HOME >区議会質問>本会議討論
区議会報告議員紹介政索と見解お知らせリンクご意見ホーム
区議会質問
 
東池袋四・五丁目地区計画反対討論(渡辺くみ子議員)

 私は日本共産党豊島区議団を代表しまして、ただいま上程されております第61号議案「豊島区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例」について可決に反対の立場から討論を行います。
 この条例案は、2008年6月に都市計画決定された「東池袋四・五丁目地区計画」の内容のうち、整備計画を推進するため建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項で、特に区が重要とする事項について、地区計画の内容として定められたものを条例に追加し制限として定めるとしたものです。

 さて東池袋四・五丁目地区計画の区域は、木賃アパートや低層の住宅が集積した木造密集地域です。
 区は1983年(昭和58年)居住環境総合整備事業で街づくり重点地域に指定し、「まちづくり協議会」が作られ、防災道路や、辻広場などが建設されてきました。
 その後「まちづくり協議会」から「推進協議会」に移行、一時中断がありましたが住民は1996年(平成8年)に「東池袋四・五丁目地区まちづくり連絡会」を結成。都の「防災都市づくり推進計画」で重点地区にも指定され、「連絡会」は「東池袋四・五丁目地区計画素案」を発表しました。ところが99年7月、都は突然、財政悪化を理由に事業を放棄、「防災都市づくり推進計画」も中止してしまいました。そして9月には「会」も解散せざるを得なくなったのです。
 2003年、改めて都は補助81号線を「道路整備と一体的に進める沿道まちづくり」の対象と位置付け、翌04年「防災都市づくり推進計画」の重点地区に再度指定しました。区は「補助第81号線街路整備と沿道まちづくり」を進めるとし、「沿道まちづくり協議会」を発足させました。
 2005年区は、都市計画道路補助81号線の事業認可を契機に、地区計画の対象地域を、それまでの補助81号線沿道から、造幣局の南側をB地区、東池袋五丁目地区をC地区として、東池袋四・五丁目地域のほぼ全域に広げました。
 今回の議案は、地区計画の内容を具体的に条例で定めるとして、建物の用途の制限や容積率の緩和、最低限度の敷地面積を65uにするなどですが、特に建築物の高さを地区別に16m、19m、22m、25mとし、さらに総合設計など一定の条件を満たし、区長が認めたものはこの高さの2倍まで可能としており、これがこの地区計画の最大の問題です。

 以下条例案に反対の理由について述べます。
 第一は共同化と言いつつ、高層ビルの建築を進めるための計画だということです。   
 9月29日に開かれた都市整備委員会で、区は「当該の地区計画地域は防災上、炎焼拡大の防止や避難路の確保が重要な課題」とし「共同化で建物の集約化、歩行空間や空地の確保」をあげ、共同化を強調しました。
 現在、共同化の第一号として、補助第81号線沿道の住民8名による事業化が進んでいます。この計画は、沿道地区内に都から提供された敷地面積900uの代替地に、延べ床面積3000u、10階建ての分譲マンションを建設するとし、都の外郭団体である東京都新都市建設公社が地権者の一人として事業組合に入り、建物を建設するというものです。
 このように区が進めようとしている共同化とは、一部の地権者と民間事業者や都の外郭団体などが事業組合員になり、高層のマンションを建設し、保留床を売却し儲けるとする、再開発の手法そのものであります。
 また10階と言えば最低でも30mの高さとなります。沿道地区では高さは25mまでとしており、すでに特例規定を使うものとなっています。
 区は「現在の街並を残しつつ、まちづくりをすすめる」などと言っていますが、のっぽビルが低層の住宅街に建つとなれば、多少の空地を設けても、日照や、風害、圧迫感など、周辺地区の生活環境は悪くなります。
 結局、共同化と言いながら、再開発の手法で超高層の大型ビルを建設することで、区が率先して環境を悪化させ、まち壊しを進めることにつながるものです。

 第二はこの地区計画は住民の意向を無視して進めているという点です。
 2006 年10月に実施した意向調査では、A地区(補助81号線沿道地区)では建物の高さ、容積率などに50%以上の人が計画に賛成していますが、周辺のB・C地区では建物の高さは1階から3階までがそれぞれ39%、52%となっています。1階から6階までを含めるとB地区では61%、C地区では79%を占めています。また全地区での調査では、建物の「建て替え」や「共同化」については6割を超える人が「今のところ考えていない」としています。さらに建て替えを考えている人でも「3階を建てる」とする人が6割をこえています。住民は高い建物を望んでいません。
 条例案の建築物の高さの規定は、区民の声を全く無視したものです。その上特例規定まで設け区長が認めたものは高さを2倍の最高50mまで可能にしたことは、何のための住民意向調査だったのでしょうか。
 委員会審議で理事者は「まちづくりにはいろんな考えがある」と言いました。しかし区が進めているまちづくりは、いろんな考えを聞かず高層ビルをつくることを最優先で進めているものです。

 第三は住民追い出しの計画ということです。
 「東池袋四・五丁目地区計画」地域全体の世帯数は2007年9月現在で、4242世帯、借家人は1986世帯です。また65歳以上の人は1381人で人口比は3 割を超えています。
 では、補助81号線沿道地区で「立ち退かなければならない、借家人は何人か、高齢者は何人か」との私の問に、区は「都の事業なので分からない」と答弁。さらに、借家人の住宅対策について質すと「借家人でも、現在進められている共同化の建物を買うことはできる」と答弁しました。もちろん購入できる借家人や高齢者はいるかもしれません。しかし借家人への補償金の規定は「従来と同程度の借家を借り入れるのに要する費用相当」となっており、立ち退きの補償金で分譲マンションを買うことなどできないことは、誰が考えても明らかです。また高齢者からは「年金では動けない」との声も寄せられています。
 この間区は、当該地を居住環境総合整備事業のまちづくり重点地域とし、従前居住者住宅アゼリア東池袋を建設。防災道路整備に伴い住宅に困窮する借家人の受け皿を確保して道路整備に取り組んできました。住民を追い出さないで道路の建設をすすめてきたのです。

 また都は2005年3月に「東池袋地区街路沿道まちづくり促進調査」報告書で「高齢者用住宅の供給など、特別な措置を合わせて検討していく必要がある」としています。
 しかし区は「今は制度がない」と全く対策をとらず、住民の居住実態すら掴んでいません。最初からやる気がないということです。これは東池袋四丁目市街地再開発で借家人の93%が地区外に転出しているように、今回の計画は住民追い出しにつながる大問題です。

 以上、第61号議案「豊島区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例」の可決に反対し討論を終わります。