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区議会質問
予算反対 本会議討論(小林ひろみ)
2015/3/19

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております、第33号議案 平成27年度豊島区一般会計予算、ならびに 第34号議案 国民健康保険事業会計予算、第35号議案 後期高齢者医療事業会計予算、第36号議案 介護保険事業会計予算の3特別会計予算に、反対の立場から討論します。
 安倍政権は2015年度予算案では、大企業には法人税減税で大盤振る舞い、軍事費は3年連続増加で過去最高へ膨張させました。「海外で戦争する国」づくりを狙う危険な決意を具体化したものです。沖縄・辺野古の米軍新基地建設費を14年度当初予算比で80倍以上の1736億円にしたことは、反対の世論を無視して、新基地建設に突き進もうという安倍政権の異常さを浮き彫りにしています。
 これと反対に介護、医療、年金、生活保護は大改悪を続け負担増と給付削減という痛みを次々と国民に押し付ける中身です。生活保護費は、食費などの扶助費を中心に13年度から3年連続で740億円減らされている最中ですが、15年度はこれに加え住宅扶助費と暖房代などの冬季加算も減額することを打ち出しました。憲法25条が保障する生存権を具体化した「最後の安全網」の制度を、ここまで容赦なく切り裂く政権はかつて例がありません。
 高齢者と家族の健康と安心を支える名目の介護保険の報酬も実質2回連続で削減したことは、特別養護老人ホーム経営などに深刻な打撃を与え、介護する人もされる人もますます苦境に追い込むものです。公的年金の削減が続いているのに、新たに「マクロ経済スライド」を発動して、年金額の抑制を強行しようとしています。経済政策「アベノミクス」と消費税大増税で苦しむ国民のことなど眼中にないのです。
 消費税増税は「社会保障充実のため」という口実はもはやなりたちません。消費税に頼らない経済・財政への転換が急がれます。
 とりわけ深刻なのは個人消費や民間設備投資などの鈍い伸びです。消費税増税で落ち込んだ需要の回復が遅れているうえに、物価上昇に収入が追いつかず、実質購買力が低下していることが、消費や民間投資の足を引っ張っているからです。
 消費税増税は延期だけでなくきっぱり中止するとともに、大企業のもうけを最優先する「トリクルダウン」の経済政策はやめ、国民のふところを豊かにする経済政策に転換すべきです。国民が豊かになれば、消費も投資も増えます。
 東京都は、どうでしょう。
 舛添都政としては、初めての本格予算の編成ですが、福祉、雇用、中小企業対策などで、都民要求を反映した施策の拡充がある程度はかられてはいますが、一方不要不急の大型開発がひきつづき推進され、国際金融センター構想など金融機能の過度な集積による金融投機を推進するなどという基本的問題があります。安倍内閣による年金削減、高齢者医療の窓口負担増、介護の利用料引き上げ、介護報酬の大幅削減、生活保護の切り下げなどの社会保障切り下げに反対し、都民生活を守る立場と施策は見られません。とりわけくらしへの支援は不十分で、国民健康保険料、介護保険料の負担増などの都民の痛みにたいし、都独自の対策がほとんど取られていません。また商店街対策予算が大幅に減額され、都営住宅の新規建設はなく、都民が願う少人数学級が拡充されないことなども見過ごせません。
 今、豊島区民の生活実態はどうなっているでしょうか。
 豊島区では課税所得200万円以下の世帯が6割をしめています。河野議員の一般質問でも示したように、母子家庭などでは、課税所得100万円未満が75.8%、200万円以上は14.6%、65歳以上の高齢者をみてみますと、今年度の介護保険料の階層で本人も同居者も住民税非課税の方が35.7%、約20000人となっています。
 格差と貧困の広がりという点では、自営業者に特徴的にみられるように景気回復やアベノミクスの恩恵など、滴り落ちてきていません。生活保護については、高齢者を中心に増え続けています。
  
今回、わが党は、
第一に区民の生活実態を正面から受け止め、くらし福祉を支える予算となっているかどうか。
第二に大型開発優先で無駄遣いをしていないかどうか、住んでいる人が住み続けられる予算となっているかどうか
第三に区民生活を支える財政運営になっているかどうか。
の点から予算審議にあたってまいりました。

 第一に、区民の生活実態を正面から受け止め、くらし福祉を支える予算となっていない、ことについて述べます。

 一番目に特別養護老人ホームについてです。
 4月には旧千川小学校跡地に「千川の杜」、秋には旧中央図書館跡地に「仮称東池袋桑の実園」の特養ホームが、開設されます。わが党は、粘り強く特養ホームの増設を求めてきましたが10年ぶりです。しかし、依然として特別養護ホームの待機者が300人以上となり深刻です。区は来年度予算で、竹岡健康学園跡地に建設する調査研究事業として196万円を計上していますが、区外建設は法的な問題をクリアしても建設し開所するまでに5年くらいかかるとしています。区内に特養ホームの増設計画を立てるべきです。また、特養ホームの入所申込み方法については、毎年おこなう方法から2年に一度に改めると答弁していましたが、いまだに入所申込み漏れ、選考もれがあり、ただちに撤回すべきです。

 二番目に保育園待機児解消についてです。ようやく認可保育園が増え始めましたが、まだ足りません。4月の待機児童は100人代後半から200人代前半。昨年4月が240人ですから、少しは減ったもののなくなってはいません。 今後も、今年中に認可保育園が4園、小規模保育が1園できる予定ですが、場所や年齢のミスマッチがあり、待機児はゼロにはなりません。豊島区は2017年4月までにゼロにするとしています。しかし、保育園に入れないということは大変なこと、ある方は平日は埼玉にある妻の実家で母子で暮らして祖父母に預けて出勤、週末だけ豊島区で親子三人水入らずという生活をするとか、それさえできない人は、育休を延長したり、仕事をやめたり、あるいはベビーホテルに預けることになるのです。こういう方ヘの緊急策はありません。
 待機児童がいるのに4月から高松第一保育園や要町保育園の分園を廃止することになっています。今保育園に入れない親の願いに応えるためには、これからでも改修、改築して使っていくべきです。しかし、区はやろうとしていません。

 三番目に中小企業支援策について、三点述べます。
 生活産業費は、14年度は7億4600万円 来年度は11億6600万円余、前年度比4億1900万円の増となっていますが、中身は勤労福祉会館大規模改修経費が4億400万円増で、それを引くと実質はほとんど増えていません。
 資料では新規拡充として、5事業、中小商工業融資1980万円や公衆浴場への助成、商店街へ補助金として新規拡充分2386万円があげられています。
 ところが融資事業の総額は15年度1億2018万円、14年度は1億2022万円とわずかですが減っています。融資の予算を減らし、銭湯の予算の増額も200万円程度、これでは拡充とは言えません。
 二点目は住宅修繕・リフォーム資金助成事業です。
 住宅リフォーム助成制度を実施すべき、とわが党は何度も求めてきました。これは区内事業者が施工した場合に補助をする制度であり、区内の中小建設業者の仕事確保に有効です。区は14年度から住宅修繕・リフォーム資金助成事業を実施しています。これは、低所得者対策としてはじめられたため、所得制限があります。区は15年度は実績に合わせて予算額を縮小します。豊島区の13年度のモデル実施の実績は5件35万円、14年度は12月まで3件16万円です。他区をみると13年度品川区は150件、目黒区は103件、渋谷区が104件となっています。理事者は実績が上がらない理由として所得制限をあげていますが、これは作った時からわが党が指摘してきたことです。早急に所得制限を撤廃するなど改善をし、区内業者の仕事確保を進めるべきです。
 三点目に街路灯LED化の補助制度の拡充についてです。わが党は、昨年の決算委員会や第四回定例会でも質問しました。今後の計画はこれから考えるとの答弁で、さらに追及すると15年度は危険な街路灯の調査と撤去を考えているとのこと。シャッター通りで空き店舗は増える、街路灯は撤去され通常の街路灯になる、街はますます暗くなるばかりではありませんか。
 ある商店の方が、「区長も池袋で化けていないで、ここにきてみてほしい」と言っていました。
 区長は、垣内議員の一般質問に「アベノミクスは同じ政治家として敬意を表するに値する政策と考えている」「その効果で、早期に景気が回復し、日本の産業界全体が、さらに豊島区内の隅々までが元気になることを期待している」と答弁しています。区長がやろうとしているのは、池袋を中心としたまちづくりをすればいいというものです
 深刻になっている区内の中小業者の状況を正面からうけとめ、これを支援する予算になっていません。

 四番目に生活保護についてです。
 これまで政府は老齢加算を減らし、扶助費を減らし、さらにこれから冬季加算と住宅扶助の上限を変更するなどとしています。生活保護受給者は地獄の苦しみです。誰も喜んで受けているわけではないのにです。2013年,14年、15年度の3年間で扶助費を減らすことに伴い、区の負担分(4分の1)が見込みでは3億8千万円程度、現実には少し少ない額ではあるがへっているとの答弁でした。扶助費を減らすのは、消費者物価が下がったからといいますが、実際には高額な電気製品などは別にして、食料品など毎日の必需品を中心に値上がりをしています。区の負担が3億円以上減っているのですから、受給者の生活実態を支援しはげます立場で法外援護を拡充すべきです。風呂券など周辺区並みに60枚にできるはずです。
 住宅扶助引き下げは、アパートに住む人だけでなく、のちほど述べますが、グループホームなど施設運営にも大きな影響を与えます。やめさせるべきです。

 五番目に住宅について述べます。
 来年度の住宅費は今年度にくらべて1億1761万円も大幅に減額となっています。その主な原因は、20年の借り上げ期間が満了した区民住宅の廃止によるもので1億5900万円もの削減です。区民住宅の廃止で補助がなくなり、住み続けられなくなる人への対応として、継続入居支援事業を作ったといいますが、この予算はわずか960万円です。この間、わが党が区営住宅や福祉住宅の建設を求めると、区はこれを拒否し、今後は家賃補助をしていきたいと答えていましたが、これでは公営住宅も作らない、家賃補助もしないも同然です。引き続き安心して住み続けられるためにも大幅に家賃補助を拡充すべきです。
 また、住宅困窮者の相談で最も多いのが、取り壊しによる立ち退きが73件、高額家賃の負担が56件、将来の不安が55件、などです。また合計で306件の相談者のうち高齢者の相談が207件です。ところが、高齢者が取り壊しによる立ち退きの場合でも、元気なお年寄りだと、安心住まい提供事業に該当しないとしています。その一方で安心住まい提供事業を毎年減らしているのです。適用要件を大幅に緩和して拡充すべきです。住まいは人権です。安全安心のセーフコミュニティを売りにするのなら区営住宅や福祉住宅の増設、家賃補助を大幅に拡充し住宅困窮者の願いにこたえるべきです。

 六番目に就学援助についてです。
 消費税8%増税、円安で物価がどんどん上がる中で、子育て中の区民の生活は大変です。特に、先に述べたように区内の母子家庭世帯を含め低収入世帯では深刻です。毎月の給料から家賃を払うと、食べるだけでやっとです。
 来年度はわが党が求めてきた中学校のクラブ活動費を就学援助費目に加えることになったことは改善です。しかし、まだ不十分です。援助費目も増やすとともに単価の引き上げも必要です。
 子どもの入学は大変喜ばしいことですが、保護者は入学準備するのに四苦八苦です。入学前に必要な費用は区は、小学校で3万円、中学校で5万円程度としています。しかし、就学援助で入学支度金として給付されるのは小学生が23870円、中学は26860円です。
 しかも実際にお金がはいるのは7月です。入学前の三月にはお金が必要ですので区が何らかの手立てをとるべきだと質すと、まともな答弁はありませんでした。栃木県日光市では小中学校入学資金について貸付制度を実施します。豊島区でも同様の制度を創設をすべきです。
 また、就学援助の認定基準については大幅に引き上げるべきですが、区は23区の多くが生活保護の1.2倍となっているからといって拒否しています。許せません。

 七番目に高齢者施策についてです。
 おむつ代助成の介護度による制限を撤廃したことは、一歩前進です。
 緊急通報システムは、「身体上、急を要する慢性疾患がある方」は所得により無料または月463円で利用できますが、疾患がないと月2315円になります。利用料が高いため、なかなか利用者が増えません。今年2月に利用者に対し、2015年度から月額3034円になる旨の通知が届きました。よく読むと、「安否確認センサーの利用は任意となり、外すと利用料は1728円に下がる」ということです。
 高くて利用者が少ない、消費税でさらに値上げされる、これを何とかしたいとの担当課の気持ちはわかりますが、小手先の「改善」ではうまくいきません。実際、私が相談受けた方二人のうち、一人は「下がってもやめる。この間年金は目減りしていて生活が大変なので」といい、もう一人もまだ迷っています。緊急通報システムは一人暮らしや日中独居の高齢者の見守りの一つなのですから、多くの方に利用してもらえるよう、利用料は抜本的に引き下げるべきです。

 八番目に公契約条例についてです。
 資材や人件費の高騰等により、工事契約金額があがっています。2014年度の特例措置やインフレスライド対象工事は17件、増加額は1億33百万円で区財政にも大きな影響を与えています。今議会には駒込地域文化創造館の大規模改修、それに伴う給排水、ガス等の改修工事の契約議案が提案されましたが、それぞれ、応札したのはJVの1社、落札率もほぼ100%です。異常な状態です。この傾向は東京オリンピックまで続く見通しです。それだけに学校改築や老朽化した公共施設の改修を優先し、不要不急の公共工事はやめることが大事です。
 公共工事設計労務単価は上がっていても現場の建設職人の賃上げに連動していないと聞いています。工事以外の請負についても問題があります。清掃業者は毎年入札で選定し、業者は毎年変わっているにもかかわらず、中には同じ労働者が働き続けていることがあります。聞いてみると4年間も賃金は上がっていないそうです。発注者の責任として、そこで働く労働者の賃金が適正なものとなるよう、公契約条例を制定すべきです。

 九番目に区民集会室の備品についてです。
 区民集会室の座ると前に下がってしまう椅子の改善について、決算委員会でも取り上げました。来年度区民集会室の備品購入費は総額でわずか264万円です。新庁舎の什器・備品の予算は5億6千万円と高額ですが、区民が使う身近な施設の備品がボロボロでは困ります。決算のときに指摘したのに実情も把握していない、予算も少ないのは問題です。また要町第一区民集会室は一階にあり、高齢者の集まりで使いやすいのですが、畳で座るというので利用率が上がりません。いす式に変えて利用率を上げるべきです。

 10番目にスポーツ施設使用料についてです
 わが党は、予・決算特別委員会で毎回、スポーツ施設使用料が23区でもっとも高いことを指摘し、引き下げることを、ねばり強く求めてきました。区は昨年の決算委員会で引き下げることをやっと表明し、2015年度予算で手当てしました。4月からプール、トレーニング室の使用料が600円から400円になります。一歩前進です。しかし、高齢者の料金は200円のまま、お隣の文京区や練馬区などみると年齢はまちまちですが、高齢者は無料となっています。23区中10区が無料です。オリンピック、パラリンピックにむけて、スポーツに親しみ、裾野を広げ、健康増進をはかるうえでも高齢者の使用料を無料にすべきです。

 11番目に福祉避難所についてです。
 日本共産党区議団は、2012年仙台市を視察、震災被害にあったマンション改築と福祉避難所について調査をしました。福祉避難所では、施設の責任者の方から「当初考えていたのとは大きく違った」「備蓄をしておけばよかった」「現在は訓練もしている」などの教訓も聞き、議会でもすぐに質問してきたところです。
 障害者の福祉避難所については、河野議員の一般質問に、「身障センター改築の際には、宿泊できるようにするなど、整備をする」との答弁で、一歩前進と考えます。
 しかし、高齢者の福祉避難所としては、特養ホーム、豊寿園などが指定されていますが、この間増えていません。それどころか、実は巣鴨豊寿園は施設そのものが2013年3月に廃止されているのに掲載されてまま、実際にはへっていることになります。質疑の中で来年度は五カ所の特養を指定できる予定との答弁がありましたが、特養待機者が500人、二ヵ所できても待機者300人もいますし、また、震災時にライフラインが破壊されれば、今はなんとか在宅でやっている人も、それができなくなるわけですから、まだたりない、さらに増やすべきです。

 12番目に職員についてです。
 豊島区の職員は26年度正規が1973名、非常勤458名、臨時が850名、再任用が37名です。このほか業者委託で働いている人の人数は905名と答弁がありました。豊島区の「民営化」が進んでいます。来年度も新たに、保健所窓口の民間委託などが予定されています。
 今年は、子どもスキップの関係の非常勤職員の予算が10人分増えました。新規採用は25人、退職した人は教員試験など正規に合格したなどが理由だそうです。労働条件が悪いと、いい人材を長期に確保することはできません。改善が必要です。
 委託ではその経費も不透明です。予算では保健所の新庁舎出張窓口は2名で1300万円、保健所四階窓口は3から4人で860万円、適正な価格はないとの答弁でした。請け負った民間会社は「多様な働き方」などという言い方で、ワーキングプアを作っていくのです。
 そもそも、窓口を書類受付と相談とをどこで分けるのか、明確な基準はないはずです。窓口では、クレームもある、相談もある、職員が日々区民と接する大事な仕事です。ここを無理やり分離して、「委託」をすすめていくことは、結局自治体の質を下げていくことになります。

 以上 区民の生活実態を正面から受け止め、くらし福祉を支える予算となっているかどうかについて述べてきました。来年度予算には、スポーツ施設の使用料軽減、私道排水助成の拡充、おむつ代助成制度の拡充など、わが党の要求が一部実ったものもあります。しかし、それはごく一部であり、全体として困っている区民の生活を支え、国の社会保障改悪から区民を守る防波堤の予算とはなっていません。

 第二に、大型開発優先で無駄遣いをしており、住んでいる人が住み続けられる予算になっていないことについてです。

 一番目に木密不燃化プロジェクトについてです。
 防災のためだといいますが、延焼遮断の効果もたりない、コミュニティも破壊すると、住民の反対の声があるのに、都は特定整備路線7路線の認可を申請、国は2月までにすべての認可をしました。東京都はこれを2020年度までに整備するとし、7路線で総事業費640億円と見込んでいます。7路線に係っている建物は990棟、そのうち木造が68パーセント、非木造が32パーセントとなっています。この中には、規制緩和され2004年以降に新たに建てられたものがいくつもあります。新しいもの、不燃性や耐震性のあるものまで、わざわざ壊して道路を建設するとは、なんと無駄なことでしょう。
 豊島区が実施する不燃化特区推進に関する投資的経費は来年度約10億円、今後2020年度までで111億円と見込んでいます。わが党は、不燃化補助金額の増額には反対するものではありませんが、補助額を増やしても、改築するためには相当な金額が必要で、もともとお金がない方、高齢者などは建替えたくても建替えられません。
 さて、一方で区民の命を守るために必要な耐震補強の予算が来年度は減っています。区は、「実績に合わせた結果」といい、今後でる調査の結果では目標達成に近づく、などとしています。しかし、新聞報道によりますと、民間団体の調査では、2000年に新たな耐震基準が施行されたが、それ以前のものはいわゆる1982年の新耐震の建物でも耐震性に問題があるものがあるとのことです。対象も広げ、内容も拡充しさらに進めるべきです
 また、わが党は、これまで一般質問などで、大地震の際、漏電などが原因でおこる「電気火災」を減らす「感震ブレーカー」設置の助成制度を、創設することを繰り返し求めてきましたが、区は周知の徹底と斡旋すると答弁するのみで、普及の実態すら把握していませんでした。火災の発生を防ぐには既存住宅に感震ブレーカーの設置をどれだけ普及させられるかが、カギになります。「感震ブレーカー」設置の助成制度の創設は費用も安く普及させることが可能です。区の独自策を創設すべきです。
 東京都の説明では、特定整備路線にかかる権利者の代替地は区内にはなく、区が来年度から「不燃化特区」で実施する住み替え家賃制度も支給期間は5年、そのあとの保証がありません。従前居住者対策としては、サービス付き高齢者向け住宅、いわゆる「サ付住宅」の割り当てぶん5戸があるといいますが、家賃などが高すぎます。サ付住宅の一般入居者の利用料は家賃と食事代などを含めると約21万円にもなり、3万円の補助があっても、相当資産のある人か、高所得者でなければ入れません。結局、長年住んできた地域から、追い出され、コミュニティが壊され、町が一変します。区民が安心して、住み続けられる街ではなくなるのであります。

 二番目は、東西デッキについてです。
 東西デッキは「防災のため」とか言っていますが、本当にデッキは安全なのでしょうか。
 池袋駅については、地上部への出入り口が狭い、バリアフリーにもなっていないのが問題です。わが党はかねてよりエレベーター・エスカレーターの設置を求めてきました。区は、駅改善として2011年の計画でも「地下通路のサインの統一」を「短期つまり三年でやる」といってきたのに、一向に進んでいません。
 もともと、池袋駅は鉄道、デパート、地下街があり、それぞれ利害もあり、その調整が難しいのです。サイン一つでもなかなか実現しないのに、区は東西デッキを進めようとしています。西口にしても東口にしても地上部への出口が狭いことが問題で、これは防災の面でも同じです。バリアフリーの問題も解決しないで、デッキを作れば防災上安全だというのは間違いです。
 また、東西デッキはいったいいくらかかるかわからない事業なのに、未来戦略プラン2015にも大きく掲載され、すでに調査費に2500万円使い、来年度は調査費設計費で4800万円もの予算が組まれています。この姿勢が問題です。

 三番目にグリーン大通りのオープンカフェと豆電球の装飾についてです。
 オープンカフェの社会実験5100万、街路樹の装飾5000万円が計上されています。オープンカフェは社会実験とか言って麗々しくやっていますが、金をかけてやるほどの話ではありません。日本の風土は四季があり、温帯とはいえ島国、雨が多いのです。夏は温暖化の影響で日中は最近、35〜6度になることもあり、冬は北西風が強く、ビル街は特に強いのです。ヨーロッパだってパリやイタリアはあるが、雨の多いロンドンは少ないのです。ましてグリーン大通りでは、店の前に設置するのではなく、車道側にテーブルをおいて、警備員を置くなどしているもので、もともと適していないのです。最初の実験の報告でももろ手を挙げて賛成している商店は少ないです。「文化」「アートカルチャー」といっても物まねで上から目線では決して成功しません。無駄使いの典型です。

 四番目に新庁舎の「まるごとミュージアム」についてです。
 予算の6100万の大方は、庁舎の壁に展示する作品のスポットライトなど設備工事にかかる費用です。モンパルナスに関係する作者の作品など72点は重要なのでレプリカを作って常設するとのことです。美術作品は本物を見てもらうことが、見た人に感動を与えるものです。レプリカを飾っておくなどは、こんなものを区は持っているという「見せびらかし」以外の何物でもないし、これをやめれば5000万円も浮くのです。

 ここで、新庁舎についてもう一点述べます。
 区長は「最大限環境に配慮」した庁舎としています。しかし、緑化についていえば、当初10階の豊島の森を含め3400uとしていたのが、2900uとなり、完成した緑化部分は2400uに減少しています。
 エコヴェールの壁面緑化は2013年の広報に掲載された「絵」ではグリーンウォールでしたが、完成時にはポットに植えた「木」になっていました。花が咲く木もあるそうですが、手入れと費用が大変掛かるのではないでしょうか。
 また、庁舎の非常用電源に重油を使うとのことですが、いまどき重油など環境に悪いものを使うことはないでしょう。せめてガスにするべきです。
 区内のCO2の削減は、環境年次報告でも減少どころか、年々増大しています。区長は、「数字が出てくるとは限らない」というようなことをいいましたが、新庁舎のエコだけでは無理があります。環境を売り物にする以上、具体的な数字が出るようにするべきです。
 新庁舎の審議をした当時の都市計画審議会では、学識委員からも建物のボリュームが大きすぎて美しくないとか、広場、緑が良好なストックになるような設計を求められていましたが、十分反映しているとは考えられません。庁舎というのは区民の自治のシンボルであり、区民サービスを提供するところです。それ以上でもそれ以下でないことを肝に銘じるべきです。

 以上、大型開発優先で無駄遣いをしており、また住んでいる人が住み続けられない予算であります。 

 第三に区民生活を支える財政運営になっていないことについてです。

 今回の予算編成にあたって、15、16、17年度まで三年間の投資的経費の資料が出されています。わが党は、5年間2019年度までの投資的経費の見込みについて、資料をいただきました。
 2015年度148億円、16年度222億円、17年次148億円の計370億円、さらに18年度149億円、19年度は245億円、5年間で総額912億円と見積もっています。19年度大きく膨らむのは、現庁舎地周辺整備事業、新ホール55億円と区民センターなどの28億円が原因です。
 わが党は、現庁舎周辺整備事業については繰り返し問題点を指摘し、撤回を求めてきました。現庁舎地周辺整備とは、現庁舎地を民間企業に最大70年間貸し付け、目標額141億円の賃料を前倒しで一括して支払ってもらうのですが、同時に区は「価値を高める」として、オペラやミュージカルのできる新ホールを整備するなど114億円以上の区民の税金を投入するものです。新ホールについては当初50億円と言われましたが、消費税10%分があることや共用部分は事業者の提案によるものとされたことから、55億円プラスアルファとなることは明らかです。
 また、東西デッキや造幣局跡地については、ここには含まれていません。東西デッキはいくらかかるか、わからないのに、進めようとしています。
 これでは、特養ホーム、保育園の増設や区有施設の改修改築、学校の改築、さらには、くらし福祉営業を守るための予算が、はいらなくなります。

 さて、区は、今議会の最終日に、現庁舎跡地の事業者について、優先交渉権者を発表するとしています。その際、入ってくるお金の金額、入金の時期、新ホールを含む事業の概要についても報告するとしています。
 いつ、いくらのお金が入ってくることになるのか、新ホールがどのようになるのかは、来年度以降、将来にわたっての財政運営にとって重要です。19日に発表するのでは、この予算審議中には議論できないではないか、今公表すべきだ、と追求しましたが、区は「19日に公表します」というだけでした。区民無視、議会軽視も甚だしいものです。

 区長はこの予算を二年連続の「財政調整基金温存予算」といいます。しかし今年度2014年度の途中で新庁舎建設の136億円を払うために財調基金を110億円とりくずしたのです。そして来年度は第三回定例会または第四回定例会で、庁舎建設基金を廃止する予定にしています。そのためには、79億円の「運用金を解消する」必要があり、当初予算で7億円余の償還をしても、一時的にせよ70億円強が必要です。これまで財調基金は年度末には残高35億円、これに決算剰余金が20億円程度でて、全額積み立てるので残高は55億円としています。庁舎解消の財源の見込みについて財政課長は、「今のところは一般財源を使うということしか言えない」と答弁していますが、70億円のお金をどこから持ってくるのか、結局はためこんだ財調基金をつかわざるを得ないのでありませんか。

 また、消費税増税で入ってくる地方消費税交付金の増収は26億1200万円、そのうち拡充事業には11億8600万円余り、残り14億2300万円は社会保障の安定化に寄与する財源として使うとしていますが、何に使うかは不明確です。お金に色はついていないのです。
 実際に消費税が上がったために、負担が増えているのは低所得者です。区も莫大な負担をすることになります。付け加えるなら、福祉関係の事業所はもともと経営が困難なところへ、消費税で経費負担が増えています。精神障害者作業所ではこれまでも交通費補助金が減らされた、今度は消費税で家賃が上がった、と悲鳴が上がっています。しかし、こういうところには、補助金はふえていないのです。
 予算審議を通じて、社会保障関係で区の負担分が減っていることが明らかになりました。生活保護で3億円余、国民健康保険で五億円など巨額の費用が浮いています。これを、困っている区民に対する施策拡充に使うべきですが、予算には反映されていません。

 国にいいなりになっている点について述べます。
 マイナンバー(番号制度)については今年10月には住民への番号の通知がなされ、来年にはカードが交付されることになっています。番号制度は個人情報を一元的に国家が管理するものであり、同時に民間もこれを扱う、たとえばさっそく給与支払い時には労働者の番号を企業が取り扱うことになる、今後はさらに民間企業が番号を使って個人情報を調べことができるようになることを予定しているなど、住基ネットに比べてもはるかにプライバシー侵害の度合いも情報漏れの危険も大きいものであり、わが党は制度そのものに反対です。国の基準など様々な事項の決定も遅れている、新庁舎移転によるシステム変更がある、現場は大変ではないか、と聞くと区は「白旗を上げるわけにはいかない」と国に中止、延期を求める気はありません。番号制度に伴うシステム整備などの費用は本来国が全額を出すべきなのに、新規拡充予算を見ますと番号制度対応事務及び税務システム整備関係経費、総額6400万円余のうち特定財源が2000万円、区の一般財源が4400万円と、持ち出しになっています。
 以上区民生活を支える財政運営になっていません。

よって、豊島区一般会計予算に反対します。

 つづきまして三特別会計についてのべます。
 まず、国民健康保険事業会計についてです。
 一人当たり保険料が前年比3、442円上がり、2014年度の10万3、103円が10万6、545円になります。すでに、国民健康保険料は、加入者の負担限度をはるかに超える状況になっています。
 その一つの原因は、4年前まで住民税を基準にして算定していた保険料を「旧但し書き方式」にしたことにより、さまざまな控除が影響しなくなり、一挙に保険料が跳ね上がりました。そのため2年間の激変緩和を行いました。さらに13年度14年度二年間については、低所得者に対して、住民税非課税世帯への減額措置を不十分ですが(11億円)おこないました。ところが15年度は、それすら廃止してしまいます。
 二つ目の原因は、保険料を低く抑えるために、各区が一般財源で負担していた高額療養費等を賦課総額に反映したため、保険料が高くなったのです。毎年4分の一ずつ算入していくことにしています。その額は、豊島区では5億円になります。
 国民健康保険は、国民皆保険制度の考えのもと作られた制度です。加入者は、組合国保や協会健保などに入れない高齢者、低所得者、自営業者などであり、最近は、非正規労働者など若年者の加入も増えています。制度上収入が少ない世帯が多く、豊島区でも、加入者の39・3%が所得のない人であり、150万を超え200万円以下が34・7%という数字をみても低所得者、低収入世帯の医療、つまり命がかかっている制度なのです。にもかかわらず、保険料を下げるどころか、上げるとは貧しい人は医者にかかるなということと同じことです。23区統一ということで区長の責任を回避し、一般財源の投入は公平性を口実に行わないとは命をないがしろにするものです。安倍内閣の社会保障改悪は、もちろん言語道断です、国保への国庫負担金も大幅に減っています。
 4年後には、「広域化」つまり都道府県に国保を移す方向で政府、厚労省は動いています。23区もこれにむけて、高額療養費等を賦課総額に反映しているのです。しかし、「広域化」で保険料を全国水準にすると、もっともっと上がります。23区民が力を合わせて一般財源を繰り入れて、少しでも払える保険料にしてきたのが出来なくなり、区民の声も反映しなくなります。
 高くなった保険料は、資格証や短期証の大量発行につながり、差し押さえ件数も毎年のように増えています。相談、相談といいますが、派遣や非常勤、アルバイトで暮らす人は、休めば日当が減り、払えないというコンプレックスもあり、区の敷居が高いのです。そういう区民の気持ちをわからないで、徴収強化ばかりでは、だめです。やっと超短期証をもらって病院へ駈け込んだら即入院、3か月でなくなるというケースもありました。医療費を下げるのは、早期診断、早期治療が遠いようで一番近道なのです。

 後期高齢者医療事業会計について述べます。
 保険料は2年ごとに改定され、2014年度は、所得割率が引き上げられ、均等割も2100円増の4万2200円になり、その結果、一人当たりの保険料は、2013年度は9万2980円から9万7098円となり、年額で4118円、率で4.4%の値上げとなりました。2割から5割軽減拡大などで、合計で1446人が保険料の軽減がされましたが、それ以外、被保険者の95%が、引き上げ率9%前後の大幅な値上げとなってしまいました。保険料の改定の度ごとに大幅に引き上げられるということは制度そのものが破たんをしているということです。
 また、保険料滞納者が820人、短期証の発行は22人、差し押さえが2人です。資格証の発行はなしということですが、空白期間を作らないのは当然です。そもそも短期証の発行、差し押さえははやるべきではありません。高齢者に医療を保障するのは当然です。保険料の財源確保などのために、国と東京都に要求すべきです。後期高齢者制度は、75歳以上の高齢者を差別する医療制度です。しかも、広域連合だと、区民の実態が反映されないもので、後期高齢者医療制度はただちに廃止すべきです。

 介護保険事業会計について述べます。
 来年度、介護保険については、特養ホームの入所は原則要介護3以上とする、一定所得以上の世帯は利用料を2割にする、補足給付の支給にあたって配偶者の預貯金なども勘案する要件の厳格化、介護報酬の二回連続しての引き下げなど、改悪が目白押しです。
 来年度の保険料は値上げされ基準額で年間69480円、月額では7200円となり月額600円増となります。特に、第一段階については、現在は月額2070円ですが、4月から2890円になり月820円の値上げになります。低所得者の保険料軽減を実施する予定ですが、それでも月2600円で、530円の値上げとなります。低所得者にとっては重い負担です。

 保険料増額の主な要因は@第一号被保険者の保険料負担割合が22%に1ポイント増えたこと、A地域区分の見直しで18%から20%になったこと、B第一号被保険者の増数等による事業費見込となっています。実は、地域区分の見直しや「介護報酬の引き下げ」など介護報酬改定については、2月10日から3月11日までパブリックコメントを実施していました。国民に意見を聞く前に、その内容を組み込んで自治体が介護保険料も事業も決めていかねば間に合わない、課長も「大きな変更はないと理解している。四月から混乱のないようにやる」とそもそも国民や区民の意見をきくという姿勢が全くないということです。
 現在の介護保険は介護サービスの量や介護職員の労働条件の改善が、ただちに保険料や利用料の負担増に跳ねかえるという根本的な矛盾をかかえています。介護報酬外で待遇改善を図るとか(これは以前実施されていた)、介護保険の国庫負担割合を引き上げればいいのでかす。かつては国が50%負担をしていたのです。その財源についても日本共産党は消費税増税に頼らないやり方を提案しています。

 認知症対策について、認知症になった方はどうするか、ということです。特に豊島区は高齢一人世帯が多い、家族がいれば早く気づくこともできるが、一人暮らしだと、お金の管理ができなくなって、それでもお金がないことはわかるので、「お金がないから医者に行かない」「介護サービスも利用しない」となってしまうのです。
 特養ホームは足りない、在宅は無理となると認知症の方の施策として、グループホームがあります。低所得者でも入れるとして、現在豊島区では生活保護でグループホームを利用しているのは17人いるとの答弁がありました。
 資料によると区内のグループホームの家賃は、最低でも6万4000円、高いところは10万円を超えるものまであります。生活保護の場合、家賃は特例なら69800円、そうでなければ53700円であり、この差額は、結局事業者が負担をしています。生活保護の住宅扶助が減らされれば、さらに負担が増えます。
 また生活保護では、死亡後のお金は出ないので、なくなった後の荷物の処分や壁紙の張り替えなどは、アパートなら礼金敷金でまかなえない部分は家主が、それがないグループホームなら事業者が負担することになります。これでは、ますます生活保護の受け入れが困難になるではありませんか。理事者もあくまで「協力をお願いしている」と言っているように、強制はできないのです。入れる場所がなくなれば、行きつく先は、「たまゆら」のようなところになってしまいます。安心して介護が受けられる状況ではありません。
 介護保険の改悪だけでなく、生活保護の改悪で二重三重に事業者への負担をおしつけることは、結局利用者へのサービス低下につながることになります。

 以上、第33号議案 平成27年度豊島区一般会計予算、ならびに 第34号議案 第35号議案、第36号議案の3特別会計に反対するものです。
 これで、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。