策、親亡き対策の一つとして、区がイニシアティブをとつて強力に取り組む必要があります。さくらんぼの利用状況も緊急一時がなかなか利用できません。施設が足りないので同様の施設が必要であります。また、障害者が65歳になると介護保険の適用が優先するのは、国の方針といえども障害者の実態と合っていません。Sさんは、65歳になったばかりですが、病気により、身体障害者になりましたが、週2回のデイサービスは高齢者対応のデイサービスです。通所しても認知症の高齢者が多く、話が通じにくく何のためのデイサービスか疑問があると訴えていました。65歳でも障害者は障害者です。年齢で差別すべきでありません。
 障害者に対する法律も「自立支援法」「総合支援法」「地域社会における共生の実現に向けて、新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律」(特にこれは名前ばかり長いだけでなく、応能負担をなくした大改悪)と変わるたびに、障害者福祉が後退しました。

第6に、防災・一時滞在施設の整備事業についてです。
 帰宅困難者のための一時滞在施設と飲料水や毛布などの資器材の購入費などに8,800百万円予算を計上しましたが、執行率29.8%で6,177百万円の不用額を残しました。区は「国庫補助金が減額されたので、一般財源にできるだけ負担をかけずに予算を執行しました」と答弁しました。当初3年で準備を予定していたが、5年に延長したとのことです。区は「震災対策を見直し、迅速に対応します」としていますが、3年を5年に延ばすことは、そうなっていないではありませんか。
 また、減災対策器具設置事業経費も執行率14.4%と大変低い。器具そのものは自己負担にし、器具の取り付けだけを助成し、予算を大幅に減額したためです。さらに2014年度は廃止してしまいました。こんなやり方を認めることはできません。

第7に、特養ホームについてです。
 特養ホームの待機者数は6月末現在522名、そのうち区が優先度の高いとしたAランクは207名です。2013年1月から優先入所基準を変え、また年末で有効期限を切り、毎年申請することにしました。これにより、毎年申し込まないと待機者とならないことになりました。待機者を少なくみせる姑息なやり方であり認められません。
 また、政府は6月介護保険制度を改悪し、来年度から入所対象者を要介護度3以上にしましたが、豊島区の待機者の中には、要介護度2でAランクが6名もいることが明らかになりました。今回の改悪で、これらの方々が特養ホームに入れなくなるではありませんか。区民はグループホームや老人保健施設では経済的負担が大きいので、少しは負担の少ない特養ホームの入所を心待ちにしているのです。待ちながら亡くなる方も、なかなか入所できず埼玉県など遠くの有料老人ホームに入所する方もいます。豊島区は特に住宅事情が悪く、狭くて、階段などでバリアフリーになっていないなど自宅で介護を受けたくてもできない方が多くいるのです。スピード感をもって特養ホームの計画、建設をすすめるべきです。

第8に、高齢者のおむつ事業についてです。
 区は財政難を理由に年齢、介護度などの制限を設け、さらに所得制限を導入するなどおむつ事業を縮小してきました。さらに2013年度より介護保険の包括的支援事業の任意事業経費に計上し、おむつ関係経費を一般財源から介護保険に完全に移行しました。
 今年7月から一般財源を増やさない方法で一部改善をしただけで、区民から高い保険料を払っても何のメリットも感じないという声が、依然として寄せられます。23区中所得制限の導入は8区のみです。委員会審査で、23区の中で、紙おむつ事業の助成は低い位置にあり所得制限など改善を求めたところ、区はおむつの必要性をみとめつつ、今後「総合的に検討する」としているだけです。家族介護の負担軽減の制度と言いつつ、実際には家族介護者が適用されない制度では、役に立ちません。ただちに所得制限や介護度による制限をやめるべきです。また、介護保険事業会計による拡充は保険料に跳ね返りますので、一般財源による拡充をすべきです。
 
第9に、住宅についてです。
 区の住宅相談でもっとも多いのが「家賃が高すぎる」です。区民は低廉で良質な住宅を求めています。「住まいは人権」です。これまでわが党は、区営住宅や福祉住宅の増設を繰り返し求めてきましたが、区は「公営住宅を新たに直接供給するのでなく、既存の賃貸住宅の利活用へと住宅供給の在り方を移行すべき」と言っていますが、区は賃貸住宅の利活用も空き家住宅の活用もうまくいっていないことを認めました。若い人も、高齢者も低廉で良質な住宅さえあれば、生活保護を受給しないで、なんとか生活できる方々が沢山います。区営住宅、福祉住宅は今後5年間、新規建設ゼロ、区民住宅は撤退、家賃助成も大幅に後退です。子育て世代への助成は若干拡充すると答弁しましたが、まだまだ不十分です。
 
第10に、学校改築についてです。
 2008年7月に策定した『豊島区立小・中学校改築計画』では、改築した千登世橋中、南池小、明豊中を除く28校を30年間で、前期10年間で7校、中期10年間で13校、後期10年間で8校に分けて学校改築を行う予定でした。2012年に中期分13校を明らかにする予定でしたが、2014年3月策定の『豊島区立小・中学校改築計画』の第一次改訂では、池袋第一小、千川中の2校だけ改築予定で、後は決まっていません。
 今定例会で私は、学校改築を先送りせず「第一次改訂」抜本的見直しを求める一般質問をしたところ、教育委員会は「学校改築の先送りはしてない」「抜本的に見直す考えはございません」と答弁しました。
 この点を委員会で再度質すと、しぶしぶ「先送り」を認めました。先送りした責任は重大です。
 また、「第一次改訂」では、長寿命化改修で築80年以上使用し、その後、改築するということですが、それこそ、手戻りになります。改築を優先させるために抜本的に見直すべきです。さらに、旧朝日中学校の改修を行い、巣鴨北中学校の仮校舎として利用した後の跡地活用計画を訊くと、「今後の計画はまだ決まっていない」とのことでした。もうすでに築50年以上になる駒込中、朝日小、西巣鴨小、駒込小など周辺の小中学校の改築を優先させるためにも仮校舎として活用すべきです。

第11に、図書館についてです。 
 雑司ヶ谷図書貸し出しコーナーについては、利用者、貸し出し冊数とも増えています。しかし、さらなる拡充については場所がないといってやる気がありません。
 また、今年4月から、図書の予約について、豊島区内に通勤・通学している方は、豊島区立図書館で所蔵していない資料は、予約できなくなりました。これまで、豊島区内の図書館に希望の図書がないときは、都立図書館や都内の区市立図書館から借用したり、購入するなどして、できるだけ希望に応えるサービスをしてきたのを、対象を在住者に限定してしまったのです。ホームページ等には、「限られた予算を有効に活用してまいりたい」としています。「限られた予算を有効に活用するとは、枠内配分か、総点検のどちらのことか」とただすと、理事者は「お金がないからではない」などと言い訳をしていました。豊島区自治推進条例では区民といえば『在住、在勤、在学』となっており、行政サービスを受ける権利があります。図書館は、国民の知る権利という大事な基本的人権を保障するものであり、多くの人が利用できるようサービスを拡大こそすれ制限するなどもってのほかです。改善を求めます。

第12に、スポーツ施設使用料についてです。
 スポーツは健康増進、心身のリフレッシュをしてくれるもので、生活の中で欠かせないものです。わが党は、区のスポーツ施設使用料が23区で最も高いので、施設使用料を引き下げるべきと、繰り返し指摘してきました。区は、施設使用料適正化プロジェクトチームで検討する、検討すると言って明確にしてきませんでした。委員会審査で、南長崎スポーツセンターは、決算で黒字をだしていること、東京オリンピック、パラリンピックにむけて区民スポーツのすそ野を広げるうえでも、いま、決断すべきと指摘すると、区長は「値下げをします」と表明しました。一歩前進ですが、決断が遅すぎます。この年度は、旧平和小学校の敷地内にある体育館なども使用できず、区民が場所取り、予約を取るのが大変だった、と聞きました。そのうえ施設使用料は高いのでは、区民が気軽にスポーツを親しむ機会が少なかったのです。
 
第13に、商店街振興についてです。
 LED電灯料補助率を今年から増やしました。LED街路灯の設置事業は、商店街活性化、安全、安心なまちづくりを目的とした事業です。これらは商店街から喜ばれている事業ですが、問題は小さな商店街、資力のない、体力のない商店街が活用しようとすると、設置料、交換料などの全額をいったん払わなければなりませんので、なかなか活用できません。区は「今後、計画的に活用できるように進めてまいります。」というだけで具体的施策がありません。本来、商店街負担分を全額補助すべきですが、区に無利子の融資制度を作ることを求めたら、区は拒絶しました。ますます、商店街がなくなり、町全体の活気も失われてしまいます。

第14に、私道舗装、私道排水助成についてです。
 昨年第4回定例会で私は、私道排水、私道舗装の全額補助について質問しました。
これに対し、区は、私道といえども、公共性があるので、私道舗装助成や私道排水設備助成制度があるといい、助成の割合については、今後の社会情勢の変化によって見直すことは必要と認識している、しかしながら「ただちに全額助成をする考えはございません」と、答弁しました。2013年度実績を確認すると、私道排水設備助成は(50%)相談件数44件、申請件数13件、助成金は358万円余です。私道舗装助成(80%)は相談件数25件、申請4件366万円です。予算額 2000万円に対し、執行額725万円、執行率36.3%です。不用額は1275万円です。このことを指摘すると、区は「私道排水設備助成の補助率を50%から60%に引き上げる」と、答弁しました。一歩前進ですが、まだまだ不十分です。区は現庁舎周辺の区道整備に16億8,000万円をかけることや防災を口実に、特定整備路線の整備を2020年までに7路線を完成させると言ってきました。これに比べると、区の姿勢にずいぶん差があります。毎日歩いている区道や私道がでこぼこでは、高齢者は安心して歩けません。安全・安心のセーフコミュニティ国際認証取得を自慢するのなら、直ちに私道舗装、私道排水助成を10割に復活して、生活道路を安全に歩けるようにすべきです。

第15に、公契約条例についてです。
 この年度は、公共工事の労務単価、資材の高騰で、西部複合施設の債務負担行為の限度額を16億円引き上げたにもかかわらず入札不調になりました。また、今年度になっても、目白小学校改築の契約変更などが相次いでいます。区財政にも、学校改築に深刻な影響を与えています。その一方、労務単価の引き上げは労働者の賃金には反映されていません。発注者である区は、その実態を把握する責任がありますが、「区は把握していません」と答弁しました。
 今の深刻な人手不足は、区内の公共施設の建築などにも深刻な影響を及ぼしています。区内業者の育成、後継者を確保するうえでも、対策をとる必要性があります。しかし、区には横断的に検討する会議体すらないのです。わが党は、公契約条例の制定で労働者の一定水準の賃金を確保し、安全、安心の公共施設の建設をすべきと考えますが、その前段で、本気でやる気があるなら、打つ手はあります。中小の建築関係者、専門家などを含めた検討会をつくるべきです。
 
第16に、資源回収についてです。
 毎年、年度初めになると、ペットボトルやビン,缶などの資源回収ボックスを置いていかないとか、回収が遅くなったなどと区民から苦情が寄せられます。なぜかと聞くと、区は「業者同士で仕事の引継ぎをおこなっているが、十分でないところがあった」と答弁しました。業者に丸投げし、区の職員はその実態を十分つかんでいない、ことを指摘すると、区は「苦情のあったところをデーターベース化して、今後対応します。」と答弁しました。委託業者に任せっぱなしにするのではなく、もっと早く改善すべきだったのです。
 
第17に、公共施設等再配置方針案検討会議についてです。
 北区で施設の削減方針をだした外部委員を、そのまま迎え入れて作った会議体です。2013年度11月に設置して年度末までの間、委員会を3回開きましたが、実質3か月で国の方針に基づき「公共施設等総合管理方針検討委員会」という名称に変更し、外部委員も変わりました。すでに区は「区有財産の活用」の方針があり、学校の統廃合、児童館、ことぶきの家の廃止などしてきました。これからの廃止や転用なども決まっています。この検討会議は、2年後2016年以降に「管理計画などの施策展開」となっていますが、これ以上の、老朽化施設の安全性を口実にした施設を減らすことは区民サービスの低下を招きます。
 現在でも、他の委員からも出ていましたように借りたいときに借りられない状態です。また、区民集会室は、12年で13か所減らしました。椅子が壊れて前に滑っていくのにそのままで、修理もしていません。要町第一区民集会室の畳の部屋は、壊れて「触るな」の備品置き場のようになっています。立ち枯れ作戦はもってのほかです。区民部は管理を委託しているところに任せっぱなしです。このようなやり方は認められません。
 
 第二の観点、区民生活を守る財政運営になっていたかについてです。
 区長は今回の決算を「基金が借金をうわまわった」「快挙」だなどといっています。しかし、やるべきことをやらなければ、お金が貯まるのはあたりまえです。
 また、この年度末で財政調整基金の残高は102億円、決算剰余金が26億円で合わせて128億円です。これを何に使うのか質問したところ、理事者は新庁舎整備のため保留床購入費等132億円払うことになっていると答弁しました。
 区民サービスを削りに削ってため込んだ財政調整基金を新庁舎のために使ってしまうことは明らかです。
 理事者は、現庁舎地の活用でお金が入ってくる、といいますが、現庁舎地を民間企業に貸し付けて入ってくるお金は目標額141億円を下回る可能性もあります。実際にお金が区に入るのは、2019年まで分割も視野にいれ最大4年間入ってこないのです。さらに、2019年には新ホールの代金50億円プラス消費税5億円さらに民間事業者の提案による共有部分の代金を支払います。昨年の試算で114億円、今ではもっと多くなっている税金投入が予定されているのです。114億円のうち、64億円は起債でまかなうとしています。
 区長は、「金がかからない」「借金しない」で新庁舎を作るといってきましたが、すべて嘘だということがはっきりしたのです。
  
 改めて振り返ってみますと、2013年6月区長は突然、50億円の新ホール建設を表明しました。街の価値を高めるとして「文化とにぎわいの交流拠点の形成」をするというものでした。中池袋公園の改修、新庁舎と現庁舎地をむすぶ区道の改修など、現庁舎周辺のまちづくりをすすめるものです。合わせて114億円の税金を投入する計画です。財政的にも区民生活を圧迫するものであります。これまで度々指摘してきましたが、全国の自治体の多くで都市間競争、街の活性化を口実に大型開発を進めてきた結果、事業が頓挫すると、結局後戻りできず自治体がその責任を負うはめになり、財政に大きな付けを負うケースが見受けられます。本区でも東池袋4丁目再開発で、大火傷を負いました。「文化とにぎわいの拠点形成」といって大型開発を優先することは、学校改築、保育園、特別養護老人ホームなどの区民需要を圧迫し、財政にも深刻な影響を与えるのです。
 また、東西デッキについて、南デッキ整備に関する西武鉄道やJR東日本と覚書(事業協定)を結び、基礎調査に着手しました。東西デッキは総額150億円もの事業費が想定されています。防災にも役だたない、急いでやる必要はありません。
 
 今後の財政運営では、さらに財調基金を積み増す方向が出されています。しかし、歳出では区民にとって必要な区有施設の改修、学校の改築、特養ホームや保育園など切実な要求にこたえること、また公共事業費の値上がりへの対応など、経費増大の要素がたくさんあります。歳入面では景気の動向や法人住民税の国税化のなどにより減る要素があるのです。
 強引に新庁舎資金計画をすすめてきた結果、区長は今決算を「快挙」などと言っていますが、みせかけのものになっているのです。
 
 第3の観点、住み続けられるまちづくりになっていたかについて述べます。
 第1に、特定整備路線についてです。
 東京都は豊島区内7本の都市計画道路を特定整備路線として2020年までに整備するとしています。それに伴い、豊島区は2013年に長崎地区、池袋本町・上池袋地区及び補助81号線の沿道地区の3地区について不燃化特区の指定を申請しました。そして、道路ができた後のまちづくりに地区計画の準備を進めていますが、わずか二年で地区計画を作るとしているのはあまりにも拙速、無謀です。
 一方、道路で立ち退く人々の問題については、十分な説明がされていません。東京都は今年6月の道路説明会で「二重ローンは保障しない」と明言しました。しかし、2004年に決定した第三次事業化路線から外れた都市計画道路については、建築規制が緩和され木造、鉄骨の三階建てが建てられるようになりました。しばらく道路はできないとなり、建て替えをした人がたくさんいます。貸室をつくりその賃料でローンを返済し生活費をまかなう、そんな生活設計が道路計画で崩れてしまうのです。理事者は「個別の相談で」「そういうことのないよう東京都に要請している」などと言いましたが具体的な対策はないのです。
 住民の暮らしは道路だけなく、商店街や公衆浴場、病院や診療所など、さまざな施設が必要です。
 豊島区内の公衆浴場は、9月1日現在は30か所でしたが、その後2か所が休業し、28か所となっています。減少に歯止めがかかりません。特に、池袋本町では特定整備路線となった都市計画道路補助73号82号に二つの公衆浴場がかかり、存続が危ぶまれています。これについては、道路に関係した地域まちづくり課長は、「これから協議していく」といい生活産業課長は「浴場組合と話し合っていきます」というだけです。本来、道路を作るために立ち退きを迫るなら「ここで営業してください」と場所も確保してからやるべきです。銭湯がなくなれば風呂なしのアパートの経営は困難になりますし、家に風呂はあっても一人では事故が心配と銭湯を利用していた高齢者が困り、地域のコミュニティの場もなくなります。衛生的な生活、文化的な生活を保障するための銭湯がなくなっていけば困るのは区民です。道路を作ることばかり決めていて、これまた住んでいる人のことなど後回しです。
  
 第2に、環境基本計画の改定についてです。
 ゲリラ豪雨をはじめとする異常気象、デング熱のことをみても最近の気候は、亜熱帯状態になっています。温暖効果ガス(CO2)の削減に本気になって取り組まないとなりません。2014年度環境年次報告で区長は、10年後の2025年までに30%を減らすことについて「CO2の削減目標を堅持する」といっています。ところが、毎年豊島区の排出量は増え続けています。目標を掲げることは賛成ですが、裏付けのある削減年次目標がなければ絵に描いた餅になります。東池袋5丁目地区市街地再開発事業で、高さ25メートルの制限がある地域に、緩和に緩和を重ねて70m高さのマンション が建築されます。近隣でソーラーパネルを設置した家は太陽光が活用できないようになります。規制緩和でコンクリートの高い建築物を次々つくる街づくりをやっていては、環境を守ることも、CO2の削減もできません。エコ住宅普及促進事業も当然執行率が低い状況にあり問題です。
 
 第3に、公園施設長寿命化計画策定事業についてです。
 当該年度新規事業で計画をたて条例を改正して、25の児童遊園を公園に格上げしました。しかし、改修、維持のための補助金は国が2ha以上にしか適用しないこととなりました。つまり計画はたてましたが、改修費は当てが外れたのです。国が2ha以上の公園について、補助金を出すというなら造幣局跡地公園をぜひ予定より広げて2ヘクタールで作ったらどうかと提案すると、区は「公園街区整備事業で実施するので広げることはできない」と答弁しました。
 最近、豊島区の公園は汚いと評判が悪いのです。消滅可能性都市といわれて急きょ男女平等推進センターがひらいた「としま100人女子会」報告書でも、安心して子どもを遊ばせることができる清潔な公園がほしい、と書かれています。区は、いつも土地がない、狭い豊島区だからと言いますが、公園は土地がないから仕方がないではなく、都市計画として公園を位置付ける必要があります。
 
 第4に、(仮称)西部地域複合施設についてです。
 「東の新庁舎、西の西部複合施設」といわれてきました。しかし、二次にわたる入札をおこなったものの落札者がなく、さらに計算してみたら当初の計画金額である44億5千万の1・5倍の63億9千万になる見通しで断念をしたのが2013年12月です。計画は凍結したのに未来戦略推進プラン2014に相変わらず評判悪い卵型の施設の写真など計画を載せています。未練がましいです。議会には、今年6月補正予算を計上し暫定利用の内容が決まったのですが地域住民からは建物を解体してしまったため活動施設が不足し、不満が出ていたのです。また、もともと卵型設計は、区民から建築費もランニングコストも高くなるはず、地域住民としては、使いかつての良い施設がよい、と意見が出ていたのに区は、卵型の設計とミュージアムに固執してきたのです。今回暫定計画の工期を短くと要望したところ3か月縮めてくれたことに区民はとても喜んでいます、同時に、今後は最初から地域住民の声を反映した施設にしてほしいと強く要望しています。
 
 以上のことから、第1に、深刻な区民生活を支えるものになっていない。第2に、区民生活をまもる財政運営になっていない。第3に、住み続けられるまちづくりになっていないので一般会計決算認定に反対します。
 
 次に3特別会計について述べます。
 最初に、国民健康保険事業会計です。
 この年も保険料をひきあげました。基礎分のうち所得割は、わずか下げましたが、均等割を上げ、高齢者支援分、介護分も上げ、一人当たり保険料が、10万円の大台を超えました。基礎、高齢者支援、介護分とも均等割の引き上げは、低収入・低所得階層に、より負担が大きい引き上げだということです。3年前の2011年度に旧但し書き方式に変更、2年にわたる軽減措置が基本的に廃止されたことなど耐えがたいほど保険料が高くなっています。
 収納率も下がっています。短期証、資格証の発行が増大し、いつでも安心して医療を受けられる国民皆保険制度がゆらいでいます。東京23区は、高額療養費分に一般財源を投入し、保険料算定から外すなど一定の努力をしてきましたが、ついに2014年度から四分の一ずつ減らし、4年間で一般財源投入をやめることにしています。さらに保険料が高くなるのは必至です。
「保険料を引き下げてほしい」区民の切実な声です。なぜ保険料が高くなるのでしょうか。
 第一は、国の補助金が大幅に削減されているからです。1984年度にそれまで医療費総額の45%出していたのを38・5%にして以来、急速に下がり、決算年度は21・55%まで減っています。地方自治体が、住民の命を守るため、共同して国に強く要求していく必要があります。
 第二は、支出の多くを占める保険給付費を下げることです。豊島区としてジェネリック医薬品の利用を拡大することだけではなく、資格証発行を少なくし、重症にならないうちに医療を受けられるようにすることなど、いくつも対策をとることが必要です。早期発見、早期治療が医療費を減らすことに直結します。特定検診を拡充し、とりわけ受診率を増やすために、忙しい区民が検診を受けやすくするために、健診センターに止まるコミュニティバスを走らせるのも一案です。
 ガン検診について指摘をしたのでのべておきます。ガン検診を無料にしたのは大いに結構です。しかし、検診せんたーで肺がんと胃がんの検診が、同じ日にできないことなど受診率アップのために、改善の余地が大いにあります。

次に、後期高齢者医療事業会計についてです。
 この年は、2014年、2015年度の保険料の引き上げを決定、2012年、2013年度の保険料より、平均4,118円もの引き上げです。国保や介護保険と同様に年々保険料が上がっていき高齢者の負担は、ますます増えています。しかし、75歳以上が加入する後期高齢者医療は、年金収入しかない人が多く、250万円以下の世帯を対象に、特例で軽減措置を図っていますが、政府は、これを廃止しようとしています。高齢者も現役世帯も負担増です。「広域化」したことによって加入者である高齢者の声がまったくと言っていいほど反映できない制度になっていることだけでも認めることはできません。

 最後に、介護保険事業会計について述べます。
 2013年度は第五期介護保険事業計画の2年目の年でした。新たに4事業を一般会計から地域支援事業に移行しました。区の施策から外すことにより一般財源の負担が減りますが、保険料からの支出となり、次期保険料にはね返り、区民負担がまたもやふえるということです。
 区政アンケートでも介護保険料が高くて大変だという声が数多く寄せられています。来年度は保険料改定の年であり、保険料は上がるのか下がるのかとの質問に、理事者は「あがる要素と下がる要素があり、まだわからない」と答えました。しかし、すでに暫定の保険料を出している政令指定都市もあるのです。区民にとって保険料がどうなるかは大きな問題です。前回の改定のように、区民の意見を聞くまもなく決めてしまってはなりません。
 地域包括支援センターについては、ようやく1か所基幹型を設置する方向で検討しているといいますが、具体化はまだ、増え続ける高齢者数を考えれば、さらに増設が必要ですが、これもこれから検討する段階です。
 特養ホームについては、すでに述べましたが足りないのが現実です。高い保険料を払っても必要な介護がうけられない実態はますます深刻になっています。
 よって、介護保険事業会計決算の認定に反対します。
 
 以上の理由により3特別会計に反対します。
 以上で討論をおわります。ご清聴ありがとうございました。