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区議会質問
 
2010年5月28日(金)
米軍普天間基地の国外撤去を求める意見書についての賛成討論(儀武ぎぶさとる議員)

 私は日本共産党豊島区議団を代表しまして、ただいま議題されております議員提出議案第11号米軍普天間基地の国外撤去を求める意見書について、賛成の立場から討論を行います。
 
 政府は本日、辺野古と徳之島を明記した日米共同声明を出しました。これに先立って、鳩山首相が沖縄県を再訪問し、仲井間知事や稲嶺名護市長らに、アメリカとの「合意」にもとづいて、米海兵隊普天間基地を名護市辺野古に「移設」するとの意向を正式に表明しました。アメリカとの合意をたてに、県民が反対する辺野古への普天間基地の移設を押しつけることは、言語道断です。
 鳩山首相は、昨年の総選挙で普天間基地の移設は国外、「最低でも県外」へと公約をしました。沖縄県民は4月25日の9万人が参加した県民大会で県内移設は反対だと明確に意志を示しました。これまでの経過を見ると、鳩山首相の公約違反と民意を無視する政治姿勢に沖縄県民の怒りが爆発するのは当然です。
 戦後65年も経つのに、いまだに米軍基地が居座り続けるのはあまりにも異常です。 1959年宮森小学校ジェット機墜落事故では17人が死亡、210人が負傷。1965年小型トレーラー墜落事故で小学校5年生が下敷きになり死亡、1995年海兵隊3人による少女暴行事件、2004年沖縄国際大学に米軍ヘリコプター墜落など基地が存続するが故に事件・事故は絶えません。戦闘機の夜間離発着訓練による騒音被害、米軍による交通事故、婦女暴行事件、飲酒でのトラブルなど日常茶飯事です。事件、事故が起こるたびに「またか」という憤りを抑えることができません。これ以上の我慢はもう限界です。
 私は、沖縄本島の最南端に近い玉城村で生まれ育ちましたが、母親は中部の読谷村の出身です。幼いころ母親と一緒に里帰りしたとき、普天間基地周辺を通る時は、バスにすれすれの低空で離発着陸を繰り返す戦闘機の爆音に、思わず両手で耳をふさいだ記憶を今でも生々しく思い出します。あの衝撃は忘れることができません。
 沖縄の施政権が返還され、沖縄が日本に復帰した1972年5月15日から38年になりますが、基地の負担はいっこうに軽減されません。それどころか、新しい基地をつくろうというのが、今回の普天間・辺野古の問題であります。面積が日本全国のわずか0.6%の沖縄県内に74%もの米軍基地が集中しています。先の沖縄戦では、県民の4人に一人が命を失い、唯一地上戦を経験し、本土の捨石とされました。普天間の基地は、住民が収容地区に入れられている間に、アメリカが国際法を無視し基地として使いたいところは自由勝手に鉄条網で囲みつくられたものです。沖縄の基地は、座り込みなどで抵抗する住民から、銃剣とブルドーザーで土地を敷きならし、奪い取ったものです。移設先を探すのでなく、普天間基地の即時閉鎖、無条件で撤去すべきです。
 鳩山首相は、「日米同盟や沖縄の米海兵隊が『抑止力』としての役割を考えれば県外移設は難しい。認識が足りなかった」と言って沖縄県内の移設を県民に迫りました。
 しかし、わずか1年足らず前の自らの発言を簡単に投げ捨ててしまうような総理の言葉を、県民の誰がまともに受け止めるでしょうか。いまごろ沖縄を訪問し、「県内移設を要望する」など県民をばかにするにもほどがあります。その態度そのものが、怒りの火に油を注いでいることを首相は知るべきです。結局、自公前政権の辺野古案と変わりがありません。
 首相は「日米同盟」のためだとか沖縄の海兵隊は日本を守る「抑止力」だとさえいえば、県民に基地を押しつけられると考えているとすれば、それこそ間違いです。県民に痛みを押し付け、安全を脅かす米軍基地が「日米同盟」のためだというなら、その「同盟」そのものを見直すべきだというのが沖縄県民の気持ちです。
 海兵隊の任務は県民を「守る」ことでも「日本を防衛」することでもなく、歴代の米国務長官が証言しているように、世界各地にアメリカが攻め込んでいくための「戦争力」「侵略力」です。これまでもベトナム戦争、湾岸戦争、イラク、アフガン戦争など、真っ先に殴りこみ部隊の役割を果たしてきました。米軍がいなければ平和が守れないという考えそのものが、軍事力で支配しようという誤った考えです。海兵隊は日本の何処にも必要がないのです。「抑止力」というなら、憲法9条が最大の抑止力であります。戦後日本は他国を侵略して、人を殺したり殺されたりしたことが一度もありません。もめごとは軍事的に解決するのでなく、外交的、平和的に解決するのが世界の流れであります。
 加藤前豊島区長も昨日の「しんぶん赤旗」紙上で「米軍基地を無条件撤去すること」「日本国民にとって、平和への最大の力は憲法9条だ」と語っています。海兵隊は平和のための抑止力にはなりえません。
 わが党の志位委員長は、訪米しアメリカ政府に対して「沖縄県民は普天間基地を無条件で撤去を求めている」「施政権を返還した時のような決断をするべき」と明確に沖縄県民の意志を伝えました。それとともに、日米安保条約を廃棄し、対等・平等の真の友好条約を締結することを提案しました。これは本来、日本の総理大臣がやるべきことですが、アメリカに行くどころか沖縄に行って日米合意を優先し「辺野古をお願いする」とは何とも情けない首相ではありませんか。鳩山首相は、沖縄の民意をしっかりと受け止め「米軍普天間基地は無条件で撤去すべき」とアメリカと腰を据えて交渉すべきであります。
 沖縄では、県議会で全会派一致の意見書を可決したのをはじめ、41のすべての市町村で意見書が可決されました。東京の小金井市議会などでも意見書が可決されています。本区においても、ただちに意見書が可決されること切に願うものです。

 最後に採決にあたり一言述べます。先ほどの正副幹事長会において、民主・区民の大谷洋子幹事長から、同会派に属する社民党の山口菊子議員が本議案に対し、退席すると報告をうけました。会派の中で態度が違うということは問題であります。これまでも、たびたび意見・態度が違うことで議会が混乱した経過があり、3年前の会派代表者会で、問題があると議論がされました。その際、当時の民主・区民の大谷幹事長から、「あくまでも、私どもは政策集団として、意見の一致をもって構成したということを申し上げているわけですから、そのことを信頼していただきたい」と発言がされました。今回、山口議員が退席をするということは、この「信頼」を裏切るものであります。山口菊子議員の退席は誤魔化しであり、結果的に辺野古に米軍基地の移設を容認することと同じ態度だと言わざるを得ないであることを指摘して討論を終ります。
 ご清聴ありがとうございました。