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区議会質問
消費税の請願討論(森とおる)
2014/10/18

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております「26請願第11号、消費税の10%引き上げの中止を求める意見書提出を求める請願」について、不採択とせず、ただちに採択すべき立場から討論を行います。

 本請願は、政府が4月に消費税を8%に引き上げたことにより、長引く不況に加え、物価・原材料高騰が、地域を支える中小零細企業を苦しめており、廃業や倒産が相次いでいる実態を訴えています。また、雇用を生み出す中小零細企業が減少すれば、そこで働く労働者の生活も脅かされ、買い控えによる消費不況が進み、地域経済は崩壊し、その結果として税収も落ち込み、自治体財政をも悪化させることにつながるとして、政府に対し来年10月、消費税の10%引き上げの中止を求める意見書の提出を求めるものであります。

 安倍政権は4月以降の消費の落ち込みなど経済指標の悪化を、3月までの駆け込み需要の反動で、しばらくすればよくなるといってきましたが、7月以降も落ち込みは止まらず、政府自身が長期化を認めざるをえなくなっています。来年10月からの10%増税を予定通り行うかを検討する点検会合も、11月末の予定を11月初めに前倒ししました。7月から9月期のGDP(国内総生産)統計の速報値にもとづいて判断するといっていたのも、GDP統計の改定値が出る12月上旬にならないと判断できないと言い出す始末です。
 4月の消費税増税後、消費が落ち込み売り上げが減っているのは、あらゆる商品やサービスに課税される消費税の増税が国民の購買力を奪っているためです。同時に、アベノミクスのもとで消費者物価が上昇し、労働者の賃金や高齢者の年金が目減りを続けていることも背景にあるのです。厚生労働省が先週発表した毎月勤労統計調査で、勤労者の賃金が物価上昇分を差し引いた実質で、14か月連続のマイナスとなったことが確定しました。1年以上にわたって実質賃金が減り続けているというのは異常この上ありません。時事通信が実施した10月の世論調査によると、消費税10%への引き上げについては、「当面見送るべきだ」という意見が最も多く40.3%。「これ以上の引き上げに反対」が35.2%で、合わせると実に75%を超えました。それに対し「予定通り10%とすべき」は、わずか22.7%にとどまっているのです。このようにアベノミクスは、好循環を生むどころか悪循環そのものであり、百害あって一利もないことを証明しているのは、もはや明々白々ではありませんか。

 こうした悪循環を断ち切ってこそ、国民の暮らしも良くなり、経済も再建することが出来ます。わが党は、消費税増税に一貫して反対し、消費税増税に頼らない別の道があることを財源を示した上で対案として提唱しています。その提案の柱は大きく2つです。
 第一の柱は、所得や資産に応じて負担するという、「応能負担の原則に立った税制改革」を進めるということです。現在、所得が1億円を超えると逆に税金の負担が軽くなるという逆転現象が起きています。また、法人税の実質負担率は、中小企業が25%に対し、大企業は14%にすぎません。このように富裕層と大企業を優遇する不公平な税制を改め、応分の負担を求めることが必要です。
 第二の柱は、大企業がため込んだ内部留保を活用して、大幅賃上げと安定した雇用、そして中小企業への適正な単価を保障することです。大企業の内部留保は、この1年で23兆円も増え、国家予算の3倍を超える総額285兆円にものぼっています。この一部を使うだけでも大幅賃上げが可能です。そのことによって、日本経済を内需主導の健全な発展の軌道に乗せることができる。この道こそが、国民の暮らしを第一に考えた日本経済の再生をはかるものです。
 他にも、ムダな大型開発目白押しの公共事業、増額した軍事費、原発推進予算、政党助成金、使途不明の官房機密費など、歳出の浪費にメスを入れる、政府がやるべき事は山積しているのであります。

 ここへきて、消費税10%に反対する地方議会が相次いでいます。県レベルでは今月、岩手県議会が意見書を可決しました。市町村議会では全会一致で可決されたところもあります。地方議会では自民党も公明党も住民の声に応えて政府に10%増税反対を求めているのです。それほど国民の暮らしは異常なまで深刻になっているのです。ところが、総務委員会の審査では、他会派の委員からは「長年商売を営んでいると良いときもあった。その時、蓄えておけば・・・」とか、「税金は安い方が良いに決まっている。反対は誰でもできるもの。財源をどうするのか」などと、区民の願いに背を向ける態度を取りました。しかも、わが党が財源を考えるのが議員の役割だとして、具体的に財源を示しても、それに対しては何ら反論も意見も述べようとはしませんでした。
 消費税10%増税は、暮らしを壊し、経済を壊し、財政破綻をいよいよひどくするものです。今週、安倍首相がフィナンシャルタイムズのインタビューに、「消費税を引き上げることで、経済が軌道から外れたり、鈍化したりすれば、税収は増えない。そうなれば意味がない」と、10%引き上げを保留する可能性を示唆しました。このように政府を取り巻く情勢も変化しつつあるのです。今こそ豊島区議会が、暮らし営業に苦しむ区民の声をしっかり受けとめ、政府に突きつける絶好の機会なのであります。

 よって、「26請願第11号、消費税の10%引き上げの中止を求める意見書提出を求める請願」について、ただちに採択することを求め討論を終わります。