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区議会質問
 

08年度予算に対する反対討論(渡辺くみ子議員)

 私は日本共産党豊島区議団を代表いたしまして、ただいま上程されております、第34号議案平成20年度一般会計予算、ならびに第35号議案平成20年度国民健康保険事業会計予算、第36号平成20年度老人保健医療会計予算、第37号議案平成20年度後期高齢者医療事業会計予算、第38号議案平成20年度介護保険事業会計予算に反対の立場から討論をおこないます。尚第39号議案平成20年度従前居住者対策会計予算には賛成いたします。

 では討論にはいります。
 自公与党は「予算の年度内成立を図ることが経済の安定につながる」と主張し来年度予算案と税制法案を衆院で強行可決しました。しかし、政府予算案と税制法案は、高速道路や軍事費を聖域にし、大企業・大資産家を優遇する一方で、暮らしと社会保障には冷酷です。
 いま日本経済の安定に切実に求められているのは家計の不安と危機を打開することであり、本末転倒の政府案は根本から組み替える必要があります。
 道路特定財源と59兆円の道路中期計画ではその四割を占める高速道路の事業量・24兆円は、今年度の大型道路予算を10倍しただけです。中期計画は20年前の高速道路計画を復活させたもので、そのうえ7,000キロの地域の大型道路も組み込んでいます。
 他方で福田内閣は四月から、75歳以上の高齢者に負担増や保険医療の制限を迫る後期高齢者医療制度を、強行しようとしています。社会保障の自然増を毎年2,200億円も削る方針を来年度も続け、生活保護の母子加算をカットするなど、人間らしい暮らしを脅かす政治です。
 この間、三位一体改革で地方への財政支出の削減は、住民サービスの大幅切り下げ、地方行革の名で職員の削減、指定管理者の導入など民営化の促進、都市再生という大企業による大型開発の推進が行われ、自治体の本来の住民福祉の機関という役割を大きく変質させ、住民から暮らし、福祉を奪ってきました。
 身を粉にして働いても生活保護を下回る収入しか得られない貧困の広がりや、制度改悪で医療や介護、生活保護など福祉から締め出される人、非正規雇用が前年より55万人増え1732万人、働く人の3割を占め、年収200万円未満が1,000万人を超えています。国民の痛みは限界に達しています。

 では都政はどうでしょうか。
 東京都の来年度予算は、都税収入だけでも都政史上最高の5兆5千億円と見込まれ、1999年以来36%も伸びています。年度末の補正財源も4000億円みこまれており、これだけあれば、増税と社会保障の負担増、原油・物価高騰などから都民の暮らし、福祉を守り、切実な都民要望にも応えられるはずです。ところが後期高齢者制度の都独自の補助金の増をのぞけば、福祉保健局の予算は1,3%伸びただけです。石原都知事は「都民税減税」の公約をなげすて、貧困打開の位置づけがないばかりか、 教育関連予算は減額、中小企業対策費はピーク時の55%にとどめられるなど、都民にほとんど還元されない予算となっています。
 その一方で、オリンピックや破綻した新銀行に都民の税金を湯水のようにつぎ込むとしています。 来年度の投資的経費は7年ぶりに7000億円台に達し、経常費にふくまれる投資予算をふくめた投資型経費は、幹線道路や、羽田空港への出資・貸付などで1兆円を超えています。さらにオリンピックやインフラ整備につぎこむことを目的とした投資型のため込みだけで、1兆6000億円、これに、この間の投資のための借金払いに使う減債基金を加えると2兆9000億円、史上最高の溜め込みとなります。オリンピックをてこにした大型開発には予算を惜しげもなくつぎ込むものとなっています。また超高層ビル中心の都市再生にも重点的に予算が配分され、地球温暖化をいっそう進めるものとなっています。

 豊島区はどうでしょうか。
 区はこれまで、国や都の路線方針に従い「財政難」を徹底して言い続け、財政難を口実にリストラ、合理化、住民犠牲の行革を実施してきました。「財政健全化計画」、「新生としま改革プラン」「行財政改革プラン2004」「行財政改革プラン2005」で、区民サービスを大幅に削減し、区民に「金が無いから」と我慢を強いてきました。
 公共施設の再構築、区有財産の活用で区民の財産である施設や土地を売り払いました。人減らしを目的として、指定管理者の導入、保育園の民営化、児童館やことぶきの家を廃止し区民ひろばとする、また学童クラブを全児童クラブとしスキップに統廃合するなどしてきました。高野区政は区民に一番切実な福祉関係経費は年間8億円、教育関係経費は1億2千万円も削減しました。
 その一方で2005年度には財政調整基金を37億円積み増し、2006年度には19億5千万円積み増し財政調整基金は64億円に、そして今年度末には74億円、08年度末には80億円と見込んでいます。
 今、区民の生活は本当に大変です。
 2000年に介護保険が導入され、介護に保険料と利用料がかかるようになりました。2005年には介護保険の見直しで、保険料は上がり反対に大幅に給付が制限され、必要な介護が受けられなくなりました。生活保護の老齢加算が廃止され、母子加算まで取り上げ、自立支援法で障害者の負担を大幅に増やす、さらに昨年の税制改悪で5,900人の区民が収入は変わらないのに課税世帯となり、国民保険料、介護保険料ばかりでなく様々な負担増を強いられ、まさに雪だるま式に負担増が区民をおそっています。四月から始まる後期高齢者医療制度は高齢者にいっそうの負担を強いることになります。
 区財政の「好転」は、このように二重、三重に区民犠牲を強いた結果のものです。まず福祉、教育、中小企業など切実な区民要求に応えるべきです。
 そこで日本共産党区議団は2008年度の予算審議にあたり
 第1に区が進もうとしている財政運営の方向が区民のためになっているかどうかについて、
 第2に削減した区民サービスの復活を含め、深刻で切実な需要に応えるものとなっているかどうか、
 第3に不要不急の大型開発で区民の暮らしをおびやかしていないか
の観点で審査にあたってきました。

 では第1に区が進もうとしている財政運営の方向が区民のためになっているかどうかについてです。
 先程来述べてきましたように、豊島区は国や都の路線方針に忠実に従い、財政難を口実にリストラ、合理化、区民犠牲の行革を次々と行ってきました。
 区は財政が「好転」し始めると基金の積み増しを始めました。「いざ必要な時のために」と決算剰余金の2分の1を議決を経ないで自動的に財調基金に積む仕組までつくり、財調基金は07年度末で74億円に膨れ上がりました。また借金の返済は05年度には78億円、06年度には97億円、そして07年度は当初予定されていなかった、旧池袋保健所の土地代未償還分を補正予算を組んで一括返済しました。
 私たちは将来の需要にとって必要な基金を積み立てることについては否定しません。また早く借金を返済できるのならそれにこしたことはないと考えています。
 今委員会で区長は突如、土地開発公社の未償還分125億円を自身の任期期間、すなわち3年以内に償還したいと発言しました。今回区が示している償還計画では13年間で返す計画となっています。
 こうした無理な償還をするとなれば、当然執行額を減らすか、行政水準を下げることになります。
 土地開発公社の未償還分の125億円は、区民に必要な特養や公園の用地取得費です。区の予算は単年度予算でたてるもので、このような施設の建設は単年度ではできないため、長期にわたる返済計画に基づき償還する手法をとっているのです。財政課長は「借金は恩恵をうけている区民が払わなければならない」と言いました。特養や公園は区民にとって必要だからこそ区が行ってきたものではないでしょうか。もし作ってこなかったらどうなっていたでしょう。今でも特養は1000人以上まっています。公園はいまでも23区最下位のままではありませんか。
 こうした借金のあり方が間違っているというなら、「今後は借金をしないことが区の方針か」と質すと、副区長は「そうではない」「財調基金をとりくずして返済することもある」と答弁しました。ということは今ある借金を返し、新たな借金ができるよう、借りやすい財政状況を作るということではないでしょうか。
 今、国は、躍起になって都市再生を進めています。特に昨年5年間延長された都市再生特別措置法は「民間都市再生」といわれており、「都市再生」を促進するために税や融資などの優遇、都市計画法の規制緩和などの措置がとられます。
 1月29日付けのエコノミストには、「自治体破壊」と題して全国で財政悪化した自治体の事例を紹介しています。この中には、街を活性化するために、人を呼ぶ、にぎわいをつくるなどとして民間を参入させ、ながら、税金を投入し、事業がにっちもさっちもいかなくなると、自治体にその責任を負わせ、財政破綻を招いているケースが多く見られます。
 区は「未来戦略推進プラン2008」の新ルネサンス構想の推進で、「都市再生特別措置法の指定を受け民間事業者が都市再生事業に参加しやすい環境を整備する」としていますが、本当にこういうやり方でいいのでしょうか。
 区長は「見解の相違。投資が次世代に生きていく。破綻するようなものは避けるが、借金をしないと事業はできない」と答弁しました。国の進める都市再生にのって事業を進めると、“進むも地獄、引くも地獄”に陥り、結局区民に負担を強いることになるのではと危惧しているのです。

 財政運営の2つ目の問題は枠配分方式です。
 この間区は、徹底した歳出抑制をおこなうため各部局の予算をおさえ、おさえた予算を枠配分方式で各部局に配分しました。その結果、区民の需要に応えようとすれば、別の施策を削らなければならず、限られた枠の中では区民サービスを拡充できない状況がつくられてきました。
 妊産婦の助成事業は2回から14回となり、わが党も一貫して要求していたことで大変喜ばしいことです。
 しかし区の当初予算では、回数を5回に拡充するが1万円の助成は削減するとなっていました。なぜこのようなことになったのか。これが枠配分方式の大きな問題です。さらに問題なのはなぜ14回を始めから予算計上しなかったかということです。区民サービスが拡充されることは大いに結構ですが、予算編成そのものに問題があるのではないでしょうか。

 財政運営での3つ目の問題は、職員削減についてです。
 生活保護受給者の孤独死は今年度1月末ですでに21人となっており、改善されるどころかさらに悪くなっています。担当課では、職員の話し合いを持ち注意を喚起しているといいますが、生活福祉課の職員は一人88件を担当しており、1日一軒訪問しても3ヶ月以上かかります。区は人件費抑制のため、行革のもう一つの柱として職員削減を行ってきました。今後22年度までにさらに600人を削減し2000人体制にするとしています。わが党は機会あるごとに、区民の需要に応え、仕事量に見合った職員配置を求めてきました。ところが行政経営課長は、生活福祉課の職員の増員は必要ない「足りている」と答弁しました。1ヶ月に2人の区民が孤独死しているんです。命は待ったなしです。このようなやり方は全く認められません。
 またこの間、連続する資料のミス、巣鴨プールの利用料の問題、前代未聞の条例案の取り下げなど、昨年の決算委員会以後、依命通達まで出されましたが改善されません。職員は行革で、人員削減と予算をへらされ、区民の需要に対応できないばかりか、仕事量は増え、仕事に生きがい持てない職員が多くいます。職員が生きがいを持って業務に関われるよう体制の確立は急務です。直ちに改めることを強く求めます。

 4つ目は指定管理者制度についてです。
 指定管理者制度は、わが党が再三取り上げている、巣鴨体育館のプールの監視員は、区が2名必要だとしているにもかかわらず、今年1月の区の調査でも徹底されておりません。大人の水泳教室にいたっては、1回あたりの登録者数は、現在わずか6人余であり、指定管理者制度導入前の賑わっていた頃の66人とは、比較しようがないほどサービスは低下しています。NASが3年前、区に提出していた企画提案書をみても、定員は30人とされており、その約束すら守られていません。小中学生のプール延長使用料は1時間300円徴収されており、条例に定められている上限150円が2年間も守られていませんでした。
 NASの運営は問題があります。しかし、それを改善しようともせず放置したままの区の体質そのものが大いに問題です。予算委員会の答弁は「指定管理者がきちんとやっていない。区としては遺憾であり、注意・指導を行う」など、他人事で済ませ、自らの管理監督責任は棚上げです。指定管理者制度を導入していても、区立である以上、全責任が区にあることに変わりはありません。管理代行という形態に甘んじ、意思の疎通、利用者の意見のくみ上げや評価等、直営以上に運営の難しさがあるという点の認識が欠落しています。これはまさに民間丸投げ体質であり、指定管理者制度を導入した区の姿勢、体制こそ検証し評価しなければならないものです。問題意識がこれほど欠落している以上、問題のある施設は直ちに直営にもどすべきです。

 次に大きな項目の第2、削減した区民サービスの復活を含め、深刻で切実な需要に応えるものとなっているかどうかについてのべます。
 08年度予算案を見ると定率減税の廃止や課税人口の増加で特別区民税が増加し、また財政調整交付金が52%から55%となったことで歳入は25億2400万円増となり、予算規模は前年度対比1億2,400万円、0,1%のプラスとなっています。区は「事業費が28億円増加となる積極予算」と言っています。「積極予算」というのなら、区民需要に応えるものになっていなければなりません。

 1つ目は削減された福祉サービスの復活についてです。
 08年度予算は区は新規・拡充事業として182項目をあげ、このうち福祉関連はたったの23事業です。
 まず一人暮らし高齢者対策では、拡充されたのは緊急通報システムと福祉電話貸与事業のみで、しかも拡充額は2事業で129,000円です。先ほども述べましたが、生活保護受給者の孤独死は今年度1月末ですでに21人となっています。一般の独居高齢者を含めると大幅に増えることは容易に想像できることです。昨年の決算で担当部長は、施策の拡充を含め対応を検討すると答弁していましたが、その拡充が12万円です。しかも具体的な施策の手立てはなく、見守りなどボランティア等に依拠するとの答弁です。地域で皆で支えることは否定しません。しかし一ヶ月に2人もの人が孤独死するなどとは放置できない深刻な問題です。行政がきちんと責任を持って対応すべきです。
 低所得者対策に関する事業復活については、高齢者寝具乾燥事業で拡充額は38万円、寝たきり高齢者、心身障害者の理美容助成事業が35万円、認知症高齢者徘徊探知システム事業が72,000円、生保の母子世帯の入浴券60枚復活が27万円で5事業の拡充額は100万2000円です。これでは拡充などとはいえません。老齢加算を削減された生活保護者の入浴券の復活は直ちに実施すべきです。また心身障害者の福祉タクシー券は月6千円から5千円、4千円と削減されてきました。昨年タクシー料金が上がり、ますます厳しい状況におかれている障害者に対し385万円で月5千円に復活できます。直ちに取り組むべきです。

 2つめは教育の私費負担についてです。
 経済格差が教育格差を生んでいることが、大きな社会問題となっています。本区でも就学援助は小学生は5世帯に1世帯、中学生は4世帯に1世帯と高率です。また私費負担は中学3年生で15万円を超えています。行革で教育関連の施策は中学就学旅行の交通費補助、移動教室補助金そして就学援助補助まで削減するなど13事業、1億2400万円となっています。ところが今回の予算ではどれも全く復活していません。子どもの教育は行政の責任です。あまりにも冷たい予算です。

 3つ目は保育園の待機児についてです。
 これまで区は、年度始めの4月には待機児はいないと言ってきましたが、今年の4月の申込み状況を見ると、駒込第2保育園では0歳が10人の入所可能予定数に対し、第1希望と第2希望を合わせて48人となっています。希望する保育園に入れない子どもたちが大勢出ることになります。これまでわが党は一貫して保育園の増加を求めてきましたが、減らすばかりで一向に進めなかったことで起こるべくして起こった事態です。
 保育園の待機児数は一昨年と今年の2月1日現在の待機児数の推移は、0歳で75人から170人、1歳で14人から43人、2歳で3人から24人となりました。今年の増加の特徴は、全ての公立保育園において0歳の待機児が出ていること、そして、これまでは0歳と1歳に限られていた待機児が2歳まで広がってきた事があげられます。きわめて深刻な事態です。
 今年度から待機児数の指標に新定義を導入しました。これは認可保育園に申し込んで待っていても、認証保育園等に入っていれば、数に入れないというものです。認証保育園の料金は高く、子ども一人当たりの面積は狭くベビーホテル程度です。待機児数を机上で減らす、ごまかしの解消策ではありませんか。このようなやり方は直ちに改めるべきです。
 待機児増加という深刻な事態を打開するのは急務です。しかしながら区は「認証保育園ができるのを待つ。改修時に広げる」などとし、遅々として解消策は進んでいません。若い世代が安心して子育てをしながら豊島区に住み続けてもらうには、区立保育園を新しく増やす以外ありません。

 4つ目は商工振興策についてです。
 いま商店街は、シャッター通りといわれるくらい落ち込みがひどく、日曜日には人影も疎らです。一時は、商工豊島といわれたはずの本区がこうした状況になったのは時代の流れというだけではありません。政治の責任であります。
 規制緩和による打撃は大きく、多くのコンビニが24時間営業となり、大手スーパーも早朝から深夜まで、中には24時間営業の店舗もつくられました。規制で販売できなかった酒、たばこ、米、薬など何でも気軽にかえるようになったことは、消費者にとって一見便利になったと見えますが、一方で、身近な商店が消えています。
 区長は、豊島区の未来像について、都市間競争にうちかつことこそ、豊島区を活性化させることにつながるといいますが、渋谷、新宿、丸の内、六本木などのように人が集まるまち、大規模なビルが乱立し、住民が追い出される街、金持ちしか住めない街になれば、ますます地域の商店はさびれていくことになります。
 融資さえ気軽に受けられるなら、まだ希望をもって事業ができるという業者はまだ大勢います。無担保、無保証人、金利ゼロなど大胆に、借り手の立場にたった柔軟な融資制度を創設すべきです。
 来年度予算には、商店街対策として、街路灯の補助が増額されましたが、融資については、実情に見合ったものになっておらず、実績も上がらず、予算も年々縮小されています。大手スーパーや大型店への規制策もなく、身近な商店を守り、かつてのにぎわいを取り戻す抜本的対策が予算には反映されていません。

 5つ目は 施設使用料についてです。
 区のプールの使用料は、大人600円、小中学生は300円と、どちらも23区の中で、1位という不名誉な座にあります。2番目に高いのは、台東区など3区で500円、一番安いのは江戸川区の200円、平均すると370円で、豊島区の使用料の高さは際立っています。小中学生の使用料は、本区は半額ですが、23区中14区は半額より安く7区が100円、江戸川区が50円とさらに利用しやすい料金です。こんな状況で区は「適正な料金設定である」と言いますが強弁に他なりません。また、巣鴨体育館の場合は、トレーニングルームとプールを利用すると1,200円、週4回の利用で1ヶ月、約2万円になり、民間のスポーツジムでも、これだけの料金設定は通常ありえないことであり、なおさらです。
 これまで区は、各施設のコストと使用料の間に乖離があるため、受益者負担の適正を図るとして値上げを繰り返してきました。施設コストには、維持管理にかかわる人件費として、区の職員平均給与額が算式に使用されています。体育施設の運営は指定管理者制度導入以前から、非常勤やアルバイトが多数であり、実態とはかけ離れた算定方法です。さらに見過ごせないのは、公務員給与は税金でまかなわれているわけで、この算定方法は税金の二重取りという許されないものです。まさに値上げを実行するためのごまかしです。直ちに改めるべきです。

 6つめは住宅についてです。
 福祉住宅や区営住宅は絶対数が不足しているため空きが無く、応募倍率は大変高くなっております。区は毎回「建て替え時に戸数を増やす」と答弁しますが、これではいっこうに問題解決にはなりません。中央図書館跡地や、学校の跡地など区跡地等、建設可能な候補地を元に、建設計画を作成すべきです。また区営住宅の入居承継資格については、ほぼ都営住宅同様であり、以前は子どもの承継が認められていたのに、原則配偶者に限定する制度改悪となっています。これは47都道府県全てが実施しているものではなく、導入に慎重な道府県があります。入れなくて困っている人が大勢いるのであれば、子どもを追い出して空室を作るという姑息な手段を用いるのではなく、区営住宅そのものを増やすべきではありませんか。入居資格は元の一親等に戻すよう見直すべきです。
 そして、家賃補助事業も積極的に改善を図らなくてはなりません。高齢者世帯等住み替え家賃助成については、補助額、補助期間を元に戻すべきです。ファミリー世帯家賃助成については、募集を再開し、若い世代から高齢者まで安心して住み続けられるようにすべきです。

 7つ目は環境についてです。
 まず公園の拡充についてです。
 区長が来年度の最重点においているのが、環境であります。環境というなら、緑を増やし、公園を増やすことはいうまでもありません。しかし、緑を増やす課題については、開発によるマンションやビル建設において、緑地を増やすように位置付けるべきと質すと、建築主の理解が得られないとか、都の基準より厳しくできないと本当に弱腰です。
 緑被率をあげるためにどうするのかといえば、今度は、緑視率を向上させるというのです。そのうちに建物を緑色にぬって緑視率をあげるなどとごまかしをいいだすのではないのでしょうか。
 さて、区が未来戦略プランで位置付けている公園は、4年間で1万平米。これが達成されても23区でまだ最低という答弁がありました。
 千早けやき公園は、土地所有者の返還要求で、あっという間に更地になりました。太いけやきの木がバッサリ切られ、緑地もすべてなくなりました。移植するなりの方策を取れば、少しでも緑が残せたはずなのに、無残にも切ってしまうというのは、本当になさけない限りです。口では環境、緑を増やすといいますが、やっていることはまさに逆です。 公園を取得するために土地開発公社の借金がふえたといいますが、区が自らすすめてきたことを、今になって不始末のようにいうのは無責任というものです。

 環境の2つ目は廃プラスチックサーマルリサイクルについてです。
 区では、本年10月廃プラスチックサーマルリサイクルが、区内全域で実施されることになりました。プラスチックを燃やせば温室効果ガスが発生します。廃プラサーマルの検討は、現在リサイクル清掃審議会で行われており、答申が出るのは廃プラサーマル実施の10月です。条例改正の必要も無いとされ、議会で審議されることもありません。まさに区民不在で強引に進める手法にほかなりません。燃やすゴミへ変更される品目を見ると、プラスチック類同様に、発泡スチロール製の緩衝材やカップメンの容器などリサイクル技術が大変進んでいる貴重な資源ばかりです。他にも、ゴムホースやゴム長靴、ランドセル、カバン等、燃やすなどとんでもないものばかりです。これらを燃やすゴミに変更した理由は、区独自に判断したものです。わが党の「ゴミそのものを減らす努力はきちんと行ったか」という指摘に対し、区は「十分ではないものがある」と答弁しました。燃やすこと先にありきではCO2削減はできません。今やるべきことは拡大生産者責任を明確にし、リデュース、リユース、リサイクルを進めることです。廃プラスチックサーマルリサイクルは、決してリサイクルとはいえません。区長は、本当に心から環境都市づくり元年と思っているならば、23区一体の廃プラサーマル計画から離脱を表明すべきです。

 8つ目は雑司が谷図書貸し出しコーナーについてです。新中央図書館の建設にあわせて、図書館6館構想が急に区民に示され、雑司が谷図書館が閉鎖されました。区民はせめて中央図書館の分室としての対応を求めましたが、現在の雑司が谷図書貸し出しコーナーは端末機が置いてあるのみです。住民説明会では「高田から新中央図書館までは子どもを連れては行けない。子どもに本を手にとって選ばせたい」と子育て中のおかあさんから切実な声が出されました。区は6館構想から見ても、距離的に離れていることを認めていますが、結局そのままとなっています。今回区長は拡充を約束しました。直ちに取り組むよう重ねて求めます。

 大きな項目の第3、不要不急の大型開発で区民の暮らしをおびやかしていないかについてです。
 都市再生についてです。
 今定例会の招集あいさつで、区長は「池袋副都心の再生が目指すところ、それは、自らの個性を活かすことで、東京における存在感を発揮するものでなくてはならない」として、「他の副都心には真似できないような都市再生を進める」「そのトータルビジョンと今後10年における戦略を描くのが、副都心再生の新ルネサンス構想である」と述べました。来年度を「環境都市づくり元年」と位置づけて、前面に打ち出しておりますが、その実態は、「新ルネサンス構想」に盛り込まれる新庁舎建設事業、東池袋四丁目地区再開発事業、南池袋二丁目街区再編街づくり推進事業、東西デッキ、LRT等といった、これまで同様、多額の税金が必要となる大型開発が盛りだくさんです。
 区はLRT建設費が38億から48億、車両購入費が1車両2億円以上で、4編成必要として10億円近くかかり、仮に事業者が運営したとしても年間2億円から4億円の「行政支援」が必要としています。池袋駅からグリーン大通りを通過し、雑司が谷までのわずか900mの距離にもかかわらず、導入の理由を、雑司が谷、高田という限られた地域の交通の便の悪さとし、公共交通機関に位置づけています。計画では、LRTは4年後の2011年には完成を目指すとし、その意思決定は2009年度としています。あまりにも拙速です。区民の批判の声は聞こえないのでしょうか。多くの必要な施策を圧迫することになります。さらに区は、「プラン08」で今年6月の副都心線開通後、「東池袋新駅の早期建設を求める」としています。池袋東口にどれだけ「公共交通機関」を走らせるのでしょうか。「公共交通機関」と位置づけないと進められないからです。
 東西デッキは、長さが100m、幅が20mから30mで40億円、50mから70mで100億円、100mから150mで200億円必要とされています。その効果として、わかりにくい地下通路より、「安全で便利」「東西の一体化」「環境に配慮した構造にする」と言いますが、わかりにくい地下通路のサインは、鉄道事業者や百貨店等にきちんと整備させれば良いのであって、現行の地下通路で通行量は十分確保できています。また、限りある資源と税金を使って作る事を考えると、「環境をよくする」といっていますが、適切であるのかも疑問です。これもLRT同様に区民からはまったく必要ないという意見ばかりです。これこそまさに不要不急の大型開発の典型ではありませんか。

 2つ目は南池袋2丁目地区街並み再生についてです。
 さて、区は昨年の12月に南池袋2丁目のBゾーンの住民に対し地域懇談会を突如開会しました。区が街並み再生推進事業として昨年11月に委託したコンサルをいれての説明会に住民は大変とまどっています。1月の末にグループ別に3回、そして3月の5日、8日と全体会がひらかれました。参加者は戸田建設の職員を入れては5日が10名、8日が6名でした。Bゾーンでは区が04年に実施した街づくりに関するアンケートに6割の地域住民が「このままでいい」との答えを示しています。
 しかし区は04年に都のしゃれ街条例の網掛けをし、建物の共同化、高度化を進めようとしています。住民はしゃれ街条例の網掛け、すなわち「街並み再生方針」をはずしてほしいと区長に陳情を出し、懇談会でも「このままにしておいて」「ここに来ないと何か決まると困るから参加している」「いったい誰がこの会を開いているのか」など、今まで参加してきた、いろいろな街づくり懇談会とは様相が違う、異様な感じがしました。しかもコンサルタントは、旧日の出小跡地との境の現在2メートル道路が旧日の出小側にセットバックし8メートル道路になり、容積率が大幅に緩和され高い建物が建つ、Bゾーンの中ほどは4メートル道路なので、6メートル道路が出来れば高いもの建つなどと説明しました。隣接のAゾーンは新庁舎建設の候補地です。まるで開発が決まっているかのようです。
 新庁舎建設問題に一言ふれておきます。
 区はこの1年住民にも知らせない、区議会にも報告すらありません。庁舎は多くの区民が利用するものです。どこに作るにしても、近隣住民の参加はもちろんのこと、広範な区民に計画内容を提供し作り上げることは当然のことです。
 区長は「もう少し待ってほしい」と発言していますが、Bゾーンのような動きを見ると、「候補地は2案ある」と言っていますが、もう旧日の出小跡地に決まっているのと同じです。街づくりは、区長や一部の幹部だけで進めるものではありません。ましてや自分の住んでいる地域の街づくりは地域の人が納得しながら進めることは当然のことです。「プラン08」ではBゾーンの懇談会は4年間毎年700万円を計上する計画となっています。
 住民不在の、開発優先の動きは直ちにやめるべきです。区が率先して区民の生活を脅かすべきではありません。

 3つ目は東池袋4・5丁目の地区計画についてです。
 今回の地区計画は補助81号の道路建設にあわせ、造幣局の南側を新たに入れた東池袋4丁目から東池袋5丁目の日の出商店街まで含む大きな地域となっており地権者だけで5000人弱です。11月に東池袋4・5丁目地区計画の住民説明会が開かれました。説明会では、多くの人が、「どうなるのかわからない」という感じでした。それにもかかわらず3月末には地区計画決定をするとしています。説明会の参加者は200人。この間の住民への対応は、住民の意見集約と、個別の相談も対応しているとし、住民の意見回収は他地域よりは多いとしています。良好な街づくりのための緑化については「防災性の向上を第一と位置づけ緑化は地区計画ではやらず地権者が行う。この計画は建物の共同化や高さを規定するもの」と答弁しました。街づくりの基本は住民です。今、住民からの声で街づくり協議会が立ち上げられ、高い建物が建たない、静かな街並みを残そうする動きがおきています。
 地権者の生活再建、緑化の確保など住民が住み続けられる街づくりをすすめるべきです。防災のためも緑化は重要です。11月の住民説明会後、説明会も開かず、このまま進めるのはあまりにも拙速です。

 以上、3点の角度から予算案を見てきましたが、最後に看過できない問題について一言触れます。
 議会軽視、区民不在についてです。
 教育委員会が担ってきた図書館に関する事務を区長部局に移行するという組織改正についてです。
 図書館の区長部局移行はまちがいです。また今回の進め方にも多くの問題があります。会派説明と全員協議会で若干の説明がおこなわれただけでした。今回、たまたま区民からの陳情が総務委員会で審査され、教育委員会から、図書館の中立性の確保など5項目の要望が出されていることがわかりましたが、その具体的対応については未だ明らかにされていません。また図書館庶務規則は文化商工部で新たに定めるとしていますが、これも内容の詳細は出されていません。
 今度改築される区民ひろば南池袋の設計に関しても同様です。昨年の10月につくられた設計図については区民厚生委員会では全く報告されていません。担当課長は公共施設・用地有効活用対策調査特別委員会で説明したと言いましたが、それは昨年7月の話で、10月に作られた設計図の報告はありません。また学童を対象としたスキップのスペースも設置されますが子ども文教委員会でも報告されていません。条例に基づく新施設の建設である以上、当然予算との関連があり、何よりも区民の施設が区民にとって使いやすいものとなっているか、安全性がどうか、区民の声が反映しているかどうかなど、行政に対するチェック機能を持つ議会への報告は当然のことです。
 議会軽視は区民不在ということで大きな問題です。
 以上の理由で08年度一般会計予算案に反対します。

 次に4特別会計について述べます。
 まず国民健康保険事業会計予算と老人保健医療会計予算についてです。尚、先ほど議決されました第17号議案、国民健康保険条例の一部を改正する条例についての反対討論も合わせて行います。
 今年4月から後期高齢者医療制度と特定健診・特定保健指導が創設され、国民健康保険制度にも大きな影響があります。
 まず保険料についてです。今回均等割りは1,800円引き上げられ、36,900円となりました。所得割りは来年度から基礎分が0,90、高齢者支援金分が0,27で合計1,17と昨年度よりわずかですが下がりました。また賦課限度額は59万円と6万円上もがりました。さらに昨年に引き続き所得割り額に対する住民税のフラット化の激変緩和措置は残りましたが、住民税の税制改悪の激変緩和措置が無くなりました。その結果、200万円以下の世帯の殆どが保険料が上がりました。特に200万円未満で子ども2人の4人世帯では17,400円、11,4%も上がりました。さらに均等割り軽減の対象となる100万円未満の世帯でも11,4%を越える値上げとなっています。また65歳以上では全階層の世帯が値上げとなりました。全体でも200万円以下の世帯は2年連続の値上げとなりました。
 ではなぜ上がったのでしょうか。
 区の資料によると、後期高齢者医療制度の関係で、23区全体では、被保険者は261万人で昨年より359,000人、12,1%の減となりました。しかし賦課総額は昨年より8,5%のみの減です。被保険者の減少より賦課総額の減額のほうが小さいため被保険者一人当たりの平均保険料は85,900円と昨年より3,304円もあがりました。豊島区でも被保険者は約13,000人減り83,000人で12,5%減です。賦課総額は豊島区の独自の医療費試算での計算によると昨年より5,5%のみ減額となっています。そのため被保険者一人当たりの平均保険料は92,830円、昨年より9,255円も上がっています。
 これは賦課総額に保険者負担分医療費のほか、来年度から後期高齢者支援金と特定健診・特定保険指導の上乗せ分が加算されることになったためです。後期高齢者支援金には病床転換の金まで入っています。なぜ病床転換の金まで国民が払うのでしょうか。さらに従来の老人保健医療拠出金も08年の3月分が加算され、結果賦課総額が大幅に増えたのです。
 今まで高齢者健診や節目健診は保険とは別に実施されていましたが、今回から特定健診・特定保健指導の上乗せ分が保険料に積みあがり、国が出すべき金が軽くなったため、区の一般財源からの繰り入れも増やしました。本区の場合でも特定健診・特定保健指導の区の繰り入れは2億8900万円となっています。
 このように2006年度に自公政権が強行採決した医療改悪は、保険料の引き上げ、健診項目の削減、一般会計からの繰り入れを増やし、区民に負担をおしつけるものとなりました。
 被保険者の保険料は毎年のように引き上げられ高額になっています。その結果、資格証の発行は2008年2月で2206件となっています。昨年同月より約400件減っており区は慎重に対応していると言っていますが、それでも多すぎます。しかも短期保険証の発行が昨年は3,646世帯が今年2月には7,981世帯と4,300世帯も増えています。区民の生活がいかに大変かということです。資格証は発行すべきではありません。豊島区は23区でもいつも多いほうで、改めて、発行比率を調べてみましたが、板橋区の4,09%についで4,06%と23区で2番目に多くなっています。国保はもともと所得の低い人を対象とした制度です。区民は住民税の増税、均等割りの引き上げ、その上医療改悪で大幅な負担増となっています。さらに介護保険同様65歳以上74歳までの人の保険料が年金から天引きされます。
 区民部の部局方針の重点課題は「税、保険料の収入増の取り組み」となっています。しかし国民健康保険は社会保障であることを課長も認めています。それであれば、まず加入者の命と健康を守ることが第一の重点課題ではないでしょうか。
 以上、国民健康保険事業会計予算、国保の賦課総額に影響を及ぼしている老人保健医療事業会計予算、ならびに第17号議案 国民健康保険条例の一部を改正する条例について反対いたします。

 次に後期高齢者医療事業会計予算ならびに、先ほど議決されました第19号議案 豊島区後期高齢者医療制度に関する条例の議決に反対の立場から合わせて討論します。
 制度が知られれば知られるほど、各地域から怒りの声があがっています。
 2月の住民説明会でも「この制度は『年寄りは早く死ね』ということだ」と怒りの声がふきだしていました。
 まず保険料について述べます。
 東京都が7億円をやっと支出し、都広域連合は低所得者の保険料について、08年度と09年度に限って独自に軽減策がつくられました。軽減策は、年金収入208万円以下の約91,000人が対象となっており、後期高齢者の所得に応じて負担が変わる所得割分について25%、50%、75%、100%の4段階で減額するものです。豊島区で軽減の対象となるのは2,028人で、25%減額が497人、50%減額が737人、75%減額が177人、100%減額が617人です。減額対象とならない年金収入208万円以上では年収347万円までの人が今年(2007年度)の国保料と比較すると負担増となり、特に245万円の階層では32,000円以上の値上げとなっています。また所得割負担がない年金収入153万円以下の人は、今回の減額対象には含まれないため、年収100万円の人は、均等割り額が11,340円にのぼり、やはり今年の国保料より負担増となります。激変緩和をしても一人当たりの年平均保険料は89,300円で、 高齢者に重い負担を押し付けるものとなっています。
 今議会に普通徴収に関する条例案が提案されました。年金から天引きできない人の徴収は区が行い都広域連合に納付するというものです。この条例案には滞納した場合の罰則規定が盛り込まれ、罰金は10万円を科料するものとなっています。しかもその内容は未だに明らかになっていません。老人保健法では、高齢者には、その特性から資格証の発行を禁止していたものが、今回は罰則規定を設け科料まで行うとしています。本当にひどいものです。罰則規定は直ちにやめるべきです。また本来減免規定を条例化すべきですが、区は、賦課権限は広域連合にあり、区独自に減額した保険料は賦課できないといいます。このような制度こそ大きな問題があります。資格証の発行、罰則の実施は絶対にしてはなりません。
 また今回の事業会計では、保険での健診内容が大幅に削減された高齢者健診について、区独自の上乗せが実施されますが、保険料で3,000万円、一般財源からの繰り入れが1億4,500万円となっています。また葬祭事業は都広域連合からの財源措置が無いため一般財源からの繰り入れが9,800万円です。
 国保会計でも触れましたが、高齢者健診や特定健診等の健診事業について、保険に移行させることにより、今年度と比較すると、国は6,200万円、都は5,000万円も負担を減らし、反対に今まで保険の負担は0だったのに、国保、介護保険、そして後期高齢者医療保険などに合わせて7400万円も積み上げられ、さらに区の一般会計からの繰り入れも5540万円増えました。
 国保会計同様にどれを見ても保険料の負担増と自治体の負担を強いるものとなっています。
 さらに差別医療まで導入されます。複数受診を制限や、医療に上限をつける包括医療の導入、さらに「終末期相談支援料」や「退院支援計画」をつくれば医療機関に診療報酬を払うとして、医療から高齢者を締め出す仕組みをつくりました。高齢者を医療から締め出すために躍起になっています。
 このような悪法に対し、国会では我が党と、民主党、社民党、国民新党の4党で廃止法案を共同提案しています。後期高齢者医療制度は廃止させるべきで、自治体の長としても声を上げるべきです。
 以上、後期高齢者医療事業会計ならびに、第19号議案 豊島区後期高齢者医療制度に関する条例について反対いたします。

 次に介護保険事業会計予算についてのべます。
 基盤整備の拡充については、保険者である区の責任です。
 特養ホームの待機者数の推移は、今年度は直近の数字で1033名、そのうち区が緊急度が高いとしているAランクは274名となっています。
 区は、待機者の増加に歯止めをかけるのは、特養ホームの増設であることを認めています。来年度に地域密着型として、小規模多機能型介護施設を5か所と小規模特養1か所、認知症高齢者グループホームを2か所、認知症通所施設1か所つくるとしていますが、待機者数からみて、全く足りません。今必要とされる100床程度の特養ホームは、4年後までに1か所の目標にしているだけです。建設を民間法人に委ねようとしても補助金が大幅にカットされ、大変困難になっていることは、理事者から答弁があったとおりです。ですから、我々は、繰り返し、区が責任をもって建設すべきといっているのです。しかし、需要に見合った建設計画はありません。
 また脳梗塞で倒れた在宅介護が難しい高齢者の例を挙げ、区の対応について質しました。3か月も4か月も待たないと介護施設の入所の見込みがないという実態は、区長も認めているとおりで、老人保険施設も不足していることは明らかです。
 これも需要にみあった計画をたてるべきですが、実情すら掴んでいない事は問題です。
 施設入所について、「自分で探しなさい」というのではなく、区が情報を持っているのですから、介護者とその家族の立場にたって、受け入れ可能な施設を一緒に探すこと。そして入所できるまで親身になって相談できる窓口とその体制を整備するが必要です。
 介護保険制度の改悪により、介護度の比較的低い人のベッドの取り上げ、ホームヘルプサービスの縮小などが行われ、多くの介護を受けている人やその家族からなんとかしてほしいと区にも寄せられています。
 わが党区議団は、こうした実態や怒りの声に対し、渋谷区が実施しているような介護保険対象外の居宅介護サービスを本区でも実施し、要援助高齢者などの在宅生活の支援、家族の負担軽減、さらに閉じこもりの防止および社会参加を促進するよう区長にその実施を迫ってきました。
 本区でも渋谷区のように介護サービスを実施してほしいと、区民から陳情が区議会に提出され、継続審査になっています。審査において、区の態度は冷たく「実施しない」というかたくなな姿勢を崩していません。
 区長が実施に踏み切ろうとしないことから、わが党は、今定例会に介護保険外訪問介護サービス事業に関する条例を提出しましたが、自民、公明、民主区民の与党によって、委員会では否決されました。しかし、自民党委員からも、本委員会でもこうした介護を求める区民の救済を求める意見がありました。
 本来なら、こうした介護サービスの拡充については、区長が率先して提案すべきであります。財政が好転しても、踏み切ろうとしないのは介護を受ける人とその家族の負担、苦しみを理解していない証拠でありませんか。
 介護保険事業予算には賛成できません。
 以上4特別会計と第17号議案 国民健康保険条例の一部を改正する条例、第19号議案 豊島区後期高齢者医療制度に関する条例について反対いたします。

 以上で私の反対討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。