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区議会質問
2012年度決算の認定に反対する意見開陳(渡辺くみ子)
2013/10/22

 私は、日本共産党豊島区議団を代表いたしまして、2012年度一般会計決算並びに国民健康保険事業会計決算、後期高齢者医療事業会計決算、介護保険事業会計決算の認定に反対の立場から意見を述べます。 
 討論に入る前に、お忙しい中で私たちの資料要求に対応していただきましたことにお礼を申し上げます。これらの資料は今後とも活用させていただきます。理事者の皆様から職員の方々にもよろしくお伝えください。
 
  では、討論に入ります。
 今決算年度の2012年は民主党政権の3年目の年でした。しかし次々と公約を破り「自民党型」に逆戻りし、国民の批判の中でついに解散に追い込まれ、総選挙で大敗北を期したのであります。
 そしてその後を受けた安倍自公政権は「経済を立て直す」と「アベノミクス」を打ち出しました。アベノミクスの中心は公共事業の拡大で、10兆円を超す財政支出で、国と地方合わせ総事業費で20兆円にのぼる対策を打ち出しました。震災復興関連はともかく、「国際競争力強化」の名のもとに、大都市圏環状道路や国際コンテナ戦略港湾の機能強化など、まさに不要不急の大型公共事業の復活です。  
 10月1日安倍首相は消費税増税を明らかにしました。そして「増税を進めると景気が悪くなる」と6兆円の景気対策を打ち出し、このうち2兆円は大型公共事業、もう2兆円は大企業減税とまたもや大企業へのばらまきとなっています。  
 アベノミクスは、企業収益があがれば経済が成長し財政再建ができると言い続けていますが、企業収益が上がっても国民に還元しなければ、経済は再生できないことは、この間の経過を見ても明らかです。          
 
 では東京都はどうでしょうか。
 2012年末石原都知事は突如辞職し、その後を受け継いだ猪瀬都知事は今後の3カ年の主要な事業を示した「アクションプログラム2013」を提案。総事業費2兆6,800億円の31%を公共事業として1m1億円もかける外環道建設や大型開発に投入しています。反対に少子化対策は2%、高齢者対策には3%、若者の雇用対策は0,7%です。商店街振興対策は項目すらありません。都営住宅の新築は相変わらずゼロです。まさに国と同様に、街づくりと称して大型開発には都民の税金をどんどんつぎ込み、暮らしには見向きもしない都政を続けています。
 
 さて、国や都が大型開発にまい進する下で、区長はこれらの流れにそって、「来街者が多く来る賑わいのある街をつくることが活性化につながり財政を潤す」といって、あらゆる分野に「街おこし」「地域ブランドを作る」と声高にいって、「東の新庁舎に対置する」として西部複合施設の建設計画を進めています。さらには木密地域不燃化10年プロジェクトによる7本もの道路建設計画を「快挙」と称賛するなど、開発事業にまい進しています。
 このような区政の下で区民の暮らしはどうでしょうか。生活保護受給者は増え続けています。わが党区議団がこの年に行った区民アンケートでは、この1年間で生活は「苦しくなった」が58%で、「よくなった」はわずか1,5%でした。また住民税、保険料が2011年度に比べて67%が重くなったとし、74%がこれ以上の負担には耐えられないとしています。区民の置かれている状況は厳しいということです。

 日本共産党区議団は、2012年度決算審査にあたり、第一に区民生活を守る財政運営になっていたか、第二に区民の暮らしを直視し切実な要望に応えるものになっていたか、第三に将来にわたって区民が暮らしやすい街づくりとなっているか、の観点で審査にあたってきました。

  第一に区民生活を守る財政運営になっていたか、についてです。
  区長は「景気に左右されない強固な財政基盤をつくる」「身の丈を踏まえた健全な財政運営を」と繰り返し、「財政難」を強調しリストラや区民サービスの削減に突っ走り、金を余らせ、基金に積み込み3年間で125億円もの借金返済をしてきました。そして「財政を立て直してきた」と言い続けてきたのです。
  ところが2012年度の予算編成時の10月、区は依命通達を出し、56億円の財源不足が生じるとして、各部局に徴税や徴収強化での歳入確保や、事業の徹底見直しを求めたのであります。
  その結果、一般会計の当初予算は対前年度比マイナス3,7%、38億円減とし、財源不足を補うためとして財調基金約19億円を取り崩し編成したものです。
  ところが、決算ではなんと実質収支は20億1500万円の黒字で実質単年度収支は3億円の黒字となり、さらに財調基金は前年度末53億円だったものがこの決算時63億円と10億円も積み増ししたのです。
 後ほど款別で詳しく述べますが、保育園の待機児や特養の待機者、住宅困窮者などなど切実な区民需要には十分応えず、リストラや区民サービスを削り続け、決算で黒字になっても区民に還元するどころか基金に積み込んだのです。まさにごまかしの黒字であります。
  結局、区長の進める財政運営は区民サービスを最優先とする本来の自治体のあり方から大きくかけ離れているということです。
 一方、この予算の重点施策では、都市再生、魅力あるまちづくり、価値あるまち、地域ブランドなどの表現が、まちづくりでも、中小企業対策でも、文化、観光、環境など随所にしるされています。区長は「魅力あるまちづくり」で来街者を増やし、土地の価値をあげ、金持ちが住むようになれば税収が上がり歳入確保につながるという構想に基づき、「豊島区の価値をあげる」ため大型開発などの先行投資に突き進んでいるのです。そしてその一つが新庁舎建設であり、東西デッキやLRTをはじめとする池袋グランドビジョン構想であり、西部複合施設建設計画などであります。
 こういう中で、今年6月区長は突然、現庁舎地活用について、公会堂を新ホールとして50億円で民間が建設したものを買い取るとした計画を明らかにしました。その後の全協、決算、総務委員会等の審議経過で明らかになりましたが、区はこれまで17億円としていた新公会堂を豪華な劇場ホールとし、22億円としていた新区民センターを、生活産業プラザの大規模改修と合わせて44億円に。さらにダンベル方式などと言って中池袋公園や南池袋公園の改修、新庁舎地までの周辺区道整備などを盛り込み、起債63億円とする総事業費113億9千万円もの計画です。
  そのうえ、担当理事者は「新ホール計画はこれから事業者に当たる」その結果「50億円で行えるかわからない」と繰り返しました。まさに企業任せでまたもや市場経済に区民の財産を任せるとしているのです。
 そして都市整備部長は池袋駅東西デッキ構想の検討の具体化を示唆し、合わせて造幣局跡地整備への取り組みなど、次々と大型開発を進める具体的な動きを示しました。
  どれだけ区民に負担を強いるというのでしょうか。なんと無謀なことでしょうか。まさに区長の暴走としか言いようがありません。
  区は、今後の投資的経費について、学校の改築、特養増設、保育園の改築や改修、区民ひろばや勤労福祉会館の改修等々、公共施設の改修だけでもこの3年間で576億円としています。これらは区民にとって待ったなしの課題です。
  しかも入札が不調となり16億円もの補正をせざるを得なかった西部複合施設の建設計画でも明らかになりましたが、建設コストは消費税増税、資材高騰等今後いくらかかるかわかりません。また新庁舎地周辺で再開発が行われれば、新たに数十億円の負担になります。
  区はこれからの財政運営で、「今後も扶助費等が歳出全般を押し上げる状況が懸念される」として「引き続き財政健全化の手綱を緩めることなく進める」と区民サービスの切り下げをしながら、一方「投資的経費の増加への対応については、基金を計画的に充当し、起債を積極的に活用するとしているのです。
 計り知れない財政負担は今後大きく区財政を圧迫し、区民に多大な負担を強いることは明らかです。このような現庁舎地活用計画は直ちにやめるべきで、東西デッキ構想などはもっての外です。

 そもそも現庁舎地の活用は「新庁舎建設には区財政に負担をかけない」として、新庁舎建設の141億円を確保することを目的に、50年の定期借地方式を設定してきたのです。当然現庁舎地の活用と地代の確保は切っても切れないものであることは明らかです。ところが、新庁舎の資金計画については「路線価は下がっている」と言いながら、具体的な対応、計画はまったく明らかにしません。
 さらに、現庁舎担当理事者らは「今回の新ホール構想は新庁舎と分けたもの」「将来にむけたまちづくり。池袋の価値をたかめるため」のもので「定期借地料が厳しくなっていることは事実だが、賃料の確保は別」と言い続けています。しかし新庁舎建設費141億円の確保は至上命題であり、区長は今回の構想について、私の質問に「新庁舎のお金を生み出していくには現庁舎周辺の整備をやっていかないとダメ」と答弁し、価値を上げるために113億9千万円かけることを認めたのであります。
 結局、わが党が指摘してきたように、不動産市況にゆだねた新庁舎の資金計画は破たんしたということです。
 以上、このよう財政運営は認めることはできません。

 第二に区民の暮らしを直視し切実な要望に応えるものになっていたか、についてです。
 1つ目に保育園待機児解消についてです。
 わが党区議団は、日増しに増える待機児童解消について、毎回の議会で取り上げ、認可保育園の増設こそが根本的な解決の道であることを指摘してまいりました。
 今決算年度も区は努力したとは言いますが、今年4月の待機児童は、新定義でも270名と昨年の129名から倍増してしまいました。9月には大塚駅ビル内に認可保育園が開設しましたが、旧定義で449人だった待機児童は、504人に増える結果になりました。これは認可保育園に入所を希望していたが、入れずにいた潜在的な需要があったことを示しています。区民の多くは認可保育園に入所を希望しているのです。
 ところが理事者は、多くの区が認可保育園を増設しているのに本区が新設しない理由について、新設しても待機児が増えているとか、開園までに2、3年もかかるとか、特定の場所に設置しても通園できないなどの理由をならべ、認可保育園の新設を拒み続けています。そして、新設のために、長期の期間を要するよりも、改築・改修による定員増、認証保育所、小規模保育所、保育ママの設置等を組み合わせて実施するほうが、現実的な待機児童対策となるとして、これまでと同じやり方で解決を図るといいます。
 しかしこのやり方では解決しないから、待機児童が増えているのです。認可保育園の新設を否定する区の考えは根本的に間違っています。直ちに認可保育園の定員を増やすために新設を含めた抜本的な解消策を図るべきです。
 合わせて、認可保育園に入れずに認証保育所や臨時保育所、保育ママ、小規模保育所に預けている保護者の保育料の負担軽減策を大幅に拡充すべきです。

 2つめは特別養護老人ホームについてです。
 区は今年1月から特養ホームの入所申込書、優先入所基準を変更し、その結果、昨年12月末の待機者は1,235人でそのうちAランクの待機者は492人としていたものが、今年6月段階で待機者619人、Aランクは187人としました。
 区は、これらの待機者解消に対して、今後千川小跡地と旧中央図書館跡地で進めている特養建設が完成すれば194床確保でき、Aランクの待機者はすべて入れるとしました。しかし今後も待機者は増加することは明らかで、新たな特養ホーム増設は待ったなしです。
 改めて増設計画を質しましたが、理事者は施設の必要性は認めるも、都は新たな対応を検討中とか、他施設の関わりや、複数の自治体との連携等、いろいろ理由を言い、特養増設の具体化はまったく示しませんでした。
 Aランクとなる基準は本人の介護度が高いこと、介護者の有無、介護者がいても障害がある、病気、子育て中、就労など、さらに本人が認知症かどうかなどとしています。これらの状態を見ればまさに「直ちに入所が必要」な状態です。ところが理事者は「Aランクの設定は区が待機者の状態等、実態を把握するためのもので、入所を勧めるものではない」と答弁。とんでもないことです。そもそも介護保険は介護度1から5度に認定されればだれもが特養入所の申請ができ、入所できるのです。それが対応できないため、区はこの間、勝手に“Aランク”などとランク付けしてきたのです。しかも今回さらに“優先入所基準”としてランク付けの基準を厳しくする改定を行っているのです。このようなやり方は認められません。

 3つ目は防災についてです。
 東日本大震災の発生から、早くも2年と7か月が経過しました。いつ起こるか分からない首都直下地震への備えが区民から求められています。区が、大震災の教訓をどう生かし、どう取り組んできたかが正に問われます。
 マグニチュード7.3規模の地震が発生した際、区民の避難予想数34,115人に対し、救援センターの収容可能数は2万人しかありません。これは、小中学校の統廃合により、救援センターの数が減らされてきたことによる影響が大きいのです。地域によるアンバランスも問題で、雑司が谷、南池袋地域ではかつて5か所あった救援センターが現在は2か所しかありません。朋有小学校も、時習小学校の廃止や人口増により、区域内の世帯数は、区内で一番多くなっており、防災訓練の時に町会から、「入りきれないのではないか」と不安の声があがっています。
  ところが区は、これらを問題視することなく、代替施設を設けるなどの対策を行ってこなかったのであります。わが党が、都立高校などを救援センターにしてはどうかと提案しても、これからの課題などと答弁しやる気がありません。
 また、8月と9月に南大塚1丁目で多くの世帯が被害にあったゲリラ豪雨の際、巣鴨小学校の、正門は閉じたままでした。これでは必要なときに救援センター他、公共施設が開かれるのか、本当に区民が避難できるのか、区の防災に対する姿勢も取り組みも不十分です。

 4つ目は生活保護についてです。
 国が不況を広げてきたことや、年金などの引き下げ、労働者派遣法の改悪などで、生活保護受給者の増加は、とどまることを知りません。これまでも老齢加算の廃止などありましたが、安倍政権が8月から実施している保護費の過去最大の引き下げは、アベノミクスなどによる生活必需品の値上げラッシュと重なり、受給者に深刻な打撃を与えています。
 国と同様に、区も法外援護を次々に廃止、削減してきました。わが党が、せめて入浴券の支給枚数復活を求めても、60枚を30枚に削ったままであります。食費など生活費を切り詰め、香典を捻出できないために身内の葬式さえ出られない。今年も猛暑の中で、毎日450円の銭湯代は出せないと我慢をしている。とても人間らしい生活とは言えません。劇場ホール等の箱ものに莫大な費用をかけながら、2千万円の予算で出来る入浴券の復活を拒否する理由がどこにあるというのでしょうか。60枚支給している他の区に比べて、弱者に冷たい区政だということです。
  住宅扶助についても、一人暮らしの場合の上限53,700円では、老朽化している、急な階段、風呂が無いなどで、特に高齢者にとっては住みにくい所しかありません。
 わが党が提案したように、一人暮らしの場合でも69,800円を適用すること、2人以上の場合は、さらに上乗せをすべきです。
 ケースワーカーの数についても若干の増員はありましたが、まだまだ不足しています。職員の増員なくして、就労支援など受給者に対するきめ細かい対応はできません。

 5つ目は障がい者対策についてです。
 わが党は目白の身障センターの改築について毎回指摘をしてまいりましたが、今年9月からやっと耐震補強工事が始まりました。しかし大規模改修は4年後の2017年としたままです。区は築年数からみれば改修で充分としていますが、身障センターは障がい者福祉の基幹施設でもあり、また利用状況の変化や改修状況などからみても、この間指摘しているように改築が必要です。
  福祉救援センターについても対応が進んでいません。理事者は一時的な避難場所と言いますが、東日本大震災の経過を見ても、一時的な対応では不十分なのは明らかで、また様々な障がいに対応するためには一般の救援センターでは十分とは言えません。さらに今予算審査時に早急に検討し対策を示すとしていたにも関わらず進んでいません。
 法外援護施設のさくらんぼについてです。多くの保護者らは同種の施設を東側にも増設
をと求め続けています。区は利用方法等を検討中といいますが、保護者からは「利用できなかった」との声が上がり続けているのです。在宅で頑張っている保護者にとって、様々な理由で緊急避難的な利用ができるのが「さくらんぼ」の役割です。改めて同種の施設の増設を求めます。

 6つ目は中小企業、商店街支援策についてです。
 日本経済、景気は上向きになっているといいますが、それは大企業であって、まちの中小零細企業、商店にとってその実感はありません。長い間商売をしていた老舗の商店も次次と閉店するのを目の当たりにしますと、その対策は急務です。
 安倍首相は、来年4月から消費税を8%に増税することを表明しましたが、まちの商店からは「消費税が増税されたら商売はやっていけない」という悲鳴が寄せられているのに、区長は増税について反対表明しないという態度も許せません。
 今、街の商店を活気づけ、売り上げを伸ばすためには、お客さんの財布を開いて買っていただかなければならないし、安くしなければ売れないのですから消費税増税の中止を求めるべきです。
 この年度では、都市再生、魅力ある街づくり、地域ブランドの掛け声で、予算編成されましたが、商工振興策ではいくらメニューを並べてもその執行率は上がりませんでした。今の中小企業や商店街対策として実態に合っていないからです。
 来街者を呼ぶ施策で、街おこし、商店街振興をしようとしても、それはうまくいかないことは明らかです。高野区政になって一番削られたのが商工予算です。
 街のブランドをあげ、商売できる人を呼び込むという支援は改めるべきです。今困っている中小企業を救済できず、商店街の衰退を野放しにすることは到底認められるものではありません。

 7つ目は住宅対策についてです。
 保証人や初期費用、家賃の問題から一般の賃貸住宅に入れず、やむなく格安の脱法ハウスに入居する人が増えています。増加の背景にあるのは、格差と貧困、セーフティネットの脆弱さ、特に住宅政策の欠陥があげられます。住宅はあらゆる生活の基盤です。住宅を失うと仕事も失いかねません。
 今、消防法違反などでこのような脱法ハウスの摘発があいついでおり、転居を余儀なくされるケースが、今後ますます急増することは必至です。ところがこうしたケースに対応できる区の住宅施策はありません。家を失い仕事を失えば、最後のセーフティネット、生活保護しかないのであります。
 この脱法ハウス問題は氷山の一角であり、住宅費さえ安くなれば生活が成り立つという、住宅困窮者は増加の一途をたどっています。しかしこの間、新規の都営住宅建設はゼロ、区営住宅も福祉住宅も増設しなかったために、空きは少なく、何十倍もの倍率です。公営住宅増設に背を向けながら進めてきた、空き家活用事業については、始めて数年経過しましたが、ほとんど進展がみられません。このように区は住宅困窮者対策については、何もやってこなかったと言っても過言ではありません。せめて、20年経過したソシエを区営住宅に転用すべきです。そして、わが党が提案したように、転居を余儀なくされた場合、若い人などにも、安心住まい提供事業、住み替え家賃助成を適用すべきです。
 理事者は若者の住宅困窮者対策として、「既存の施策を拡充して行かなければならないと考えている」と答弁しました。施策の拡充など早急な対応を改めて求めます。

 8つ目は道路整備に関してです。
 現在、区道の維持管理にかかる費用は、年間5億円程度とのこと。過去、多いときは10億円の予算が付いたこともあり、そのときと比較すると半減しています。決して十分ではなく、少ない予算で担当課はやりくりしている状況です。先日、住民が区に対して、区道のL字溝の補修を依頼したら、何と色を塗る程度のことしかやってもらえなかったと聞きました。近隣の住民は、区はよっぽどお金がないんだなと言っていました。
 私道舗装については、区の費用の助成は80%で、住民負担が20%。その結果、2009年度から決算年度までの4年間で実施したのはたったの13件です。
 私道だといっても、区道と同じように、人も車も通るのです。私有地だから住民負担があるのは当たり前だといって、所有者に費用負担を求めることは間違っています。費用を100%助成している文京区などと比べると、道路の整備状況に差が出るのは当然です。子どもや高齢者が、いつ転んでもおかしくないような道路があちこちに見られます。これでは、セーフコミュニティ認証にふさわしいとは言えません。

 9つ目は教育費についてです。
 第1は就学援助についてです。
 厳しい経済状況や労働法制の改悪の下での雇用破壊などで、親の経済状況が悪化するなど、子どもの貧困問題は大きな社会問題となっています。こういう中で当該決算年度の就学援助の認定率は小学校で18,4%、中学校で27,3%です。
 私費負担は多額なままで、就学援助制度をきちんと実践することは大変重要なことです。ところが政府は就学援助基準額となる生活保護基準額を今年8月から3年間で10%もの引き下げを強行、今年は3,3%引き下げられました。
 区は就学援助の基準額を生活保護基準額の1,2倍としており、生活保護基準額が下がれば就学援助も下がります。わが党はこれらの問題を一般質問や今年度の予算委員会等でも指摘し、保護者の収入が変わらないのに就学援助から外れる子どもが出ないよう対策を強く要求してきました。
 委員会審査で本区では来年度21人が影響を受けることが明らかになりました。そして教育委員会は来年度の就学援助制度基準は生活保護基準額引き下げ以前の基準で行うことを明らかにしました。
 しかし次年度以降の対策については検討中との答弁のままです。基準比の引き上げをするなど、早急に対策を具体化すべきです。

 教育の2点目は子どもの自転車ヘルメットの着用率向上に向けての普及啓発事業についてです。
 区は、セーフコミュニティの取り組みの重点として、この年、23小学校のうちの一つである朋有小学校をインターナショナルセーフスクールとし、児童の自転車事故を無くすために、全児童を対象にヘルメットの購入費用を一個3,000円予算計上しました。
 しかし他の22の小学校の児童対象の事業は、ヘルメット購入の際は2,000円の補助としていることから、同じ区民、子どもなのに1,000円の差をつけることは差別であり、看過できないとして、予算審査でわが党は、等しく3,000円を補助すべきと是正を求め、修正案を提出しました。
決算の結果は、この事業は、教育委員会で150万の予算で40万8千円、136個の執行にとどまりました。定期監査でもセーフコミニティ認証取得都市として取り組みの強化が指摘されています。
 今年度は、やはり朋有小のみの一年生を対象に3,000円の補助を付けましたが、他の小学校は相変わらず2,000円の補助であります。そして来年度は教育委員会としての補助はするつもりはないというのです。
 モデル事業、教育の一環といいつつ、結局は、セーフコミニティの取得のために朋有小の児童のみに1,000円の差をつけて助成したのです。1,000円とはいえ区内の児童を差別するという、教育委員会が最もやってはいけないことをしたのです。ところが教育長は、「差別と区別は違う」と開き直りました。
 教育の一環というなら直ちに区内の児童に等しく助成すべきです。
  次に第三の観点である、将来にわたって区民が暮らしやすい街づくりとなっているかについてです。
 1つ目は現庁舎周辺整備についてです。
現庁舎地構想について、先の財政運営のところでも指摘しましたが、まちづくりの観点から改めて指摘します。
 新ホール構想について、担当理事者は「区として優れた舞台芸術を鑑賞できる、文化創造の発信できるシンボル的な方向性を新ホールに担わせる」としています。
 そして区長は「豊島区を発展させよい街をつくる。そういう意味で50億円の投資」は無意味でないと強調しました。さらに「池袋の価値の低さを改めてこれでよいのかと思った」「池袋駅から3分で地の利が良いところ、人が行きかうまちにふさわしいようなことを考えていかなければならない」とし、にぎわいの創出だの、回遊性を高めるだの、千載一遇のチャンスと言いました。
  しかし今、全国を見ると、このような手法で街づくりを行った結果、多くの自治体で財政的破綻をまねき、衰退しています。都内でもスカイツリーを建設すれば街が活性化するといわれてきましたが、周辺の商店街はさびれる一方となっているのです。
  まして区長は50億円の根拠も、投資が無駄にならない確証も一切示していません。このような新ホール構想は認められません。

 2つ目は木密地域不燃化10年プロジェクトについてです。
 東京都は、延焼遮断帯を形成するなど防災性の向上を図ることなどを名目に、13区で28路線を特定整備路線に指定し、2020年のオリンピックに合わせるかのように、残る7年というわずかな期間で完成を目指しています。都は、事前に各区と協議を行ったとのことですが、区は温度差があったと言っています。
 特定整備路線に指定された道路が計画決定されたのは、ほとんどが昭和21年です。計画が進まなかのは、事業費の問題や立ち退きを余儀なくされる住民の立場など、それなりの理由があったのです。多くの区が今回の提案を見送ったと思われますが、豊島区は、もろ手を挙げて提案に飛びつき、なんと7路線を決定してしまったのです。
 駒込・巣鴨の補助81号線については、町会長や商店会長を筆頭に住民が見直しを求めています。
 補助73号と82号線は、いずれも鉄道と交差するためアンダーパスとなり、沿道の消防活動、救急活動などに支障をきたしかねません。このことは理事者も認めましたが、これでは役に立たない道路ということです。
 補助26号と172号は、商店街への影響が心配されます。立ち退きは区内で900棟以上、数千人に影響が出ます。
 区は、あと5年で立ち退いてもらわなければならないと言いますが、長年住み続けてきた住民を追い出すなど、とんでもないことです。総事業費についても明らかにされないまま、残り7年というわずかな期間で、多くの住民を追い出し、街壊しとなる道路計画を進める、都と区のやり方は認められません。

 3つ目は南池袋二丁目地区街区再編まちづくり推進事業についてです。
 区は2004年、東京都のまちなみ再生方針に基づき、南池袋二丁目の新庁舎建設地域A地区を含めその周辺に「東京のしゃれた街並み推進条例」の網をかけ、B地区、C地区と設定。懇談会を続けています。9月15日付けの新都心新聞では、“C地区は開発の機運がある”“B地区は難しい”などと報道されています。区は「懇談会等で地権者の理解を深めるとともに、早期の街づくり方針策定を目指す」としています。この間、私は各地区の全体会を傍聴していますが、それぞれ地権者の置かれている状況、考え方等の違いのもとで、なかなか大変、難しい問題と痛感してきました。
 さらに新庁舎地の再開発事業では総額40億円ほどの一般財源が投入されることが明らかになり、周辺地域で新たな再開発を進めた場合、総事業費の20〜25%、数10億円が一般財源の投入となります。
 この間、東池袋4丁目第一、第二地区の再開発では、開発計画が頓挫し、周辺道路整備も含め最終的に261億円の区負担となりました。区は「財調で補てんされる」と言いますが、それでは他施策に影響することは明らかです。
 南池袋二丁目地区は環5-1道路建設や新庁舎関連の再開発で、長年住み続けてきた多くの住民が地域を追い出されました。また道路沿線に残された人からは、知人が少なくなりさみしいと訴えられました。住み続けたいと願う住民が追い出されるような計画では街づくりとは言えません。

 以上、第一に区民生活を守る財政運営になっていない、第二に区民の暮らしを直視し切実な要望に応えるものになっていない、第三に将来にわたって区民が暮らしやすい街づくりとなっていないため、2012年度一般会計の認定に反対します。

 次に3特別会計について述べます。
 1つ目は国民健康保険事業会計です。
 毎年、上がり続ける国保料ですが、この年も全ての加入世帯が値上げとなり、区民の暮らしをますます直撃しました。特に影響が大きかったのはファミリー世帯でした。年収300万円、給与所得65歳未満の3人家族では、25万円から279,000円に1割上がり、4人家族では、266,000円から317,000円に2割もあがりました。収入が上がらない中で、子どもを育てながら、家賃や生活費のやりくり、各種保険料の値上げや物価高騰など、本当に区民は苦労しているのです。
 このような、あいつぐ負担増の影響で、国保料を払えない世帯が増えています。この年の収納率は69.32%で、とうとう7割を下回ってしまったのです。高齢化などによる医療費の増加を理由に国保料を上げる。すると払えない世帯が増え、収納率が下がるという、まさに悪循環に陥っているのです。
 国は、長年にわたり国庫補助を削減してきました。1984年に医療費の45%とされていた国保への定率国庫負担を38.5%に引き下げ、その後も国保の事務費や保険料軽減措置などへの国庫負担を縮小・廃止してきたのです。その結果、国保の総会計に占める国庫支出の割合は、1984年度の50%から24.1%に半減したのです。国民健康保険は社会保障制度です。国が値上げの原因を作ったのに、その負担を区民に押しつけるのは間違っています。
 国保料を払えないと、正規の保険証は発行されません。3月時点の短期証は3,620世帯、資格証は3,545世帯でした。資格証になると病院の窓口で全額医療費を払わなければならないため、国保料が払えない区民は医者にかかることを我慢し、症状が悪化し、最悪の場合では命に関わることになりかねません。本年6月の時点では、資格証の発行世帯数は23区中なんと3位、区民に大変冷たいということです。

 次に後期高齢者医療事業会計についてです。
 この決算年度は2年に1度の保険料の見直しが行われた年です。均等割額は2,300円増加し40,100円となり、所得割率は1.01ポイント増加し8.19%となりました。その結果、平均保険料は7,091円増加し93,686円と大幅値上げとなったのです。しかも、この年は介護保険料の値上げも重なり、まさにダブルパンチが高齢者を襲ったのであります。本区は、払えない世帯には容赦なく短期証を発行し、差し押さえも行っています。今のところ資格証は発行していませんが、発行も視野に入れているかのような答弁がありました。高齢者にとって保険証が取りあげられたら、まさに死を宣告されるようなものではありませんか。このような後期高齢者医療制度は直ちに廃止すべきです。

  3つ目は介護保険事業会計です。

 第5期事業計画で平均保険料は62,280円となり、15,877円の負担増となりました。大幅な値上げは今でも介護保険料が高いとの声が聞かれます。
  ところがこの年は、これまで一般会計で行っていた高齢者施策6事業8,454万円を介護保険会計に移しました。ちなみに2013年度は4事業新たに移行し、2カ年で合計1億円ほどが移行しました。これは介護保険総給付額の3%限度内で地域支援事業費が認められているため、一般財源から移行したというものです。財源は保険料、国、都、そして区の負担は19,75%で、区の施策から外すことにより一般財源の負担が減ります。しかし保険料からの支出となり、次期保険料にも跳ね返り、区民負担がまたもや増えるということです。
  グループホームについてです。
 現在12施設中の11施設で生活保護の人を受け入れるとされましたが、入所者はたったの2名です。各グループホームの居宅費は7万から9万円で、生活保護受給者の家賃は減額していますが、入所者は増えていません。施設にとって、居宅費の減額は経営的な問題もあります。今、様々な民間の施設が建設されていますが、収入の少ない人には選択肢とならないのが現実です。応能負担としている特養ホームが必要ということです。

 以上、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療事業会計、介護保険事業会計の3特別会計の認定に反対することを述べ討論を終わります。