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区議会質問
豊島区立子どもスキップ条例の一部を改正する条例についての反対討論(儀武さとる)
2013/07/05

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております、第42号議案、豊島区立子どもスキップ条例の一部を改正する条例について、可決に反対する立場から討論を行います。
 本議案は、豊成小学校校舎内に子どもスキップ豊成を開設することに伴い、上池袋第一児童館を廃止、上池袋第一児童館学童クラブを子どもスキップ豊成に移設し、また、池袋小学校舎内に子どもスキップ池袋を開設するものであります。
 
 この条例に反対する第一の理由は、放課後の子ども育成事業を後退させ、詰め込みになるからです。
 豊成小学校、池袋小学校の両校は、学校の統廃合やマンション建設などで児童・生徒が急増する下で、余裕教室がなく、なかなかスキップに移行できませんでした。スキップ池袋については、先程森議員の討論でふれたように、「東日本大震災の教訓として子どもの安全の確保」「都条例による帰宅困難者対策の強化」などを理由に無理やりに設置されることになりました。
 では豊成小学校ではどうでしょうか。豊成小学校では保健室、特別支援教室、更衣室を移設して、無理やりにコアスペース、セカンドスペースを確保したのです。そのうえ、教育相談室と特別支援教室は共用で従来の半分ほどの狭い部屋に移設させられたのです。区は教育上支障をきたすことはないといいますが、本当にそうでしょうか。
 上池袋第一児童館は、上池袋中央公園に隣接し、学童クラブや一般利用者の子どもたちがのびのびと生活するうえで欠くことのできない大事な施設です。遊戯室、音楽室、工作室、図書室、学童クラブ室などで約441uあり、雨天の場合でも子どもたちが安心して過ごせます。スキップでは雨天や学校行事がある時には校庭や体育館が利用できませんので、それぞれ64uのしかないスペースに押し込まれることになります。
 私が、「子ども・子育て関連3法」の成立で児童福祉法がどう改正されたのかと質問すると、課長は「学童クラブの受け入れが3年生までだったものが6年生までに拡大されることになった」と答弁しました。今でさえ、学童クラブには43人が登録されています。経済的な事情で共働き世帯が増えているので、今後、さらに増える可能性があります。そのうえ6年生まで学童クラブの受け入れ対象が拡大されると、もっと大幅に増えます。区はスキップの学童クラブの定員の規定はないと言いますが、「子ども・子育て関連三法」で学童保育については、制度が大きく変わることになりました。国として学童保育の基準をはじめて法令で定め、市町村も条例で学童保育の基準を定めることになります。厚生労働省の「放課後児童クラブガイドライン」でも「放課後児童クラブにおける集団の規模については、おおむね40人程度までとすることが望ましい」としています。区の進め方は、これに逆行するものです。現在のコアスペースでは狭すぎます。子どもを大事にするというなら、詰め込みをやめるべきです。
 
条例に反対する第二の理由は、職員配置の問題であります。
 そもそも子どもスキップは、子どものことを考えて検討されたものではありません。財政効果を生み出すために、一番金のかかる人件費を削ることにし、常勤職員を削減したのであります。質が下がり、機能を維持することができなくなるのは当たり前であります。児童館は児童福祉法に基づくゼロ歳から18歳までの児童厚生施設であり、上池袋第一児童館、池袋児童館では、館長1名のほか常勤の児童指導員1名、非常勤職員が3名配置されていました。一方、子どもスキップでは、正規の職員は所長1名のみで、非常勤職員がローテーションで学童クラブと一般利用児童を見るという体制になります。これでは、全児童を対象にした健全育成事業と学童クラブそれぞれの発展は難しく、子どもの安全確保と、子ども一人一人に寄り添った指導と援助も困難になります。非常勤職員の定着率が低く、スタッフがギリギリのため、職員間の意思統一も難しいのが現状です。これで本当に、子どもの発達と安全を保障できるのでしょうか。
 
 条例に反対する第三の理由は、児童館を廃止することによって、異年齢児の交流の場が失われることであります。
 本条例は、児童館、学童クラブそのものを廃止する重大問題にもかかわらず、附則において、付け足しの形で廃止を規定しています。長い間、地域の核として役割を果たしてきた児童福祉施設を廃止するのに、別の条例の附則で廃止させることは決して正しいやり方ではありません。改めて、このことを指摘します。
 児童館は、乳幼児のためのプログラム、小学生以上の子どもたちには、放課後や学校休業日の地域の遊び場と活動の拠点として、そして中高生の居場所として、さらには地域のいろいろな団体と協力して、子どもを中心としたイベントや行事を行ってきたのであります。わが党は、小学校の放課後活動を豊かにするために、学校の有効活用を否定するものではありません。しかし、スキップ事業は、小学生だけを分離し、学校施設を利用して放課後を過ごさせるというもので、小学生以下と中学生以上との異年齢交流を断ち切るものです。 また、23区で児童館を全廃しようとしている区はほとんどありません。他の区では児童館を存続しています。児童館は廃止すべきでありません。
 以上、3点の問題点を指摘してきましたが、スキップ事業は全児童を対象とした放課後育成事業と言いますが、これまで果たしてきた児童館の機能を維持するという約束は、守るどころか後退させるものであります。
 よって、第42号議案、豊島区立子どもスキップ条例の一部を改正する条例の可決に反対するものであります。
 以上で、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。