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区議会質問
 
保育料値上げの反対討論(かきうち信行)

第48号議案 豊島区保育の実施及び費用の徴収に関する条例の一部改正

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております第48号議案 豊島区保育の実施及び費用の徴収に関する条例の一部を改正する条例について可決に反対する立場から討論を行います。
 本案は、所得税法及び地方税法の一部改正の影響による保育料徴収についての保護者の負担の軽減を図るとともに、所得に応じた保育料の見直しを図るとして提出されたものであります。
 
 経済の悪化が、一層深刻になる中、年収200万円以下の労働者が、1000万人以上に上るなど貧困の拡大が問題となっています。必死に働いても、賃金が上がらないために、結婚をためらう若者。
 結婚しても「子育てできる環境にない」と子供をあきらめるなど、少子化に歯止めがかからない大きな要因として、今、若年層や子育て世代の所得の低さが指摘されております。

 認可保育所に申し込んでも入れない待機児童が、今年4月で、全国で2万5千人近くになっていることが厚生労働省の調査で分かりましたが、共働きでなくては生活できないために保育所を求める世帯が増えているのであります。本区でも同様であります。
 保育に欠ける世帯、子育て支援の拡充はますます必要であり、認可保育所の増設と合わせ、高負担の保育料の引き下げは急務であります。
 さて、今回の条例改正は、所得税や地方税の改悪により保育料に影響がでるので、保護者の負担軽減を行うことが一つの目的でありますから、この部分の改正については、わが党は、賛成であります。
 ところが、負担軽減を行う一方で、利用者間の負担公平化や財源の適正な配分の視点として、一つに、上位所得階層の保育料細分化する。二つに、最上位の階層の新設を行い新たな負担増を行うとしています。
 この保育料の見直しについては賛成できません。
 以下、反対の理由について述べてまいります。
 第一の理由は、保育所の運営経費と保育料について、負担割合が低いことを値上げの根拠にしていることであります。
 区は、保育所の運営経費が年間約64億8千万円かかっていることに対し、保育料収入は約7億8千万円で、その負担割合は全体の12%程度にとどまっていること。
 また、保育サービスにかかる費用と利用者が負担する保育料が、各歳児とも大きくかけ離れ、受益者負担の原則から負担の不均衡が生じていると分析しております。
 保育料の運営経費の80%が区の一般会計から拠出されていることや、ゼロ歳児一人あたりの経費が約46万円かかるのに対し、保育料は、最高でも月額6万2千7百円であることは、そのとおりであります。
 しかし、保育というのは、保育に欠ける条件の幼児を児童福祉法に基づく措置が基本となっており、かかる経費は国と都、区といった自治体が負担すべき性格のものです。ところが実際に、国や都が出している運営経費は、そのほとんどか私立保育所に対する補助金のみで、その負担割合は、たったの7、2%にしかなっていないところに問題があるのです。
 保育事業を受益事業ととらえると、保育料は際限なく高額なものになってしまいます。ですから、基準を設け負担を低くするようにしているのであり、受益者負担の原則を値上げの根拠とするのは間違いであります。

第二の反対理由は、値上げの根拠として応能負担の不均衡を理由にしていることです。
 保育料は、利用者の所得税額に応じて階層を設定していますが、現行では、4歳以上児は、D9以上の階層、3歳児はD13以上の保育料が同額になっているのは不均衡が生じているとしております。
 これは、3歳以上になれば、これまでの0、1、2歳保育と比べ、保育についても手がかからなくなること、職員配置から見て、所得に関わらずこれ以上の負担を求めるものはいかがなものかとして政策的に据え置いてきたものであります。
 区は、これらの世帯は年収が600万円を超える世帯だから、細分化してより所得に応じた負担をしてもらうというのです。
 委員会審査でも述べたように年収600万円の世帯といっても、本区のような都心部に住んでいる以上、高い家賃、住宅ローンを抱えながら子育てをしています。加えて、社会保障の改悪、見通しの立たない将来設計などで、決して裕福な生活を送っているとは言えません。その世帯にも保育料の値上げを強いることはあってはなりません。
 
 保育園は、児童福祉法に規定された児童福祉施設であり、保育費用については同法56条において、家計に与える影響を考慮し、児童の年齢等に応じて徴収するように定められています。その徴収は自治体に任せられておりますが、決して豊島区が他区と比較して安い保育料になっているわけではありません。
 要するに保育事業をどう考えるかは区長の姿勢に表れるものです。少子化となっているいま、子供は社会の宝、これからの時代を背負っていくのですから、保育には、手厚い予算を講じてもいいではありませんか。それこそ保育料は無料にしてもいいくらいです。
 以上で第48号議案 豊島区保育の実施及び費用の徴収に関する条例の一部改正の討論を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。