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区議会質問
 

国民健康保険条例の反対討論(小林ひろみ議員)

 私は日本共産党豊島区議団を代表し、只今上程されました第32号議案豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例に反対する立場から討論します。

 この条例は、2010年度の保険料を大幅値上するものです。
 均等割が2700円アップの39,900円に、所得割は0.09ポイントアップの1.03つまり100分の103になり、一人当たり保険料は93750円へと9381円もアップです。かつてないほどの大幅値上です。後期高齢者支援金分は、所得割の料率も均等割の金額も下がるのですが、それを大幅に上回る基礎分の値上があるからです。さらに、介護分も所得割・均等割とも上がります。
 
 基礎分の大幅値上の主たる要因は、前期高齢者交付金の精算によるものです。減額分すべてを保険料でまかなうと1万円以上のアップとなることから、23区特別区長会で議論があり、結局減額分の2分の1を国保料に入れて計算する、残りは各区の一般会計から支出することになりました。前期高齢者交付金の大幅な精算が生じることになったのは、区が見積もり間違いをしたからです。これを区民への負担増で解消するのは間違っています。
 
 今回の条例改正のなかには、保険料の均等割り額を7割、5割、2割減額する制度の導入や、非自発的失業者の保険料算定にあたって前年給与所得を3割とする軽減措置の導入など、保険料を軽減する制度もあります。
 非自発的失業者の軽減措置の導入は、大変良いことですが、2009年12月までに退職した人は適用にならず軽減されない、政府の通達で2009年度の保険料減額は自治体独自に実施してもよいことになっているが、23区はやらない、など大変不十分です。また、突然収入がへって困るのは、社会保険加入のサラリーマンだけではなく、従来から国保に加入している自営業者なども同じにもかかわらず、軽減されません。
 
 また、これまでも7割、5割減額はおこなってきました。区民厚生委員会で3月2日報告のときの資料の、保険料収入別比較(試算)をみますと、あらたに2割軽減が適用される世帯は若干値下げされますが、それ以外は値上げ、実に9割の世帯が値上げとなるとのことです。
 国民健康保険料は毎年のように値上されてきました。夫婦二人子ども一人の3人世帯で年収300万円ですと、来年度から保険料は年間186,766円にもなります。協会けんぽに加入している同程度の世帯の保険料は、年間14万円ですむのです。協会けんぽでは事業主負担が半分あるため保険料負担が安くなっており、事業主負担のない国民健康保険は、その分を国庫負担でまかなうことになっていました。なにかというと、「一般財源の繰入が増えるのは」とか「無制限に入れるのはおかしい」などといいますが、国民健康保険は社会保障であり、命と健康を守るために必要な財源を自治体がだすのは当然なのであります。そして、もし一般財源の投入が問題だというなら、1984年以前にもどし国庫負担を45%に戻せばよいのです。2010年度豊島区国保会計予算でも、国庫支出金は24%になってしまったではありませんか。
 
 国民健康保険料は本当に高いです。単身で年収200万円、ワーキングプアといわれる収入の世帯でも、なんと年間124,743円です。年収200万円といえば月額17万円弱、そこから税金が引かれ、家賃を払い、そのうえ月一万円以上もの国保料、さらには年金保険料も1万5000円近くになり、はらえないという人がでるのは当然です。
 豊島区でも、加入者のうち23%が滞納世帯となっており、資格証は昨年6月現在2853世帯、短期証は3365世帯もいます。「国民皆保険制度を守る」といって保険料を値上げしてきた結果です。保険はあっても、保険証もなく医者にかかれない、「保険あって医療なし」です。
 
 委員会審議のなかで、民主党は、「一般会計から際限なく繰り入れればいいとなると、特別会計の意味がなくなる」「滞納者に対しては窓口が民間委託になってもきめ細かく対応すると約束していただいたので」などといって値上げに賛成しました。公明党も、自民党も制度を維持することが必要などとして、賛成しました。さらに自民党は、保険料徴収について「手荒なことはしないで欲しい」などといいましたが、豊島区は2008年度も450件もの差し押さえをしています。中には、銀行口座をさしおさえられて、その日から生活に困ったという人もいます。

 以上、第32号議案豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例に反対し、討論を終わります。