HOME >区議会質問>本会議討論
区議会報告議員紹介政索と見解お知らせリンクご意見ホーム
区議会質問
 
2010年7月22日
JR大塚駅南口の駅ビル計画に対する陳情」について不採択に反対し、ただちに採択すべき立場から討論.(森とおる議員)

  私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております、22陳情第28号「JR大塚駅南口の駅ビル計画に対する陳情」について不採択に反対し、ただちに採択すべき立場から討論を行います。

 昨年、10月17日に、南北自由通路が全面開通し、記念式典が開催されました。これまでは北口、南口の往来が不便でしたが、風通しも良く大変便利になり、駅周辺の一体感が、いっそう高まっています。駅舎も明るく新しくなり、エスカレーター、エレベーターの設置で、ようやくバリアフリー化も実現しました。これは、大塚駅周辺を考える会、各町会、商店会、近隣や利用者のみなさんの声が、区、JR東日本等を動かした結果です。今後の南口地下駐輪場、南北それぞれの駅前広場の整備計画が進められています。これからの大塚駅に、地域の方々は大いに期待していました。その矢先の本年1月末にJR東日本は区を通じて駅ビル計画を発表しました。敷地規模は約3,000平米。12階建て高層建築物。敷地は、東西はホテルベルクラシックの境界線から都電ホーム近くまで。南北は、南口自由通路出口のラインから歩道近くまで。工事期間は今年度から2012年度まで。この夏には建築確認申請を行い、さらにその1か月前に「建築計画のお知らせ標識」を立て、条例に基づき要請があれば説明会を行うという形式的なもの。自由通路との関係は、「現在の自由通路の空間を確保した建築計画となる」とされているだけで詳細は不明でした。
 
 本陳情は、駅ビル計画に対して疑問と不安、危機感を感じている区民から出されたもので、採択された22請願第3号「JR大塚駅の駅ビル建設計画に関する請願」と同趣旨のものであり議会として、区民の声に応えなければなりません。

 それでは、大塚駅ビル計画の問題点を順次指摘します。
 1点目は、駅ビルの規模と影響です。
 自由通路の完成で北口と南口の往来が便利になり、せっかく開放感あふれる駅になったのに、このような大型高層駅ビルが建設されると、ベルクラシックと同程度の12階建てのビルが東西いっぱいに立ちふさがることになり、これまで以上に南北間が分断されてしまいます。区が計画している駅前広場計画や地下駐輪場計画へも大きな影響が及ぶことになります。大塚の夏の代名詞である大塚阿波踊りは、電車からもホームからも見えなくなってしまいます。山手線各駅を見渡しても、これだけの大型高層駅ビルは少なく、池袋パルコを上回る規模のビルが、大塚駅にふさわしいとは言えません。このような大型高層駅ビルができると、通勤、通学、買い物客が池袋駅などのように溜まり混雑し、電車にすぐ乗り降りしたい方には不便になってしまいます。請願にある「商店街関係者が抱いている危機感」とあるように、買い物は駅ビルで済むようになれば、地域商店は衰退に追い込まれることになってしまいます。

 2点目は、JR東日本の計画の進め方です。
 本年1月に計画を知らされるまで、JR東日本からは何の情報提供も無く、これまでも意見を求められることも、いっさいありませんでした。水面下で計画しているのです。昨日、建築計画のお知らせ標識が立ちました。地上12階、高さは実に52.6mもあり、最高は57.25mにもなります。着工は予定通り来年3月とされています。ついに事前の説明会は行われませんでした。本年2月頃に一部の商店会や町会に情報提供を行っただけであります。参加した方に様子をうかがうと、こちらの意見に対する答えなどほとんどなく、説明会といえるには程遠い内容だったとのことです。その後、半年が経過しようとしていますが、JR東日本は計画を一方的に進めていたのです。JR東日本は、民間企業とはいえ公共交通機関であり、地域住民や利用者に対する説明責任を全く果たしていないのです。
 私は機会あるごとに再三述べてきましたが、区は南口駅前広場の地下空間を、JRが提供してくれたおかげで、地下駐輪場をつくることができると言ってきました。この土地は、駅ビル建設予定地である自由通路の真ん前の土地とは違い、都市計画で駅前広場に指定されているため、地下駐輪場や地下通路程度しかつくることができない、いわばJRにとって利用価値のない土地です。そしてJR東日本は自由通路工事を請負い利益をあげました。さらには、駅舎改築はJRの工事でしたが、自由通路工事費用を使い、駅舎部分の掘削を行い、莫大な経費節減までできたのです。あまりにも都合がよすぎます。
 
 そして、3点目はJR東日本の態度を容認している区の姿勢です。
 今回の駅ビル計画の請願と陳情の審査にあたり、区が用意した資料は1枚で、文章はわずか数行だけ。あとは、駅ビルの位置を地図に示したものと、1階平面図のみ。この事を問うと「詳細な図面が無い」「正式に出せない」という答弁でした。本年3月の予算特別委員会で私の質問に対し区長は「JR東日本は地域の方々の意向をとらえ緊密にしていきたいと言っている。必要に応じてはJRに行って、色々な地元の要望を伝えていこうと思っている。担当課もJRとは協議して、地元の事を考えるように指示している」と答弁していながら、この半年もの間、何をやっていたというのでしょうか。今回の審査で改めてJR東日本の態度をどう思うかと問うと、本年1月に行った一度だけのわずかな情報提供を取り上げて、「ずいぶん前に情報提供している」と容認の態度です。お知らせ標識に基づいた形式的な説明会ではなく、事前に説明会を開催するように求めても、「できる範囲で」とか「満足いただけないかもしれないが」などと消極的な態度です。
 ホテルベルクラシックは、国鉄清算事業団用地が売却された土地に建設されました。売却時に区は、大塚駅周辺整備方針を策定し、大塚駅周辺整備マスタープラン策定調査を実施しました。このマスタープランに基づくと、駅周辺のまちづくりに区は責任があるのです。区は、自由通路、駅前広場、地下駐輪場といった区の事業に対してだけではなく、JRの駅ビル計画にも責任があるのです。にもかかわらず、その責任を果たそうとしない区の姿勢は看過できません。
 
 JR東日本が住民説明会という、あたりまえのことをやらないから、請願陳情が出てきたのです。駅ビル計画が一方的に進めば、これまで述べてきたように、テナントの業種との競合による商店の衰退等といった、永年、築き上げられてきた大塚の歴史が壊されることにもなりかねない重大問題です。将来に禍根を残すことにもなりうる憂慮すべき事態を心配する声が地域住民から相ついでおります。区は、地域住民の立場にしっかり立ち、JR東日本に働きかけるべきです。
 
 請願陳情の審査において、自民、民主区民、公明は、陳情の記書きの「住民と駅利用者の意見を十分反映するまで、駅ビルを建設しないこと」とある、「駅ビルを建設しないこと」が、採択できない理由と言いました。この様な姿勢が結局JR東日本に甘くみられ、思いのままに進められてしまう原因となるのです。陳情は、地域住民として当然の要求であり、この声を議会がJR東日本に毅然たる態度で突きつけるべきです。

 よって、22陳情第28号「JR大塚駅南口の駅ビル計画に対する陳情」は、採択すべきです。以上、討論を終わります。