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区議会質問
 
子どもスキップ条例の一部改正条例本会議討論(垣内信行議員)

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております、第52号議案、豊島区立子どもスキップ条例の一部を改正する条例について、可決に反対する立場から討論を行います。
 この議案は、来年度より子どもスキップ要の新設に伴い、要町第一児童館及び要町第一児童館学童クラブを廃止するために提出されたものであります。
 子どもスキップについては、地域区民ひろばに移行する小学校区において、児童館を廃止し、全児童クラブとして放課後対策事業と合体させ、児童のみ分離させるというものであり、これまでも様々な問題点が指摘されたところであります。
 今回は、子どもスキップ要の新設に伴い、長い間、児童福祉の拠点となってきた要町第一児童館を廃止し、その施設は西部地域複合施設内に区民ひろばに施設が開設されるまで地域区民ひろば課要町地区分室という条例にも規定されない暫定的な利用として転用されます。
 まず、この条例改正に反対する第一の理由は、児童館そのものを廃止してしまうことであります。
 本条例は、児童館、学童クラブそのものを廃止する重大問題にもかかわらず、附則において、付け足しの形で廃止を規定していることであります。以前にも児童館を廃止する際、こうした手続きの条例改正を提案したので、私は、このことを取り上げ、改めるよう質したにもかかわらず、また同じ形で提案されたのです。
 長い間、地域の核として役割を果たしてきた児童福祉施設を廃止するのに、別の条例の附則で廃止させることは、決して正しいやり方ではありません。
 これまで区の見解は、施設の改廃などについて別々に条例改正をした場合、一方が可決、一方が否決されるという結果になると執行ができなくなるという条例の手続き上の問題を上げていましたが、この条例改正はどうでしょうか。
 今回は、児童館を廃止しした後の施設を、区民ひろばにする条例改正にはなっていません。
 条例にも位置づけない施設を、「地域区民ひろば課要町地区分室」などと適当な名称をつけ、それも暫定的に、職員配置の上、事業を展開するというのです。
 子育てひろば、いきいき広場、遊戯室、事務室、トイレのほか、二階には他に区民集会室及び西部生活福祉課倉庫が整備されるというものです。
 区は、この施設の必要性について、区民ひろば事業の空白地帯の解消、セーフコミュニティ拠点の早期整備、そして要町第一児童館を利用している乳幼児・保護者への対応をあげております。
 そもそも区民ひろば構想を立ち上げた際、既存の児童館やことぶきの家を転用するために住民合意を前提に区民ひろばの準備を地域ごとにすすめ、論議を重ね、施設のあり方を含め、スタートできる体制を作ってから、既存の施設を廃止し区民ひろば条例に位置づけることを区民に約束してきたではありませんか。
 今、機会あるごとに区長は、セーフコミュニティの認証に向けて全庁あげて取り組んでいることを盛んに強調しています。その拠点となる区民ひろばの整備をしようというのですが、ここの区民ひろばの事業にむけては、来年2月から地域説明会をはじめ、事業の準備は4月から、事業開始は6月からというように何もかにもこれから、何も決まっていないのであります。合意をつくれていないのに急いで形を整えるだけ。条例にも規定されない施設がセーフコミニュティの拠点といえるのでしょうか。
 ましてやこれまで長い間、児童の福祉施設と位置づけられてきた施設を廃止する、特に23区でも児童館を全廃しようとしている区は豊島区だけです。子どもを大事にしないでセーフコミュニティ認証取得とは、逆立ちしています。児童館は存続すべきであります。
 本条例に反対する第2の理由は、職員配置の問題です。そもそも子どもスキップは、子どものことを考えて検討されたものではありません。財政効果を生み出すために、一番金のかかる人件費を削ることにし、常勤職員を大幅に削減したのであります。質が下がり、機能を維持することができなくなるのは当たり前であります。児童館は、児童福祉法に基づく、0歳から18歳までの児童厚生施設であり、要町第一児童館では、館長1名のほか、常勤の児童指導員1名、非常勤職員が4名配置され、また障害児の受入れなどにより、臨時職員が加配されております。一方、子どもスキップでは、正規職員は、所長の1名のみで、非常勤職員がローテーションで学童クラブと一般利用児童を見るという体制になります。これでは、全児童を対象にした健全育成事業と学童クラブそれぞれの発展は難しく、子どもの安全確保と、子ども一人一人に寄り添った指導と援助も困難になります。
 第3の理由は、異年齢児の交流の場が失われることであります。これまで児童館が進めてきた子育て支援は、乳幼児のためのプログラム、小学生以上の子どもたちには、放課後や学校休業日の地域の遊び場と活動の拠点として、中高生の居場所として、さらには地域のいろいろな団体と協力して、子どもを中心にしたイベントや行事を行ってきたのであります。我々は、小学校の放課後の活動を豊かにするために、学校の有効活用を否定するものではありません。しかし、スキップ事業は、小学生だけ分離し、学校施設を利用して放課後を過ごさせるというもので、小学生以下と中学生以上との異年齢交流を断ち切るものであります。
 第4の理由は、放課後事業の縮小であります。児童館では6時まで、学童の児童も一般の児童も遊びや保育が実施されてきたものが、スキップに移行すると、冬場は一般の児童は4時半になると自宅に帰らなくてはなりません。今般、子どもをめぐる危機管理を上げ、特に冬場の帰宅は早くさせることにしているためとしていますが、確かに子どもの安全の確保は最優先の第一義的課題ではありますが、児童の放課後の育成事業を狭める問題とは別問題です。要するに、職員を減らしたために、子どもスキップではその受入態勢が弱まり、6時までの受入れを困難にしているということなのです。
 第5の理由は、施設そのものが狭められ、子どもの居場所が縮小されることであります。子どもスキップは、一般の児童はもとより、学童クラブの入会数も定員も設けず、誰もが入会できることにしています。校庭や体育館で自由に遊べることで、スキップの施設は児童館に比べ、施設は狭隘なスペースになっています。今回の要小学校の場合、空き教室がないために、区が基本とするとした校舎内型でなく、敷地内型になります。
 学校の校庭を削って、施設をつくるのため、校庭面積が271平米も狭められることになります。学校校庭を大幅に削り教育環境を狭めるやり方は道理がありません。
 スキップの施設は、コアスペースとセカンドスペースとして事業を展開します。要小の場合、コアスペースは84平米、セカンドスペースは91平米であり、これまでの要町第一児童館のクラブ室、遊戯室、工作室、本の部屋などあわせて約300平米から大きく後退してしまうのであります。
 以上、5点の問題点を指摘してきましたが、スキップ事業は、全児童を対象とした放課後育成事業といいますが、これまでの果たしてきた児童館の機能を維持するという約束は、守るどころか後退させるものであります。
 よって、第52号議案、豊島区立子どもスキップ条例の一部を改正する条例の可決に反対するものであります。以上で討論を終わります。