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区議会質問
 
2020年度東京オリンピック・パラリンピック招致に反対する討論(森とおる議員)

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております、議員提出議案第9号「第32回オリンピック競技大会及び第16回パラリンピック競技大会東京招致に関する決議」、ならびに議員提出議案第10号「2020年東京オリンピック・パラリンピック招致に関する決議」を可決することに反対の立場から討論を行います。

 昨年7月、石原知事が2020年の夏季オリンピックへの立候補表明を行い、同年10月の都議会定例会で、民主、自民、公明がオリンピック招致決議を行いました。
 前回、石原都政は、2016年の夏期オリンピック招致に失敗しました。この最大の要因は、オリンピック招致が都民に背を向けたものであり、石原知事のトップダウンで決定し、一方的に進められたことにあります。今回の招致も、前回同様、都民の支持が得られるようなものではありません。以下、理由を述べます。

 前回のオリンピック招致を振り返ってみます。1回のイベントに1億円もかけたり、知事にかかわる海外出張だけで約2億円使うなど、オリンピック招致を理由に湯水のように税金が使われました。都が明らかにした150億円の招致経費以外にも50億円の税金投入があったことが、わが党のその後の調査で判明しました。このような税金投入に対し、知事が「痛くもかゆくもない」と言い放ったことに、都民から批判が渦巻きました。
 また、知事がオリンピック招致にこだわる最大の理由は、オリンピックをてこに、1メートル1億円かかる外環道をはじめ、高速道路多摩新宿線、羽田と築地を結ぶトンネル道路、巨大港湾施設などの大型都市施設建設を推進し、そのために莫大な財源をつぎ込むことです。今回も、知事自身が「オリンピック招致という闘いに挑む限り、勝たなかったら意味がない。東京は汗かいて血みどろになって金つくるし、施設もつくる」と述べたように、開催都市決定をめざして、インフラ整備を初めとした莫大な招致関連経費を投入することになるのです。

 オリンピック招致についての世論を見ると、朝日新聞で反対が8割、日経ビジネスインターネット版で否定的が7割など、発表後のマスコミ調査で、反対・否定的な声が多数を占めています。また、都の「都民の声」に寄せられた意見では反対が82%と圧倒的多数を占めました。その理由は、「東北の復興、防災対策こそ優先すべき」「原発事故、放射能汚染が深刻で招致すべきではない」「税金はオリンピックではなく、福祉向上のために有効に使ってもらいたい」などというものでした。
 ところが、知事が会長を務める東京都オリンピック・パラリンピック招致委員会が、先月、国際オリンピック委員会IOCに提出した申請ファイルには、招致の支持率を水増ししていることが、わが党都議団の調査で明らかになりました。招致委員会は「全国65.7%、東京都65.2%」と公表しました。しかし実際はインターネット調査と電話調査と手法もサンプル数も異なる調査の結果を単純に足して2で割るという操作をしていたのです。また、IOCから詳細を述べるように求められている反対世論については、「大規模な運動はない」と記すのみです。招致委員会は、あたかも賛成が多く、反対の声がないかのようによそおうごまかしを行っているのです。
 知事にいたっては、「国家をかけての利益の争奪戦だ」「裏の裏の裏がある、ドロドロした」「きれいごとでは勝てない」「ODAを使って、脅せとは言わないけどうまく外交交渉で」云々などという発言を行っているのです。このような知事のもとで進められる招致活動は、オリンピックのフェアプレー精神にもとる行為であることは明白です。

 今なによりも、東京都が国と一体となり力を注ぐべきは、被災者の生活再建、被災地の復興、放射能汚染への対策であり、地震に強い防災・福祉のまちづくりです。知事自身が認めているように、都民、国民から招致をのぞむ声は高まっていないのであります。ましてや被災地からは、「日々のくらしもままならない中、オリンピックどころではない」という悲痛な声が届けられているのです。このような状況で、豊島区議会が機運を高めるために決議をあげるなど、区民が望むはずはありません。

 わが党区議団は、スポーツの祭典であるオリンピック、パラリンピック、そのものに反対しているのではありません。しかし、都民の深刻なくらし、被災地の窮状の救済こそが最大最優先課題である都政において、莫大な財政負担をともなう今回のオリンピック招致は行うべきではありません。都に対し、4000億円にものぼるオリンピック基金を初めとする財政力を、大型開発中心ではなく、民意に応えた施策実現に使うことによって、本来の自治体としての立場を明確にすることを強く求めるものであります。

 よって、議員提出議案第9号「第32回オリンピック競技大会及び第16回パラリンピック競技大会東京招致に関する決議」、ならびに議員提出議案第10号「2020年東京オリンピック・パラリンピック招致に関する決議」の可決に反対します。
 以上、討論を終わります。