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区議会質問
 
「池袋駅周辺地域の都市再生緊急整備地域の指定を求める意見書」提出に反対(渡辺くみ子議員)

 私は、日本共産党豊島区議団を代表しまして、只今議題とされております議員提出議案第26号「池袋駅周辺地域の都市再生緊急整備地域の指定を求める意見書」に反対の立場から討論します。
 この意見書案は区長が推し進める池袋駅周辺地域の再開発に国の都市再生緊急整備地域の指定を求めるものですが、問題点を2点に絞り指摘します。
第一は「都市再生緊急整備地域」の問題です。
 2002年6月に小泉政権下で、構造改革の一環として土地の有効利用等、都市の再生に関する施策を「総合的かつ強力に推進するため」にと都市再生特別措置法が施行されました。そしてこの法を具体的に進めるために作られたのが「都市再生緊急整備地域」です。「都市再生緊急整備地域」に指定された「特別地区」では、用途規制や容積率、高さ制限、日影規制など、従来の都市計画で設けた規制がとりはらわれ、超高層ビルを密集して建てるなどの都市計画が可能となります。さらに「緊急整備地域」内の開発業者には、都市計画の決定や変更を提案できる権限を与え、しかも事業者の提案をうけた自治体は6カ月以内の計画決定を求められ、事業に必要な認可などは、関係行政に3カ月以内に決定させるとしています。これは土地買い占めをすすめる業者の利子などのリスク軽減のためのもので、このようなやり方は、当然、住民合意がなおざりとなり、住民不在、住民追い出しにつながる開発となることは明らかです。
 その上石原都政は、都市再生をさらに進めるため、環境アセスの改悪など、より一層規制緩和を進めてきました。その結果、現在都内では8地域が指定され、「都市再生」路線の中心は超高層ビルの建設となっており、2000年以降だけでも23区内で建設された100m超の超高層ビルは135棟に達しています。このようなビル群の集中はヒートアイランド現象や大気汚染の激化など、環境破壊の大問題も発生させています。  
 また市場原理にもとづく都市再生は、「ミニバブル」現象をつくりだす要因の一つになり、3大都市圏(東京、大阪、名古屋)の標準宅地の平均額は2006年からは3年連続で上昇しました。しかし民間事業者の無計画なマンション建設は供給過多を生みだし、マンションが売れなくなると外資系ファンドが投資マネーを引き揚げたことなどで、今度は「ミニバブル」が崩壊しました。このことが今、地域経済の悪化をうみだし、民間のマンション・住宅市場の冷え込みに加えて、銀行の貸し渋り・貸しはがしで、中小、零細建設業者の経営難を直撃しています。
 街づくりは市場原理にゆだねるものではありません。

 第二の問題は「池袋」がなぜ「都市再生緊急整備地域の指定」を受けなければならないかということです。
 区長はこの間、「池袋副都心・グランドビジョン2008」を一方的に提案し、区と民間が一緒になって再開発を進めようとしてきました。「都市再生緊急整備地域」の指定を受けるには、東京都が該当地域の「都市再生緊急整備地域及び地域整備方針」の案をつくり、国の都市再生本部に申し入れ決定となります。豊島区は現在、都と協議中としていますが、まだ東京都が国に申し入れをしていないということは、区の計画が「指定」の条件に合致していないということではないでしょうか。
 ところが意見書案は「池袋東西デッキ構想の推進に併せ周辺地域における機運がたかまりつつあり」とし、まだ跡地にもなっていない現庁舎地を含む区域に対し「都市再生の拠点となる土地利用転換が見込まれる」から「早く指定を」とまで言っています。一体どこに「機運がたかまりつつあり」とする根拠があるのでしょうか。
 今回、都市整備委員会で「池袋駅周辺事業」の調査検討委員会を開催していることが報告されました。会議は非公開で、私は会議録の公開を求めましたが、理事者は企業情報や個人情報の入っている部分は公開できないとし、これでは事実上公開をしないということと同じです。
 「池袋駅周辺事業」の区の目的は池袋東西デッキです。どういう整備方針案を検討しているのか、関連企業は東武と西武、そして鉄道事業者でこれらの企業のかかわりはどうなるのか。今後の街づくりや区財政に大きな影響を及ぼします。企業情報を盾に情報公開せず、すすめるやり方はまさに区民不在の再開発ということです。
 街づくりは、あくまでも住民が主体となった取り組みであるべきです。この間の、東池袋4丁目の市街地再開発では借家人の93%が地区外に転居するなど、区民追い出しの開発になっています。南池袋2丁目では「再開発はしないで、このままがいい」との声が上がり続けているのに区は開発を進めようとしています。
 このように、どんな街づくりをしていくのか、住民はどんな街を求めているのかもつかまず、いたずらに「都市再生緊急整備地域」の指定を求めるのは無責任ではないでしょうか。

 今、長引く不況の中で、明日の生活にも困っている区民が多くいます。議会は区民の生活にまず目を向けるべき時ではないでしょうか。
 区民の意見を無視する、このような都市再生は進めるべきではありません。撤回すべきです。

 以上、議員提出議案第26号「池袋駅周辺地域の都市再生緊急整備地域の指定を求める意見書」に反対し討論を終わります。