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区議会質問
 
豊島区生活安全条例の一部を改正する条例 反対討論(渡辺くみ子議員)

 私は日本共産党豊島区議団を代表し、只今議題とされました第46号議案 豊島区生活安全条例の一部を改正する条例 について可決に反対の立場から討論します。
 本議案は、現行の豊島区生活安全条例に対して、暴力団に関する条項を豊島区暴力団排除条例に移行するとともに、客引き行為等の禁止条項を追加する等の改定を行うもので、第一に客引き及び路上スカウト行為の禁止、第二に重点地区の指定、第三に指導権限の委託が提案されたものです。
 
 先月、池袋や新宿区歌舞伎町など都内の繁華街で、風俗店への客引きの一斉取締が実施され、風営法違反などの疑いで、男女157人が逮捕され、池袋でも逮捕者が出たと報道されていました。 
 さらに報道では、警視庁保安課によると、新宿や渋谷、池袋のほか、従来あまり見られなかった銀座や新橋でも客引きが増えているとし、保安課幹部は「不景気で、客引きを使って客を入れていかないと経営が成り立たないのではないか」と分析しているとしています。本当に最近の景気は悪くなっています。
 
 さて、今回の条例案にはいくつかの問題があります。以下、3つの問題点に絞り指摘し、反対するものです。
 第一の問題点は、客引き及び路上スカウト行為の禁止についてです。
 現在、客引き等の規制は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」と都の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」があり、性風俗営業やキャバクラ等が規制の対象となっています。
 これに対し今条例案では、性風俗営業やキャバクラ営業のほか、居酒屋、カラオケ店の客引き・客待ち行為の規制、アダルトビデオ等の路上スカウト行為、うろつき、たたずみ又はたむろする行為を規制するものとしています。
 ではどこまで規制できるのか、するのかという問題です。
 「どこまでの範囲か」「微妙な判断が必要ではないか」との問いに、区は「メニューを持って声掛けすること、チラシを配ることは、客の誘引であって、客引きとはとらえていない」とし、「違反の判断は区が責任を持つ」と答弁しました。しかし一方では「環境浄化団体の方々が現場をよく知っている」「(違反者には)常習の者が多く環境浄化団体の判断で大丈夫」「常識の範疇」「健全な営業や法令を順守しているところを取り締まることはない」とごまかしの答弁をしているのです。
 「常識の範疇」と言いますが、どこまでが範囲なのでしょうか。また多数の中から特定の人に声掛けをすると「客引き」となるとの説明もありましたが、これもどこで判断するのかあいまいです。「目に余る行為」とよく言いますが、どれが目に余る行為かどうか、感じ方は個人差があるものです。さらに「たむろ」は内心の行為であり、判断は大変難しいものです。要はこのような行為の規定事態があいまいなのです。あいまいなものを規制することは大変難しく、拡大解釈される恐れも生まれます。
 自民党の委員は「罰則が無いから拡大解釈はありえない」と言っていますが、解釈は人によってさまざまであり、罰則規定とは全く別のものです。
 
 第二の問題は事務の一部の委託についてです。
 区の説明では、条例に基づく区の責務を「調査、分析、計画をつくり、実施をすること」、事務の委託は実施の部分である、委託先は環境浄化団体で、委託内容は「手伝い」で、その手伝いの内容は「口頭で注意をする権限を団体すなわち区民に与える」としました。そして区は警告書を発行するとしています。
 「どこで決めたのか」と質すと、具体的な運用は規則で定め、規則はこれから検討するというものです。この条例は先程述べたように運用について大変あいまいになる恐れがあります。だからこそ運用についてきちんと決めておくことが重要なのです。 
 同時に地域のこれらの活動で懸念されるのが、区民がトラブルに巻き込まれる恐れがあるということです。区民の安全を守るためにも、素人である区民に権限の委託はしてはならないということです。
 区は今までと同様にパトロールは区も警察も協働で取り組み、区が責任を負うとしています。それなら事務の委託などしなくても同様ではないでしょうか。さらに区は、「予防は自治体で、検挙は警察の仕事」といいました。その通りです。それであればなおさら客引きなどは、法律と都条例できちんと警察が対応すべきことです。
 
 第三の問題は環境浄化というのなら区民全体で、まず「街づくり」に取り組むべきということです。
 条例とは区民全体が対象となるものです。2000年に安全条例がつくられ、地域では15年にわたり風俗営業等の違法行為に対し区民参加で削減を行ってきた経過があり、地域の方々は本当に頑張ってこられている事は承知しています。そして今回、客引きが依然としてあり、地元の声を反映しての条例改正と強調されました。
 豊島区では、かつて住民運動で池袋の西口の個室付き浴場の地域指定を外させる運動が大きく広がり、個室付き浴場の新規営業を規制してきた歴史があります。区長もこの運動については大きく評価する発言をしていました。また最近では場外車券場設置を断念させた区民的な運動は記憶に新しいことと思います。   
 今回の条例改正につては、風俗営業を無くし、客引きなどを許さない環境浄化が今求められているのです。過去の貴重な経験に学び、街づくりの視点をきちんとつくるべきです。環境悪化を改善する課題は一部地域の問題ではなく、全区民を対象とし豊島区全体の課題であります。今回の条例提案に際し、区は何度も関連団体と協議してきたと言いますが、全区民の課題にはなっていないと言わざるを得ません。
 今こそ全区民を対象にし、安全で、安心して来街者も行きかう街づくり、住み続けられる街づくりの視点をきちんとすえるべきです。
 
 区は条例案の提案に際し、WHОセーフコミュニティの認証に向け、地域力の向上を図るため、権限を与え、規制をかけると言いますが、この間の経過を見ても、権限を与え、縛りをかけても解決するというものではありません。風俗営業や客引きは無くなっていないのです。世論を大きくし、池袋には風俗などはいらない、客引きなどできない環境づくり、街づくりこそが今求められているのです。認証取得を目的とするのではなく、本来の区の責務としている、調査、分析、課題、役割分担など充分検討して行くことが今こそ求められているのです。
 
 以上、第46号議案 豊島区生活安全条例の一部を改正する条例 について可決に反対の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。