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区議会質問
 
09年度予算に対する反対討論(儀武ぎぶさとる議員)

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、第30号議案、平成21年度豊島区一般会計予算並びに第31号議案、国民健康保険事業会計予算、第32号議案、老人保健医療会計予算、第33号議案、後期高齢者医療事業会計予算、第34号議案、介護保険事業会計予算に反対の立場から討論を行います。なお、第35号議案、従前居住者対策会計予算並びに第41号議案、介護保険事業会計補正予算(第1号)には賛成いたします。
 
 厚生労働省の調査では、3月末までに職を失う非正規労働者は15万8千人になると発表しています。厳しい雇用情勢や日本経済の急速な落ち込みの中で、国民の不安感は、ますます大きくなり、消費も低迷しています。いま、雇用問題で特に求められていることは第1に、「派遣切り」「期間工切り」によって職を失ったすべての人々に住居・生活・再就職の支援を行うこと、第2に、これ以上の大量解雇の被害者を出さないために、大企業への監督・指導をおこなうこと、第3に、二度とこうした「政治災害」を起こさせないための労働者派遣法の抜本改正です。そのためにも、内部留保の活用で、大企業に雇用を守る社会的責任を果たさせることです。そして、社会保障、中小企業、教育の拡充、農業の再生を図ることなど、内需を拡大する経済に本腰を入れて踏み出すことです。
 ところが、自民、公明連立の麻生政権は、米軍再編と自衛隊の海外派兵体制づくりを本格的に進めるとともに、大企業・大資産家への減税を拡大するなどアメリカいいなり、大企業いいなりの政治を進めています。「骨太方針2006」に基づく社会保障費抑制政策は維持し、後期高齢者医療制度の見直しも手をつけていません。その一方で、明確に打ち出されたのが、消費税増税方針です。所得税改正法案の付則に、消費税増税法案を2011年度までに成立させる方針を明記したのです。社会保障のための財源などと言って庶民増税を押しつけるのは言語道断です。選挙対策であるバラマキの1回かぎりの「定額給付金」と引き換えに消費税増税をすることになれば、家計を直撃し、いっそうの景気悪化を招くのは必至です。いまこそ、「構造改革」路線を転換し、国民の懐をあたため、家計を支援する政治に切り換えるべきです。
 政治と金の問題では、公共事業を受注している西松建設からの違法献金疑惑について、民主党・小沢代表も、自民党・二階経済産業大臣も説明責任を果たしていないだけでなく、政党としての自浄能力も発揮していません。国民の政治不信を招き、その責任は重大であります。
 石原都政はこの間、福祉とくらしを切り捨て、とりわけ、「都立病院改革」の名で、都の病院予算を減らすことを最大の目的に16の都立病院を半分に減らす計画をすすめています。その一方で、オリンピック招致とこれを口実にした大型開発に9兆円も注ぎ込もうとしています。
 豊島区政は、国や都の路線をさきどりして、財政難を口実にリストラ、合理化、住民犠牲の行革を実施してきました。財政健全化計画、新生としま改革プラン、行財政改革プラン2004、2005で区民サービスを大幅に削減し、区民に「金がないから」と我慢を強いてきました。人件費削減を目的として、指定管理者の導入、保育園の民営化、児童館やことぶきの家を廃止し、区民ひろばとし、また、学童クラブは子どもスキップに統廃合するなどしてきました。
 高野区政は区民にとって一番切実な福祉関係費を年間ベースで8億円、教育関係費は1億2,000万円も削減しました。区民のくらしが、深刻で大変なときこそ、くらしを支える予算にすべきでありますが、2009年度予算案は、区民のくらし、福祉、教育などを守る予算となっていません。以下反対の理由を大きく3点にわけて順次述べていきます。
 
 第1は、深刻な不況の下で区民の生活を支える予算になっていないこと。
第2に、不要な開発に固執し、大型開発優先で区民のくらしにしわ寄せをしていること。
 第3に、財政運営や区政のめざしている方向が区民の願うものになっていないこと。
 であります。
 
 それでは、反対の理由の第1、深刻な不況の下で区民の生活を支える予算になっていないことについて、10点にわたって述べます。
 一つ目は、保育園です。
 世界同時不況、景気の急速な悪化に伴い、子どもを保育園に預けて働きたい女性も増えています。豊島区の待機児は昨年4月に58名、今年2月1日現在226名にもなりました。厚生労働省は、4月に50名以上の待機児がいる場合「保育計画」をつくり待機児解消するよう指導しています。現在、策定中の豊島区「保育計画(素案)」では、08年度中の対応策で、自宅提供型保育ママの再開で4人、北大塚すくすくルームの開設で9人を解消したとしています。09年から11年までの3年間の当面の対応策として、公立・私立保育園の受入数の拡大で49人、区外児童受け入れの見直しで8人、自宅提供型保育ママ制度の拡充で6人、施設提供型すくすくルームの拡充で3人、合計で79人の受け入れ拡大となっています。しかし、これでは待機児童は解消されません。4月の入所希望が新規入所可能数728名のところに、転園・区外含めて857名の申し込みがありました。4月入所予定がほぼ決まりましたが、特に1、2歳児の状況が深刻で、3月12日現在、1歳児の空きはなく、2歳児も空きは4名しかありません。1、2歳児がもうすでに215名待機児となっています。区は、半分は転園希望者や区外からの申し込みといっておりますが、それでも、少なくとも100名前後の子どもがすでに入れないのです。
 この間、区は大規模改修や民営化に伴い増員をはかり待機児を解消するといっていましたが、進みませんでした。また、わが党は、かねてより、認可保育所の増設を求めてきましたが、区は設置しないできました。私は一般質問で、こういう事態を招いた責任について、区長の見解を求めましたが、納得のいく回答を得ることは出来ませんでした。そこで委員会で、私がこの問題を再度追及すると、副区長は、こともあろうに「待機児解消はやってもやってもなくならない」と開き直った後、「一般質問にも『施設の建設も視野において』、と相当つっこんで答弁している」などと力を入れてみせましたが、今検討しているのでは遅すぎます。わが党が提案している巣鴨母子アパート跡地も含め保育園の新設を早急に具体化すべきです。
 
 二つ目は、学童クラブについてです。安心して働きながら子育てするために重要な施策です。この間、豊島区は児童館を廃止し、子どもスキップに移行してきました。子どもスキップでも、学童クラブはありますがスキップに移行する時、待機児童をださないよう受入限度数をなくしたのです。そのため、待機児童こそいませんが、多いところでは90名も学童クラブに登録しています。
 わが党は子どもスキップについて、児童館でおこなっているときより、職員がすくなくなり、目が届かなくなると指摘し反対してきました。学童クラブについても「待機児が発生しない」状況になっていますが、指導員とのつながりが薄まることが疑われるような児童数になっています。
 児童館や育成室の学童クラブは、少なくなりましたがまだ残っています。4月からの千早学童クラブでは、利用希望者は89名、これを受入限度71名と一時保育4名も含めて対応しても14名が待機になり、仰高育成室は5名待機と想定されています。千早学童クラブは、定数は40名ですが、児童館のスペースをカーテンで仕切ったり事務室をロッカーでしきったりと形だけクラブ室の面積をふやし71uにして71名の受入限度数にしてきました。「姑息な手段」を使ってきたのです。
 それでも毎年待機児童が増えています。希望する学童クラブに入れずに遠くの学童クラブにいれたが、今年は是非近くの学童クラブにいれたいという声も聞いています。区は千早小はスキップへの移行は難しいと考えています。ですから、多人数になった学童クラブについては、区の責任で第二学童クラブを設置するなどして待機児を解消すべきです。理事者は、国の指針もあり、「今後の動向を見て、検討もしている」と答弁しましたが、直ちに計画を立て、実行すべきです。
 
 三つめは住宅についてです。
 派遣労働者が仕事を失うと同時に寮からも追い出される実態や、その後住所がきちんと定まらないと、就職も出来ない、「定額給付金のうけとりにも支障がある」という現実を目の当たりにして、あらためて「住まいは人権」という意味を実感します。
 住宅についての区民からの相談で上位三つをあげると、「家賃が高い」「立ち退きにあっている」「将来が不安」ということです。しかし、区は区営住宅・福祉住宅のさらなる建設に踏み出そうとしません。「民間住宅に空きがある」「今後は、家賃補助を」といいますが、今回、拡充の高齢者住み替え家賃も5年で打ち切りになり、その後の対策はありません。相談にきた区民には5万円程度の家賃の住宅を紹介しているといいますが、ある人は、実際に三軒見て回りましたが、シャワーだけで浴槽がない、陽が当たらないなどで、結局あきらめたといいます。
 09年度予算で、都心共同住宅事業を復活しました。戦略プラン2009をみると、09年は周知、相談、募集として18万円ほどですが2010年以降毎年2億円の事業費が計画されています。豊島区は2000年までこの事業をやっていましたが、補助金をいれても一戸1億円もするマンションだったり、事業者に対し一部補助をしたけれど、途中で計画が頓挫し補助金も回収できず、結局この事業は止めざるを得なかったのです。今回の事業でも、今、住宅困窮者が求めているような家賃ではなく、民間の家賃とかわらないファミリータイプです。価格や賃料の値引きまでしてもマンションが売れないときに、反省もなく都心共同住宅事業を再開することは認められません。部長は、道路計画があり、住み替え対策としても必要だと答弁しましたが、この事業の補助は建物建設に対するものだけでなく、測量調査費、整地費、設計費、補償金などに対する補助もあり、税金で地上げをするようなものです。これまでの実績をみても、都心共同住宅事業に出す金があるなら、区民のための区営住宅・福祉住宅を建設すべきです。
 
 四つめに中小企業対策です
 豊島区が「経済状況をふまえた区民生活支援策」としてあげているのは2億2000万円あまりです。中にはこれまで削ったものの復活や中小企業融資の充実もありますが、これまで以上に困難になっている区民生活にとっては不十分です。
 商店街にぎわいイベント事業についてですが、昨年より予算が減ったのは、東京都の「新元気出せ商店街事業」でやっており、補助対象事業及び対象経費の範囲について厳格化したので、対象とならないものは観光事業としてやることになったから、今まで同様にできるのだといいます。しかし、ある商店街でおこなってきたカラオケ大会について質問すると、イベントの場所が商店街の「街区内」でなければならないので、街区内でやってもらうように指導していると答弁しました。今、商店街は減り、シャッターどおりといわれるようなところが増えるなかで、小さな商店街といえども、本当に生き残りをかけてがんばっています。昔は、「街区内」でしたが、商店街がだんだん小さくなって「街区外」になったのです。カラオケ大会がいいかどうかは別にして、これまで支援してきたイベントに、東京都の補助対象でないから、と支援をしないのは許せません。部長は決算で「商店街を見捨てるようなことはしない」といっていましたが、東京都が地域の実情を考えず厳格化したのが悪いのですが、都の事業とはいえ、都の言いなりに対応するのでは、商店街を見捨てるようなものです。
 
 五つ目に入浴券についてです。
 行財政改革プラン2004で削られた施策の中で、なかなか復活しないのが、風呂のない家に住む生活保護世帯への入浴券です。08年度はようやく母子世帯だけ60枚に戻しましたが、それ以外は頑として復活しません。復活しない理由は「法外援護である」「その分は生活保護費にふくまれている」というものですが、23区中やってないのは7区だけ、半数以上の16区はやっており、隣接区ではみんな60枚出しているのです。理事者は「政策的にださない」と答弁しましたが、つまり、区長がやる気がないので入浴券の復活をしないことです。福祉には大変冷たいということです。公衆浴場も、入浴券の利用者が増えると経営的にも助かります。公衆浴場が、毎年減り続け、地域で公衆浴場がなくなると、困るのは風呂なしのアパートに住んでいる低所得の人たちです。今、自宅の風呂で水死する人が増えていて、消防署も気をつけるように呼びかけ、公衆浴場では安全のためにも是非公衆浴場を利用してほしいとキャンペーンをしています。安心・安全に入浴したいと銭湯を利用している高齢者も廃業で困るのです。
 
 六つ目に教育についてです。
 区立小中学校の教材費など私費負担は増えています。「義務教育は無償とする」と憲法に謳われているにもかかわらず、私費負担は家計の大きな負担となっています。中学校の標準服を例として取り上げましたが、ある学校では、上着やズボンだけで3万3000円近く、セーター、ネクタイ、カバンまで含めると5万円を超し、そのほかに体操服や運動靴が1万8000円、あわせて七万円もかかります。河野議員が改善を求めたところ「検討する」と答えましたが、この4月は間に合いません。就学援助の制度がありますが、収入が生活保護世帯の1.2倍と厳しい条件があり、さらに入学支度金は、支給時期が8月と夏休みになってようやく支給され、金額も26,120円と少ないのです。 
 委員会の中で民主・区民の議員から、就学援助について、認定基準は収入だけでなく預金や不動産など資産も勘案すべきとか、支給ではなく奨学金のような貸付制度にしたらどうか、など、区民の実態をまったくみていない、あきれた発言がありました。就学援助は、憲法に保障された「義務教育は無償とする」という国民の権利を守るために、国が不十分ではありますが作った制度なのです。
 来年度、特別支援教育の充実で、情緒障害等通級学級を朝日小学校に開設することになります。
 児童数が増え、千早小や南池袋小の学級の拡充が限界になったためです。LDやADHD、自閉症などの子どもたちに適切な指導をおこなうための通級指導の充実は必要です。
 しかし、これだけ増えているのなら、通級だけでなく各学校でさらに対応できるような態勢が必要です。わが党はかねてより30人以下など少人数学級の実施を求めておりますが、区はやろうとしません。
 学校というのは校長が責任者で、教師だけでなく、すべての職員が一丸となって教育をおこなうものであり、子どもにとっては勉強をおそわるだけでなく、学校で過ごす生活がすべて教育の一環なのです。ところが、来年度は用務の業務を民間に委託します。用務の仕事は、施設の掃除や修理、受付などですが、マニュアル・仕様書に書いてできる仕事ではありません。民間委託では、先生が労働者に直接に指示することはできません。事業者の責任者に指示し、その責任者が他の用務に従事する労働者に指示して仕事をしなければなりません。
 学校開放などは非常勤職員、教育支援員は臨時職、事務職員は都費、教員は都職員と本当に様々ですがそれでも公務員です。しかし、すでに給食業務は民間委託になり、これから用務の民間委託をすすめると、区立学校でありながら区の正規職員はいない学校となります。異常なことです。
  
七つ目は障害者施策です。
 2009年度は障害者自立支援法の見直しの年ですが、政府・与党プロジェクトの協議では、応益負担については変えない、施設に対する補助も日割り計算のままです。
 06年10月から障害者自立支援法が本格実施され、施設体系がかわり障害者施設は12年度までに完全移行することになっています。都内のある授産施設は、障害者自立支援法の下では施設経営が成り立たないとして、特養ホームに変換する計画でこれが決まれば豊島区民でそこに入所している人は退所することになります。豊島区では、来年度心身障害者福祉センターでおこなっている入浴事業をやめ、これまでの利用者には南池袋の施設での地域生活支援事業でおこなうとしています。身障センターの機械入浴の機械が壊れたことを口実にしていますが、そのために、現在南池袋の施設を利用して入浴している人が週二回から一回に減らされます。障害者はなぜ、週に1回しか風呂に入れなくてもよいでしょうか。機械が壊れたのなら、修理するか買い換えて、区が責任をもってやるべき事業です。国は、障害者自立支援法で受益者負担を強制し、さらに、区はサービス低下を押し付けるものあり、認めるわけにいきません。
 
八つ目は、施設使用料です。
 スポーツ施設の利用料が高すぎます。毎年指摘しているのに、改善されません。手数料適正化プロジェクトチームの報告書が出ており、議会へ報告はどうするのか聞いたところ、「今回は値上しないので報告しない」といいます。なぜ、値下げしないのか、その根拠も含めて議会に報告すべきです。
 他区の施設と比べても高い、さらには施設やサービスで上回っている民間施設よりも値段が高いのに、区は値下げしません。私がこれを追及すると、理事者は「豊島区は学校開放などもやっている」「全体を見てほしい」といいましたが、学校開放とあわせてスポーツ施設の利用料を下げ、より多くの人がスポーツに参加できるようにするのが、区の役割であります。
 
 九つ目に特別養護老人ホームについてです。
 特別養護老人ホームについては昨年策定した未来戦略推進プラン2008では、「第四期介護保険計画で具体化する予定」としていたのが2009では、今後の三年間で整備を検討し、第五期計画で12年以降の計画を具体化する予定、となりました。わが党の小林議員の一般質問に対し、地域保健福祉計画で「特養ホームについて区有地の活用を視野に入れながら・・・検討していく」とあらたに書き込んだと答弁しましたが、私が実際にどこの区有地を検討するかと聞くと、答えられませんでした。このままだと、検討、検討でいつまでたっても建設できません。待機者は昨年11月末で1053人、区が緊急度が高いと認めるAランクは325名もいます。実際に、十分な介護ができずに在宅介護でやりたくてもできない人たちがいるのです。
 群馬県渋川市の老人施設の火災で10人も亡くなるという痛ましい事件が起こりました。特別養護老人ホームが足りないため、特養ホームが必要な生活保護者を都外の無届の施設に入所させていたのであり、一番貧しい高齢者を犠牲にしたのです。特養ホームの建設は喫緊の課題であることを肝に銘じるべきです。民間任せではなく、区が建設しなければ解決しない問題なのです。ただちに特養ホームを建設すべきです。
 
 以上、10点から見てきましたが、いずれにしても深刻な状況になっている区民生活を支える予算になっていないのであります。


 反対の理由の第2は、不要な開発に固執し、大型開発優先で区民のくらしにしわ寄せをしているからです。

 LRT、東西デッキ、新庁舎建設、東池袋再開発など、池袋副都心・グランドビジョンはすすめる予算になっています。
 既にすすんでいる市街地再開発は、東池袋四丁目第二地区、東池袋四・五丁目地区(補助81号線道路整備と一体のまちづくり)、南池袋二丁目A地区の三事業で、09年度予算では39億円との答弁がありました。区は、再開発は国から補助があり、都からは都市計画交付金がきて残りの部分は財政調整交付金で算定されるから、区の負担はない、と言いますが、実際には財調算定の部分については、4分の1ずつ四年で手当てがされるため、手当てされない分は、一般財源で一時期たてかえなければなりません。その分、他の施策が圧迫されるのです。そもそも、国から来ようが都から来ようが、中身は国民が納めた税金なのです。
 また、後年度負担も大変です。
 新庁舎建設のための南池袋二丁目A地区市街地再開発の予算は、09年度は1億9000万円ですが、2010年度は9億5000万円、11年度は14億3000万円、12年度は30億4000万円です。プラン2009にでている金額を上げただけでも、総額56億円にもなります。さらにスケジュールどおりにいったとして、13年度14年度の事業費や初度調弁の費用など、膨大な資金が必要です。多大な後年度負担、しかも、それは順調にいったとしての話であって、現在、新築マンションは売れないので再開発自体がうまくいく保障がない、その先に進んだとしても、現庁舎地を借り受けてビルをつくろうという事業者がタイミングよく見つかるかどうかわからないのです。うまくいかなかったら、いったいどうするのか。歳入の質疑で、小林ひろみ議員が「来年度は法人二税が減るから財政調整交付金が大幅に減るとみこんで緊急の財源対策が必要になった。財調がくるからと大型開発を進めていって、今後財調がこない、歳入が足りないとなったらどうするのか」と質問すると、副区長は「いろいろ将来予測をしていても今回のように突然地獄のふたがあくようなことはある。そのときにどう対応するかが重要だ。今回も乗り切ったのだから」と、そのときになったら考えるような答弁しましたが、あまりにも無責任です。
 区長も、現在の不況を考えないわけではない、後年度負担を考えていかねばならない、とはいうものの、結局「池袋副都心としての役割がある」「四丁目再開発がなければ再生はなかった」と開発に固執しました。地方自治体の役割は、区民の福祉が第一の仕事であり、区民のくらし、福祉を最優先すべきです。大型開発は一度始めたら、後に退けなくなるのであります。LRT、東西デッキなど大型開発は止めるべきです。
 
 日本一の高密都市であり、商業業務も集積している豊島区は、環境都市づくりの推進に力を入れるとしています。CO2削減や緑地を増やすのはわが党も賛成です。しかし未来戦略推進プラン2009では「クリーンとしま再生プロジェクト」ときれいな絵は描いてありますが、どれだけの効果があるのでしょうか。昨年鳴り物入りで始まったクールシティ中枢街区パイロット事業も補助事業では3箇所で、緑化は池袋病院の屋上緑化が146uで、あとはサンシャインの屋上高反射塗装と窓の高反射フィルムです。
 一方で特に、道路が拡幅された地域では高い建物がドンドン建ち、近隣住民に対し日照被害、風害、圧迫感など環境悪化が生じ、マンション紛争も起きているのです。河野議員が、コンクリートの高層ビルやマンションを次々たてたらCO2排出は増えるのではと問うと、部長は「効率化します」と答弁しました。しかし、いくら効率化をすすめても、どんどん建設すれば冷暖房などエネルギー消費の総量が増え、結局抑制にはならないのです。
 緑を増やすには公園を増やすこと、そして、高層ビルやマンション建設の際に敷地面積に対応した量の緑地では足りず、建物の容積に応じた緑地にすべきです。大型開発優先では区民の住環境も守れない、CO2削減にもならないのです。

 反対の理由の第3は、財政運営や区政のめざしている方向が区民の願うものになっていないことについて、5点にわたって述べます。
 一つめはビルドアンドスクラップによる事業再構築についてです。
 予算編成をするにあたって、 区は枠内配分やビルドアンドスクラップ、つまり、何か新しい事業をやる時には、別のものを削る、という方法で予算を削減してきました。これが、区民サービスの低下に直結してきました。
 予算を増やすときは、区長の判断で、政策的経費を重点的に配分するという形で行なわれてきました。この中には、この間、削ってきたものの復活、たとえばおむつ代の補助増額やタクシー券の増額なども、含まれています。
 政策的経費の総額は、今後増えていくことが予想されています。個々の事業は一定の期間が過ぎたら見直しをおこない、継続するかどうかを判断することになっています。
 しかし、枠内配分ということは、ビルドアンドスクラップ、新しいものをやりたければ、その中の別な事業を削りなさいということになります。区がいうようにうまい具合にいきません。そして、この間削ってきたものの中で、生活保護受給者の入浴券の枚数を増やすことについては、区長の判断でやらないことがはっきりしました。これは、区長個人の判断で予算の復活や削減がきまるということであり問題です。区民の需要、生活実態を反映させるべきです。
 
 二つめは借金返済についてです。
 土地開発公社の借金を前倒しして返済するという方針は変わっていません。しかし、急激な景気後退の下で、歳入の見通しが不透明になり、与党からも一般質問で前倒し返済に慎重な意見が出ていました。わが党は、将来の需要について必要な基金積立は否定しませんし、借金もはやく返せればそれにこしたことはないと考えます。しかし、これまで区民生活に必要な施策を削ってきたこと、不況の影響や介護、医療、子育てなどで困っている深刻な区民の状況から考えれば、先に優先すべきは区民の需要に応えるべきとだと、繰り返し、指摘してきました。
 都市計画道路補助173号線整備のため、道路用地を土地開発公社から買い入れるため1億5000万円の区債を発行することにしています。理事者は、これから埋設物の工事など道路設備工事に入り、さらにお金が必要になる、そのため、道路は将来にわたって使えるものだから、借金をして負担を分割するのだと答弁しました。173号線についての評価は別にして、自治体が住民のためには借金をしてでもやらねばならない事業があります。借りれば返済する必要がありますが、そのときの経済状況や区民の生活などを見て何を優先すべきなのか判断すべきで、ましてや、百年に一度の危機というときに区民需要を圧迫してまで前倒しで返済する必要はないのです。
 
 三つめは職員の2000名体制についてです。
 2000名体制は、人件費の負担を軽くすると同時に公的責任をなくし、区民サービスを低下させてきました。わが党は、生活保護を受給している高齢者の孤独死がおきている問題を取り上げ、孤独死をなくすためにも、職員をふやすべきと、繰り返し求めてきました。来年度は生活保護世帯の増大、税務行政の負担増、保育需要の増加にともない、若干、職員を増やすことになりました。でも足りません。生活保護は3人増やしたいと課長はいいますが、国の基準からいえば少なくとも五人の増員は必要です。みせかけの増員では、区民サービスを充実させることは出来ないのです。
 また、生活福祉課で派遣職員を配置したり、税務課では、滞納者への電話による納付案内の民間委託を今年は増員するといいます。生活保護というプライバシーにかかわる部門や、税務行政という公権力の行使やプライバシーにかかわる部門に派遣や民間委託をしているということは、人が足りないからなのです。
 
 四つめは民営化、特に保育園の民営化にともなう問題です。
 豊島区は、行財政改革プラン2004で、区立保育園について民営化方針を具体的に打ち出し、これまで、南池袋、駒込第三、雑司が谷保育園の民営化をすすめて来ました。今年の4月からは千早第一、西池袋第一、南大塚保育園が民営化になります。池袋本町は10年に、さらに、もう1園は10年度以降に民営化をすすめることとしています。
 介護や医療、保育といった福祉の分野は、もともと儲けがないもの、その上東京都の補助金削減などで民間保育園の経営は困難になっています。昨年は事業者を募集しても「受託予定事業者なし」となる中で社会福祉法人に無理やり手をあげさせ、民営化をすすめたのです。その際認可保育園をひとつつぶし、保育定数を23減らしました。新しいしいのみ保育園(千早第一保育園)は、1歳から5歳は一杯で、0歳児のみの募集となりました。
 2009年度は特に1,2歳児の待機児が多くなっています。今回のような民営化のやり方は、子どもを保育園に預けて働きたい父母の願いに反することになりました。これ以上の民営化は止めるべきです。
 
 最後に、時間がなくて質問することができませんでしたが、国民投票制度経費について一言触れます。
 国民投票制度経費236万円が計上されています。これは「日本国憲法の改正手続きに関する法律に規定されている投票人名簿を調整するための情報システムの構築費用です。わが党は、平和と国民の命と健康を守るためにも、憲法9条や25条など憲法の規定を具体化・実現することが重要だと考えます。日本国憲法は改正する必要がありません。したがって、これは計上すべきではありません。
 
 以上の理由で、09年度の一般会計予算に反対します。
 
次に、4特別会計について述べます。
 まず、国民健康保険事業会計についてです。
 第1の問題は、保険料をわずかですが引き上げたことです。09年度は、医療分、介護分は所得割、均等割両方とも引き下げをおこないましたが、後期高齢者支援分の均等割1500円、所得割100分の0.2を引き上げた結果、均等割がわずか300円ですが引き上げになりました。収入の低い世帯への影響が大きい均等割の引き上げは避けるべきです。また、住民税定率化(フラット化)に係る保険料経過措置が廃止されるため、中低所得者の保険料があがります。結局、国保加入世帯の95%が値上げになるのです。
 第2の問題は、10月から65歳から74歳までの年齢層、いわゆる前期高齢者とされる年齢の保険料の年金天引きを始めることです。約1万名のうち3500名に特別徴収という天引きが行われます。年金支給額は、この数年、引き下げられてきましたが、09年度は据え置きとのこと、それにしても、介護保険料を差し引かれ、国保料も引かれ、そのほかに住民税まで引かれることになったら、どうやって生活していくのでしょうか。
 第3の問題は、15年間で14回も連続して国保料の値上げが行われた結果、保険料が払えない世帯が激増していることです。小泉内閣の下で2年間保険料を払えずにいると、「資格証」にすると義務化され、病院の窓口では、10割払いになります。このことが病気になっても病院への足を遠くし、重症化を招いていることも指摘されています。短期証がいいというわけではありませんが、短期証の場合は、保険料納入の手続きを通して、被保険者の相談など、生活実態の把握が十分、不十分はあっても一定反映しますが、資格証の場合、被保険者にとって区の敷居が高くなる、国保課も督促を形式的にするだけの関係になってしまいます。
 区の今年2月23日現在の短期証発行数は、4267世帯、資格証発行数は、2538世帯にも上ります。資格証の発行数がダントツに多いのです。
 23区の資格証・短期証の動向をみると短期証の発行数は豊島と同様、3千、4千とだしているのに資格証は100世帯以下、あるいは100世帯台にしている区もあるのです。それは述べてきたように区民の医療の機会を奪わないように工夫をしているからです。
 昨年、厚生労働省は、日本共産党小池あきら参議院議員の質問書にもとづき通達をだしました。その内容は、資格証の人でも病気で医療機関の受診が必要で区に申し出があれば保険証をだす、医療が必要ということは、(保険料減免の)「特別の事情」にあたるというものです。副区長の答弁がありましたが、保険証がなくて命を落とす人がないようにしていただきたいと思います。
 第4は、特定健診・特定保健指導の問題です。健診・保健指導の受診率は40.2%、14.9%といずれも目標値を大幅に下回っていますが、とくに、保健指導の目標値に対する結果の値が低すぎます。国の参酌基準が高すぎるという面もありますが、周知の仕方、実施方法などにも問題があると思います。
 また、事業は業者委託ということで、東側は豊島健康診査センター、西は(株)保健同人社で、プロポーザルまでして決定しましたが、保健同人社は儲からないので、たったの1年で撤退することになりました。来年度の業者は、選定中とのことですが、委託という手法は不安定この上ないということです。特定健康診査・特定保健指導は、制度として根本的に欠陥制度であるということです。
 したがって、国保事業会計予算に反対します。

 老人保健医療会計については、これまでの精算なので詳細な討論はしませんが、反対します。
 
 次に、後期高齢者医療事業会計予算についてです。
 昨年4月に、後期高齢者医療制度がスタートして、ほぼ1年になります。75歳以上の高齢者は、差別医療と高い保険料を押し付けられ、年金から有無を言わさず保険料の天引きをされる。後期高齢者医療支援金は各健保組合の大きな負担になり、健保組合の解散が相次いでいます。区の職員も制度の導入、手直しで振り回され、さまざまな問題がありました。わが党は、後期高齢者医療制度は廃止すべきとの立場ですが、資格証明書の発行をしないために、区の当面の対策について、一言述べます。  
 普通徴収の収納率が、08年7月の92.3%から12月は88.64%に下がっています。
 つまり、保険料の未納者が増えているのです。09年2月9日に保険料未納者1,017人に督促状をおくっていますが、その後の状況はどうなっているかと質問したら、理事者は、未納者は894人に減ったと答弁しました。このままだと、実施1年となる09年以降、「一年以上の滞納」によって、これらの人たちは、保険証を取り上げられ、資格証明書が発行されます。後期高齢者医療制度が始まるまでは、高齢者から保険証を取り上げることは法律で禁止されていました。これは高齢者が医療を奪われたら直ちに命にかかわるからです。督促状を送付しただけでは不十分です。資格証を発行しないためにも、訪問も含めて、未納者の実態を正確に把握して対策をとる必要があります。
 広域連合の要項では、区長が「特別な事情に該当した」と判断した場合、資格証の交付対象からはずすことができます。低所得者など経済的に厳しい人には「特別な事情」を適用し、保険証を交付すべきです。ところが資格証の発行については、理事者は「きめ細かな対応と慎重な取り扱いを図」ると答弁するのみです。資格証の発行は絶対にすべきでありません。
 よって後期高齢者医療事業会計予算に反対します。
 
 最後に、介護保険事業会計予算についてです。
 保険料については、介護給付費準備基金をつかい09年から2011年の第四期計画では、基準額で年間5956円、月額495円下がるのは結構です。しかし、第一期は基準額で35,782円、第二期は39,695円、第三期は52,359円と値上げし続けてきて、今回ようやく下がったとはいえ46,403円で、まだ高すぎます。保険料をはらえないと利用するときペナルティが課せられます。保険料減免制度も不十分です。09年度、介護保険ライブラリーを設置しますが、3年間で1400万円、その財源は第一号被保険者の介護保険料でまかなうことになります。高齢者や介護者に、映画や音楽、絵画で「はり」や「ゆとり」をもってもらうのは結構ですが、保険料は介護サービスの充実にあてるべきで、給付がさがってお金があまっているから介護ライブラリーを設置するというのは本末転倒です。保険料でまかなう事業ではありません
 制度が始まってから、介護報酬は二回引き下げられました。介護報酬の引き下げは介護施設や事業所の経営を圧迫し、そこで働く労働者の賃金や待遇を悪化させ離職者がふえ、介護サービスの低下をもたらしてきました。政府は今回介護報酬を3%引きあげるとともに、その分保険料があがらないよう対策を行いました。しかし、介護現場からはせめて5%の引き上げを、との声が上がるように不十分であるとともに、介護報酬増が利用料にはねかえり利用者の負担がふえる点については、対応がありません。
 介護給付が増えると保険料や利用料が上がる、これは介護保険制度の根本的な問題です。だからこそ、わが党は介護保険では対応困難な方に介護保険料を上げずにサービスを充実させるため、家事援助や通院介助、散歩などを支援する介護保険外でのホームヘルプサービス事業の提案を繰り返ししてきたのです。
 この間、政府は制度改悪で要介護1の方からベッドや車椅子を取り上げたり、同居家族がいる場合の生活援助のヘルパー利用を制限したりして給付を抑えてきました。それでも足りずに4月1日以降の介護認定について、審査項目を削ったり、二次判定の参考資料を減らしたり、認定調査員のテキストを、寝たきりでも「自立(介助なし)」と認定するよう変更したりと、介護度が軽度に判定される恐れのある新しい要介護認定方式を実施します。
 介護度がさがり、必要なサービスを受けられなくなる人がでてきます。3月17日に、厚労省は批判の多い調査基準を一部見直しをすると発表しました。24日に公表された見直しはごく一部で、批判されていた根幹は変わりません。しかし、年度末の短期間で変更することは、現場の職員、包括支援センターなどは研修を十分受けないで走り出すことになります。これを指摘すると、理事者は、「今のところ認定調査員のうち区の職員には急いで研修を行なう、民間事業者に委託している分はあとにするなどしか考えられない」「とにかくやるしかない」と答弁しました。
 こんなに短期間の準備で実施して、ただでさえ区民の不満の大きい「介護認定」が、国のいうように「不公平感につながらない」認定になる保障はありません。結局、しわよせをされるのは区民と現場の職員です。
 したがって、介護保険会計予算に反対します。

 介護保険事業会計補正予算(第1号)は、介護従事者処遇改善臨時特例基金繰り入れによる第1号被保険者保険料を減額するもので、高齢者にとって利益となることから、賛成いたします。
 以上で、私の討論を全て終わります。ご清聴ありがとうございました。