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区議会質問
 

2010予算案反対討論(渡辺くみ子)

 私は、日本共産党豊島区議団を代表し、只今上程されました 第25号議案 平成22年度豊島区一般会計予算 、第26号議案  豊島区国民健康保険事業会計予算、
 第27号議案 豊島区老人保健医療会計予算 、第28号議案 豊島区後期高齢者医療事業会計予算 、第29号議案 豊島区介護保険事業会計予算に反対の立場から討論を行います。
 尚、第30号議案 従前居住者対策会計予算には賛成します。

 鳩山政権が発足してから半年。各マスコミの世論調査では内閣支持率は急速に低下しています。
 失業率は5%を超え、深刻な雇用危機が続き同時に勤労者世帯の可処分所得が8ヶ月連続で減っているなど、国民生活は昨年以上に困窮し、悪化の一途をたどっています。
 鳩山政権は、母子加算の復活や高校授業料の無償化など、部分的には前進もみられますが、後期高齢者医療制度の廃止を先送りした上、負担軽減策も実行せず保険料が上がりました。障害者自立支援法の「応益負担」も中途半端に残しました。また労働者派遣法の改定でも政府案では肝心の登録型派遣を原則禁止とするどころか、事実上容認するものになっており、さらにその実施を3年から5年先送りするとしています。
 これでは雇用も守られず、景気を改善することもできません。また、次々と発覚する旧政権同様の「政治とカネ」の問題、普天間基地の移転問題を含め、政治を変えてほしいと願った国民の期待に対して応えたものにはなっていません。国民の信頼を裏切っているといわれても仕方ありません。
 今、政府がなすべきは、まず「政治とカネ」の疑惑の解明です。国会議員が「政治とカネ」で疑惑を持たれた場合、自ら疑惑を解明し、責任を明らかにするとともに、所属する政党としても自浄能力を発揮して、真相と責任を明らかにするのは当然です。そしてきっぱりと企業団体献金を禁止することであります。また日米軍事同盟絶対の枠を突破し対等平等の立場に立つ政治にきりかえることです。
 経済危機から国民の暮らしを守るためには、旧来の政治の根本の転換が必要であり、自公政権時の社会保障削減路線の「傷跡」を是正すること、大企業の巨額の内部留保と利益を社会に還元させ雇用と中小企業を守ることに踏み出すことが今切実に求められているのです。

 では都政はどうでしょうか。
 石原都政は、11年間本来都がやるべき施策をできる限り民間に移行し、福祉や暮らしを切り捨てる政策を続けてきました。
 2010年度の予算案では、都民や我が党都議団が求めてきた、商店街支援補助などの立ち上げや制度融資の拡充、少人数学級について「教員加配」、高校の授業料を国の予算をうけて無料とするなど、一部の前進は見られます。
 しかし全体としては都民の願いとはかけ離れたものとなっており、教育関連予算はこの12年間で最低。また本区でも深刻な特養ホーム待機者問題では、拡充するどころか高齢者介護施設の整備費を大幅に削減、さらに都立三小児病院の廃止、都営住宅の新規建設は11年連続ゼロのうえ、管理戸数を779戸も減らし、住宅予算は384億円も減らすなど、切実な都民要求を切り捨てたものとなっています。
 さらに土壌汚染問題で現在地再整備の世論が上がっているなかにも拘らず、築地市場の豊洲移転予算に1,281億円を計上、また1m1億円もかける外郭環状道路建設の事業化など、投資的経費は六年連続で増額し、一兆円を大きくうわまわる巨額なものとなっています。2016年オリンピック招致のためにためこんだ4,000億円をはじめ、都民要求実現のために使える基金が1兆3,000億円もあります。これらを適正に使えば、都民要望に応えた施策の展開が可能です。

 では豊島区はどうでしょうか。
 自公政権のもとで進められてきた「構造改革」「成長戦略」は、社会保障切り捨て、規制緩和・民営化が推し進められ、本来国が行うべき様々な仕事が切り捨てられてきました。また三位一体改革で、住民サービスの大幅切り下げ、地方行革の名で職員の削減、指定管理者の導入など民営化が進められました。これらの動きは自治体本来の住民福祉の機関という役割を大きく変質させ、住民から暮らし・福祉を奪ってきました。
 さらに「都市間競争」を看板にした大企業による大型開発には多額な補助金をつけ推進してきました。
 こうしたやり方が、大量の失業者を生み出し、貧困と格差を拡大し、「介護難民」「医療難民」が生まれ、労働者、子ども、高齢者、障がい者、中小企業者など、あらゆる層の人々の暮らしといのちを危機にさらしています。
 「都市再生」の名ですすめられてきた、超大型マンションは売れ残り、先日は「1日1便の茨城空港」がマスコミでも大きく取り上げられましたが、このような「都市再生」は、「街おこし」どころか、街こわし、住民追い出し、そして多額なつけを国民に押し付けるものとなっています。
 自公政権が「構造改革」「成長戦略」の名で進めてきた路線は完全に破たんしているのです。
 ところが区は、このような国の路線に忠実に従い進めてきました。
 区民に「財政難」と言ってリストラ、合理化、住民犠牲の行革を実施。区民サービスを大幅に削減し、区民に我慢を強いてきました。「財政健全化計画」、「新生としま改革プラン」「行財政改革プラン」で、この間削減された福祉関係経費は年間ベースで8億円、教育関係経費は1億2千万円にも上ります。
 人件費削減を目的に、職員の削減、指定管理者の導入、保育園の民営化、児童館やことぶきの家を廃止し区民ひろばとし、また学童クラブを全児童クラブとしてスキップに統廃合する、さらに「公共施設の再構築、区有財産の活用」で区民の財産である施設や土地を売り払い、今後も続けようとしています。
 その一方で、今度は基金をため込み、借金返済を最優先にしています。
 また「都市間競争が新たなステージをむかえた」と、再開発事業による新庁舎建設、LRT、東西デッキ、などの大型再開発には国庫補助がつく、財調があると飛びついています。
 しかしこのような区政運営は、後ほど具体的に述べますが、保育園の待機児や特別養護老人ホームの待機者が大幅に増大するなど、区民生活に様々なひずみを生みだし、深刻な事態を生んでいます。
 また、区は人件費削減を理由に職員を「2000名体制にする」と削減を進めてきました。このような中、職員による重大かつ深刻な事件が多発しています。国民健康保険料の横領事件や、生活保護費の紛失。先日は、非常勤職員3名に対するセクハラが、2年半も発覚せずに続いていました。許しがたいことです。
 他にも事務的なミスが予算委員会の質疑の中で明らかになるなど、表面には現れない問題が多いのではないでしょうか。これは、組織としての連携や機能に支障が出ている証拠で、区民サービスの低下につながっています。
 ところが反省もせず、さらに今後5年間で200名削減する「新定員管理計画」を出しました。さらに区は、経費削減の名のもとに職員削減を進める、指定管理者制度の導入を拡大してきました。その結果、自転車駐車場ではシルバー人材センターで働いてきた高齢者の働く時間が半減するなどの問題がおきています。

 区民の置かれている状況は今までになく深刻です。手持ち金が70円しかない、毎日ハローワークに行っているが仕事が無い、住まいが無い、入院を言われているが高すぎて入れない、保険料が払えないなどなど、相談が毎日寄せられています。こんな時だからこそ、区民に直接かかわる自治体として、区民の生活実態を直視し、「いのちを守る」区政、区民が安心して暮らせる区政の実現に総力を挙げて取り組むことが大きく求められています。
 日本共産党区議団は、2010年度予算審議に当たり、第1に区民の切実な要望にこたえるものになっているかどうか、第2に、そのために財源確保に努めてきたかどうか、第3に不要・不急な開発を進め、区民の暮らしにしわ寄せをしていないかどうか の観点で審査に当たってきました。

 第1に区民の切実な要望にこたえるものになっているかどうか、についてです。
 一つ目は保育園の待機児解消についてです。
 わが党区議団は、増大する保育園の待機児を重視し、ただちに解消するために、この間、一般質問でも毎回取り上げ、区長の見解を質して参りました。
 区は、できる限りの責任を果たしていると述べ、新年度の待機児は、昨年を何とか下まわりたい、そのために努力しているといいましたが、実際には昨年を上回る可能性を示唆しました。
 十分な対策を取ってこなかったために、待機児童は一向に減らず、逆に1歳児、2歳児は深刻な状況になっています。
 他区では、待機児解消策に本格的に乗り出し、新宿や渋谷の区長は、子育て支援を予算の目玉にしたと述べています。待機児解消に取り組む姿勢も予算配分も、豊島区とは格段に違うのです。
 本区では認可保育園を中心とした受け入れを、拡充するといっても、現状の待機児を解消する計画になっていないことは大問題です。
 区は、これまで三位一体改革で、年間約8億円の保育所運営費の補助金削減を容認してきました。8億円のお金が、保障されていたなら、運営費のみならず、待機児対策にも十分な財源を確保できていたではありませんか。しかし国や都の削減をそのまま受け入れ、民営化を進め、保育料の高い認証保育所を進め、さらに目先の解消策として保育ママ制度の導入などを行ってきましたが、これでは根本的な解決にはなりません。
 待機児解消というなら区が責任をもち、需要に応じて認可保育園を増設すべきです。また安定的な財源を確保するというなら国や都への支援を要求するべきで、少なくとも削られた分を取り戻す姿勢を持つべきです。

 二つ目は特別養護老人ホームの待機者解消についてです。
 区の特別養護老人ホームの待機者は、直近で1070名、そのうち区が緊急に入所の必要性があるとしているAランクは328名となっています。日を追うごとに増え続ける待機者、このように待機者を増大させたのは施設を建設してこなかったからで、区長の責任は重大です。
 ところが、待機者を増大させた責任について質したところ、「努力してきた」「検討してきた」という答弁しかありませんでした。
 なぜできなかったのか。これは「民間を誘致する」と民間まかせにしてきたからで、このようなやり方が間違っていたのです。介護施設を整備するという区の責務が欠落しているため、まともに答えられないところに、特養ホーム建設に対する区長の後ろ向きの姿勢がはっきりしました。
 千川小学校の跡地の活用を含めた計画を推進すると来年度予算に盛り込まれました。一歩前進です。しかしこれで「待機者は減るのか」と質したら、理事者は「減らない」と答弁しました。今回の計画だけではまだ不十分だということで、要するに実情に見合った建設計画になっていないのです。
 来年度予算について区長は、「区民サービス、行政水準を低下させない予算案」といいましたが、待機者が減らないということは行政水準の維持どころか後退しているではありませんか。待機者の実情を直視するなら、まずは、区が責任をもって待機者に見合った建設計画をたてること、そして建設に必要な財源確保に積極的にとりくむことをあらためて求めます。

 三つめは生活保護についてです。
 全国の生活保護の受給世帯数は昨年11月速報値で129万3000世帯と過去最高となっています。豊島区でも、2010年1月末現在5,620世帯と昨年度4367世帯より1253世帯も増加しています。また最近の傾向について、いわゆるホームレスと言われる人たちの緊急保護はやや落ち着き、反対に、居宅世帯がここ2年間、増加傾向で、居宅の受理件数では07年度482件が今年度1月末で901件と1.8倍となっています。担当課長も言うように、経済不況が大きな要因であります。
 わが党はこの間、機会あるごとに職員の増員とスペースの拡大を求めてきましたが、来年度から西部生活福祉課が新設され、2か所の体制になります。しかし問題は必要な職員の確保です。
 西部生活福祉課の職員数は38人、その内ケースワーカー23人で一人当たりの担当世帯数はまたもや100世帯前後となっています。 
 生保受給者の孤独死は年々増え続け、昨年度は23人、今年の2月末現在で何と31人です。担当課長はこの間、「なかなか訪問できないため」と言っていましたが、06年で一人当たりの担当件数は85世帯、07年度で90世帯、08年度は97世帯で、これでは継続的な訪問や指導は不可能です。ところが今度も100世帯前後とは最初から無理な体制です。区は「十分ではないが現状よりよい」と答弁していますが、国は80世帯に1人配置することを標準としています。直ちに職員を増員すべきです。
 自公政権は生活保護の母子加算23,000円を廃止しましたが、母親らの必死の運動で昨年の12月から復活しました。しかし区は老齢加算の国への復活要求はまたもや拒否。区独自の法外援護の復活も拒否、冷たい態度です。

 四つ目は高齢者施策についてです。
 ひとり暮らし高齢者、高齢者のみの世帯が激増しています。高齢者支援策の拡大が、ますます重要になっています。しかし、緊急通報システムの新規設置は、毎年、数十台にとどまり、稼働数に至っては年々減少しています。その原因について課長は、「高齢者は、自分で電話するなどの、手続きができないから」と言いました。しかし、実際には、対象要件が「急を要する慢性疾患」となっており、条件が厳しすぎるため、申し込みすらできない状態です。
 また、自分で電話ができないというのであれば、ハローテレホン事業の復活をと、求めても復活はしない。ハローテレホン事業は、基盤整備は電話を利用するだけで、他には必要ありません。人の配置だけでできるのです。費用は、わずか200万円でできていたのです。高齢化社会の安否確認は重要な事業であり、復活しない理由などどこにあるのでしょうか。セーフコミュニティと口では言っても行動が伴っていません。
 そして、三位一体改革で、国や都は、数々の補助を削減・廃止しました。これまで区は、補助の復活をあらゆる機会に求めてきたと言ってきましたが、高齢者の支援策については、全く求めてこなかったどころか、委員会で担当課長は「求めることが妥当なのか」と必要性まで否定しました。政策経営部が慌てて弁解しましたが、結局、拡充する姿勢が無いことが明らかになりました。このように高齢者をないがしろにするやり方には憤りを感じます。

 五つ目は障がい者施策についてです。
 2006年から始められた障害者自立支援法は、障がいのある人が生きていくうえで不可欠な支援を「利益」とした「応益負担」を導入、「障害が重い人ほど負担も重くなる」悪法です。廃止を求める声が大きく上がり、厚労省は、昨年9月に、2013年8月までに自立支援法を廃止し、新法制定を明らかにしました。しかし政府は当初300億円としていた予算を107億円に削減。この結果、今年4月から廃止までの対応として、住民税非課税の障がい者の福祉支援や車いすなどの器具の自己負担をなくすとしましたが、医療支援の応益負担や、65歳以上の「介護保険優先の原則」は残しました。
 低所得者の医療支援の応益負担は直ちに廃止を求めるべきです。また「介護保険優先の原則」で担当課長は「強制はしない」と答弁していますが、現場では「移行」を言わざるを得ない状況となっています。政府に廃止を求めるとともに、区としても「移行」させるべきではありません。
 区の独自施策である「さくらんぼ」は利用者が増えたため、利用者一人当たりの利用日数が大幅に削減されています。担当課長は第二さくらんぼの必要性を認めていますが、厚労省がグループホームを進めているのでグループホームを進めたいとしました。しかし現在グループホームの空床は無く、建設計画もなく、民間の誘致が具体化したら予算計上するとしています。あまりにも消極的です。これでは需要に間に合いません。区の責任で建設すべきです。
 また一ヶ月3回の訪問入浴はあまりにも非人間的です。回数増について、「今後検討」との答弁です。早急に改善するよう再度求めます。

 六つめは住宅対策についてです。
 予算案では重点事業の「副題」として、「訪れたい、住み続けたい街づくりの集大成へ」とあります。住み続けたいというなら、住まいは区民にとって基本であり、その対策は、常に重点に置かれなければなりません。
 ところが、「住宅対策は重点なのか」という問いに、理事者は重点とは言いませんでした。要するに需要に応じた対策をしていないために重点事業とは言えないのです。区政の大幅な後退です。
 新築にともなう区営住宅の応募は、大変高く、世帯向けでは21.4倍の倍率です。区民は、安価で良質な住宅を求めていることは明らかです。ところが、本腰を入れて取り組まない要因として、区は、費用対効果といいました。区営住宅の一戸当たりの建設費用は、区の持ち出しは、600万円程度です。百戸造っても6億円です。
 また今年度から「家賃の補助制度などで民間住宅を活用した対策を講じる」と、子育てファミリー世帯への家賃助成を始めました。しかしわずか3世帯と実績が上がりません。助成期間は5年間で、最初の4年間が上限1万5,000円を、残りの1年間は半額という期限付きの助成ですから魅力がないのです。ないよりはましでしょうが。区民の需要に応じた住宅対策の基本は、公営住宅の増設、そして収入に応じた家賃助成を大幅に引き上げることです。

 七つめは中小企業対策についてです。
 区長は大型店が来れば景気がよくなるなどと言ってきましたが、景気後退・経済危機が猛威をふるい、三越の撤退、さくらや、キンカ堂の閉店という厳しい事態が起こっています。開発中心の街づくりはダメということです。
 区内の企業の倒産状況は、2009年は103件で前年比12%増です。中小業者は、雇用・所得を生み出す内需拡大の核であり、地域経済の振興に大きな役割を果たしてきました。中小業者の減少は、近所で買い物ができなくなる、シャッター通りとなり街そのものの活気がなくなるなど、近隣住民にも深刻な事態となります。
 その中小企業は、「何日も仕事が無い」「売り上げが半減した」と壊滅的ダメージを受けながら、必死にがんばっています。いまこそ、中小企業の営業を守るために、区としての支援策拡大は不可欠です。ところが来年度予算では、相談事業や、あきんど祭り等の補助がわずかばかり拡大されていますが、具体的な支援策拡大とはいえません。商店街電灯料補助や、中小商工業融資資金などの事業も継続にとどまるばかりで、真剣に区内中小企業を支援する姿勢には程遠いものであります。昨年好評だった10%のプレミア付き区内共通商品券助成は、盛り込まれず、これでは、サービス維持されているとは言えません。高野区長になって、大幅に削減された商工費を大胆に増額するとともに、国・都に大幅拡充を求めるべきです。

 八つめは教育費についてです。
 まず私費負担と就学援助についてです。
 子どもの貧困化は深刻です。就学援助は生活保護基準額の1.2倍と厳しい条件ですが、09年度の中学生の認定率は25.9%となっており、区も認めている通り経済的状況の影響であります。
 就学援助を受けていない世帯でもボーダーライン層が多いことは容易に想像できることです。私費負担は中学3年生で給食費も含めれば年間15万円を超えています。今年度の修学旅行費は51,442円で区の補助は削減のまま。中学生の修学旅行代、一人たとえば30,000円の補助だけでも2,664万円あればできます。しかし区は「義務教育は無償」と言いながら「私費負担は現実的問題として止むをえない」と答弁。これは事実上無償化を否定する発言で容認できません。
 国は三位一体改革で就学援助制度の改悪を強行し、本区では就学援助費1.676万円が削減されました。「財政難」というのなら、まず国に復活を求めるべきです。
 隣接校選択制と少人数学級についてです。
 わが党は、学力低下、不登校、いじめ、学級崩壊など現在の教育環境めぐる問題を解決するうえで、少人数学級を制度化するために東京都が30人学級に踏み出すべき立場から都に対して働きかけてきました。こうした中で、都教育委員会は、それぞれの自治体でモデル事業として教員の加配を進める方針を打ち出しました。
 一歩前進ですが、東京都は、依然として1学級40人という学級編成の基準は変更しないという姿勢です。全国で、かたくなに40人学級をこだわっているのは、東京都だけです。しかし本区もこの基準を容認するという姿勢です。問題であります。
 また隣接校選択制によって、生徒数の偏りがおこり、地域から不安の声もあがっており、隣接校選択制については見直すべきです。
 教育長は、こうした中、少人数学級の取り組みやメリットを強調し、小規模校の魅力を打ち出していきたいと答弁しました。そうであるなら、区が率先して、40人学級にこだわることなく少人数学級の基準に踏み出すべきです。

 以上、区民の生活実態について述べてまいりましたが、いずれも施策の拡充が急務です。そこで次に大きな第2として、施策拡充のための財源確保に努めてきたかどうか、について述べます。
 区は予算案について「景気の悪化に伴い個人所得の減少による特別区税の減収など・・昨年度に引き続き一般財源の減収が見込まれ」、今後は「景気悪化の長期化に備え、財調基金の取り崩しをできる限り抑えるなど、将来を見据えた予算」としています。安定した財政基盤の確立は区民サービスを向上させるうえで、私たちも重要と考えます。

 さて、自公政権は2004年度から2006年度の3年間、三位一体改革で4兆円を超える国庫補助負担を削減しました。しかし税源移譲は3兆円です。税源移譲では、三位一体改革で削減された国庫補助金の8割を移譲したのみで、残り2割は地方自治体の努力で賄うとしたものです。豊島区の影響額は、国と都の補助負担金削減で14億円、税源移譲での削減額は2億円で、合計16億円も削減されたのです。
  そこで、これらがどう区民サービスに影響したのか、また区はどう対応してきたのかについてのべます。
 まず生活保護費についてです。
 生活保護費は1985年それまでの国庫補助10分の8から10分の7に下げ、1996年、現在の4分の3とわずかばかり引き上げましたが、依然として低い補助率です。三位一体改革ではさらに削減の方向が出されましたが、全国の自治体が反対し削減にストップをかけてきました。本来、生存権にかかわるものは国の責任で行うべきで、わが党は何度も全額国庫負担金とすることを国に求めるよう質してきました。しかし区は拒否し続け、今回やっと国に要望することを表明しました。当然のことであります。

 高齢者福祉はどうでしょうか。
 緊急通報システム事業経費、寝たきり高齢者理容美容助成事業、高齢者寝具類洗濯乾燥事業、高齢者福祉電話貸与経費、生活支援型ホームヘルプサービス事業など、在宅の高齢者や一人暮らし高齢者のいのちと暮らしを守るうえで貴重な施策を国も都も全額廃止しました。しかし区は復活要求もせず、区の独自施策として残したものの、「財政難」と言って規制を強化し縮小しました。その結果、実際にはなかなか活用できず、利用率は大幅に下がっています。
 ところが、先程も言いましたが担当課では、国への復活の必要性も無いとしています。財政が好転しても施策の拡充をしてこなかった区の姿勢がはっきりとしました。

 就学援助についてです。
 国は準要保護児童に対する就学援助費を全額廃止しました。しかし区は全く復活を要求していません。この間わが党は、就学援助の基準の引き上げと合わせ、区が削減した私費負担の復活、拡充を求めてきましたが、区はほとんど復活してきませんでした。
 国に就学援助費の復活を要求しないことは問題ですが、要は施策の拡充を考えていないということです。

 さらにいま深刻な特養ホームでは、04年度から施設・設備整備費補助を削減、07年度からユニット型を基本とし特養ホームへの国・都の補助は無くなりました。また2005年度には老人ホーム措置経費が廃止、今年度さらに、用地取得費8億円が削減されました。用地取得費に関しては区長会で要求を出しているといいますが、施設整備費の削減は深刻です。区は「民間を誘致」と言い続けていますが、いまだに設置者がいないというのは、介護保険での運営も厳しい中で、民間も手を上げることができないからです。

 保育所についてです。
 国・都の保育所費負担金が04年度に廃止されました。先程も言いましたが、区は年間約8億円の補助金削減を容認してきました。また都が行っている待機児童解消支援事業は、その「特徴」を民間保育所のみとしており、結局区はこの方針にそのまま従い民営化を進め、その結果、現在のような深刻な事態を招いてきたのです。ところが区は今でも民間依存のままの方針を変えていません。これでは待機児解消はできません。
 さて先程の全員協議会で自民党の磯議員から、保育園の大規模改修の費用が60億円から70億円かかることに対し、「だらだらと金をかけている」「豊島区の財政が破たん」「受益者に負担をさせるべき」とのような発言がありました。保育園の国庫補助を減らしたのは自民党政治そのものではありませんか。豊島区の影響額は年間8億円です。7年分56億円も削減されてきました。自ら大幅に削減しといて、そのつけを必死では働きながら子育てをしている保護者に押し付けるなどとは言語道断であります。

 かつて国庫補助負担金は福祉や教育の分野が8割を占めていました。それを自公政権は「地方にできることは地方に」「民間にできることは民間に」という「小さな政府」の具体化の一つとして、三位一体改革で国の補助負担金を廃止・縮減をしてきたのです。
 当時から自治体の財源圧迫は懸念されていました。ところが区はそのまま受け入れ、国・都の言いなりになり、その結果が特養ホームの待機者や保育園の待機児童の増加を生み出し、高齢者が安心した在宅生活をおくる環境を壊してきたのです。
 区は、「収入増加が望めないのに・・身の丈を超えた行財政運営を続けてきたことが財政危機から脱しきれない要因」として「行財政改革に取り組んできた」としています。さらに来年度の歳入について、税収減を強調しています。しかしこの間の国や都の削減には一言も触れていません。わが党は一般質問等で機会あるごとに、削減された区民に必要な施策については、国や都に要求するよう求めてきました。しかし「やらない」の一言で終わらせることが多々ありました。結局、国や都が削減した分をそのまま受け入れ、区民にサービスの削減や負担増として課したのです。
 委員会審査で副区長は、この間、国や都への要望について、「項目によっては」要望せず「反省する部分もある」とし、「国・都に要望する姿勢は堅持する」と言いました。区民の生活実態を直視し、区民の立場に立ち、国、都への財源確保に真剣に取り組むことを再度強く求めます。

 第3に不要・不急な開発を進め、区民の暮らしにしわ寄せをしていないかどうか、についてです。
 区長は来年度の事業展開として第一に都市再生を上げています。また8項目27の重点事業のうち都市再生が8事業をしめており、都市再生にいかに力を注いでいるかがわかります。
 特に池袋副都心整備ガイドプラン推進事業、池袋駅及び駅周辺整備事業調査は新庁舎、池袋駅東西デッキ、LRTを具体的に進めるためのものとなっています。

 まず庁舎建設に関してです。
 来年度の新庁舎建設に関する予算は、再開発事業における実施設計に合わせて庁舎の実施設計段階でのレイアウト作成に600万円、再開発事業の実施設計を庁舎建設から見て検証する費用に2200万円、保留床の取得の費用についての検証と現庁舎地の資金の再評価に580万円、計3,380万円が予算化されています。
 そして区は実施設計がまとまり再開発事業における保留床の権利変換計画ができた今年6月頃区民に示すと言います。
 しかし事業計画が認可され、実施設計ができ、権利変換計画が固まった段階では、実際にはそのまま進むということで、区民が意見を述べても計画の見直しなどできません。
 また区の土地に関する権利をみると、敷地面積9.451m2のうち区の土地は5,804m2で61%、6割を占めています。しかし再開発事業による計画で、建物との関係では、延床面積のうち権利床12,700m2を土地に換算すると約1,230m2となり、提供した土地5.804m2の6分の1、16%にしかなりません。このような建築物は建て替えができないということです。建物は老朽化すれば価値がなくなります。結局区民の財産として残るのは、現在の区有地の6分の1だけということです。
 さらに現庁舎地の資金計画の検証と言いますが、実際に借主との契約は新庁舎が完成し転居した後となります。資金計画といってもあくまでも部長の表現通り「想定の数字」で動くことになり、あまりにも無責任すぎます。

 次にLRTと東西デッキについてです。
 LRT関連で来年度は1.549万円の調査費が予算化されています。そしてこの調査を踏まえ、2012年度には基本設計と詳細設計を行い、2013年度にかけてルートの検討をするとしています。しかしこの間の委員会審議等で、区は「LRTの設置は、現状の交通環境の中でなかなか難しい。全国どこの自治体でも・・途中で計画がとまっているような実態がある。・・豊島区も同様で」としていました。ところが、2012年度には基本設計と詳細設計を行うなどとは、いつどこで具体的になったのでしょうか。
 また今年度までに費やした税金は3.600万円、来年度が1.549万円、さらに2011年度は1800万円となっています。区は、整備事業費は国のLRT総合整備事業の適用を受け国庫補助の導入を検討するとしています。そして、想定している総事業費72億円、LRTの設備等は区が作るが、運営は事業者に委託するとして、区の負担は38億円ぐらいといいます。結局、半分は税金を使うということです。
 東西デッキに関しては、今年度までに約9.070万円の税金を投入、来年度は基本構想策定に2.400万円を計上し、2011年度から駅前空間整備計画の検討と合わせ、デッキ・サインの事業化をすすめるとしています。参加事業者は鉄道と百貨店事業者ですが、バリアフリー化や地下サイン改善等を含め当然これらの事業者が行うべきです。ところが東西デッキについて、たとえば150億円かかった場合、都市交通システム整備補助事業で3分の1を国の補助で、残り100億円は財調で、期間は6〜7年かけて行うとしています。
 国の整備事業として行えば、国の補助が出ると言いますが国庫補助であろうと、財調であろうと区民の税金です。ましてや財調算定されれば他の施策が圧迫されることは明らかで、今後の財政運営に大きな問題を残します。
 国庫補助が出るからと飛びつき、開発行為にまい進するやり方が間違っていることは、先にも述べた通り、この間破たんした多くの都市を見ても明らかになっています。
 区長は、特養ホーム建設は現時点で直ちに将来構想を描くことは大変難しいといいました。しかし都市再生については、新庁舎、東西デッキ、LRT(路面電車)など、将来を見据えて「夢とロマン」をもった計画が必要と繰り返しています。介護とか福祉になると、目の前に困っている人がいようが、待機者が増大しようが、将来計画すらも後ろ向きなのです。ここに区長の「暮らし、福祉、介護よりも開発優先の政治姿勢」が浮き彫りになりました。
 区民の厳しい生活実態には目を向けず、不要不急の大型開発を進めることは直ちに止めるべきです。

 さらに区民不在の街づくりの問題として大塚駅ビル計画について取り上げます。
 昨年10月、南北自由通路の開通記念式典から3カ月後に、JRは区を通じビル計画を示しました。敷地規模は約3,000m2、12階建て、2年後には完成と言う計画です。自由通路ができて南北の行き来が便利になり解放感も良くなったばかりなのに、その自由通路の真ん前に立ちふさがることになり、今まであった上空の解放感まで奪われてしまう、大規模なビルです。これからの駅前広場計画、地下駐輪場計画にも多大な影響が及び、近隣商店街への影響もはかり知れません。
 JRは、区が負担した自由通路の事業費で、駅舎部分の掘削を行ったために莫大な経費削減ができました。当然駅ビル計画を立案するにあたっては、地域住民に知らせてしかるべきであるにもかかわらず、建築確認申請を出す数ヶ月前に公表するなど、住民無視もはなはだしい限りです。ところが区長は、「JRは、区の要望に配慮して計画を進めており、勝手に進めているとは思わない」という態度です。また、担当も情報提供はJRから行っていただくと他人事であり、1月末に区からJRに説明会を行うように強く要請したと言います。しかしそれから二か月が経過しようとしていますが、一度、商店街に向けて説明会を行ったようだという答弁だけで、その内容も、その後の開催についても説明はありません。このような駅ビル計画は、規模も、JRの態度も、区の姿勢も、住民無視でしかありません。
 まちづくりは、住民と一体で進めるものです。ところがその姿勢が欠落しています。区は住民の立場に立って、関係機関に働きかけるべきです。

 次に4特別会計について述べます。
 まず国民健康保険事業会計についてです。
 保険料についてです。来年度の平均保険料は約94,000円で、9.600円もの値上げです。あまりにも大きな値上げです。所得割、限度額さらに均等割りまで引き上げ、その上、今回は「前期高齢者の医療費を全体でみる」としてつくられた前期高齢者支援金の08年度分の清算分も賦課総額に繰り入れられたため、保険料が大幅に上がったのです。その上、介護保険料でも所得割、均等割が引き上げられ、資料を見ても殆どの世帯が大幅値上げとなります。区民の生活が厳しい中、値下げするのならわかりますが、引き上げるとは言語道断です。
 この間2000年に介護保険制度が始まり、国保料と一緒に介護保険料が徴収されるようになりました。08年度からの後期高齢者医療制度導入では病床転換支援金を含む後期高齢者支援金を賦課し、さらに特定健診・保健指導の上乗せ分まで保険料に賦課されました。制度を作っては国民に負担を強いてきたのです。
 このような負担能力を超える保険料の最大の原因は1984年の国庫負担の削減にあります。先の小林議員の一般質問でも質しましたが、改めて国へ復活を要求するよう求めます。
 また資格証の発行は23区で3番目、昨年11月現在で2.393件、短期保険証も9,849件です。同規模の区から比べてもダントツに高くなっています。課長は「2年間滞納している人に発行」「公平性」「法にのっとって」と言い、23区統一でなく各区の判断で行っているとしました。ということは多くの区が医療を受ける機会を保障するため工夫をしているということで、区の区民に対する姿勢が問われるものです。部長は「厳正、厳格にと指導している」が「冷酷にならないよう」今後、相談体制等を確立するとしました。保険証を出す立場で相談にのるよう改めて強く求めます。
 医療費の一部負担金の減免は06年、07年、08年の3年間ゼロです。課長は「生活保護と連携で対応しているから申請はなかった」と言いました。しかし減免の基準は預貯金が生活保護の3カ月以下となっており、この金額があれば生活福祉課長が答弁した通り生活保護は適応されません。しかも相談件数も前年度はゼロ。また昨年厚労省が一部負担金減免の新基準を示し、「協力医療機関」に対し、区は一部負担金の減免申請等の作成を援助するよう求める通知を出しています。
 ところが部長、課長とも内容は「知らない」と言いました。徴収強化ばかりに目を向け、困っている区民を救済するという姿勢が欠落しているのです。今回の「通知」の減免基準には問題があります。今後課長会で審議し具体化する上で、減免制度の周知と減免基準の拡大等の検討を合わせて求めるものです。

 次に後期高齢者医療事業会計についてです。
 後期高齢者医療制度廃止を求める国民の声が高まり、民主党も公約にかかげ、政権交代に至りました。ところが現政権は廃止を先送りしたばかりか、4月からは都広域連合で保険料の引き上げまで予定されています。1人当たり平均4,165円で、約4割の世帯で値上がりします。その根拠とされる保険料率の算定で、医療費の伸びは年3.1%と見込んでいますが、厚労省は、全国的な伸びは1.6%と推計しており、都の見積りは過剰であることが分かります。また、都広域連合は、2008年度の当初予算で、歳出のうち保険給付費を8,257億円としていました。しかし、二度にわたる減額補正で800億円近くも減り、一部は国、都、支払基金交付金へ返金したのです。値上げする根拠などどこにもないのです。直ちに保険料は引き下げるべきです。
 また区は資格証発行についても撤回する考えはなく、保険料の値上げで、ますます滞納者が増えるであろう来年度以降、医療が受けられなくなるといった不安は払拭できません。国では、2013年度に新制度への移行を示唆しますが、65歳以上を別勘定とする案を検討しています。これでは、後期高齢者医療制度の開始年齢が65歳に引き下げられるようなもので看過できません。区は直ちに、国に対して制度廃止を求めるべきです。

 老人保健医療会計については、これまでの精算ですので意見は述べませんが、差別医療などこの間の経過を踏まえ反対します。

 介護保険事業会計についてです。
 2005年の見直し後様々な問題が噴出し、厚労省は一部見直しをせざるを得ませんでした。しかしその後も「家族が昼間いないのにヘルパーさんを減らされた」「自分のことはできるが、掃除に週一回自費でヘルパーさんを頼んでいる」など必要な介護が受けられなくなったとの訴えが続いています。
 特養ホームについて先程述べましたが、介護施設やサービスの不足のしわ寄せが、家計や身内に及んでいます。生きていくために有料老人ホームを含め、多額の料金を払って何とか生活をしている高齢者が多くいます。特養ホームに入れないため、昼間はデイサービスを受け、夜は同じ施設で自費で介護受けてきましたが、蓄えが無くなり、家族全体の生活が破壊され生活保護となりました。「介護の社会化」と宣伝され導入された介護保険は、保険料を払っても制度が使えない、まさに「保険あって介護なし」の状態が続き、貧困層をも生み出しているのです。区はこのような実態について「厳しい実態と認識している」と答弁しました。保険者として制度改善を国に求めること、特養ホームなど介護施設の大幅増設を区の責任で取り組むことを再度強く求めるものです。

 以上、第25号議案 平成22年度豊島区一般会計予算 、並びに第26号議案 27号議案 28号議案、29号議案の4特別会計予算に反対するものです。
 これで討論を終わります。長時間ご清聴ありがとうございました。