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区議会質問
 
「非核三原則の法制化を求める意見書採択に関する陳情」の継続審査に反対する討論(儀武さとる議員)

 私は日本共産党区議団を代表して、ただいま議題とされました23陳情第23号「非核三原則の法制化を求める意見書採択に関する陳情」の継続審査に反対し、ただちに採択することを求め討論を行います。
 この陳情は、豊島区原爆被害者の会・豊友会が、唯一の被爆国である我が国が「非核三原則」を法制化し、世界に向かって核兵器廃絶への意志を明らかにし、国際社会で主導的
役割を発揮することを求めたものです。
 
 核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則は、日本が守るべき基本原則として幅広い国民が支持し、国会の衆院、参院であわせて7回の決議があがりました。その後、核兵器の持ち込みを黙認する日米密約が明らかになり、非核三原則の法制化の要求や、寄港に核兵器を持たない証明を求める「非核神戸方式」、非核自治体宣言のとりくみなど、政府に三原則を守らせる国民の運動が大きく広がりました。そのような状況の中で豊島区は23区の中で最も早く非核都市宣言をおこない、2012年は非核都市宣言30周年を迎えます。今議会で意見書を採択することは、区民の運動を大きく進める転機になるものです。
 
 私は3日、巣鴨地域文化創造館にて、被爆者の証言を聞く機会がありました。証言者は高齢の男性です。広島駅で堅牢な電車の前で立っていたため、奇跡的に助かったのだそうです。避難する時、周辺には遺体や傷病者が多数いて、人間としての感覚が麻痺し、なにも感じなくなると話され、「二度と戦争はやるべきでない」と実感を込めて述べていました。私は沖縄の父母が同じことを語っていたことを思い出しました。核兵器も戦争も基地もない平和沖縄、日本をと願う気持ちは、みな同じです。
 さて、今年はアメリカが広島と長崎へ原爆を投下してから66年になります。都市を焼き尽くし大量の市民の命を奪った原爆投下は国際的に許されない犯罪です。被爆者はいまなお放射能の被害に苦しんでいます。助かった人や救護のため入市した人たちも放射能の被害を受けがんや白血病などにおかされ、死の恐怖と向かい合う毎日を強いられています。
 被爆者の高齢化は進んでおり、これ以上放置することは許されません。3.11の東日本大震災、福島原発事故による放射能汚染は大変深刻です。広島型原爆の20個分の放射性物質が大気中に放出され、いまだに事故の収束の見通しもありません。核も原発も人類と共存することはできません。
 
 委員会審査では、自民党の本橋委員は非核三原則の法制化をすすめたら、アメリカとの関係が壊れて日米安全保障条約はどうなるか、と発言がありました。日本は、サンフランシスコ講和条約と日米安全保障条約によって形の上では「独立国」となりましたが、首都東京をはじめ全国各地に米軍基地がある事実一つをとってみても日本がアメリカの事実上の「従属国」であることは明らかです。日米安全保障条約の6条に基づいた日米地位協定は不平等で、現実に基地がある沖縄などでは大問題になっています。沖縄では、小学生が青信号で渡ったらトレーラーで轢殺されるなど、米軍やその家族が事件、事故を起こしても国内で裁判もかけられない時代もありました。安保条約が締結されたころの1954年の日本国内の米兵犯罪起訴率はわずか2.5%であります。まさに、半植民地状態だったのです。現在、運用で改善しょうとしていますが、まだまだ問題があります。
 
 日米安保条約のもとで、アメリカいいなりの弊害は重大です。基地の重圧だけでなく、外交や経済のゆがみも深刻です。日米安全保障条約は破棄して、対等平等の真の友好条約を締結することによって、両国民の暮らしと経済も発展するのです。
 他の委員も非核三原則の法制化は「中国や北朝鮮の動きもある」「現実にそぐわない」「時の政権によって影響される」と言って、陳情については継続審査を主張し、被爆者の願いに背を向けました。
 これらの主張は、結局、アメリカの「核の傘」のもとで「核抑止論」にたつもので、相手国によっては核兵器の使用も辞さないことを容認するものです。被爆者のみなさんは、「二度と被爆者をつくらない」ために陳情を出しているのです。
 非核三原則の法制化をすすめることによって、実効性を担保し、国際社会でイニシアチブを発揮してこそ、日本の権威も高まるのです。
 
 以上、23陳情第23号「非核三原則の法制化を求める意見書採択に関する陳情」の継続審査に反対し、ただちに採択することを求め討論を終わります。