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区議会質問
 
豊島区立子どもスキップ条例討論(かきうち信行議員)

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただ今一括して議題とされております第74号議案豊島区立子どもスキップ条例の一部を改正する条例ならびに第75号議案豊島区学童クラブ条例の一部を改正する条例、そして第76号議案豊島区立保育所条例の一部を改正する条例の3議案について、可決に反対する立場から討論を行います。

 まず、第74号議案ならびに第75号議案についてです。
 この二議案は、来年度より子どもスキップの新設にともない、巣鴨第一児童館学童クラブを廃止するほか、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進および永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部改正に伴い、利用料の減免に係る規定を改めるために提出されたものであります。
 子どもスキップについては、「地域区民ひろば」に移行する小学校区において、児童館を廃止し、全児童クラブとして放課後対策事業と合体させ、児童のみ分離させるというものであり、これまでも様々な問題点が指摘されてきたところであります。
 今回、この子どもスキップの清和新設にともない、長い間、児童福祉の拠点となってきた巣鴨第一児童館を廃止し、その施設は「区民ひろば」に転用されます。

 まず、この条例改正において指摘しなければならないことは、児童館そのものを廃止する重大問題にもかかわらず、区民ひろば条例の改正の付則において、付け足しの形で廃止を規定していることであります。
 このやり方は、以前に2児童館廃止した際にもこうした手続きの条例改正を行ったために私は、このことを取り上げて批判したのにもかかわらず改めることなくまた同じ形で提案されたのであります。
 児童館を廃止した施設を「区民ひろば」として使用するのだからといえば、たしかに条例の改正手続きの一つのやり方かも知れません。
 しかし、長い間、地域の核として役割を果たしてきた児童福祉施設を廃止するのに、その所管の「子ども文教委員会」の審査もないまま、別の条例の付則で廃止をさせることは決して正しいやり方ではありません。
 あらためてこのことを指摘すると、理事者は、施設の改廃などについて別々に条例改正した場合、一方が可決、一方が否決されるという結果になると、執行ができなくなるという手続き上の問題点をあげてました。議会が、否決という判断をすれば当然条例は執行できません。児童館をつぶして、区民ひろばにするのが、よいと思うならば、堂々と、児童館そのものを廃止する改正を議会に求めるというのが筋ではありませんか。
 余りにも議会での審査を軽視しているといわざるを得ません。
 さらに、議会軽視という点では、条例審査の前にすでに、巣鴨第一児童館は、区民ひろばにするための工事がすすめられ、学童は清和小に仮移転し、児童館はすでに使えず、事実上もう廃止されているではありませんか。
 さて、本条例に反対の第一の理由は、職員配置の問題です。
 そもそも子どもスキップは、子どものことを考えて検討されたものではありません。
 財政効果を生み出すために、一番金のかかる人件費を削ることにし、常勤職員を大幅に削減しました。質が下がり「機能を維持する」ことができなくなるのは当たり前です。
 児童館は、児童福祉法にもとづく0歳から18歳までの児童厚生施設であり、館長1名の他、常勤の児童指導2名、非常勤の学童クラブ担当が2名配置され、また学童クラブの人数の超過や障害児の受け入れなどにより臨時職員が加配されています。
 一方、子どもスキップでは、学童クラブ担当職員はおかず、正規の所長のもと、非常勤職員がローテーションで学童クラブと一般利用児童を見るという体制になります。
 これでは、全児童を対象にした健全育成事業と学童クラブそれぞれの発展は難しく、子どもの安全確保と、子ども一人ひとりに寄り添った指導と援助も困難になります。

 第二の理由は、異年齢児の交流の場が失われることであります。
 これまで、児童館が、進めてきた優れた子育て支援は、乳幼児のためのプログラム、小学生以上の子どもたちには、放課後や学校休業日の地域の遊び場と活動の拠点して、中高生の居場所として、さらには地域のいろいろな団体と協力して、子どもを中心にしたイベントや行事を行ってきたのであります。我々は、小学生の放課後の活動を豊かにするために、学校の有効活用を否定するものではありません。しかし、スキップ事業は、小学生だけ分離し、学校施設を利用して放課後を過ごさせるというもので、小学生以下と中学生以上との異年齢交流を断ち切るものであります。

 第三の理由は、放課後事業の縮小であります。
 児童館では6時まで学童の児童も一般の児童も遊びや保育が実施されてきたものが、スキップに移行すると、冬場は、一般の児童は4時30分になると自宅へ帰らなくなくてはなりません。
 今般の子どもをめぐる危機管理をあげ、特に冬場の帰宅は、早くさせることにしているためとしていますが、確かにこどもの安全の確保は、最優先の第一義的課題ではありますが、児童の放課後の育成事業を狭める問題とは別問題です。
 要するに、職員を減らしたために、子どもスキップではその受け入れ態勢が弱まり、6時までの受け入れを困難にしているということなのです。

 第四の理由は、施設そのものが狭められ、子どもの居場所が縮小されることであります。 子どもスキップは、一般の児童はもとより学童クラブの入会数も定員はもうけず、だれもが入会できることにしています。校庭や体育館で自由に遊べることで、スキップの施設は、児童館に比べ、施設は狭隘なスペースになっています。今回の清和小学校の場合、あき教室がないために、区が基本となってすすめてきた校舎内型ではなく、隣接型になります。これまでの区民集会室の一部を改造して、コアスペースとセカンドスペースとして事業を展開します。
 清和の場合コアスペースは61.47平米、セカンドスペース59.14平米であり、これまでの巣鴨第一児童館の652平米から大きく後退します。
 ましてや、隣接型にしなければならかったように児童数がおおいのに他のスキップからみても狭隘なスペースというのもおかしなものです。

 以上四点の問題点を指摘してきましたが、スキップ事業は、全児童を対象とした放課後育成事業といいますが、これまでの果たしてきた児童館の機能を維持するという約束は守るどころか後退させるものであります。

 よって第74号議案豊島区立子どもスキップ条例の一部を改正する条例ならびに第75号議案豊島区学童クラブ条例の一部を改正する条例の可決に反対するものです。