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区議会質問
 
豊島区立保育所条例の一部を改正条例討論(かきうち信行議員)

 つぎに第76号議案 豊島区立保育所条例の一部を改正条例について討論を行います。あわせて20陳情36号 区立保育園のさらなる民営化の中止を求める陳情についてふれ、採択すべき立場から討論いたします。
 本条例案は、西池袋第一保育園および千早第一保育園の二園を民営化することに伴い、これらを廃止するほか、法改正に伴い、延長保育料の免除に係る規定を改めるとして提出されたものであります。
 しかし、今回の条例改正は、単に二つの区立保育園を社会福祉法人に委ね、私立保育園にするだけではありません。
 千早第一保育園は、現在のしいのみ保育園に土地も施設も無償で貸付を行い、統合合併したうえ、移転させて運営にするというものであります。つまり、認可保育園が一つ減るのであります。現在のしいのみ保育園がなくなるために、定員は大幅に減り、周辺園で数名の定員増は図られるものの、区全体ではマイナス23名ということになります。
 これは、重大問題であります。
 これまで区は、保育所の民営化すすめる理由として「職員を減らせて財政効果になる」「民営化より、新たな保育に応えることができる」「民営化する保育所施設は大規模改修し、定員を増やすので、待機児解消になる」ということをいってきました。
 しかし今回の提案は、施設の改修もろくにせず、定員は減らす、そして何より現在、
173名にもなっている待機児童の解消に逆行するものではありませんか。

 次に具体的、問題点について指摘します。
 まず、待機児童に対応についてです。
 私は、広報としま五日付けの保育園の募集をみてあらためて驚きました。新しいのみ保育園の募集は、ゼロ歳児10名のみで、一歳児以上の募集はしないのであります。
 それは、今の千早第一保育園に入所している園児に、さらに現しいのみ保育園の園児がそのままスライドするために、一歳児以上はすでに定員は一杯になるからであります。
 現在、千早第一には、ゼロ歳児5名、1歳児3名が待機しております。すなわち定員がいっぱいで入所できずにまっている状態です。
 合併のために、現在待機しているゼロ、1歳児は、はじめから募集枠からはずれ、基本的にはじかれることになるのです。
 そのうえ区は、しいのみ保育園と合併しても定員が収まるように、二年前の2006年度より千早第一保育園の定員を姑息にも減らす調整していたことも審査のなかであきらかになりました。
 待機児がいるのに、定員をへらしたために千早第一に入所できない子どももいたのです。とんでもないやり方です。

 つぎに職員体制についてであります。
 千早第一保育園は、3月までは区の保育士たちが保育にあたりますが、新年度からは、しいのみ保育園の保育士にかわります。保育を受ける子どもにとって、保育士が変わることほど影響を受けるものはありません。
 だからこそ、民営化するにあたっては、保護者からも、保育士の引継ぎついては慎重にしてほしいという意見が圧倒的でした。
 区も、一斉に変わることは問題とし、駒込第三の民営化にあたっては、区の職員を派遣し、三年間かけて職員のシフトがされてきました。
 しかし、今度の民営化は、二つ保育所とも、一年間を引継ぎ期間とし、遠足や運動会など行事を中心に少数の派遣がおこなわれ、全クラスを対象にした実習保育は、一月からわずか三か月しかありません。
 これまで30名の小規模保育園が100名定員の保育園を担うわけですから、職員の引継ぎについても一層きちんと行われるべきなのです。
 
 議会へのまともな報告もなくすすめるやり方も問題であります。
 今回の民営化方針については、昨年の第4回定例会の子ども文教委員会で報告がされております。その際の資料をみましても、社会福祉法人育和会が事業運営することになったとはありますが、しいのみ保育園が、千早に移って運営するとか、合併するとは全くふれられていません。だから今回の合併については議会の認識にもなっていませんでした。
 合併して認可保育園の一園を廃止しようというのに議会にまともに報告してこなかったことをみても今回の方針がいかに道理のないやりかただということを示しています。

 さて、委員会審議では、初日の私の質疑で、区は、資料不足や説明ができないことを認め、予備日の審査となりました。そして区理事者は、「今回のやり方は、特殊であった」とのべ、「今後は合併というやり方は困難」と答弁しました。しかし、「こうしたやり方は間違っていた」とは、とうとう認めませんでした。
 議会のほうも、議会のほうで、待機児解消にもならないのに「待機児解消に期待する」とか「保育ママ制度の拡充を」など全く議論から外れたことをいうだけで、ほとんど発言らしいことはせず、可決というのですから驚きです。
 何でも「はいはい」「結構、結構」と与党が賛成してくれるので、議会に対する区の説明も資料提供もおざなりになっているのであります。

 いま、保育の民営化が全国的に問題を引き起こしています。
 保育行政の市場化を売り物に石原知事が進めてきた認証保育所の虚偽申請と補助金不正受給疑惑が相次いで発覚し、豊島区にあるエムケイグループは、ハッピースマイルをはじめ運営する29の保育園をいっせい閉園することになりました。
 本区においては、行財政改革プラン2004で、区立保育所について民営化方針を具体的に打ち出し、これまで、南池袋、駒込第三、雑司ヶ谷保育園の民営化を進めてきました。今回の提案された2園と南大塚保育園については来年度、池袋本町については2010年度より、未定の1園については、2010年度以降に民営化をすすめることとしています。 民営化計画のこれまでの経過をみてみますと、南池袋保育園のマハヤナ学園の撤退からはじまり、公募事業者の相次ぐ辞退、求める事業者がないために選考はできず、今回は、社会福祉法人にお願いする経過になりました。
 今回の条例は、民営化方針を強行するために、行き詰まり、結局、社会福祉法人に無理に手をあげさせ、それも合併というやり方で、認可保育園を廃止させ、なおかつ、待機児解消に逆行するもので、全く、これまで積み上げてきた豊島の保育を後退されるものであり、断固反対であります。
 この民営化方針についても今回のことを教訓とするなら、ただちにその計画は、中止し見直すというのが当然ではありませんか。

 よって第76号議案 豊島区立保育所条例の一部を改正条例について可決に反対し、20陳情36号区立保育園のさらなる民営化の中止を求める陳情については不採択とせず、ただちに採択すべきことを延べ討論を終わります。