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区議会質問
 
本会議討論(補正予算)(儀武ぎぶさとる議員)

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております、第80号議案「豊島区一般会計補正予算(第3号)」について、可決に反対の立場から討論をおこないます。
 アメリカ発の金融危機は、世界経済の大混乱を引き起こし、日本経済にも大きな影響を与えています。日本を代表する大手の自動車メーカーなどが競い合って、「派遣ぎり」「雇い止め」をすすめ、トヨタ3,000人、日産1500人のリストラ・合理化が発表され、年度末には3万人以上が見込まれ、多くの方が路頭に迷おうとしています。また、大銀行は、中小企業への貸し渋りや貸しはがしを行い、この1年半の間に中小企業への貸し出しを5兆円も減らしています。さらに、大企業が、景気悪化を口実にして、単価たたきなど下請いじめを激化させ、中小企業は倒産や廃業の危機にひんしています。
 麻生総理は、「政策優先」といいつつも景気後退への打開策を示すことができずに迷走しています。内閣支持率は、ほとんどの世論調査で20%台の前半で政権末期的状況です。もう国民の我慢も限界です。急速な景気後退で、区民のくらしは大変な状況で、とりわけ低所得者は深刻です。こういう時こそ、区は直ちに緊急対策を行い、区民のくらしを守るために、その責任を果たすべきです。
 ところが、本補正予算に示されている緊急対策といえる施策は、中小商工業融資事業経費等、ごくわずかです。自転車駐車場建設経費等、必要な施設整備費が若干含まれておりますが、区民が望む補正予算というには、程遠い内容であり、到底容認できるものではありません。以下、反対の理由を述べます。

 反対の第1の理由は、困っている区民に手を差し伸べる緊急対策が盛り込まれていないからです。
 景気後退の影響等で、区民のくらしと営業は厳しい苦境におかれ、「このままでは無事に年を越すことすらままならない」といった切実な声が相ついでいます。わが党区議団は、区民の声に応え、この深刻な事態を打開するためには、来年度予算を待つことなく、緊急対策を補正予算等に盛り込むよう、先月区長に申し入れを行いました。子育て世帯、高齢者、障害者、低所得者、中小企業等への緊急対策として最低限必要な15項目に絞ったものでした。ところが補正予算の中で緊急対策と言えるものは、ろくに示されませんでした。緊急対策といえば、中小商工業融資事業経費として融資補助率の引き上げに251万円が計上されているだけです。他の自治体ではすでに、緊急対策として無利子の融資を実施したり、プレミアム付きの商品券の発行に補助額を上乗せしたりするなど、さまざまな取組みを行っている様子が、連日のようにマスコミに取り上げられています。総務委員会において、森議員が区民のおかれている状況等について、区の認識を質したところ、「景気後退により生活が厳しくなっている」といった答弁がありました。このような認識があるならば、困っている区民に直ちに手を差し伸べる緊急対策を実行すべきです。

 反対の第2の理由は、財源がありながら、区民の期待に応え、やるべきことをやらないからです。
 区財政は、昨年度で4年連続の黒字決算となり、実質収支は31億円余、その半分は財政調整基金へ条例に基づき、自動的に積み立てられました。あとの半分15億6千万円余は、今年度に繰り越され、この繰り越された分は、補正1号で1億5千万円使い、今回の補正3号で7億1千万円使いました。しかし、それでもまだ7億円も残っているのです。この一部を使えば、さまざまな区民要望に応えることができるのです。総務委員会において、残りの7億円の使途について今後の計画を質しましたが、将来負担に対する備えといった言い逃れに終始し、明確に答えませんでした。また、財調基金残高は今年度末で59億円が見込まれており、依然として多額のまま推移しております。このように緊急対策に回せる財源は十分あるのです。あらゆる手立てを尽くし直ちに区民要望に応えるべきです。

 反対の第3の理由は、一方では大型開発には大盤振る舞いの補正予算だからです。
 本補正予算額は12億7,600万円、そのうち都市整備費が11億1,500万円、実に補正予算の87.4%を占めています。その中身は、東西デッキ構想といった多額の費用が見込まれ、区財政の負担と、その効果が不透明なので区民から批判の多い施策や、多数の住民が追い出された東池袋四丁目第2地区の市街地再開発事業経費です。昨年度から繰り越された金額5億2百万円、当初予算で8億6千万円、ささらに補正予算で10億7千万円、合計で2008年度予算は24億3千2百万円にもなります。緊急対策の商工融資にはわずか251万円、再開発には数十億円、桁が二つも三つもちがうではありませんか。これほど税金の使い方が極端であるということは、まさに区政が歪んでいるという証明ではありませんか。区民が置かれている厳しい状況を認識していながら、きちんと手当てをしない。このように区民が望む緊急対策には、ろくに予算計上することなく、大型開発には大盤振る舞いでは区民は納得できるものではありません。

 最後に、一言付け加えておきます。
 本補正予算案には「グリーンとしま」を再生するキックオフイベント実施準備経費として1800万円計上されています。これは、来年の4月28日の「植樹際」に31校の小中学校にシイやカシの木等を1u当たりに4本ないし6本植える計画であります。
 私たちも児童・生徒が植樹の体験をし、緑が増えることは大変良いことだと思います。
 私は、朝日小学校、清和小学校や巣鴨北中などを見て周りましたが、現在でも桜やプラタナスなど木が、1.5mから2mの間隔で植えてあります。1学校当り平均で300本の植樹ということですが、いったいどこに植えるのでしょうか。突然の提案で学校現場では困惑の声が上がっています。区長は学校側の意向を尊重すると答弁しましたが、良いことでも「押しつけ」はもっとも教育的なやり方ではありません。

 以上、反対理由を述べてきましたが、第80号議案「豊島区一般会計補正予算(第3号)」について可決に反対します。
 以上で討論を終わります。ご清聴有難うございました。