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区議会質問
2013年度予算反対討論(儀武さとる)
2013/03/22

 私は、日本共産党豊島区議団を代表し、ただいま議題とされました第19号議案平成25年度一般会計予算並びに第20号議案国民健康保険事業会計予算、第21号議案後期高齢者医療事業会計予算、第22号議案介護保険事業会計予算に反対の立場から討論を行います。
 東日本大震災と原発事故から2年が経過しました。あらためて犠牲になられた被災者のみなさんに心からのお見舞いを申し上げます。被災地は復旧・復興とは程遠い生活が続いています。避難生活を余儀なくされている人は、いまだに約31万人、仮設住宅の入居者数が約11万人、過労やストレスによる震災関連死が2300人以上、震災でなくなった方、未だに行方がわからない人をあわせると2万人を超えています。住宅再建のメドもたたないうえ、医療・介護の減免を「期限がきたから」と一方的に打ち切り、生活も生業も再建の道筋が見えず、不安といら立ちがつのっています。
 安倍首相は、TPP参加推進の表明、原発ゼロの見直し、再稼働の容認、米軍普天間基地の辺野古への移設など国民の過半数、沖縄県民総ぐるみの意思に反し、アメリカいいなり、財界いいなりの政治をしゃにむに推し進めています。
 デフレ不況を打開するには、賃上げと安定した雇用の拡大が必要です。大企業は260兆円もの内部留保をため込み、その1%程度を取り崩すだけで、8割の企業が月額1万円の賃上げを実施できる力を持っています。大企業にその社会的責任を果たさせるとともに家計と経済に深刻な影響を与える消費税増税は、きっぱり止めるべきです。

 都政では、猪瀬知事が石原都政を継承し、幹線道路や過大な港湾施設整備、欧米などの多国籍企業をよびこむ巨大開発など大型開発の促進を最重点とする一方、高齢者対策、少子化対策などの福祉や雇用、中小企業対策などはきわめて不十分です。

 このような国や都の動きのもとで、区民の暮らしはどうでしょうか。
 日本共産党区議団の区政アンケート調査結果でも、この1年で「生活が苦しくなった」が57.2%、「良くなった」はわずか1.6%でした。生活が苦しくなった理由として、全体の66.5%が「住民税や健康保険料、介護保険料の負担が重くなった」と答え、「これ以上の負担に耐えられない」は73.9%です。
 私たちに寄せられる相談も同様の内容であるとともに、かつ深刻です。今、区民の実態を直視し、くらしと福祉を守る区政を実現することが求められているのです。

 この立場から日本共産党区議団は、2013年度予算審査にあたり、
 第一に、区民の暮らしを直視し切実な要望に応えるものになっているか。
 第二に、区民が住み続けられる街づくりになっているか、大型開発で区民にしわよせしていないか。
 第三に、地方自治法の本旨である住民の福祉の向上に力を尽くす予算になっているかどうか、という観点で審査にあたってきました。

 反対理由の第一に、区民の暮らしを直視し、切実な要望に応えるものになっていないからであります。
 一つ目に保育園の待機児童解消についてです。
 23区では、杉並区に続き、足立区、大田区、渋谷区でも保護者らが集団で行政不服審査法に基づく異議申し立てを行なっています。認可保育園に入りたい児童が増えているのに行政が対策を取らなかったからです。
 豊島区でどうでしょうか。これまで、日本共産党区議団は、認可保育園の増設で待機児童の解消をくり返し求めてきました。ところが、区は認可保育園を1園しかつくらず、公立、私立保育所の大規模改修を行う際に、定員拡大をはかり、認証保育所や保育ママ、臨時保育所などで対応してきました。待機児童の解消にならないばかりか、毎年増えるばかりであります。4月の認可保育園に希望しても入れない待機児童の見通しを尋ねると、区は「400人(旧定義)前後になり、昨年を上回ることになる」と答弁しました。昨年の291人と比較すると、大幅に上回ることになりました。
 区は秋頃に、大塚駅ビル内の私立認可保育所で60人、巣鴨第一保育園の定員拡大で37人、定員を増やす予定ですが、それでも、まだまだ足りません。池袋本町臨時保育所が来年度で廃止になりますが、その後の対策を問うと、区は「いい場所があったときは、オーナーがダメで、場所があったときは事業者がいなかった」と答弁しました。だからこそ、民間誘致でなく、区が直接やるべきです。また、待機児解消の緊急策はどうしますかと問うと、「あらゆる手立てを尽くす」と答えるのみで具体策はありませんでした。
 区は、今後も子どもが増えるので、待機児童は当面、増えると見込んでいます。
 であるならば、認可保育所の増設を盛り込むと同時にただちに緊急策をとるべきです。

 二つ目に特別養護老人ホームについてです。
 特養ホームの待機者が年々増える下で、日本共産党区議団は特養ホームの増設を繰返し求めてきました。いよいよ、来年度から旧中央図書館跡地に86床、千川小学校跡地には100床の特養ホームの建築が始まりますが、供用開始にはまだまだ2、3年かかります。その間も当然、待機者は増えます。私が一般質問をしたときには、2012年12月末現在、特養ホームの待機者は1235人、緊急度の高いAランクの待機者は492人でした。今回、委員会で改めて問うと、区は平成25年1月から「入所申込書」「優先入所基準」が変更となり、申込書の有効期限も一年間にして、入所希望者に毎年、特養ホームの申請をさせる方式に変更したそうです。その結果、2月末現在、特養ホームの待機者は「約700人」ですと答弁しました。その内訳は、特養ホームに申請した人は531人、そのうち新規で申請した人は92人でした。今回、申請していない在宅の待機者300人に、包括支援センターを通じて調査をしたら、150人が申請の意思が確認されました。申請をした人の531人と申請の意思のある人の150人、合計で681人です。それで「約700人」です。施設サービス利用者が約300人います。この人たちの意思の確認はできていません。こういう人たちも申し込めば、今後もっと増える可能性があります。百歩譲って、待機者が700人であったとしても、2か所186床だけでは足りないことは明確です。特養ホームの増設は待ったなしの課題です。「足りない」といったら「これから、これから」と答えました。いったい、いつ頃具体化するのかと質すと「2015年超えたあたりに、どういう取り組みをしていくか決めていく」と答弁しました。これは、あまりにも実態を無視したものです。本気になって、特養ホーム待機者の解消をやる気がないと言わざるを得ません。直ちに特養ホームの増設に取り組むべきです。

 三つ目に生活保護についてです。
 生活保護の異常なほどのバッシング、キャンペーンが続いています。その流れを利用して、政府は生活保護基準を3年で7.3%という過去にない大幅カットをする計画です。生活保護世帯の96%が削減され、都市部の30代母と子一人世帯で月9000円、20代〜40代単身世帯で7000円減と、ほぼ1週間分の生活費にあたる額が削られます。今回は08年と11年を比べて物価下落分として4.78%引き下げるとしていますが、あまりにもひどい話ではありませんか。物価下落上位品目はパソコン、ビデオレコーダー、携帯用家庭ゲーム機などです。生活保護利用者はほとんど購入しません。むしろ、生活日常品の灯油、ガソリンなどの物価は上がっているのです。水光熱費は大幅に値上がりしています。安倍内閣は、デフレ脱却が重点課題といいますが、生活保護基準の引き下げは、最低賃金、住民税の非課税限度額、就学援助、医療・介護保険料の軽減免はじめ多くの制度の対象者を狭めたり、保育所運営費を下げるなどの悪影響を与えます。生活保護基準の引き下げは、やめるべきです。
 リーマンショック後に仕事も住まいも失い、生活保護者が増える中で、稼働年齢層に対する「就労」の働きかけが強く行われています。区の就労支援専門員支援事業の2011年度の実績は381人、そのうち198人が就労者です。「正規採用で就職した人は何人ですか」と聞くと、課長は「極めて少ない」と答弁しました。雇用状況は大変深刻で、技術のある人でも、いったん、仕事をやめると、再就職をすることは大変厳しいのが現状です。仮に仕事に就いたとしても、正規採用でなく非正規などの不安定雇用が大半です。ですから、事実上、低賃金労働を強いられるのです。就労支援専門員も非常勤、皮肉なものです。ケースワーカーは生活保護者の性格や状況を把握し、信頼関係を築き就労意欲を持たせ、本人の経歴や就労にあった指導をすることが求められます。2013年1月現在、ケースワーカーの一人当たり担当件数96.9人で国基準の80人よりも16.9人も多いのです。ケースワーカーを大幅に増やすべきです。
 さらに、生活保護受給者の入浴券については、相変わらず30枚のみです。その上、支給方法の改善についても「検討、検討」と言ってばかりです。直ちに入浴券の復活、改善をすべきです。

 四つ目に防災対策についてです。
 まず救援センターについてです。
 昨年4月発表の東京都の被害想定によれば豊島区の避難者は34115人となっています。一方来年度は救援センターの収容人員は2万人しかありません。昨年度より、収容人数は1000人近く減ってしまったのです。旧高田小や旧平和小の廃止などが理由です。理事者は、平和小学校跡地を例に挙げて新しい施設ができれば救援センターの整備もできる、と答弁しましたが、一方で旧高田小には新しい施設をつくる具体的な計画はありません。この地域は、旧日出小が新庁舎用地になり救援センターからはずされ、今度は旧高田小も無くなるのです。区のいう、安全・安心には地域差があるということです。
 いざというとき地下街の安全対策は見過ごすことができません。
 池袋駅地下街についてです。スムーズに避難するのに必要な地下街のサイン整備も進んでいません。当初計画では短期3年で実施されるはず、今年度には完成する予定でしたが、まだです。理事者は震災対策基本条例ができるので、サイン整備もすすむといいますが、具体的に何をするのか答弁はありませんでした。防災対策の大きな穴です。
 木密地域10年プロジェクトは2020年までに都市計画道路を整備するとして、豊島区内は特定整備路線として都市計画道路を7本つくることになっています。
 しかし道路だけ広げても防災対策としては不十分です。木造密集地域を改善する耐震化や不燃化、広場をつくることなども重要です。阪神淡路大震災のとき、電力の復旧にともなう「通電火災」が発生しました。地震感知型ブレーカーが有効であり、区は防災訓練などで東電と協力して周知すると答弁がありました。効果があり、高くもないのですから、普及させるためには、周知だけでなく区が直接配ることも検討すべきです。

 五つ目に障害者福祉についてです。
 障害者をめぐる法律、制度が目まぐるしく改正されています。地域生活支援事業補助金は本来国が2分の1、東京都が4分の1、区が4分の1であるべきなのに、実際には事業費の6割程度しか助成されず残りを区が負担してきました。その上、今年度からの相談支援事業の対象者の拡大に伴い、国と都は、地域生活支援事業補助金のうち相談支援事業機能強化の補助金を廃止したのです。補助金に占める一般財源の割合が8割以上となることから、区は、地域活動支援センターT型の運営費補助を削減します。区は、サービス利用計画者が拡大されたことから、年間30件ほどのサービス利用計画を策定することができると想定して、補助金を削減したといいますが、実際にどれだけ利用計画をつくる人がいるかは不明です。法改正をやっても一割の自己負担はそのままです。
 障害福祉サービス事業のうち就労移行支援事業については、昨年度から東京都の補助が包括事業となりました。区はこの都の補助金に交通費が含まれている、重複を避けるとして、区の独自の交通費補助を来年度から廃止します。やりくりに苦労している事業所としては、わずかな削減でも、本当に困ります。
 身障センターの大規模改修については、何度も求めてきました。区は「代替施設がない」といって先延ばしにし、とうとう来年度は耐震補強だけやることになりました。本格的な改修は2017年度以降ということ、遅すぎます。

 六つ目に住宅対策についてです。
 NHKスペシャル番組で「終の住処はどこに、老人漂流社会」が報道され、住む所のない一人暮らし高齢者が人生の最後に居場所を求めて転々とし、漂流先の一つである無料定額宿泊所に辿り着き、死亡する」という実態が取り上げられていました。大変ショッキングな事ですが、身近でも、似たような事例はあり、住宅問題は深刻です。区の住宅困窮者の相談者602人の相談事由をみると、第1位が身体的・経済的な将来の不安を訴える方が155人、第2位が高額家賃の負担が125人、第3位が取り壊しによる立ち退きが82人で、上位三つで過半数を占めています。わが党はかねてから、安心住まい提供事業の要件緩和と家賃補助制度の拡充を求めてきましたが不十分なので拡充すべきです。また、これまで繰り返し公営住宅の建設を求めてきましたが、区は「適地がない」「維持管理費もかかる」として消極的な態度でした。委員会で、あらためて「区営住宅の増設をすべき」と質すと、この姿勢は相も変わらず全く変わりません。区営住宅などの建設確保に真正面から取り組むべきです。また、都に対して大幅な都営住宅の建設を求めるべきです。

 七つ目に商工振興費、中小企業対策についてです。
 今回の予算で大きく減らしたは、商工振興費、中小企業対策費です。
いろいろやっても実績があがらない、実績にあわせて削っていく、さらに「総点検」「枠内配分」で削ってしまった結果です。
 区の商店街販売促進事業というのがありますが、小さな商店街にとっては利用しづらいものです。商店街振興について、わが党は買い物弱者対策ということからも身近な商店街をまもっていく必要があると考えます。
 特に高齢者にとっては、身近に買い物できる場所がないと困ります。「あれはないか」「これはないか」と買い物にくる高齢者に対応するうちに、いろんな商品を置いて高齢者の便利屋さんみたいになった商店の方が「私は福祉事業をやっているのよ」と冗談交じりに言っていたそうです。
 区長は、決算委員会のときに、地域の商店街の衰退について「明確な特効薬があるというようなことはお答えできないで残念」といい、「できるだけ相手の立場になっていろいろ考えていくように今後も努力をしていきたい」と答弁していたではありませんか。
 「相手の立場にたって」というなら、予算を削減せず、こちらから出向いて相談にのるくらいの姿勢で取り組むべきです。
 住宅修繕資金助成事業は、住宅の修繕工事を行う社会的弱者に対して、「助成対象経費の30%以内かつ10万円を限度に助成する」もので、年収150万円以下の極めて低所得者に限定したものです。2001年度まで行なっていた住宅リフォーム資金助成事業とは似て非なるものです。
 工事内容もドアの修繕、雨漏りなどです。これでは、施工する業者からも、仕事の魅力がない、メリットがなくて手を上げる業者がいない、そういう事態になる可能性もあり不十分なものです。住宅リフォーム助成制度を実施していた1999年度は507万円の助成額で1億3800万円、2001年度は299万円で7400万円の経済波及効果がありました。区民からも、業者からも喜ばれる住宅リフォーム助成制度をただちに復活すべきです。

 八つ目に教育の私費負担についてです。
 深刻な経済不況の下で、親の収入が減り、就学援助の認定率も増えています。平成24年度は小学校で18.4%、中学校で27.3%です。ところが、2012年度の私費負担は中学3年生で158,882円、小学6年生で105,666円です。義務教育でも親の負担は年々重くなる一方です。憲法第26条で義務教育は無償です。しかし、実際は教科書と授業料しか無料でありません。残りはすべて親が負担しなければなりません。私費負担を軽減すべきです。豊島区の就学援助制度は生活保護基準の1.2倍を基準にしています。いま、政府は生活保護基準の引き下げようとしています。この生活保護基準が引き下がると現在就学援助を受けている子どもたちに影響がでてきます。本区での影響はどうなるのかと問うと、教育委員会は「3%引き下げられると30人程度に影響が出る」と答弁しました。これまで就学援助を受けている子どもたちが従来通りに受けられるようにすべきと質すと、教育委員会は「23区課長会でも影響がないように検討する」と答弁しました。就学援助は自治体の裁量で決めることです。区が責任を持って影響がでないように対策をとるべきです。また、修学旅行の交通費補助を「行革」で削ったものを「もとに戻すべき」と質すと、区は「戻さない」という姿勢は従来と全く変わりありません。大型予算の下で、復活の検討すらやらないのは余りにも冷たい姿勢です。

 九つ目にスポーツ施設使用料についてです。
 「スポーツは国民の権利」を基本にすえたスポーツ基本法が2011年8月に施行されました。基本法にもとづき策定された文科省の「スポーツ基本計画」では、政策目標として「成人の週1回以上のスポーツ実施率が3人に2人(65%)、週3回以上の実施率が3人に1人(30%程度)になること」を掲げました。本区の状況を確認すると、区は区民の意識調査を行い「スポーツを行なっている人は45%、行なっていない人は54%です」と答弁しました。スポーツを全くしていない人が過半数だということです。国の政策目標に程遠い現状です。今、区内で廃止された学校の校庭や体育館が次々と使えなくなり、学校開放の日の場所取りが困難になってきています。さらに、スポーツ施設の使用料が23区の中でダントツに高いのです。これは2重の意味でバリアがあるということで、スポーツ基本法、基本計画にも反するものであります。
 2011年の予算特別委員会で、「施設使用料の値下げをすべき」と質すと、区は「来年度の施設使用料適正化プロジェクトで検討する」と答弁しました。2011年度の同プロジェクトチーム会議では、まともに検討すらしていなっかた事が明らかになりました。あらためて区長が「検討することを」表明しましたが、こんないい加減なことは言語道断です。

 最後に図書館についてです。
 巣鴨図書館は区内で最も老朽化した図書館で、2013年秋に巣鴨体育館と合わせて大規模改修を行う予定です。私の質問に対して、大規模改修にあたっては高齢者や車椅子利用者に配慮して、エレベーターの設置を検討しているとしていますが、ぜひ、実現できるように進めていただきたい。その大規模改修の期間中に、東部区民事務所や周辺の公共施設のいずれかに図書貸出コーナーを設置してほしいと昨年の総務委員会で要望してきました。その後も「東部区民事務所の1階の会議室に設置してほしい」と具体的に提案しましたが、「区政連の会議で使用しているのでできません」と拒否しました。しかし、この場所は、今年になって、ほかの部局が使用することが明らかになりました。最初から、まともな検討すら行なっていなかったということです。
 雑司が谷図書貸出コーナーの貸出者数と件数は、2007年度の12,565人、23,345件から2011年度は19,194人、35,397件と大幅に利用者が増えています。現在の貸出コーナーの面積は25uで大変手狭です。「もっと拡充すべき」と要望しましたが、区は全くその気がありません。図書館は文化中の文化であり、ただちに拡充すべきです。

 以上、10点から見てきましたが、いずれも深刻な状況になっている区民生活を支える予算になっていないのであります。

 反対理由の第二に、大型開発の優先で区民にしわよせし、区民が住み続けられる街づくりになっていないことについて、3点述べます。
 一つ目は、都市計画道路7路線を特定整備路線として整備することについてです。
 東京都の木密地域不燃化10年プロジェクトでは2020年までに28本の都市計画道路を整備するとしています。豊島区内では7区間が特定整備路線となっています。
 特定整備路線沿道地区・地区計画策定事業として3300万円が計上されています。
 一般質問で私が指摘したように、巣鴨、駒込を通過する補助81号では、児童遊園や区立保育園の園庭が削られてしまいます。池袋本町を通過する補助73号、補助82号には、お風呂屋さんがかかっていて、地域で心配の声が出ていますが、理事者は把握すらしていませんでした。さらに、すでに東京都は「きめ細やかな説明をする」として土地・建物の所有者に個別の説明会を開催しています。しかし区は地権者や借地人、借家人の数さえ把握していません。
 道路をつくれば大きく街がかわります。そこに住んでいる人は、土地や建物を持っている人もアパートの人も同じくその地域を作ってきた人です。道路建設では、土地所有者はともかく借地人、借家人は住み続けられないのです。「地域の商店街やコミュニティが分断される」など、立ち退きに対する不安の声が上がっています。
 このことを追及すると、区長は「東京都にもきめ細かく対応するように要請した」と言い、生活再建が重要という認識は一致しましたが、本当に生活再建を保障するためには、公営住宅の建設など具体的な手だてが必要ですが、区営住宅建設は全くやる気がありません。また、道路をつくれば、自動車が増えます。特定整備路線では環境アセスが位置づけられていません。理事者は「アセス」は都市計画決定のときにやるものですと説明していましたが、そうなると昭和20年とか30年とかにやったことになります。区長は「よくしらべて答弁する」と答えましたが、アセスが義務付けられていないとしても、都市計画道路が整備されると街の環境も変わります。区民の健康と環境を守るために、事前に交通量予測調査や環境予測調査をおこなうべきです。

 二つ目は、新庁舎整備を起爆剤とした大型開発についてです。
 来年度予算を見ると、池袋副都心整備ガイドプラン(造幣局)に2783万円 、池袋副都心交通戦略推進経費(LRT)に1738万円、池袋駅及び駅周辺整備事業(地下のサインと東西デッキ)に850万円、そして新庁舎整備の推進6570万円、現庁舎周辺街づくり推進事業1000万円、南池袋2丁目A地区市街地再開発事業35億6564万円も計上しています。
 わが党は、民間大型マンションとの合築による新庁舎建設に反対してきました。特に、区長の「新庁舎建設を起爆剤に池袋の活性化を進める」という考え方は間違っていること、不動産市況にゆだねる資金計画は不安定であること、さらに再開発でマンションや商業ビルとの合築は、今後の管理・運営・修繕が複雑となり建て替えは事実上困難になること、「自治の砦」としての庁舎の使用が担保できないこと、などを指摘してきました。
 委員会では資金計画について取り上げました。最初区民に説明したときには、公会堂や区民センターの建替え費用も含めても10億円の黒字といっていたのに、2010年の試算では地代収入が下がり、逆に37億円の赤字となってしまいました。それ以降、区は、費用は保留床購入費や解体費など141億円、地代収入については143億円と見積もったままです。公会堂については、どうなっているのか、この間議会には一切報告がありませんでした。
 資金計画について、2010年の試算と比べてどうなっているか、と聞くと地価動向は公示価格、路線価等は10%乃至15%下落しているとのことでした。地価がまた下がっていることについて、「今後どうなるのか大問題だ」と指摘したところ、区長は、「新庁舎は成功させなければならない、課題を乗り越えていくことに邁進している」と答弁しました。 
 しかし、不動産市況にまかせた資金計画はダメだとわが党は何度も指摘してきたのです。
 この間、LRTも東西デッキもそれぞれ実現させるには様々な困難があり進んでいません。実際に作るには、LRT に70億円、東西デッキは30億円〜75億円のお金がかかります。それなのに今年もLRTや東西デッキをすすめるための予算が組まれています。区長は「構想だ」といいます。構想をもってもいいのですが、お金がないといっているときに、できるかどうかもわからない事業に毎年お金をつぎこむのは間違いです。区長がいくら「東西デッキ」「LRT」とあおってみても、すすまないのです。
そもそも東西デッキ、LRTなどは直ちにやめるべきです。

 三つ目に、西部複合施設の整備についてです。
 今後の投資的経費は13,14,15年の3年間で合計576億円と見積もっていますが、一番大きいのは新庁舎の141億円、南池袋2丁目再開発の67億円。そして西部地域複合 施設の44億円です。この三つの合計で252億円、全体の43.7%にもなるのです。西部地域複合施設の整備に8億8400万円計上しています。
 この施設は、「無駄なハコモノ」とまではいえないかもしれませんが、地域からは「急いでやらなくていい」「卵型のデザインは見直すべき」と声が上がっています。
優先すべき福祉関係の予算は「お金がない」といって削っているなかで、そんなに急いでやるべき施設ではありません。


 反対理由の第三に、自治体本来の役割を果たし、区民生活を守るうえで看過できない問題について5点述べます。
 この間、豊島区は「財政難」だといって行財政改革プランなどで福祉や暮らしを削ってきました。削った福祉をもとに戻せといっても最近、区長は「かつての改革で廃止縮小したものは、時勢に即して不要削減が適当としたもの。復元が必要なものの新規・拡充が必要なものはすでに対応が終わった」とまでいっています。
 本予算を編成するため昨年10月に「依命通達」がだされ、そのなかでは「区財政を取り巻く環境は極めて厳しい」「財政調整交付金は当初算定で本年度予算を下回り・・・財政交付金のさらなる減少は必至」「義務的経費も右肩上がり」「学校をはじめとする施設改築などもあり」「総点検の目標も3割不足」などとし、「枠内配分」「総点検の見直し事項の確実な反映」を求めてきたのです。議会に対しては12月の一般質問に対し「現時点では最終的に前年度と同様の20億円弱の財源不足と想定し、財調基金からの繰り入れで対応する」としていました。
 ところが、ふたを開けてみれば、財政調整交付金はほぼ今年度並みとなり、特別区民税をはじめとする特別区税も増、「一般会計の財政規模は前年度比30億5800万円増のプラスで1022億4800万円。特別会計を含めると1549億円で過去最大の規模」になったのであります。
 総点検の予算反映事項は、625事業、9億3900万円の効果額、内訳は@無駄や非効率の改善で304事業、8億6684万1000円、A事業の休廃止が6事業2076万9000円、歳入の確保15事業5172万円となっています。

 それでは5点についてふれます。
 一つ目は、職員の問題です。
 区は定員管理計画で2000人体制にし、その後、新定員管理計画でさらに減らしてきました。2013年4月の職員数は1970人、前年の1980人から10人減らす計画です。その一方で、恒常的に残業を行う職場が増えています。ひと月に45時間以上残業をおこなう職員数は、2011年度は466人、子育て支援課、人事課、税務課などは、繁忙期だけでなく通年で残業をせざるを得ない状況です。病気休職者も87人、そのうち精神疾患者は22人、25%です。実に、病気休職者の4人1人が精神疾患です。正規職員の削減により、残された者の労働強化が強いられ、残業が増えれば、疲労、ストレスもたまり病気休職者が増えても不思議ではありません。区は「残業と病気休職者は必ずしもリンクしない」と答弁しましたが、36協定を締結もしないで、残業をさせることは労基法違反です。区は、率先してコンプライアンス、ライフワークバランスを実践すべき立場にありますが、これにも反するものであります。
 組織改正で都市整備と土木部が統合します。
 「木密地域不燃化10年プロジェクト」・沿道のまちづくり事業などで仕事量は増えますが、職員は増えません。事実上の人減らしです。目先の仕事に追われ、仕事を教えたり、聞いたり援助ができる環境でない職場では、本来起こってはならないミスが起こるのも無理からぬことであります。これ以上の人員削減はすべきでありません。
 さらに、総点検では、臨時職員の社保逃れともいえる時間短縮によってお金を浮かしたのです。
 保育園の臨時職員と学校開放の臨時職員について勤務時間短縮が提案されています。予算削減額は保育園が2033万円、学校開放が890万円となっています。保育園では月18日勤務から15日勤務へ、小中学校の「臨時」学校開放管理員には30分の勤務時間短縮というものです。理事者は、実態にあわせた変更だといいましたが、勤務日数や勤務時間の短縮で臨時職員の給与を下げるだけでなく、社会保険から外されてしまう職員がたくさんでます。社会保険加入は保育園では74人から8人へ、学校開放では33人からたった1人になってしまうのです。
 社会保険に加入することは、本来、非正規雇用も含めた労働者の権利です。昨年8月の法改正では短時間パートへの社会保険適用拡大が決まりました。今回の区の提案はそれと逆行するものです。最近コンプライアンスということがよくいわれますが、率先して法を守るべき自治体が、「社保逃れ」をするのは許せません。
 学校開放についていえば、理事者は実態に合わせた変更といいますが、学校開放を夜10時まで保障することが区の責務であり、このような削減をすれば、結局区民サービスの低下になるのです。

 二つ目は、放課後等支援事業者からの会場使用料徴収について述べます。
 障害者に対する事業について、地域活動支援センターT型の運営費補助の削減や、就労移行支援事業の区独自の交通費補助削除については、すでに取り上げたとおりです。本来政治が光を当てるべき弱い立場の人たちにもしわ寄せしているのです。
 ここで指摘するのは、受益者負担の適正化として、放課後等デイサービス事業者、障害を持つ中・高生の放課後の居場所づくりを実施しているアフタースクールの会から会場使用料を96万円徴収するとなっています。理事者は「今年度から法改正で国からの給付がくることになり、そこには家賃がふくまれているので徴収する」ということでした。豊島区では小学生の障害児には学童保育がありますが、中高生には学童保育がなく働き続けられないことから、親たちが自主的にボランティアとともに運営してきたのです。豊島区も100万円の補助を出し、場所も最初は西部保健福祉センターの一角を貸し、次に南池袋児童館の跡地に移転、2010年11月から目白身障センターに移っておちついたところです。今回、国の給付があるといってもほんのわずかで、理事者も削るものがなくて、100万円の補助をして、96万円の家賃をとるのです。それを「受益者負担」「財政効果だ」としている。こんなやり方は間違っています。

 三つ目は、保育料の改定についてです。
 総点検の中で、一つの事業として最大の金額なのが、受益者負担の適正化のもとで行われる保育料の改訂3800万円です。昨年の第3回定例会で値上げ条例が可決されています。わが党はこの条例に反対しました。保育事業を受益事業ととらえると、保育料は際限なく高額になります。受益者負担の原則を値上げの根拠とするのは間違いです。高額所得者だというが、子育てしている世代は決して楽な生活ではありません。子育て支援は、区の重要な仕事です。

 四つ目は、高齢者福祉費の削減についてです。
 おむつ購入費等助成事業経費や福祉サービス第三者評価事業経費など四事業1766万円を一般会計から介護保険事業会計に移行しています。理事者は、介護保険会計の地域支援事業に組み入れることは介護給付の3%まではみとめられており違法ではないといいます。しかし介護保険会計でやるということは、国や都の補助と区民の保険料をつかうことです。さらに、第六期保険料に影響がでてきます。「介護保険料が高すぎる」と区民は怒っているのに、納得などできません。さらなる値上げに道を開く姑息なやり方です。

 五つ目は、本来やるべきではない財調基金積立優先の財政運営です。
 2012年度一般会計補正予算(第5号)では、歳入の増加として、特別区税が4億3600万円余、財政調整交付金は12億6500万円などがあり、歳出では15億2600万円を財調基金に積んでいます。
 その結果、財政調整基金残高は11年度末には53億円だったものが、13年度末は、57億円になるということです。それでも積立目標の120億円の半分だとして、「基金残高を着実に確保する」というのが、今の豊島区の姿勢です。
 財政調整基金条例の改正が今議会に提案されました。これまでは決算剰余金の半額を自動的に財政調整基金に積み立てていましたが、今後は全額を積み立てることになります。区は「透明性を高めるため」と説明しますが、実際には「財調基金の残高を確保する」ためであります。毎年15億円乃至18億円はでている決算剰余金を全額財調基金に積み立てるのです。
 理事者は一生懸命、「基金積立優先ではない」「必要なところには使う」と言いましたが、そもそも財調交付金などの見積もり違いをして金がないといって削ったのですから、基金に積み立てるのではなく、削った施策をもとに戻すべきです。

 以上3つの観点から来年度予算を見てきました。予算の中には、特養ホームの増設、学校図書館司書の増員、保育園など区有施設の耐震補強や改築・改修など、わが党の提案で一部前進した部分はみられますが、これまで述べてきた理由で、2013年度一般会計予算に反対します。

 次に3特別会計について述べます。
 まず国民健康保険事業会計についてです。
 2013年度の国保料は、決定が例年より大幅に遅れ、国保運協が3月8日に開かれ保険料率などが示されたとはいえ議会には正式に提案されていないのに国保事業会計について意見を述べるのは異例中の異例です。
 13年度の保険料は、基礎分の所得割が0,26%下がっているほかは、基礎分均等割600円をはじめ高齢者支援分、介護分とも均等割、所得割とも上がっています。均等割りが上がるということは低所得の人たちの負担が重くなるということです。軽減措置を取りますが、今回は、住民税非課税世帯のみで旧但し書き所得から50%の控除です。14年度は25%控除にします。収入別、世帯構成別の保険料試算モデルケース表によれば、年金受給者2人世帯では200万円収入で現在74319円の保険料が軽減措置をうけても11567円も上がり、105532円になります。軽減措置を受けられない65歳未満の給与所得者、2人世帯で年収200万円世帯では、なんと一挙に44496円も上がり、202245円になります。年収200万円世帯と言ったら月17万円弱です。これで家賃を払って生活をしているのです。ちょっとつまずけば保険料滞納ということになります。本来の保険料に滞納分割分を上乗せして払うのは並大抵のことではありません。そのことは、資格証2095世帯、短期証3450世帯という数の多さに現れています。
 医療費対応方式で給付が増えれば保険料が高くなります。国保は、高齢者、失業者、自営業者が加入する公的保険です。公的医療保険は保険料とリンクしないのです。
そもそも国保は、憲法にもとづき国民皆保険制度の一環として、つくられた制度です。国は、1984年まで45%の補助金をだしていたのです。ところが、その後、国庫支出金は年々下がり、区保険事業会計でみるとH23年度は、26・40%まで下がっています。今年度は予算上ですが22・45%です。
 保険料は区民の暮らしにとって負担が重すぎます。仮に1世帯5000円引き下げるとすれば、おおざっぱな計算で4億円、低所得者だけに限ればもっと少ない金額で実現します。新庁舎建設、再開発事業に何百億円、西部複合施設建設の45億などのお金の一部を回せば、医療を安心して受けられることを保障できるのです。国民健康保険の在り方を区民とともに考える時ではないでしょうか。
 なを、保険料の決定の仕方で、区長会で決まらなければ、資料や情報を一切出さないことが続いています。決めたら文句も言わずに払えというのは民主主義に反します。

 以上のことから、第20号議案国民健康保険事業会計予算に反対します。

 次に後期高齢者事業会計についてです。
 2012年度は後期高齢者医療保険料の引き上げが行われました。所得割率が7.17%から8.19%に引き上げられ、均等割が2300円増の4万100円に、その結果、一人当たりの保険料は、2011年度の平均保険料8万4527円から9万3258円となり、年額で8731円、10.3%と大幅な値上げとなりました。今でさえ保険料が高すぎて、払えない滞納者が多いにも関わらず、今回の保険料の大幅な値上げで、ますます滞納者が増えるのでないかと質すと、区は、「平成24年12月現在750人」で「年度末には例年並み」になると答弁しました。
 しかし、滞納繰越分未納者を年度別にみると、2008年度は12人、2009年度は22人、2010年度は96人、2011年度は155人と増えているのです。保険料を値上げした2012年度は滞納者が大幅に増えることはまちがいありません。区は6か月以上滞納すると短期証を発行し、「2011年度は22人に発行した」と答弁しました。短期証の更新時が迫ったらどうするのか、と問うと、区は「きめ細かな納付相談をおこない、それでも滞納した場合は保険証を交付し、保険証の空白期間はつくらない」と答弁しました。空白期間を作らないのは当然です。そもそも短期証の発行はやるべきではありません。戦争で苦労し、戦後も一所懸命に働き、今日の社会の土台を築いた高齢者に医療を保障するのは当然です。保険料の財源確保などのために、国と東京都に要求すべきです。後期高齢者制度は、75歳以上の高齢者を差別する医療制度です。しかも、広域連合だと、区民の実態が反映されないものです。後期高齢者医療制度はただちに廃止すべきです。
 以上のことから、第21号議案後期高齢者医療事業会計予算に反対します。

 次に介護保険事業会計についてです。
 来年度も、一般会計から介護保険事業会計におむつ購入費等助成事業経費など1766万円も組み換えすることについては、一般会計でも指摘しました。
 2012年4月から介護保険法改正、介護報酬の見直しにより、生活援助の時間区分が「20分以上45分未満」と「45分以上」に再編されました。現場からは生活援助の短縮で悲鳴があがっています。一般質問では、利用者にとって不利益になっている点を取り上げました。委員会の質疑では、この時間短縮がヘルパーとして働く側にとっても不利益になっていることを指摘しました。細切れの時間しか働けなくて、何件も掛け持ちをすると移動時間を短縮するには、自転車にのれない人では不都合と、雇ってくれないのです。
 理事者は、国の方針がでてから、とか、区として独自のサービスはしないと答弁しましたが、区は保険者として、介護保険の問題点を解決し、利用者が必要なサービスを受けられるようにする責任があります。
 来年度はアウトリーチ事業を拡大し、一人暮らしや高齢者のみ世帯だけにこだわらず対象にしていくとのことです。昨年夏の高松での母と娘の孤立死の教訓からいって当然必要なことです。
 これまで実施したアウトリーチ事業で見守りができていない世帯も2200世帯残っています。一部はシルバー人材センターによる見守りがおこなわれていますが、すべてできるわけではなく、地域包括で見守っていくことになります。今でも地域包括支援センターは、本当に忙しくなっていますが、さらに仕事が増えるのです。
 わが党は、かねてより地域包括支援センターの増設が必要と指摘してきました。区も必要性をみとめていますが、なかなか具体化されません。今回も、このことを質問すると高齢者の増加や困難ケースの増加もあり、8包括の体制は見直す時期にきている、と答弁していますが、まだ具体化されていません。早急に具体化すべきです。
 以上のことから、第22号議案介護保険事業会計予算に反対します。

 以上で、討論を終わります。長い間ご清聴ありがとうございました。