HOME >区議会質問>本会議討論
区議会報告議員紹介政索と見解お知らせリンクご意見ホーム
区議会質問
 
豊島区一般会計補正予算に反対する討論(森とおる議員)

【補正予算討論(土地開発公社繰上償還)】
 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております、第37号議案「豊島区一般会計補正予算(第5号)」について、可決に反対の立場から討論をおこないます。

 アメリカ発の金融危機は、世界経済の大混乱を引き起こし、日本経済にも大きな影響を与え、諸物価高騰など深刻な状況です。景気後退を理由に大企業は競い合って、大規模な労働者の解雇、雇い止めを進めています。また、大銀行は優遇税制によって法人税負担を免れていながら、中小企業への貸し渋りや貸しはがしを行い、倒産に追い込むといった事態が進んでいます。さらに小泉構造改革が、これまで大規模に進めた「庶民に増税、大企業・大資産家に減税」で、ぎりぎりの生活費に容赦なく課税して貧困と格差を拡大してきました。
 区長は今定例会の所信表明で、「今回の不況は一過性のものではなく、今後長期にわたって影響を及ぼし、地方自治体の地域経営にも、さらなる変革を促すものとなる」と発言しました。区の来年度予算編成をみると、景気の急速な悪化に伴う財政調整交付金の大幅な減収、各種交付金の減など、歳入の大幅な減収を見込む3年ぶりのマイナス予算とされています。財源不足は41億円。その対応策として、歳入では旧中央図書館跡地の売却収入、起債の追加、歳出では旧大明小、勤労福祉会館、旧平和小、南大塚ホールといった大規模施設建設・改修の先送り、改修経費の削減、国保会計繰越金の活用、経常経費の圧縮を行うとされています。それほど区財政は大変な状況になっているのです。
 区民の生活もさらに深刻です。収入が減り生活が苦しくなった。仕事が見つからない。税金や国保料を滞納し家賃さえ払えない。病院に行かれない。食費を減らすのはもう限界。このような声が相次ぎ、生活保護世帯は急増しています。
 政府・与党が打開策を示すことができずに迷走している今、このように景気後退の影響をまともに受けている区民を守るため、区政はあらゆる手段を使って緊急に対策を行うといった責任を果たさなければなりません。

 本補正予算には、目白施設管理運営経費や生活保護世帯増に基づく保護費充当といった、区民にとって必要な予算が含まれており賛成です。
 また定額給付金給付事業経費については、今年1回限りの施策であり、消費税増税と抱き合わせ、これでは景気回復の緊急支援策にはなりません。二次補正の衆議院通過後の読売の世論調査でも、75%の人が定額給付金を「評価しない」と答えているのです。子育て応援特別手当支給事業経費は、2002年4月2日から2005年4月1日生まれの、第2子以降である児童とされており、対象年齢枠が狭く、第1子は対象外、不公平感が否めません。こちらも今年1回限りの施策です。このように国の制度としては賛成できませんが、すでに給付のお金が来ており、それを支給するものについては賛成します。
 問題は本補正予算には、多額の基金積立と繰上償還経費が計上されていることであり、これは見過ごすことはできません。

 景気後退の影響等で、区民のくらしと営業は厳しい苦境におかれ、明日の生活すら展望できないといった切実な声が相次いでいます。多くの自治体ではこの深刻な事態を打開するために予算を組み、子育て世帯、高齢者、障害者、低所得者、中小企業等に対する様々な緊急対策を実施しています。豊島区も同様に困っている区民に直ちに手を差し伸べるべきです。区が、来年度予算案として「経済状況を踏まえた区民生活支援策」としているのは、2億2,000万円余りでしかありません。その一方で、補正予算には財政調整基金の積立1億3,102万円を計上しており、基金残高は60億円を超えることになります。これだけ積立てるお金があれば、さらに緊急対策を実行することができます。積立ではなく必要な区民需要に振り向けるべきです。

 またもう1つの問題は、土地開発公社分割償還金の繰上償還経費が13億4,080万円計上されていることです。区長が1年前の予算特別委員会で突如、今年度から3年間で125億7千万円を完済することを公言しました。今年度当初の償還計画は、8億9,760万円とされていました。区長の完済計画により昨年第2回定例会補正予算において29億5,390万円が繰上償還として上乗せされ、その上さらに本補正予算による13億4,080万円の追加計上です。これで合計51億9,230万円償還したことになります。区は利子額を軽減できるから財政効果があると言いますが、特別区債の償還額を合わせると利子込みで実に122億3,530万円もの償還額です。あまりにも多額の償還計画です。わが党は、借金返済を否定するものではなく、借金が軽くなるにこしたことはないと考えます。しかし、区民救済策の実施が大前提でなければなりません。困っている区民に背を向けた借金返済はすべきではありません。さらに言うならば、区も繰上償還できる財政状況ではなくなっているという事を付け加えておきます。
 
 以上のことから、第37号議案「豊島区一般会計補正予算(第5号)」について可決に反対します。
 討論を終わります。