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区議会質問
 
22陳情第1号「憲法違反の外国人参政権による選挙を実施しないことを再確認する陳情」及び、同第2号「永住外国人への地方参政権付与の法制化に反対する意見書の決議を求める陳情」について、不採択とすることに賛成の立場から討論(森とおる議員)

【永住外国人参政権】
 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております、22陳情第1号「憲法違反の外国人参政権による選挙を実施しないことを再確認する陳情」及び、同第2号「永住外国人への地方参政権付与の法制化に反対する意見書の決議を求める陳情」について、不採択とすることに賛成の立場から討論を行います。

 永住外国人への地方参政権付与の問題は、1995年の最高裁判決を契機に、運動が高まり、地方議会でも、法制化を求める決議が相ついで出されてきました。日本共産党は、1998年から、繰り返し法案を提出してきました。地方自治体の運営は、本来、すべての住民の参加によって進めるのが、憲法の保障する地方自治の根本精神です。永住外国人を地方自治の担い手としてむかえ、日本国民と等しく参加する政治を実現することは、わが国の民主主義の成熟と発展につながるのです。
 
 今回出された2つの陳情は、永住外国人への地方参政権付与は憲法違反だと書かれておりますが、決して憲法違反ではありません。
 憲法15条1項は、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と述べています。この規定をとらえて、自民党などから永住外国人への地方参政権付与は、憲法違反になるという議論が出されています。しかし、この規定は、「公務員の選定罷免権は、国民が当然もつべき権利、決して奪ってはならない権利である」ということであって、永住外国人に地方参政権を保障することを、憲法が禁じているわけではありません。
 1995年の最高裁判決は、憲法の規定する地方自治は、「住民の日常生活に、密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づき、その区域の地方公共団体が処理するという」政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨だと言い、永住外国人に対し、「法律を持って、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない」と述べています。
 憲法93条は、自治体の長および議員は、「その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する」と定めています。また、地方自治法は、その住民について、「市町村の区域内に住所を有するもの」と規定しています。これらの規定に照らしても、自治体の運営は、本来、国籍を問わず、その地域に在住する全ての住民の意思に基づき、住民自身の参加によって進めるべきものです。よって陳情にある憲法違反にはあたらないのです。
 参政権付与に対する反対者からは、「世界ではほとんど広がっていない」などと言う主張が出されます。ところが、ヨーロッパでは、全ての定住外国人に地方参政権を認める国、特定の外国人に地方参政権を認める国の違いはあるものの、ほとんどの国が、地方参政権を認めています。
 スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、オランダなどが、一定期間の定住を前提に、外国人に保障しています。また、フランス、ドイツ、イタリアなどは、EU加盟国の市民に付与しています。カナダは、一部の州でイギリス人などに州議会選挙等の選挙権・被選挙権を付与しています。アメリカは、父母の国籍を受け継ぐことを基本に考えるヨーロッパの諸国とは異なり、国内で生まれた子どもに国籍を認める考え方を基本にしているのです。

 さて、今年になって全国の議会で、自民党により地方参政権付与に反対する意見書が可決されるという動きがあります。豊島区においても自民党区議団が、宣伝カーを出し、駅前で宣伝を行っているのを、私も見かけました。配っていたビラは、日本会議が作成したもので、「憲法違反、永住外国人への地方参政権付与」というものです。その中身は、「外国人参政権は憲法違反の疑いがあります」「教育への内政干渉が強まる恐れがあります」とか「領土問題解決に大きな障害となります」などと偏った見解のものです。また、このビラには、「昨年、韓国民団は日本の衆院選に組織ぐるみで働きかけを行いました。彼らは民主党の候補者を招いて意見交換をし、参政権付与賛成にするように圧力をかけています。」と書かれています。こういうビラを自民党区議が配るなど看過できません。なぜならば、豊島区は韓国の東大門区と友好都市協定を締結しており、韓国民団豊島支部は、毎年、新年会などに区議会議員を招待し、そこには自民党も多数参加しているのです。このような行動は、これまでの友好関係に水を差すようなものです。
 陳情が審議された総務委員会には、このような自民党の動きを懸念して、かけつけた韓国民団豊島支部の方が多数傍聴しました。自民党は時間をかけて質疑したものの、なぜ地方参政権付与に反対するのかわかりませんでした。これまで参政権付与に賛成してきた態度を覆したことや、日本会議のビラを配布したことなどを、わが党が追及すると反論も主張もなく休憩をとりました。審議再開後に、「友好親善はしていくが反対」などと、明確な理由を述べることなく陳情の採択を主張しました。これまで豊島区議会は、地方参政権付与に賛成し、全会一致で意見書を可決してきました。にもかかわらず、なぜ自民党が態度を急変したのか理解できません。2つの陳情は、自民党以外の全ての委員によって不採択となり、傍聴者の安堵と不信の入り混じった表情が、とても印象的でした。
 日本に居住する永住外国人は、納税義務も負い、地方政治と密接にかかわって暮らしているのです。豊島区議会は、これまで同様、永住外国人への地方参政権付与に賛成の立場を、はっきりと示すべきです。
 
 以上、22陳情第1号「憲法違反の外国人参政権による選挙を実施しないことを再確認する陳情」及び、同第2号「永住外国人への地方参政権付与の法制化に反対する意見書の決議を求める陳情」について、不採択とすることに賛成します。
 討論を終わります。