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区議会質問
 
「豊島区介護保険条例の一部を改正する条例」について反対討論(森とおる議員)

 引き続きまして、第7号議案「豊島区介護保険条例の一部を改正する条例」の可決に反対の立場から、なお後ほど上程されます24陳情第3号「介護保険料の値上げに関する陳情」について不採択に反対し、採択とすべき立場から、討論を行います。

 第7号議案は、2012年から2014年度の3か年にわたる「第5期介護保険事業計画」の策定により、保険給付費見込額が増えることなどを踏まえ、介護保険料額を設定し直し、所得段階の見直しをはかるというものです。
 保険料は、現行の年額46,403円から62,280円へ15,877円の値上げとしており、保険料所得段階は、現行の11から12に見直すとともに、特例措置として第3段階を2つにわけるとしています。12の所得段階すべて大幅値上げとなります。
 24陳情第3号は、年金給付が引き下げられるなど区民生活が深刻な中、この大幅値上げを容認できないとして、国庫負担を2分の1に戻すよう国に求めること、当面、国の削減分については、区が負担することを求め、千名を超える署名とともに提出されたものです。

 介護保険制度がスタートして12年が経過します。政府は「社会保障と税の一体改革」の具体化の1つとして、団塊の世代が75歳になる2025年を照準にするという名目で、介護のさらなる削減・抑制方針を打ち出しています。来年の介護保険報酬は、前回と比べ1.2%増やしましたが、これまで国費だった介護労働者の賃金引き上げ分が今年度で終了するため、実質0.8%のマイナス改定です。また地域包括ケアシステムと称して、「医療から介護へ、施設から在宅へ」の大号令で、病院や介護施設から高齢者追い出しが促進されることになります。現在、特別養護老人ホームの入所待機者が全国に42万人以上もいる実態を解決する責任を政府が放棄することになるのです。本区においても入所待機者は1200名を超え、入所待ちの間に死亡する待機者が、この3年間、毎年200名にのぼるのです。そこへきて介護保険料の大幅値上げは、「保険あって介護なし」の実態をいっそう加速させるものであります。

 本区の介護保険事業の昨年度実績を見てみると、高齢者人口は51,556人、そのうち介護認定者数は9,601人です。認定者の中で介護サービスを受給しているのは7,679人と、高齢者人口のわずか15%です。これは65歳以上のうち85%もの人が介護保険を受けていないことになります。しかも、介護保険を受給している人について見てみると、支給限度額の5割から6割程度しかサービスは使われていないのです。高い保険料を払った上に、さらに1割という利用者負担があまりにも高すぎるからです。その上に15,877円もの保険料大幅値上げなどとんでもないことです。

 現行の保険料でもすでに十分高いことが収納率に現れています。昨年度の普通徴収全体の収納率は80%しかありません。介護保険制度が始まった当初は特例措置もあり、初年度は8,945円、次年度は26,836円だったのが、事業計画ごとに保険料が上がるにつれて収納率は低下しているのです。特に所得第3段階、いわゆる世帯全員が住民税非課税で、第1、第2段階に該当しない低所得世帯は54%と実に半分しか収納されていないことです。特例措置で負担軽減策を講じたとされていますが、それでも値上げしていることに変わりありません。ますます払えない世帯が増えるということです。

 元々、介護保険制度を導入する以前の財源構成は、老人福祉施設では国が50%、残りの50%が区でした。ホームヘルパー派遣では国が50%、東京都が25%、区が25%でした。2000年度に介護保険制度が導入され、50%が保険料となり、国が25%、残りの12.5%ずつを東京都と区が負担することになりました。この仕組みでは利用者が増えれば支給総額が増え、保険料にはねかえるのは当然であり、まさに制度に欠陥があるということです。
 来年度から都道府県にため込まれてきた「財政安定化基金」の取り崩しが可能となりました。東京都においては240億円ほどある基金のうち、約200億円が取り崩されることになりました。しかしながら保険料軽減に充てられるのは、そのうちの3分の1に過ぎません。この3分の1は、区市町村拠出分で元々介護保険料が原資なわけですから保険料軽減に充てることは当たり前のことです。ところが、残りは国と東京都に配分され、介護保険に運用されるとはいえ、その使途は決まっていないのです。この財政安定化基金は全額を保険料軽減に充てるべきであるにもかかわらず、それすら行おうとはしないのです。国は大幅に国庫負担をすべきです。

 この間、区長は、わが党の指摘もあって、区長会を通じて国と東京都に財政負担を要望しています。区民厚生委員会において、私が各会派の委員に対し、議会からも国・東京都に財政負担を求めるべきと提案しましたが、だんまりを決め込み何の発言もありませんでした。そして陳情を不採択にし、区民の願いに背を向けたのです。
 「社会保障と税の一体改革」で、年金引き下げなど様々な社会保障切り捨てと、消費税の増税が進められる中、国民健康保険料や後期高齢者医療の保険料、さらに介護保険料の大幅値上げは断じて認められません。
 よって、第7号議案「豊島区介護保険条例の一部を改正する条例」は、可決することに反対します。そして、24陳情第3号「介護保険料の値上げに関する陳情」はただちに採択すべきです。
以上、討論を終わります。