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区議会質問
 
豊島区立保育所条例の一部を改正する条例についての反対討論(儀武ぎぶさとる議員)

 私は日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされています第81号議案、豊島区立保育所条例の一部を改正する条例に対し、可決に反対の立場から討論をおこないます。
 この議案は、区立池袋本町保育園を廃止し、社会福祉法人「みのり愛の会」に土地、建物などを無償で貸付、民営化をするものであります。すなわち、区立池袋本町保育園から私立めぐみ保育園としてスタートすることになるのです。
 
 自公政権は「構造改革」「三位一体改革」による地方財政の圧迫、公立保育所運営費の一般財源化などをすすめてきました。その結果、自治体では公立保育所の廃止、民営化をすすめ、保育所建設が抑制されてきました。
 政権交代により民主党中心の連立政権政策合意では、「保育所の増設を図り、質の高い保育の確保、待機児童の解消に努める」としていました。新政権の誕生で従来の路線転換が期待されたのですが、厚労省は保育の最低基準の緩和をすすめるなど旧政権と変わらない政策を「地方分権」「待機児解消」を口実に急ピッチですすめようとしています。
 
 わが党は、民間の認可保育園が果たしている積極的な役割を十分認識しています。社会福祉法人「みのり愛の会」は、1960年4月に施設認可を受け、地域に密着し、信頼されている保育園であります。しかし、いま区がすすめている民営化は、保育にたいする行政の責任を放棄するものであり、容認することができません。以下、反対の理由を順次述べてまいります。
 
 反対理由の第1は、民営化の最大の目的が経費削減だからです。
 豊島区は、この間の「行革」で、区立保育所について民営化方針を具体的に打ち出し、これまで、南池袋、駒込第三、雑司が谷保育園の民営化をすすめて来ました。今年の4月からは千早第一、西池袋第一、南大塚保育園が民営化になりました。今議会で池袋本町保育園が民営化になり、さらに、もう1園は10年度以降に民営化をすすめる計画です。 
 今議会の一般質問で、私が「これ以上の民営化はきっぱりとやめるべき」と質問したのに対して、副区長は民営化によって今年度も3億2千万円の財政効果が見込まれると答弁しました。
 委員会審査で、私が、区立保育園の職員より私立めぐみ保育園の職員が1名多くなっているのに「なぜ、財政効果があるのか」と質問すると、課長は、「子ども一人につき月額で、公立では157700円、私立では133300円の人件費となる」からと答弁しました。
 と言うことは、私立保育園では公立保育園よりも、月額で子ども一人当たり24400円も安いなかで保育園を運営しなくてはいけないということであります。この結果、民間の保育園では、経営が大変で、最小限の人員で延長保育や定員の弾力化などを受け入れ、バザーをやるなどして何とかやりくりしている状況です。職員は保育に対する情熱や誇りをもち一所懸命に働いています。残業もこなしながら、それでも公立保育園よりも低賃金で働かざるを得ない状況です。まさに職員の献身的な犠牲の上に民間の保育園の運営がなりたっているのであります。民営化は、もともと経費節減を優先させ、安上がりの保育行政をすすめるものであり、これ以上の民営化はきっぱりとやめるべきであります。
 
 反対理由の第2は、保育についての公的責任の後退だからです。
 景気が後退する中で、ますます働く女性が増え保育園に入れない待機児が増えています。今、待機児解消の緊急策が求められているのです。
 ところが区は、これまで保育園を4園廃止し、その後も6園を民営化し、保育定数を減らしたのです。わが党は、これまで、一般質問、委員会や決算特別委員会などで「待機児解消の緊急策」と「認可保育園の増設を」求めてきましたが、区は抜本的な解決策を取ってきませんでした。待機児を解消するために認可保育園を増設するのではなく、民営化をゴリ押しした結果、待機児が激増し、今日の深刻な事態を招いているのであります。これは区民サービスの低下であり、区の責任は重大であります。また、民営化をすすめた結果、区は、6年間も保育士の新規採用をしていないのであります。いままで営々として築き上げた経験や蓄積を継承することができません。区には保育の継続性、公共性、専門性を果たす役割があるのですが、これでは、その責任を果たすことができません。
 
 反対理由の第3は、保育行政に求められているのは保育園の民営化でなく、公立でも私立でも認可保育園の質を拡充することだからです。
 私立園園長会でも「これ以上の民営化をおこなわないでください」などと、区にも要望書をだしているではありませんか。この声を真摯にうけとめるべきです。
 私立認可保育園の積極的な役割を支援するために、運営費の助成を大幅に増やすとともに、私立保育園職員の研修に対する助成をおこなうべきです。ところが区は、増やす気はないのです。「民営化をすれば終わり、後は自助努力」これでは私立認可園の運営は難しいのが現実です。私立認可園の運営費の助成を大幅に増やし、いまこそ、公立でも、私立でも安心して子どもを預けられる保育の拡充が求められているのです。
 
 以上、三つの問題点を指摘しまして、第81号議案、豊島区立保育所条例の一部を改正する条例に対し、可決に反対をします。以上で討論を終わります。ご清聴有難うございました。