HOME >区議会質問>本会議討論
区議会報告議員紹介政索と見解お知らせリンクご意見ホーム
区議会質問
 
2007年度決算に対する本会議討論(小林ひろみ議員)

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、認定第1号、2007年度一般会計決算並びに認定第2号、国民健康保険事業会計、認定第3号、老人保健医療会計、認定第4号、介護保険事業会計の3特別会計決算の認定に反対の立場から討論を行います。なお、認定第5号従前居住者対策会計決算の認定には賛成をいたします。

 本決算の2007年度は、定率減税が全廃されたための所得税、住民税の増税、125万円の老年者非課税の段階的廃止による高齢者の住民税増税がおこなわれました。これに伴い、国民健康保険料や介護保険料の値上もおこなわれたのです。
 この間、政府は、とくに小泉内閣以来の「構造改革」路線で、「強い産業、強い企業がもっと強くなれば、日本経済も強くなる」、そうすればいずれ家計にもまわってくるから、「国民は"痛み"をがまんしろ」といって、労働者派遣法の規制緩和など雇用のルール破壊も、骨太方針での社会保障費自然増の毎年2200億円予算削減と増税、負担増も、そして大企業・大資産家への大減税も実施してきたのです

 全国では、「ネットカフェ難民」が若者の間で広がり、「介護難民」「医療難民」が急増、日雇い派遣のグツドウイルグループの違法行為が大問題となりました。
 また、あいつぐ食品偽装、輸入食品の農薬混入がおき、食の不安が広がりました。
 今、消えた年金・消された年金、後期高齢者医療制度に対する国民の批判が高まり、また、国民の将来に対する不安はますます、広がっています。
 06年9月安倍元首相が「美しい国」を掲げ、小泉構造改革を継承しましたが、7月の参議院選挙で自民・公明が大幅後退したのち、9月12日突然辞任を表明、福田内閣が発足。一年を経て今年9月1日またまた首相が突然の辞任表明。その後誕生した麻生新内閣の支持率は高くなく、今も下がり続けています。

 東京都は石原知事のもと、福祉・くらしは削り、オリンピックをてこにした大型開発を進めるなど、都民不在の都政を進めてきました。特に、まちづくりについては、空中権の移転とか連鎖型開発など国の規制緩和をさらに上回るさまざまな緩和策が導入され、超高層ビルを誘導、民間による高価格のマンションやオフィスビルが次々と建設されてきたのです。それが供給過剰となって、売れ残り、マンション不況といわれています。
 国や東京都だけでなく、豊島区も「構造改革路線」にしがみついており、このまますすめば、暮らしも経済もさらに行き詰まることは、はっきりしています。
 多くの国民が、「構造改革路線は暮らし破壊路線であった」と気づいています。

 現在、アメリカ発の国際的な金融危機がますます深刻になり、アメリカをはじめとする海外の需要に頼ってきた日本経済も大きな影響を受けています。政府の「貯蓄から投資へ」の掛け声に乗って、退職金や預金を株に投資した人たちが株価の乱高下で損をしているだけでなく、派遣労働者や期間工の雇い止めなど雇用切捨て、下請け企業への単価切り下げ、銀行の貸し渋り貸しはがしなど、国民にしわ寄せが来ています。アメリカの金融危機というのは、経済を投機化してイカサマとペテンにしてしまったやり方、いいかえれば「カジノ資本主義」の破たんです。そのつけを国民に回すことは許されません。こういうときこそ雇用を守り、中小企業を応援する、社会保障を充実させる、そして国民生活全体を温め、内需を活発にし、内需主導の経済に転換していくことが必要です。そして、区民に一番身近な自治体である豊島区が率先して、区民の暮らし、福祉を守る立場にたち、困っている区民、弱い立場の区民に光をあてる区政をおこなわなくてはなりません。

 今回、日本共産党区議団は、第一に、区民の実態を踏まえ、削った福祉などを元に戻したか、第二に、区民需要にこたえ、やるべきことをやったか、第三にむだな大型開発をすすめていないか、の三つの観点で審査をしてきました。その結果、次の大きく四点から、この決算認定に反対するものです。
 以下、具体的に指摘いたします。

 最初に、第一の観点である、区民の実態を踏まえ、削った福祉などを元に戻したかについてです。
 豊島区はこれまで国や都の路線方針に従い、財政難を口実にリストラ、合理化、住民犠牲の行革を実施してきました。財政健全化計画、新生としま改革プラン、行財政改革プラン2004、2005で区民サービスを大幅に削減し、区民に我慢をおしつけてきました。また、「公共施設の再構築、区有財産の活用」で区民の財産である施設や土地を売払いました。人減らしを目的として、指定管理者の導入、保育園の民営化、児童館やことぶきの家を廃止し区民ひろばとし、学童クラブをスキップに統廃合するなどしてきました。
 高野区政になってからの10年、区民にとって一番切実な福祉関係費を年間ベースで8億円、教育関係費は1億2,000万円も削減しました。特に、05年度、06年度の行財政改革プラン2004、2005による削減には、区民から悲鳴が上がりました。その一方で、2005年度には財政調整基金を37億円積み増し、06年度からは決算剰余金の半分は自動的に積み立てる条例改正を行い、07年度末には、財政調整基金は74億円になったのです。
 また、区長は、福祉と教育を基本に、「文化」などにも重点的に配分するとしてきました。今決算の特徴として、「文化施策の充実強化」をあげ、あうるスポットには新規事業で維持管理経費や?落としに3億円使いました。文化も大事、必要なこととは思いますが、本来光を当てるべき区民への施策への対応と比べるとあまりにも偏りすぎています。

 一つ目は、生活保護受給者の入浴券についてです。
 生活保護受給者の入浴券は、05年に年間60枚を半分の30枚にしてしまいました。強い復活要求で2008年度から母子世帯のみ、60枚に戻しました。しかし、この間生活保護受給者の老齢加算、母子加算は段階的に廃止され、05年度からはことぶきの家の療浴室もなくなり、入浴券削減は、高齢者にとってはトリプルパンチ、母子世帯にとってもダブルパンチだったのです。母子世帯だけでなく、他の世帯でも困っているのです。2000万円あれば戻るのに、区はかたくなに戻そうとしません。生活保護受給者の苦しみがわかっていません。わが党がかねてより求めている高齢者への入浴券支給もやろうとしません。
 公衆浴場について、ここで触れますが、今月末で長崎の銭湯がまた一軒しめます。東池袋・南池袋・高田地域はすでに公衆浴場の空白地帯となっています。なくなってしまうと再建するのは大変難しいのです。なくさないように全力で応援すべきです。区は、入浴券ではなく、ミニディサービスやふれあい入浴、敬老入浴として充実していきたい、といいます。ミニディは好評で、浴場組合からも月二回に増やしてくれ、という要望も出ていますので充実することは結構なことですが、高齢者にとっては、自分の体調や天気の様子もみて行きたい時にいける入浴券も必要なのです。入浴券は、直接お風呂屋さんの収入になり、経営に寄与するものであります。

 二つ目に、高齢者に対する事業についてです。寝たきり高齢者理美容費助成事業費は、05年から自己負担金が1400円になったことで、大幅に利用者が減りました。また、高齢者紙おむつ支給及び購入費助成事業は、05年に条件が厳しくなり、07年度は所得制限の緩和をしたけれども、思ったほど利用が伸びず、執行率は低くなっています。介護される方が清潔でいられるために、理美容もおむつも必要な制度であり、利用したい方はたくさんいるはずです。一度削るとなかなか元には戻らないのです。高齢者福祉電話貸与助成のうち、基本料金補助も廃止されており、これも復活しませんでした。

 第二の観点、区民需要にこたえ、やるべきことをやったか、について述べます。
 一つ目は、特養ホームについてです。今年7月末の待機者は1101名、区が「緊急度が高い」とするAランクの人は356名に増えました。
 住み慣れたところ、自宅で最後まで過ごしたい、という希望がどれほど強くても、現実には、住宅事情や介護する側の事情、本人の認知症の度合いなど、さまざまな理由で特養ホームに入所しなければならない人が多数いるのです。豊島区では特養ホームが06年から一箇所もできていません。特養は公有地の活用も含め、今後四年間で一箇所作ることになっていますが、具体化されていません。副区長は、「この間、少しずつ答弁に違いがある、努力している」「何もやっていないわけではない」と答弁しました。過去にも似たような答弁をいただき期待をしていたところ、結局実現しなかったのです。この間、民間を誘致しようとして失敗し続けているのに、それにしがみついているのはやる気がないのと同じことです。現実に入所を待っている区民の状況は、深刻なのです。

 二つ目は、住宅です。「安い住宅さえあれば生活保護を受けずにすむ」「家賃が高いので都営住宅に入りたい」など住宅に関する相談は後を立ちません。石原都知事は10年間都営住宅の新規建設をしていませんが、豊島区でもこの間、区営住宅も福祉住宅も作らないできました。住宅マスタープランに掲げた目標、つまり公約を果たしていないのです。高齢者住み替え家賃助成制度は、3年の期限を切られたため、期限がきて助成がなくなり「高い家賃は払えない」と相談に来る人が何人もいます。
 公営住宅をつくらない一方で南大塚の都営母子アパートはマスタープランでは、「区に移管する」となっていたのに、実施しませんでした。一方、区有地である旧中央図書館の土地は売却する予定です。土地はあるのだから建てるべき、といっても建てず、都から移管を受けるべきものも受けず、やる気がなかったことがはっきりしました。今検討している住宅マスタープランの中で、住宅施策については供給量ももりこむことになっていますが、区民需要にあわせた計画をつくり、着実に実行すべきと強く言っておきます。

 三つ目は、障害者施策です
 06年4月から施行された障害者自立支援法では、受益者負担だといって利用者に1割負担が導入されました。障害者や家族、作業所などから批判や意見が出て、政府は「特別対策」「緊急措置」をおこなってきましたが、自立支援医療、補装具は軽減の対象外、なにより、障害者・家族から批判の強い応益負担には手をつけていない小手先のものです。
 心身障害者福祉センター事業についてとりあげました。地域活動支援センター事業の機械入浴について、理事者は、機械入浴の機械が壊れたので、今後は民間の施設で実施することを検討している、それによって南池袋の法人の運営を支える、との答弁がありました。機械が壊れたのなら、直すか買い換えればよいのです。機械入浴が必要な障害者とは障害が重い人であり、経験者の人手も必要です。コストが高くても、区が責任をもってやらなければならないはずです。
 区はこの間、駒込福祉作業所・生活実習所を指定管理者にし、区の仕事を減らしてきました。一方で、障害者から強い要望がでているガイドヘルパーの対象の拡大については、「国の制度」といって拒否しています。

 四つ目は中小企業対策です
 商工費の執行率はいつも低いままです。
 街路灯の電気代の補助を08年予算でようやく増やしました。「区長の英断」だといいますが、23区で最低だと指摘されてのことです。
 2002(H14)年には商店街は106あったのですが、今は98にへり、中には本当は商店街としては成り立たないが、街路灯を維持するために解散せずにいる商店街もあります。ここまで、深刻になったのは、国の規制緩和で、大規模店舗がドンドン進出してきたこと、米屋や酒屋、薬屋といった地付きでがんばってきた商店まで疲弊してしまったこと、国民には負担を押し付け国民一人ひとりの懐をあたためることをせず、大企業優先、外需頼みで景気回復をうたってきた自民党・公明党政治に一番の責任があるのです。
 部長が、「商店街を見捨てるようなことはしない」と力を入れましたが、実際には、シャッターどおりは増え、商店街がだんだんなくなっているのです。
 制度融資の執行率があいかわらず低いです。特に07年10月から「責任共有制度」が導入され、保証協会の信用保証が八割、のこり二割を金融機関が保障することとしたことが、貸し渋りになっていると課長も認めています。責任共有制度の対象外になる小企業資金は、中小零細企業に限定されたものでこれだけは大幅に伸びていることをみても、資金需要があることは明らかです。昨年来の原油高、原料高騰で中小企業は大変です。渋谷区では08年度予算でクリーニング店への補填を行い、その後北区、大田区、練馬区で原油・材料高などへの緊急融資を行っています。豊島区には、04年度までは緊急特別資金がありましたが、行財政改革プラン2004でやめてしまいました。物価高騰の上に、アメリカ発の金融危機のあおりで苦しんでいる業者のための融資を求めたところ、検討する、としましたが、本当にやる気があるのか不明です。

 五つめは保育園です。
 保育園の待機児童が今年9月1日現在、108名になっています。しかも、「新定義」ということで、認証保育所に入所していたり、保育ママで対応したものは除かれた数字です。かってに待機児の基準を変えて数を少なくみせるのは、許せません。わが党は特に認証保育所を待機児解消策にすべきでないと従来から指摘してきました。保育料が高いうえに、おしりふき一枚いくら、プールに入るといくら、とお金がかかって大変で、さらに園庭がない、部屋が狭いなど、施設面でも不十分だからです。課長は、保育料は一般的なNPOで1〜2歳児を週五日預けると6万1000円と答えました。わが党河野議員が指摘しましたが、0〜1歳児で7万1500円というところもありますし、先日の保育園課と認証保育所や利用者との交渉でも、看護師さんが「夫婦二人で稼いでも、家賃を払い保育料を払うと、なんのためにはたらいているかわからない」と訴えています。認可保育園なら、保育料が所得に応じた金額になるのです。
 これまで区は、年度末には待機児が増えるが、4月時点で解消するといってきました。ところが今年4月1日現在で「新定義」でも58名待機児が出ました。50人以上待機児がいる場合、保育計画を策定しなければなりません。厚生労働省の資料にも豊島区の待機児童数は全国でも75位となっています。わが党が、施設改修時の定員構成の改善や、認可保育所の増設を求めてきたのに、やらなかったつけが回ってきたのです。また、保育園の民営化がすすんでいないのは、民営化は困難だからであり、もうやめるべきです。

 六つ目は教育環境整備です。
 教育現場が大変であることは、いただいた資料で、健康診断の結果、なんらかの指摘をうけている教師が多いことをみても、よくわかります。
 最近は子どもの対応だけでなく保護者への対応、さらにさまざまな報告文書の作成など、事務的な作業も多く教師の負担は大変です。30人以下などの少人数学級を実施し、教師が一人ひとりのこどもときちんと向き合える体制を作ることが必要です。そこで、30人学級をすべきと質問すると、あいかわらず、東京都がやらないのでやらないといいます。全国でおこなっている少人数学級を唯一拒否しているのが石原都政です。
 いま、全国で学校選択制を廃止、見直しする自治体が出てきています。豊島区の行っている隣接校選択制についても、地域コミュニティが壊れる、子どもが減って統廃合されるのではないか、など区民から心配の声があがっています。ところが教育委員会は、すでに保護者に定着しているから廃止はしない、一部に小規模化する学校があるが、情報発信や学校の魅力作りで対応するとしています。つまり、学校の魅力がないから子どもが集まらない、と考えているということです。しかし、朝日小学校をみても、学校も教師もそして区民ひろばを中心に地域を挙げてがんばっているのですが、地域内の半分の子どもしか入学しないのです。教師や子ども、地域を巻き込んで、競争させるやり方は間違っています。
 保護者も、子ども一人ひとりにきちんと向き合ってほしいと思い、教師もそうしたいと思っています。ところが、そのための条件整備である、少人数学級も隣接校選択制の廃止もしようとしない、教育委員会の姿勢は認められません。

 七つ目に公園です。
 一人当たり公園面積については、豊島区は23区で一番ビリというのは有名です。公園・児童遊園の総面積はほんの少し増えましたが、一人当たり公園面積は0.73uにへりました。ただでさえ少ない公園なのに、この年、地主からの土地返却要求に応じて、千早けやき公園を廃止したのです。07年第4回定例会で廃止条例が審議され、そこでも明らかになったように、土地を返却したことについての区の責任は重大です。
 豊島区には2001年に作られた、みどりと広場の基本計画があり、計画期間は2010年まで、目標水準として一人当たり公園面積は、1.5u、公園面積率を2.6%としていました。しかし、あと2年で実現できる見込みはまったくありません。公園を増やすことについての政策的な位置づけを聞くと、理事者は「忘れているわけではないが、他の施策とのバランスがある」「豊島区は難しい」「財源がなくて整備が遅れたが、長崎中、真和中、千川小、高田小など学校跡地を整備することになっている」といい、区長は「作りたいが、空き地がない。土地公社の借金残87億円は公園取得費」と後ろ向きです。公園は、地球温暖化防止など環境にとっても、健康にすごすためにも、子育て中の親子や散歩や日向ぼっこする高齢者の利用など、文化的な生活をするためにも、また防災上も、大切な都市施設です。ところが区長が進めようとする「環境モデル都市」提案には公園のこと緑のことが抜けているのです。唯一つ、クールシティ構想の中でサンシャイン60のスペイン広場の屋上緑化500uがあるだけです。ことほどさように、公園は軽視されているのです。

 八つ目に図書館についてです
 この年の7月新中央図書館を開設し旧中央図書館を閉館、また図書館を六館にへらす計画に沿って、5月から雑司が谷図書館が廃止されました。新中央図書館は来館者が多いと区長は喜んでいますが、南池袋に住む区民から「中央図書館はいついっても閲覧席が一杯で、座って本が読めない。雑司が谷図書館はなくなった」と苦情が出ています。区は「閲覧席を時間で制限することを検討している」といいましたが、利用制限とはひどい話です。もともと「中央図書館としては6000uが必要」としていたのに、高野区長になって3000uにしたのが間違いだったということです。一方で、雑司が谷図書館を廃止したあとの図書貸し出しコーナーの充実は進んでいません。「場所の確保が問題」といいますが、それなら図書館のあった場所を、コンビニに貸したりあけておいたりせず図書館分室として活用すれば、書籍を置き、閲覧する場所を確保することはすぐ出来ます。地域図書館は、区民が下駄履きでいって気軽に本を読め、文化的な生活をする上で大変重要なのです。早急に充実するとともに、図書館を減らす「六館構想」は撤回すべきです。

 第三の観点 むだな大型開発をすすめていないか について述べます。
 一つ目は、東池袋四丁目再開発です。この年総額51億1900万円も投入しました。そのうち、アウルスポットと中央図書館を建設するための保留床の取得費は41億円です。借金もしました。これまで保留床取得に総計69億9000万円かかりました。東池袋四丁目再開発事業は、当初区が、「民間がやるものであり、国や都からの補助金があるので区の負担はない」といってはじめたものの、バブルがはじけて途中で頓挫したとき、結局区が保留床6000uを購入することにし、区民の税金をつぎこんできたのです。
 二つ目は、「新たな地域交通システムのあり方に関する調査経費」についてです。
 総額は1592万円、内訳はコミュニティバスの調査 9,733,500円、LRT6,195,000円です。調査の結果について、ようやく来月の副都心委員会で報告されるとのこと。遅すぎます。報告がまだなので、詳細はわかりませんが、わが党は、LRTについては、公共交通施設としては大変いいものだと考えていますが、豊島区が考えているような、街の活性化、都市間競争の手段として、わずか数百メートルに38億とか48億とかいう巨額をつぎ込むやり方は認められません。LRTを進めることに区民から怒りの声があがっています。
 豊島区にはJRのほか私鉄、地下鉄もあり一見便利なようですが、それは通勤・ビジネス利用者であって、理事者も「区が便利だと思っている地域でも、意識調査の結果をみると、区民は不便だと感じていることがわかった」と答弁したように、住民、特に高齢者にとっては不便があります。地下鉄は深くて、使いにくいものです。6月開通した地下鉄副都心は、急行が要町・千川・雑司が谷には止まらないし、ついでに有楽町線まで準急ができて要町・千川は通過駅にされてしまいました。また、雑司ヶ谷駅のホームにはちゃんとした椅子がなく、高齢者をたったまま、15分もまたせるという、本当に「やさしくない」のです。
 コミュニティバスは直ちにやるべきです。ところが、09年度の開設は無理で10年度に1年延期になるということです。区民から批判の強いLRTより、要望の強いコミュニティバスに力を入れるべきです。

 三つ目は新庁舎建設計画についてです。この年は、再開発地区を確定するため地権者と交渉中で、今年6月になって新庁舎整備方針案がしめされました。わが党は、委員会審議で、再開発の手法でおこなう問題点と、現区庁舎地を売却して資金をまかなう手法の問題点をとりあげました。
 事業費については、「権利変換にならないと示せない」の一点張りであり、区の庁舎を作るのに区民も議会も情報がないまま、進んでいきます。権利変換時にはじめて権利床・保留床の価格が示されることになり、その時「間違っている」「高い」といっても中止することも、脱退することも出来ないのです。再開発事業では、事業は再開発組合がおこなうため、豊島区が組合員であっても情報公開はしないのです。再開発課長は、区は組合を指導することになっている、調整すると言いましたが、これまで何度か要求して5回まで議事録が出ただけ、その中身も議題が書いてあるだけで資料もついていないもの。情報公開になってないのです。また、今のマンション不況、世界的な金融危機の状況先行き不透明ななか、ばくちみたいな事業を進めるのは危険、慎重に、とわが党はいってきました。区長は、いい状況でないのは承知をしているといいつつ、再開発手法で庁舎を建設する姿勢は変わりません。東池袋四丁目再開発では、一度計画が破綻し結局区が6000uの保留床を約70億円だして取得することになったのです。区は、旧日出小地区案では10億円の黒字がでると言っていますが、机上の空論であり、状況判断が甘すぎます。
 この年、返済した旧街づくり公社の借金は、新保健所のための資金を、旧保健所、現在の庁舎別館の土地を売却してまかなう予定だったものが、売れずに財源が足りず、事実上の赤字公債を発行したものです。当時、区は議会には買い手の「ひきがある」などといって、売却交渉を進めていましたが、結局売れなかったのです。新庁舎整備方針では、現庁舎地を50年の定期借地権で貸し付け、これは事実上の売却と同じです、そのお金を新庁舎のための保留床取得費にあてることになっています。保健所の例を示し、新庁舎建設の資金計画は危ないのでないか、とただすと、区長は「しっかりした担保をとる」といいました。そんなうまい話はありません。売れるかどうかは、まず買い手がいるかどうかにかかっており、それも売るのは先の話ですから、そのときの経済状況でどうなっているかわからないものです。こんな不安定な資金計画では、結局区民に犠牲を押し付けることになりかねません。

 最後に決算審議を通じて明らかになった区の姿勢の問題について何点か述べます。
 一つ目は借金返済と基金の積立についてです。この年、財調基金に10億円積立て、残高は74億円になりました。借金の返済は、当初予算で62億円、それに補正予算で土地開発公社について3億円前倒しして返済、さらには旧街づくり公社の25億円の借金返済をおこないました。
 そして、今年、3月区長は突然、土地開発公社の借金を三年で返済すると発表、第二回定例会の補正予算で31億円も前倒しして返済しました。
 わが党が、「削った福祉を戻せ」「商工融資を充実せよ」と求めると区長は、区財政が大変といい、財政健全化法による指数、将来負担比率が悪い、といっていました。公債費比率や将来負担比率は、国の健全化判断比率からみれば、まったく心配のない数字です。将来負担比率は、国の早期改善レベルが350%ですから、豊島区の8.9%という数字は健全なほうなのです。それさえ、今年度の借金の前倒し返済、財調基金の積立で、これからは0以下、つまり数字が出なくなると区も認めています。
 わが党は、単年度会計である自治体が安定した財政運営をするために、基金や借金は必要であり、必要な基金を積んだり、借金を返済することは悪いことではないと考えていますが、今、これだけ区民が大変なときに、まず、やるべきは、区民生活を守ることです。心配なのは、世界金融危機などの影響でより一層不況になり、困難になる区民生活や中小企業の経営なのです。

 二つ目は、区道廃止についてです。
 07年第3回定例区議会で、巣鴨4丁目のある区道を廃止する条例が可決されました。
 廃止された区道部分は東京都と豊島区の土地で、その後民間に払い下げられ、現在14階建てのマンションが計画されています。この地域では、まちづくり協議会が8階建て、25m以下の建築物、通路の確保などを内容とする街並み保全のルールを決めています。この方針に合わないマンション計画に対し、まちづくり協議会からも区へ申し入れがされています。また、近隣住民は、マンション建設に伴う被害を受けることになるだけでなく、当該地でマンション建設のための下水道工事がおこなわれた結果、今年8月のゲリラ豪雨で、周辺の道路は冠水してしまったのです。
 わが党は、この区道廃止条例が審議されたとき、高い建物がたつなど周辺住民や今後のまちづくりに影響がでること、そのことを住民に説明していないことなどを指摘、反対しました。しかし、区と与党の皆さんは廃止してしまったのです。それが、近隣住民には、道路冠水とマンションによる日照、風害、景観などの被害を引き起こし、まちづくりも破壊することになっていくのです。区の責任は重大です。

 三つ目は、職員の労働条件です。区は、正規職員2000人体制を掲げ、現業職員の退職不補充、民間委託、民営化、職員の非常勤化を進めてきました。07年度末は、正規が117人退職したのに、4月の新規採用は14人です。非常勤が増え、今年4月現在、職員の13.8%(382/2765)を占めています。非常勤は、社会保険はありますが、報酬は交通費込みの金額で、残業代もボーナスも昇給もありません。さらに、一年契約で四回までしか、更新しない、その後はもう一度応募をして選考されるという不安定な雇用です。区民ひろばでは、正規職員が休んだりして非常勤一人とサポーターと呼ばれるボランティアしかいない場合もあり、そのときには責任をもって運営をすることになります。それで月額208,300円、手取りでは、16万円程度です。ワーキングプアとまで行かないけれど、こんな不安定で低賃金な働き方を区が進めるのは問題です。また、教育委員会の教育支援員は、新一年生の対応などをやっており、ここ何年も小学校校長会から「二年生まで広げてほしい」など制度の拡大の要望が出ています。校長先生は、支援員を大変頼りにしていますし、支援員は教員免許取得者などで優秀な方々だときいています。ところが、待遇は臨時職員で時給1030円、月15日ほどで月額10万円前後の給料で働いています。あまりにも低賃金ではありませんか。せめて非常勤にするべきです。非常勤も臨時職員もいまや補助的、臨時的な仕事というより、区の仕事をになう大きな力になっています。本来、正規職員でやるべきですが、現実に区民サービスを、になっている方々の労働条件は改善が必要です。

 四つ目は、流用の考え方です。さきほどのべました「新たな地域交通システムのあり方に関する調査経費」は、07年第三回定例会で、コミュニティバスとLRTの調査のため補正予算1000万円が計上されたものでした。決算では、総額1592万円と600万円増えています。予備費を流用したといいます。しかし、歳入に補正予算では示されていなかった500万円国庫補助金がありますし、額からいっても単なる流用とはおもえません。副区長は、調査をすると答えましたが、不透明なやり方はやめるべきです。
 成果報告書では、例えば家具転倒防止器具の設置事業は、予算を流転用して当初予算から減額し、執行率100%、全部執行できたという記載になっています。枠内配分の中でやっているのでしょうが、判断を誤らせるものです。また、今回、施策の執行率が低い理由についての分析が不十分なものがいくつも見られました。改善をもとめます。

 最後に、文化行政について申し上げます。
 審議の中で、自民党議員から、区立美術館から「9条実現」のポスターを撤去させた経過と、今後「検証というか、監視とは言わないが、こういったことがないように」などとの発言がありましたが、このような表現の自由を侵害し監視下に置くようなことには強く抗議します。文化・芸術、教育というのは、行政や権力が意のままにしてはならないものと考えます。戦前は、国家が教育に干渉し軍国主義をすすめてきた、その反省から戦後教育委員会が独立した行政委員会として作られたのです。実際に、演劇や絵画、文学などには、さまざまなメッセージがこめられており、時の政府を批判する内容が含まれることも多くあります。行政としては、ウソや犯罪、モラルに反するものは支援することは出来ないとは考えますが、そうでない限り内容に口を出すべきではありません。
 そして、区民が教育を受け、自ら学習し、文化に親しむために、条件整備(施設や備品、人的配置など)をすることが区の仕事です。それもバランスよく。区長は、「文化で活性化させる」といって、文化を都市間競争の道具のようにいいます。文化というのは一人一人が豊かにいきるということであります。「活性化」のために文化を使うのは邪道です。目的と手段を間違えてはなりません。

 以上のことから、一般会計決算の認定に反対するものです。