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区議会質問
 
豊島区立体育施設の指定管理者の指定についての反対討論(儀武ぎぶさとる議員)

 私は日本共産党区議団を代表して、ただいま議題とされています第67号議案豊島区立体育施設の指定管理者の指定について、可決することに反対の立場から討論をおこないます。
 
 この議案は、受託事業者の指定期間が満了となるため、総合体育場、西巣鴨体育場、荒川野球場を日本テニス事業協会共同企業体に、池袋スポーツセンターを株式会社ピーウォッシュ・株式会社山武共同事業体に、三芳グランドを日本テニス事業協会共同企業体に、雑司が谷体育館をコナミスポーツ&ライフ・近鉄ビルサービスグループに巣鴨体育館を東京ドームグループに指定管理者を指定するものであります。
 指定管理者制度が導入されて5年目になります。区は指定管理者制度をどのように検証したのか、と問うと、課長はサービスが向上し、経費の節減にもなり、利用者も増えたと答弁しました。本当に良いことずくめで、手放しで評価できるのか、わが党は、体育施設の指定管理者の指定については問題点が多数あり、次の3点の理由で反対するものです。

 反対理由の第1は、指定管理者審査委員会の審査が杜撰であり、指定管理者の選定理由が不透明だからであります。
 体育施設の問題点は多々ありますが、特に巣鴨体育館について取り上げます。巣鴨体育館は、競技場、トレーニングルーム、プールがあります。指定管理者制度を導入してからの利用者は06年度の86215人をピークに年々減少し、07年度は前年度比で538人の減、08年は前年度比で1893人の減であります。さらに、09年は4月から8月までの5ヶ月間で利用者は2368人の減であります。このまま推移すると、年間で約5000人弱の減が見込まれます。指定管理者であるNASクリタスの収支状況をみると、区民の税金である指定管理料は4年間で4187万円、年平均で1046万円投入されていますが、05年度は3557万円の赤字、その後も毎年、赤字をだし、4年間の合計で5077万円の赤字となっています。09年は利用者が大幅に減っているので収支は、さらに悪化するものと推測できます。
 一方、今回の指定管理者の候補になっている東京ドームグループの収支計画書をみると、
10年度からの6年間の指定管理料は4008万円で年平均668万円であります。NASクリタスと比較すると年平均で378万円も少なくなっています。利用料金と自主事業は大幅な収益増と見込んでいます。特に利用料金の収入は13%も増やす計画です。事業計画書をみると、定期休館日の廃止、プール利用時間の延長、フリーパスの値下げ、80才以上の利用料金の無料化等、サービス向上の具体的な提案がされています。区民サービスが向上する事は良いことですが、これだけのことを実施すると、人件費や経費は当然増えます。区は指定管理料を減らし、現在、利用者が減少する中で、13%も増やす計画は利用料金を過大に見込んでいるのではないか。これではNASクリタスの二の舞を演ずることになります。どうして、13%の利用料金を増やせるのか、その根拠を質問すると、課長は「実績があるから」と答えるのみでした。審査委員会では、どう審議されたのか、とただすと、副区長は企業から「提案のあったものはやってもらう」赤字でも「金額もこれ以上出さない」と答弁しました。
 今回の審査結果は、1位の東京ドームが76.3点、2位のA法人が73.7点、その差わずか2.6点であります。企業や事業者はなんとか事業を受託したいものだから、良いことを沢山並べます。審査委員会が、そこを見極め、事業計画の裏付けをしっかりと取ることが大事です。机上の計算だけではうまくいきません。事業計画書の根拠をまともに報告できない指定管理者審査会の審査はあまりにも杜撰であります。しかも、決定の内容は非公開となっています。議員が資料請求しても提出しない。これで本当に公正・公平性が担保されているのか、疑問をもたざるを得ません。

 反対理由の第2は、区は体育施設の運営を指定管理者にまる投げ、関与しなくなるからです。
 巣鴨体育館のプールの利用者から、「プールの壁や底のラバーがブヨブヨなので気持ちが悪い」「汚い」等苦情が出ていました。07年11月の指定管理者の事業評価書でも指定管理者評価で「毎年シートの床にしわが発生し都度工事を行います。原因および根本的な解決策がないまま対処となるので、施設課および施工業者において対策を講じ実施願いたい」と指摘されながらも、そのまま放置してきました。やっと11月に改修がおこなわれますが、遅すぎます。つい先日も、ある区民から、最近は巣鴨体育館のプールは「汚いので」行っていないといわれました。今は、東京スイミングセンターで泳いでいるというのです。区民の声に真摯に耳を傾けて聞く姿勢が弱い。そのことが、利用者の減少の一因となっているのではないか、区が施設の管理・運営に公的責任を曖昧にしてきたことが問題であります。

 反対理由の第3は、区民サービスの向上にならないからです。
 区の体育施設は税金で建設したものであり、本来、無料で誰もが安心して気軽に利用できる公の施設とすべきであります。
 池袋スポーツセンターでは、トレーニングルームを利用し、プールで泳いでも2時間以内であれば、600円で済みます。巣鴨体育館ではトレーニングルームとプールは別々に600円を払わなければなりません。雑司が谷体育館も同様であります。しかも、プールは2時間で入れ替えますので、区民から、空いた時間で利用ができないので、「使いづらい」との声があります。公の施設にもかかわらず、金額や利用形態等が違うのです。せめて、池袋スポーツセンターのように、600円払えば、トレーニングルームやプールも利用できるようにすべきであります。
 巣鴨体育館の周辺は、東京スイミングセンター、三菱の養和会などのスポーツセンターがあります。また、1年前には、癌研跡地にセントラルスポーツも開設されました。民間施設は、設備もサービスも充実しています。会員制でお金をだせる人は、民間の施設を利用する人が増えています。指定管理者がノウハウや実績があるからといっても、同じ様なレベルで競争しても勝てません。サービスの向上というのでしたら、全都の中でもダントツに高い利用料を大幅に引き下げるべきです。子どもの体力の低下が久しく言われていますが、スポーツに親しむ機会をつくり、その条件を整備するのが自治体の役割であります。
 また、高齢者は「健康で長生きをしたい」と言う思いを強く持っています。その願いに答えるためにも、利用料を無料にして、いつでも、気軽にスポーツを楽しめる施設にすべきです。その結果、長い目で見れば、高齢者医療費の軽減にもつながるのではないでしょうか。

 以上、3点の問題点を指摘しまして、第67号議案豊島区立体育施設の指定管理者の指定について、可決することに反対を致します。以上で討論を終わります。
ご清聴有難うございました。