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区議会質問
 
「豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例」についての反対討論(森とおる議員)

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております、第6号議案「豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例」について可決に反対の立場から討論を行います。

 本議案は、国民健康保険料の基礎賦課額、後期高齢者支援金等賦課額および、介護納付金賦課額の保険料率を改定するものです。基礎分は所得割が6.13%から6.28%へ上がり、均等割が31,200円から30,000円に若干下がります。後期高齢者支援金分と介護分は、いずれも所得割、均等割ともに上がるため、合計すると123,088円から124,526円へ1,438円の値上げとなります。全世帯が値上げされることになり、区民のくらしをますます直撃することになります。

 以下、反対の理由を述べます。
 1点目は、区民のくらしへの影響についてです。
 本区の国保加入世帯は60,127世帯、そのうち所得が200万円以下の世帯は46,122世帯と77%を占めています。所得のない世帯については24,034世帯であり、国保加入世帯の4割にものぼります。このように国民健康保険制度は国が、低所得者や退職者などを対象としてつくった制度であり、長期不況のもと経済基盤の弱い世帯がいっそう多くなっているのです。今年度から旧ただし書き方式に移行したことで、その中でも特に低所得者を中心に、各種控除を受けている世帯の保険料が特にはね上がりました。以前の住民税方式は、収入から基礎控除、扶養控除、配偶者控除、障害者控除、社会保険料控除などを引いて計算される住民税を基礎にして保険料を計算していたからです。ところが旧ただし書き方式では、収入から基礎控除33万円しか引かずに保険料を計算するため、低所得者や扶養家族の多い世帯、教育費のかかる子育て世帯、障害者など、様々な所得控除や税額控除がある区民ほど影響を受けることになったのです。給与所得65歳未満の4人世帯をみると、年収300万円では、年間51,683円の値上げで317,699円納めなければなりません。これは年収の1割もの保険料なのです。月額では25万円です。収入が上がらないなかにあって、子どもを育て、家賃や生活費の出費、各種保険料の値上げ、増税など本当に苦労しているのです。こんな区民に負担増を押し付けるなどとんでもないことです。

 2点目は、短期証、資格証が増加することについてです。
 高すぎる保険料を払えずに滞納世帯が増加しています。経済基盤の弱い加入者が多い国保において、保険料の引き上げは収納率の低下につながります。本区の収納率は約70%まで落ち込んでいます。保険料を滞納すると保険証が取り上げられます。本区の短期証は9,371世帯、資格証は2,022世帯と国保加入世帯の2割近くが正規の保険証ではないということです。短期証、資格証ともに他区に比べてもこの数字は極めて高く、とても異常な状態です。特に資格証は病院の窓口で全額医療費を支払わなければならないため、生活費の少ない区民は、医者にかかることをガマンし、症状が悪化し、最悪のケースでは命に関わることになりかねません。このように本区は区民に冷たいということです。先月医療機関が発表した全国600か所以上の医療現場の調査内容によると、経済的理由による受診の遅れが死亡に至ったと考えられる事例が、昨年1年間で67人。窓口負担金が払えないなどの経済的理由が考えられる。そのうちの42人が国保料滞納で正規の保険証が取り上げられていたとのことです。これを全国の医療機関に当てはめると5,500人と推計しています。最近、各地において孤立死が多くなっています。介護をしていた家族が倒れて死亡し、介護を受けていた人も死亡、胃の中は空っぽだったという悲惨な状況もありました。保険証が手元にあってはじめて、安心して医療を受けられるのです。資格証では、このような事件が起こらないとも限らないのです。資格証は発行すべきではありません。

 3点目は公的な財政負担が不足していることについてです。
 国保の財政悪化と国保料高騰をまねいているのは、国の予算削減です。1984年に政府は、医療費の45%とされていた国保への定率国庫負担を38.5%に引き下げ、その後も国保の事務費や保険料軽減措置などへの国庫負担を縮小、廃止してきたのです。その結果、国保の総会計に占める国庫支出の割合は、1984年度の50%から24.1%に半減しているのです。また、国保加入世帯の平均所得は、20年前の240万円から、2009年度には158万円にまで落ち込んでいます。自営業者等の経営難とともに、低賃金の非正規労働者や、失業者、年金生活者など無職の方が7割以上になるなどしたためです。いまや国保は、財政難、保険料高騰、滞納増という悪循環に陥っているのです。住民の命と健康を守るために、そして制度を維持するためにも国が、国庫負担の大幅増額をおこない、安定した国保財政にするために責任を負うべきです。
 区議会として国庫負担増額を求めるべきではありませんか。しかしながら、本議案を審査した区民厚生委員会の各会派の意見は、「やむをえない、いたしかたない」など、まったくその気はなく、区民のおかれている実情に背を向けているのであります。
 低所得者が多く、保険料に事業主負担もない国保料は高いということは区も認めているとことです。2年間の経過措置が来年度で終了すれば、さらなる大負担増となります。この経過措置は継続し、さらに保険料を大幅に引き下げ、誰もが安心して医療を受けられる国民皆保険の根幹としてふさわしい制度とすることを区民は望んでいるのです。国庫負担の増額にふみきるまでは一般財源を投じて国保料の引き下げを実現すべきです。

 よって、第6号議案「豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例」について可決に反対します。