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区議会質問
第67号議案
豊島区都市計画審議会条例の一部を改正する条例反対討論
(渡辺くみ子)
2013/12/06

    私は日本共産党豊島区議団を代表し、只今議題とされました第67号議案 豊島区都市計画審議会条例の一部を改正する条例の可決に反対の立場から討論します。

    都市計画審議会は都市計画法にもとづき、1つに区が決定する都市計画に関する事項を調査審議する、2つに区長の諮問応じ、都市計画に関する事項を調査審議するとし、現在、学識経験者、区議会議員、行政機関、区民等21名の委員で構成されています。
    本条例案は「都市計画マスタープランの改定や、木密地域不燃化10年プロジェクトの実施に伴う街づくり計画及び事業の展開など、各種街づくり課題への対応について、都市計画審議会による効果的な審議及び調査を実施するための体制を整理する」として、現在の都市計画審議会委員のほかに、新たに臨時委員、専門委員を加える。また審議会委員、臨時委員、専門委員から会長が指名した委員で構成する部会を設置するというものです。

    まず第一の問題点は臨時委員の設置についてです。
    区は臨時委員の設置について、都市計画及び街づくり等に関する特別の事項を調査審議させるため、臨時委員5名以内を任命するこができる規定を追加し、任期は当該事項の調査期間としています。区が示す想定する臨時委員は、1つは審議会委員の学識経験者の専門分野以外の専門的知見を有する学識経験者、2つ目には、都市計画に関系する街づくり協議会や町会等の役員などとしています。さらに議事に関係する臨時委員は審議会の定足数に加えられ、表決数に加わるとしているのです。
    都市計画審議会は先にも述べましたが、都市計画法に基づいて設置されており、第一条に「都市計画に関し必要な事項を定めることにより、・・国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする」とし、第二条の基本理念では「・・健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びに・・土地の合理的な利用がはかられるべき」と定めています。要は審議会は豊島区全体にとって「公共の福祉の増進に寄与する」かどうか、「健康で文化的な都市生活等が確保」できるかどうかを調査審議する場であります。
    ところが臨時委員は審議に直接関与する当事者であり、しかも議決権まで有しているとなると、審議会そのものが当該の都市計画を進めるためのものとなり、本来の目的から外れることになります。
    区は「公平性は守られる」「街づくりは区と街づくり協議会で進めているもの」「臨時委員すべてを協議会のメンバーでしめることはない」と説明していますが、当事者が関わることに変わりありません。このような臨時委員の設置は審議会の性格からしても正しくありません。

    第二の問題点は専門委員の構成です。
    区は専門委員の設置について、都市計画及び街づくり等に関する専門の事項を調査し、任期はその調査期間としています。想定される専門委員は、審議会委員の専門分野以外の学識経験者及びコンサルタントとし、2つ目には、都市計画に関系する建築及び不動産等の諸団体の代表者などとしています。
    専門委員には議決権はありませんが、「コンサルタントや建築家、不動産等の代表」は、すでに現行の都計審にも入っており、さらに加えることになると、「開発を進める立場の代表」の力が強くなります。
    委員会審査で担当理事者はコンサルタントについて「直接、事業計画には関わっていないコンサルタント」との答弁がありました。しかし都市計画のコンサルタントとは、自治体等から受託した都市計画業務をおこなっています。結局、その役割は開発事業を進める立場から専門的知識を持って住民間への指導援助を行っているものであります。専門委員は議決権はありませんが、その業務は区が提案する都市計画を遂行する立場から調査することは明らかで、臨時委員同様、区民にとっての都市計画をたてるうえで、バランスをかいたものになります。

    第三の問題点は部会の設置についてです。
    区は部会の設置理由として、審議の効率的な運営のために審議会に部会の設置規定を追加するとし、さらに部会の委員は審議会委員、臨時委員、専門委員から会長が指名するとしています。想定される部会は「木密地域不燃化10年プロジェクトの実施に伴う都市計画及び街づくり事業の展開に関する部会」「都市計画マスタープランで示すことになる都市計画手法等の検討に関する部会」としています。結局今後予定される特定整備路線とそれに関連する開発行為等を急いで進めるためのものであります。
    都市計画審議会の審議は、区の事業計画が妥当か否か、様々な分野の委員によって客観的な意見をもとに審議し結論に至るもので、重要なのは、その意思形成過程にあります。
    都市計画とは、「百年の計」であり、将来の街がどうなるかであり、住民の生活に大きな影響を及ぼします。そのため、都市計画を定めるときは、行政機関だけではなく、学識経験者や議会の議員、専門の団体の代表や区民の代表などから構成されており、だからこそそれぞれの専門の立場からの意見は大変重要なのであります。
    それを「案件が多くある」ことを理由に「効率的な運営」のために部会でまとめられた一定の結論だけが示されるのであれば、それこそ審議会そのものの役割からずれ、形骸化することになります。
    委員会審査で担当理事者は「現在でも専門家の入った検討委員会で検討しているものも多くある。公開もしている」「今度はそれを審議会の委員で部会を作り進めるとしたもの」と答弁していますが、しかし現在の検討委員会は計画が正式に出る前の案を作るところで、審議会とは別ものであります。

    以上、具体的な問題点を指摘しましたが、そもそも街づくりとは年月をかけ住民参加のもとで、いろいろ検討しながら進めるものです。先ほども言いましたが、まさに「100年の計」であり、「効率的」に進めるものではありません。
    現在でも都市計画に基づく街づくりは、賛成もあれば反対もあります。直接かかわる住民の意思、そして区全体にとってどうなのか、都市計画審議会には、そのことが一番問われるところです。それを「効率化」を前面にして、開発を進める専門家集団を作り、まさに「開発ありき」の形を作るための今回の条例案は大問題です。
    本来、直接当事者の意見を聞くことは大事で、事業計画に直接かかわる住民、周辺の住民、再開発を経験した住民などに審議会の席上で意見陳述の機会をつくることこそ都計審として取り組むべきことであります。

    以上三点の問題点を指摘し、第67号議案 豊島区都市計画審議会条例の一部を改正する条例の可決に反対し討論を終わります。