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区議会質問
26陳情第9号50億円「「新ホール」の建設白紙撤回と現庁舎地の活用及び周辺整備計画」の再検討を求める陳情 討論(かきうち信行)
2014/3/24

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただ今議題とされております26陳情第9号50億円「新ホール」の建設白紙撤回と「現庁舎地の活用及び周辺整備計画」の再検討を求める陳情 について、不採択とせず、直ちに採択すべき立場から討論を行います。
 本陳情は、現在区が進めようとしている新ホール計画について、第一に、区民が利用できる唯一の大規模集会施設「公会堂」を廃止するものであり、区民のための公会堂建設こそ求められていること。第二に、高額の利用料が予想され、区民が事実上利用できないものになること、第三に、劇場は、すでに東京芸術劇場や「あうるすぽっと」があり、多額の区費を投じてこれ以上の豪華劇場は必要ないこと。第四に、当初の新庁舎建設計画では17億円で、「公会堂」建設としていたものが、50億円の「新ホール」に突如変わったものであり、区民の要望ではない「新庁舎財源捻出のための民間業者呼び寄せの手段」とされていることは明らかであるとしています。
 同時に、新ホールを含む「現庁舎地の活用及び周辺整備」計画は114億円もの巨額な区財政の支出を内容とするものであり、「国民健康保険料が高くて払えない」「認可保育園・特養ホーム待機者の増大」「不況の中で苦しむ業者の増加」など区民の深刻な生活実態をあげ、住民の福祉を守る役割を持つ地方自治体である「豊島区」は、住民の福祉に財政をつかうべきである。
 以上のことから「新ホール」の撤回及び「現庁舎地の活用及び周辺整備」計画抜本的再検討を求めたものであります。

 さて、昨年6月 区長は突然50億円の新ホール建設計画を表明しました。
 それまで、議会に対しては「公会堂は17億円、区民センターは健康センターに建替え22億円」と説明していました。
 その後、新ホールを含む「現庁舎地の活用及び周辺整備計画」が示され、総額114億円の税金投入があきらかになりました。
 1月には三回の区民説明会がおこなわれ、パブリックコメントについても新ホールと新区民センターホールについては1月末で、「現庁舎地周辺まちづくりビジョン」については2月20日末を締切として行われたのであります。
 委員会に提出された区の資料でも、パブリックコメントや説明会で、新ホールについては「計画に大きな期待をよせている」という意見がある一方、「財政難の折、経費のかかる新ホールは不要である」といった意見が出されているのであります。
 以下陳情を採択すべき理由について順次述べます。

 第一に、区民が気軽に利用できる、真に必要なホールかどうかであります。
 現在の豊島公会堂は、確かに老朽化しており建て替えは必要であることは承知のとおりであります。区民が気軽に利用でき、学校行事や演劇、講演などにも使われております。料金も他区の公会堂規模の施設と比較して、一日借りても約11万円と安く借りることができます。
 今回打ち出した劇場ホールの位置づけは、理事者が説明しているように区民が直接利用するというよりも演劇やミュージカル、オペラ、歌舞伎、宝塚といった興業を行うためのホールで、こうした興業を見てもらうために来街者や区民を呼び、そこから文化を発信してもらうことで、豊島区の魅力が広がるという構想で進められています。
 実際にミュージカルやオペラなどの興業について豊島区民が1000円とか2000円とかの安い料金で利用できるのかといえばそのようにはなりません。
 たとえば、計画と似たような施設と説明された北区の「ほくとぴあ」では利用料は1日40万円ほどで、マイクやその他舞台設備を一緒に利用すると合わせて70万円程度と答弁がありました。理事者は区民割引を新ホールでもやっていきたい、チケットについても会員割引をやっているとはいうものの、「運営計画などをこれからつくり検討していく」と新ホールの使用料がどれくらいになるか明快な答弁はありませんでした。
 たとえ、利用料が割引されたとしても、これまでの公会堂の利用料とは比べられないくらい高すぎます。
 また、理事者から「新区民センターのホールを安くつかってもらう」という答弁がありました。これこそ、まさに新ホールが「区民が利用できない施設」だと証明したようなものです。区長は、「幅広く文化のひろがりと街のにぎわいを作ることを理解してもらいたい」とのことですが、困難な生活をしている区民が多くいるのに、オペラやミュージカルなど興業中心で「にぎわいをつくる」ことは、本区にとって優先すべき課題ではありません。

 第二の理由として、今回の新ホール計画は新庁舎資金計画が破たんをしたことを繕うための計画であることです。
 委員会の中で、実際に現庁舎地の借地料がいくらになるか、質問したところ区は答弁できないということでした。
 区は、現庁舎地の募集要項について、三月末にはきめる、としていますが、内容については「要求水準書を提示して、優先交渉権者をきめ」「事業者の提案をうけて検討する」としているだけで、はっきりしているのは50億円またはそれ以上の金額になる「新ホール」を作ることだけであります。
 区長は、今回の審議のなかでも明確に「現状では民間業者にとって魅力がない。現庁舎地の価値を上げるために新ホールをつくる」と答弁しました。
 自民党委員は、懸命に陳情の「新庁舎財源捻出のための民間業者呼び寄せの手段」との表現を否定しようと理事者に質問していましたが、区長がすでに認めているのであります。結局、新庁舎建設の資金計画が行き詰まったために、「50億円の新ホール計画」を含む現庁舎地の活用及び周辺整備であることがはっきりしました。

 第三の理由は、財政面からみても区民の負担を強いる計画ということです。
 今、多くの待機者がいる保育園や特養ホーム、学校の改築、改修、区営住宅や区有施設の大規模改修や橋梁・道路の改修工事など、投資しなければならない区民需要が多くあります。
 そのうえ50億円の新ホールを含む114億円の周辺整備計画を進めれば、財政破綻の道を開き、区民に犠牲をおしつけることになることはあきらかです。
 豊島区は、投資的経費の見通しについて3年分だけ明らかにしていますが、このなかには区長が所信表明でのべた5年間で認可保育園の5園誘致する予算は全く入っていませんし、不足している特養ホームや区有施設の大規模改修もあります。
 理事者は5年間で114億円なら区債や基金を活用すれば大丈夫だといっています。この間何度質問しても、区は歳入の見通しについては3年分しか出すことはできないといいます。歳入については経済状況だけでなく、法人住民税の国税化など減額の要素もあり、先の見通しは立てられないのに、なぜ、5年間の新ホールを含む「現庁舎地の活用及び周辺整備計画」について大丈夫だと言えるのでしょうか。本当に無責任です。
 以上、三点の角度から陳情の採択すべき理由を述べてまいりました。
 審査で、与党委員は、いろいろいっても結局「立場が違う」「現庁舎地の価値を高くすることは賛成」「にぎわいのための投資は必要」などいって陳情を不採択にしてしまいました。
 以上、区が計画している現庁舎地の活用計画は、区民のための施設でもなく、多額の税金をつぎ込む無謀な計画であり見直すべきであり、区議会として今回提出された陳情を採択し、区に見直しを求めるべきです。
 以上で26陳情第9号の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。