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区議会質問
2014年度予算 本会議討論(森とおる)
2014/03/20

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております、
 第19号議案、2014年度一般会計予算、ならびに
 第20号議案、国民健康保険事業会計、
 第21号議案、後期高齢者医療事業会計、
 第22号議案、介護保険事業会計の3特別会計予算に、反対の立場から討論を行ないます。

 安倍首相は、アベノミクスで日本経済の好循環実現などと言い、4月からの消費税増税を進めています。異常な金融緩和によって株価は上がりましたが、庶民への恩恵はなく、円安による燃料、原材料、生活必需品の値上がりが家計と中小企業を苦しめています。昨年7月から12月期のGDP(国内総生産)の実質成長率は鈍化し、経済の減速傾向が明瞭となりました。しかも、その中身を見ると、家計消費や設備投資は低迷し、GDPの伸びをかろうじて支えているのは、消費税増税を前にした駆け込み需要と、公共事業の積み増しという一時的なものにすぎません。何よりも働く人の賃金は、18カ月連続で減少を続け、ピーク時に比べて70万円も減っています。年収200万円未満の労働者は、7年連続で1000万人を超え、深刻な事態が続いています。このような経済情勢のもとで、消費税増税で8兆円、社会保障の負担増・給付減をあわせれば10兆円という史上空前の負担増を強行すればどうなるか。国民の暮らしに大打撃をあたえ、日本経済を壊し、財政も共倒れという悪循環におちいることは火を見るよりも明らかです。
 その消費税大増税の一方で、大企業には大盤振る舞いの減税が行われようとしています。復興特別法人税の廃止に続き、法人税減税の公約、国土強靱化の名で東京外環道路をはじめ三大都市圏環状道路、国際コンテナ港湾など、巨大公共事業に、巨額の税金が投入されようとしています。さらに今後5年間に24兆6700億円の軍事費をつぎ込む、大軍拡の道に踏み出そうとしています。
 消費税大増税と一体で進めるとしている社会保障制度改革の中身は、医療・介護・年金など、あらゆる分野で負担増と給付減を押し付け、その総額は試算できるものだけで3兆円を超えます。結局、消費税大増税の目的は、財政再建のためでも、社会保障のためでもなく、大企業減税と巨大開発、軍拡予算に流し込む、これが真相なのであります。

 東京都においては、外環道や環状2号線建設、反対と懸念の声が広がっている一方的な特定整備路線には莫大な予算を計上。その一方で、福祉・暮らしに冷たく、「新元気を出せ!商店街事業」は減額、ぜんそくなど健康被害が引き続き深刻であるにもかかわらず公害対策を後退、消費税増税に伴って、都営交通運賃や上下水道の値上げに加え、中央卸売市場の施設使用料の値上げなど、都民や中小業者の負担増に追い打ちをかけるものになっています。

 さて、今回の区の当初予算案は、一般会計は前年度比5.7%増の1,080億円、特別会計を含める予算総額は4.8%増の1,623億円、いずれも過去最大規模です。区は歳入が増加した要因として、都心回帰による人口の増加で特別区税の増、法人住民税と固定資産税の増収による特別区交付金の増、消費税増税による地方消費税交付金の増、3校の学校改築による特別区債の増などを挙げています。高野区長は、今回の当初予算案は積極型、堅実、将来を見据えた予算と言っています。

 今、区民の暮らしは、相次ぐ社会保障の削減、負担増により、大変深刻になっています。そこで 日本共産党区議団は、2014年度予算案について、
 第一に、「区民の暮らしを直視し切実な要望に応えるものになっているか」、
 第二に、「区民の負担増をまねく財政運営になっていないか」、
 第三に、「区民が住み続けられる街づくりになっているか」、
 この3つの観点で予算委員会審査に臨みました。

 まず第一に、「区民の暮らしを直視し切実な要望に応えるものになっているか」についてです。
【待機児童解消策】についてです。
 保育園の待機児童は過去にないほど増え続けています。わが党は、毎回、区議会で必ず待機児童の解消策を取り上げ、具体的提案も行ってきました。その基本は、区立認可保育園の増設です。予算案では、新規拡充事業として待機児童対策緊急プランに基づき、準備経費や運営費を計上し、小規模保育施設、認証保育所、保育ママ、臨時保育所開設などで、定員増を図ることにしています。また、区長は「保育計画・緊急プランの実施と並行して、私立認可保育園の整備により300人から500人程度の定員枠拡大を図ることとした」と述べ、新たな認可保育園の整備を打ち出しました。これは、「待機児童解消の根本的解決は認可保育園の増設が不可欠」と、わが党の指摘を受け、踏み出したことは前進です。
 しかしながら、認可保育園に入所できなかった児童は600名を超え、区のいう新定義においても、昨年を上回ってしまうのです。直ちに、認可保育園を増設する緊急体制をとらなければなりません。ところが、わが党の既存の施設を活用する提案に対して「できない」「考えていない」と後ろ向きの答弁です。また、認可保育園を増設するうえで、保育の質は確保しなければなりませんが、株式会社の参入をも認めるとこれまでの方針を転換しました。他自治体の株式会社による認可保育園は園庭がないところも多く、保育の質が問題視されています。さらに保育が儲けの対象となってしまうのです。これまでの豊島の保育の歴史に照らし合わせ、区が責任を持って増設することを強く求めるものです。

 保育料補助制度についてです。
 わが党は、認可保育園に入れず認証保育所等に行く場合、差額の保育料助成制度創設を提案し、2011年度から認証保育所利用の場合の助成制度がスタートしました。しかし他の保育所利用者は対象とならず、助成額も不十分であるため、助成増額および臨時保育所や保育ママ、小規模保育所も対象とすべきと、昨年の第三回定例会に再度条例提案しました。条例案は自民、公明、自治みらいの反対で否決されましたが、これがきっかけとなり、区は認証保育所利用者へ助成の範囲を拡大し助成額も増やしました。
 認可保育園では第2子以降の保育料について、「家計の負担軽減のため」として区は減額制度を導入しています。たとえば収入分位D6階層で4歳児と3歳未満の2人を認可保育園に預けた場合、保育料は1ヶ月27,000円です。しかし第2子が臨時保育園等を利用した場合、第2子の保育料は減額されないため2人分の保育料は44,000円を超えます。現在、小規模保育所や保育ママ、臨時保育所には非課税世帯への減額制度はありますが、それでは不十分です。これらの保育施設利用者も助成の対象とし、助成額を大幅に増やすべきです。
 また、認証保育所の保育料減額や認可保育園の利用料減額制度を「知らなかった」との区民の声が寄せられました。申請主義となっているため、制度を知らず申し込まなければ受けられません。区は対象者を把握できるわけで、全ての対象者に通知を出すなど制度活用の徹底を図るべきです。

【特別養護老人ホーム】についてです。
 区は、昨年1月から入所申込み方法を変更し、毎年12月末日を有効期限としたため、これまでと違い、入所希望者は毎年申込みをしなければならなくなりました。申込みを変更する前の2012年12月末時点の待機者は1,235人、そのうちAランクは492人だったのが、変更後の2013年2月末の待機者は489人、そのうちAランクは166人と激減しました。変更後1年経過した2013年12月末は待機者が669人で180人の増加、Aランクは219人で53人の増加で、変更前に申請していたにもかかわらず、遅れて申請した人が含まれているとのこと。私は、「新たに申し込みをし直さなければ、選考の対象にならないのではないか」と質すと、そういう人が含まれていることが答弁から明らかになりました。このような大問題が、毎年、毎年繰り返されることになります。そこまでして待機者数を少なく見せかけようとする区長の姿勢は、異常と言わざるを得ません。
 特養ホーム建設については、2005年の池袋敬心苑完成が最後で、ようやく来年2か所の整備が進められていますが、10年もの間、特養ホームをつくってこなかったのであります。しかも2か所完成後の計画はありません。区長は「千川小学校跡地は計画に至るまでに2、3年かかった。当然考えていかなければならない」と答弁しました。そうであるならば、強力な推進態勢をつくり、直ちに計画に着手すべきです。

【生活保護】についてです。
 安倍政権は昨年8月から3年間かけて、生活保護基準額10%の引き下げを決めました。さらに扶養義務の強化、申請時の文書提出義務付けなどを強行し、生活保護を受けにくくしようとしています。これらは制度創設以来、最大の改悪です。このような中、区が受給者に対して温かい心があるのであれば、せめて他区並みに法外援護を拡充すべきです。そこで、直ちに入浴券を30枚増やし60枚に復活することと、福祉タクシー券の復活を求めたのであります。こんなときこそ、生活保護世帯の生活意欲の向上、経済的負担の軽減が必要であり、区もそのように定めているではありませんか。
 区は法外援護を財政難を理由に次々と削減し、わが党が復活・拡充を求めると「生活扶助費に含まれている」「障害者加算が付加されている」と言って拒否し、一般質問の答弁では、「高齢者や障害者などに対する他の福祉施策との整合性を視野に入れ総合的に判断すべき」としました。これは、高齢者や障害者施策を引き合いに出して、他区では当たり前のようにやっていることであるにもかかわらず、最後のセーフティネットの低水準を上げようともしない姿勢に他なりません。

【中小企業・商店街支援策】についてです。
 日本経済、景気は上向きになっているといいますが、それは一部の大企業であって、中小零細企業、商店にその実感はありません。シャッター通り商店街が広がり、長い間、商売をしていた商店が次々と閉店するのを目の当たりにします。スーパーやコンビニが進出する一方、その周りは商店の灯が消えていきます。「消費税が増税されたら商売はやっていけない」という悲鳴があがっているのに、区長は増税を擁護していますが、地元中小企業は、商売を続けるために、増税分を価格に転嫁できず、生きるか死ぬかの瀬戸際なのです。国に増税中止を求めるべきです。
 大型開発で、にぎわいの創出と言いますが、商店街は衰退する一方です。さらに、まちづくりといって特定整備路線で、街を分断し立ち退きを強いるなど本末転倒です。商店街振興について、区長は、正直言ってこれという特効薬はない、お手上げというようにいいますが、やるべきことは消費税増税や特定整備路線に反対することです。その上で、街路灯など補助制度の大幅拡充、直貸融資の復活、大型店の規制策の構築など、やることはいくらでもあります。

【住宅】についてです。
 現在住宅マスタープランの後期見直しが行われています。都営住宅や区営、福祉住宅など公共住宅の供給は区民にとって不可欠です。この間の応募の募集倍率からも明らかで、理事者も供給の必要性については認めています。石原、猪瀬と続いた都政は、都営住宅の新規建設は行わず、区もこの間、区営住宅などの新規建設は行っていません。2014年から2018年の後期計画はゼロです。必要性は認めているのにやるつもりはありません。結局のところは金がかかるというのが理由です。そしてこれからは、持続可能な住宅対策が必要ということで、家賃補助の拡充をすすめるといいます。家賃補助の拡充は必要ですし、すすめるべきですが、これと公共住宅の供給とは別問題です。これまで、供給してきた区民住宅についても、その制度の役目は終わったと、後期計画では301戸をオーナーに返すこととしています。これまで、多額の税金を投入してきた経過からみて、撤退するのは政策的にも疑問です。わが党は、これを区営住宅に転用すれば、少しでも住宅に困っている区民が救われると提案していますが、これも拒否しています。区民の需要に見合った公営住宅の供給をすすめるべきです。

【高齢者のおむつ事業】についてです。
 区は財政難を理由に年齢、介護度などの制限を設け、さらに所得制限を導入するなどおむつ事業を縮小してきました。23区中所得制限の導入は8区のみです。さらに2013年度より介護保険の包括的支援事業の任意事業経費に計上し、おむつ関係経費を一般財源から介護保険に完全に移行しました。
 区はこの間、制度の拡充について、「高齢化が進み対象者が増える」と拒否し続けてきました。高齢化が進むことは分かっていること、おむつは人間の尊厳に関わることでその人に合うケアをすることは高齢者福祉でも介護保険でも当然求められることです。高齢者の社会参加を促進し、寝たきり予防にもなります。ただちに所得制限や介護度による制限はやめるべきです。今回、区長は「検討する」と答弁しました。介護保険事業会計による拡充は保険料に跳ね返りますので、一般財源による拡充を改めて求めます。

【障害者の福祉救援センター】についてです。
 昨年の決算特別委員会で福祉救援センターについては、ほとんど取り組んでいないことが明らかになりました。現在、地域防災計画の修正に基づき、民間施設と連携するため、高齢者施設や障害者施設、指定管理者、福祉法人、NPО法人等の団体と協定を結ぶため、働きかけをしていると答弁がありました。また、障害者保健福祉計画等を含め地域保健福祉計画の見直し中で、震災対策などについて検討する方向が示されました。
 目白身障センターと駒込複合施設について、区は2017年と2018年に大規模改修を計画しています。しかしいつ発生するかわからない震災に備えるために一刻も早く改修することが求められています。改修の早期実施を改めて強く求めます。
 また長崎健康相談所は、かつては保健所の役割を持っていた施設であり、現在は精神障害者への対応施設として貴重な役割を担っています。耐震補強等の改修を行い、健康相談所として継続することを求めます。

【健康施策】についてです。
 子どもの医療費無料化についてです。本区では、中学3年生までを対象に入院通院は無料で受けられます。わが党は、子どもたちが安心して医療が受けられるようにと、拡充には一貫して全力をあげてきました。都内では千代田区と日の出町で、通院、入院とも高校3年生まで対象を広げ、隣の北区では、入院した場合ですが、同様に高校3年生まで対象としています。制度拡充は、子育て支援の柱の一つであり、高校生までの医療費無料化を拡充に踏み切るべきと質しましたが、区は、高校生になると体力も向上し、医療費にかかる家計の負担は少ないと、拡大を考えていないとの答弁でした。入院した場合の食事療養費については、多くの区が中学3年生まで実施しているのに、本区では相変わらず乳幼児までです。
 また、区民が健康で長生きするため、ガン検診の充実とあわせ、他区でも実施している眼科検診の実施を求めましたが、これも実施の必要性について検討したいというだけで踏み切ろうとしません。区民の健康を向上させるために拡充すべきです。

【防災】についてです。
 東日本大震災から3年が経過しました。区が大震災の教訓をどう生かし、どう取り組んでいるかが問われると同時に、いつ起こるか分からない首都直下地震への備えが求められています。
 マグニチュード7.3の地震が発生した際、区民の避難生活者数は34,115人と試算されているにもかかわらず、救援センターの収容可能数は相変わらず2万人程度しか整備されておりません。町会の防災訓練時に「少なすぎる」と不安の声があがるのは当然です。わが党が提案している都立学校を救援センターにすることについても、東京都との交渉は遅々として進んでいません。
 防火水槽については、地中ばり水槽を除くと、区内に273か所設置されています。平均貯水量は54トンです。19年前の阪神淡路大震災を教訓に神戸市の消防では1か所あたり100トンから200トンは必要だとして整備しています。本区の防火水槽の再検証が必要です。また、上池袋4丁目の印刷局宿舎跡地の新防災公園計画では、防火水槽40トンとされており、私は予算委員会で増量を提案しました。その後、5トンの増設が示されましたが、まだ少なすぎます。区は、神戸市の教訓は重く受けとめている、消防からも多ければ多いほど良いと言われていると答弁しました。住宅密集地にできる区民が待ち望んでいた防災公園です。万全の体制をとるべきです。
 備蓄物資であるビスケット、ペットボトル入り飲料水の購入先については、株式会社そごう・西武といった百貨店ではなく、地元の商店から購入すべきです。

【施設使用料】についてです。
 本年1月、生活産業プラザにおいて「新ホール建設及びまちづくりビジョン」の地域説明会が行われました。参加者から「プールの600円は高すぎる」「区民センターの展示場使用料は3日間で21万円を超え、借金をして借りている」など、新ホール建設に50億円もの税金を投入する一方で、施設使用料が高すぎるという声が上がりました。区は受益者負担の公平などを理由にしています。しかしながら公共施設は、安い料金で多くの区民誰しもが使いやすくなければなりません。区長は新宿、渋谷に追いつき追い越せと言いますが、施設使用料については、そのようなことは言わないのであります。
 新区民センターホール等の使用料に関連して、区は「廉価」を繰り返していますが、具体的な使用料は示されず安いという保証はありません。しかも政経部長は、「使用料はランニングコストで決める。設計もやっていないのに積算できない」と強弁したのであります。この考え方は間違っています。1人でも多くの区民が使える施設にしなければなりません。部屋の広さや使用方法も含めて、区民の意見を聞きながら共同して進めるべきです。

【教育費】についてです。
 1つめは就学援助についてです。
 子どもの貧困の連鎖は大きな社会問題となっています。本来だれでも等しく学ぶ権利が保障されるべきですが、安倍内閣は高校授業料の無償化に所得制限を導入するなど、子どもたちの等しく学ぶ権利を阻害しています。こういう中で就学援助制度は義務教育を等しく受けるための最後のセーフティネットです。
 就学援助制度は生活保護基準額を目安とし、本区では1.2倍に設定されています。ところが安倍内閣は昨年8月から生活保護基準額そのものを引き下げたのです。わが党は、そもそもこれまでの1.2倍自体が低いので、引き上げを要求してきたのです。区は2013年度の就学援助制度の基準を生活保護改悪以前の状態で継続し、さらに来年度も「経済状況は厳しい」として保護基準改悪前の基準で拡充事業として実施するとしました。それ自体は良いとしても、なおも児童、生徒の保護者は厳しい生活実態を余儀なくされています。さらなる基準引き上げを求めます。

 教育費の2つめ私費負担についてです。来年度は消費税増税の下で移動教室等校外施設補助額の交通費はみな値上げとなります。中学3年生の修学旅行の交通費も同様で値上げが予測されますが、財政難を理由に交通費補助は削減されたままです。「過去最大規模の予算」というならこういうところこそ復活すべきです。

 教育費の3つめは、子どもの自転車ヘルメットの着用率向上に向けての普及啓発事業についてです。
 土木部において、全児童を対象にした2,000円の補助制度が継続して計上されています。教育委員会は昨年度から今年度にかけて、インターナショナルセーフスクール認証取得指定校として、朋有小学校の児童だけに3,000円の補助制度を実施しました。わが党は、区内の児童を差別するものであり、全ての児童に等しく3,000円を補助すべきと主張し修正案を提出しました。ところが教育委員会は来年度、全ての児童に拡充するどころか、朋有小学校においても補助を打ち切ってしまったのであります。そして2015年度は、富士見台小学校が認証取得をめざすとして、またしても同じ差別を繰り返そうとしているのです。教育長は、他校の児童、保護者の気持ちを理解できないのでしょうか。直ちに全児童に公平に3,000円の補助を実施すべきです。

 以上、過去最大の予算規模で積極型の予算と言いながら、区民の暮らしを直視し切実な要望に応えるものになっておりません。

 続いて第二に、「区民の負担増をまねく財政運営になっていないか」についてです。
 財政について、まずもって大きな問題は、【新庁舎整備資金計画であり、それを生み出すために一体で進める、現庁舎地等を民間活用する新ホール建設及び周辺整備】です。
 新庁舎建設の資金計画は、現庁舎地と公会堂地等を民間事業者に50年定期借地し、25年分の賃料を一括受取する手法を主な財源としています。2008年の整備方針から2010年の整備推進計画にかけて、区は収支が48億円悪化したことを認めました。2008年の時点で区長は「税金を使わない、借金をしない、新公会堂と新区民センターを含めて10億円の黒字でできる」と、区民に約束していました。ところが景気の悪化と不動産市況の低迷で2010年に48億円悪化し、38億円の赤字に転落したにもかかわらず、新公会堂と新区民センターの事業費39億円を計画から外し、まだ2億円の黒字だとか、新公会堂と新区民センターを含めても35年一括受取にすれば、赤字ではないとか言って、ごまかしたのであります。今やさらに3年が経過し、定期借地料収入はいっそう悪化していることは、はっきりしているのではないでしょうか。その後、区は資金計画をいっさい出さずに、膨らむ赤字を隠し通してきたのであります。
 昨年6月、高野区長が唐突に発表したのが「現庁舎地の活用及び周辺整備」です。新ホール50億円を含めた114億円もの税金投入です。これらは国や東京都の補助金はつかず、全てが一般会計からの持ち出しで、起債額は64億円です。区長は「街の価値を高める」などと言いますが、現時点で新庁舎建設の資金計画がどうなっているのか、新ホール建設と周辺整備をやることによって資金計画がどう上向くのか、正々堂々と公表すべきなのであります。それなくして、今月中に定期借地の募集要項を作成し、借金しながら114億円を民間事業者に差し出し、143億円の定期借地料収入を得るなど正気の沙汰ではありません。
 しかも昨今、アベノミクスの公共事業のバラマキ等で、工事費が高騰しています。新ホールの整備費が50億円で収まらないことははっきりしています。また、将来にわたる収支、採算の試算すらしていない、新ホールがどれだけ活用されるのか需要調査も行っていない。なぜ成功すると言えるのか、その根拠を求めると、「プロモーターや専門家からお墨付きをもらった」という答弁がありましたが、具体的な団体名、氏名の公表を求めると出しませんでした。高野区長が立てた計画を支持する方々が、いくら必要論を唱えたとしても大丈夫だという根拠にはならないのであります。一方、これまで公会堂を活用してきた区民は、受け皿として新区民センターホールを使うことになります。平土間、イスは固定されていない、6階まで上り下り、豪華な劇場ホールの一方で、使いにくいホールを押しつけられることも区民にとって我慢ならないことです。
 わが党は、当初より、景気や不動産市況に左右されるような資金計画はやめるべきと指摘してきました。定期借地の相手が決まる前に、建設を始めるなど、相手に足元をみられてしまうと言ってきたのです。まさに今、「進むも地獄、退(ひ)くも地獄」と言って、後から莫大な税金を投入した東池袋4丁目再開発と同じ状況になっているとしか言いようがありません。破綻した新庁舎建設の資金計画が、区財政に与える影響は計り知れません。

 そのような財政状況でありながら、都市再生の名の下に進めているのが【池袋駅東西デッキ】です。
 昨年から、鉄道事業者と「池袋駅及び駅周辺整備事業に関する覚書」を交わし、南デッキ、南北デッキ、中央デッキといった3つのデッキ構想がいっきに進められようとしています。駅東西の行き来にあたって、地下通路は分かりにくく混雑していて不便、自転車が通れない、防災の観点から問題があるなどの理由が付けられています。
 メトロポリタンプラザと西武百貨店を繋ぐのが南デッキですが、事業費は長さ100メートル、幅20メートルから50メートルの場合、30億円から100億円と莫大な税金がかかります。工事にあたっては、鉄道敷地内であることから鉄道事業者による随意契約で、区内業者の仕事にはなりません。メトロポリタンプラザ側は、エレベーター、エスカレーターが止まっている時間帯は階段しかありません。西武百貨店側は建物があるため、明治通りには抜けられません。その西武百貨店からビックリガード方面の道路に抜けるのが南北デッキですが、高低差がありバリアフリーをクリアできるか不透明です。要するに、メトロポリタンプラザからデッキを利用するとビックリガードに出ることになるのです。南デッキ単体では道路に通り抜けができず公共事業にはならないから国の補助金は出ない。だから、南北デッキをつくらざるを得ないということです。これこそ公共事業のバラマキの最たるものではありませんか。防災を理由に何をやってもいいというものではありません。
 他にも、LRT、入札が不調になった西部地域複合施設など、箱ものが目白押しで、区財政を圧迫しながら起債はあっという間に膨れあがるものばかりです。区長がいくら区財政に影響はない、大丈夫だと繰り返しても、その根拠は示されません。区民に説明できない、これら莫大な費用のかかる箱ものが区財政に入る余地などありません。

 今後の区財政は、深刻化する高齢化への対応、子育て支援や生活保護費の増加への対応、学校など老朽化した施設の改築・改修などによる起債の増加など、歳出の増加要因を挙げるとキリがありません。歳入においては、人口の減少は間違いなく進み、日本一の高密都市である本区は特に大きな影響を受けることになりかねません。消費税増税8%、10%が強行されると日本経済は壊れ、財政も共倒れになるという悪循環が待ち受けます。法人住民税の一部国税化の影響も心配されます。このような状況で区は、今後3年間は歳入の拡大が続くと言っており、危機感は無く、余裕があるかのような態度です。
 積極型、堅実、将来を見据えた予算と言いながら、暮らし、福祉に関わる新規・拡充事業は冒頭から述べてきたように不十分です。消費税引き上げ分7億4,600万円の充当事業と言えば、いずれも一般財源を充ててでもやるべき事業ばかりで拡充と言うにはほど遠い内容です。その一方で、財政調整基金への積み増しを進めている。さらには財政を立て直したと言いつつも、削ってきた区民に必要な施策は復活することなく、認可保育園増設の具体案も、新たな特別養護老人ホームの建設計画もありません。にもかかわらず、先ほど述べたように、新庁舎の整備に伴う副都心の再生には莫大な税金投入であり、将来の財政破綻への道を突き進むものです。堅実、将来を見据えた予算などと良く言えたものです。

 第三に、「区民が住み続けられる街づくりになっているか」についてです。
 1つめは【木密地域不燃化10年プロジェクト】についてです。
 東京都が2020年までに強行しようとしている特定整備路線に、該当地域である長崎・南長崎、池袋本町・上池袋、駒込・巣鴨の住民は、立ち退きや商店街に及ぶ影響、コミュニティの分断などの街壊しを不安視しています。昨年、東京都は路線整備に該当する地域の極一部を対象とした説明会を開催しましたが内容は不十分でした。街がどう変わるのか、本当に防災に役立つのか、快適に住み続けられるのか、住民の不安は日増しに高まっています。区はこの声に応え、説明責任を果たそうとしない東京都に対し、住民説明会を直ちに開催することを強く求めるべきです。区も都も、不安を抱える地域の実態を直視し、住民が納得するまで事業に着手すべきではありません。
 また、区の事業、不燃化特区ですが、2020年までに建て替えに要する1千万円、2千万円あるいはそれ以上の資金を用意できる区民がどれだけいるというのでしょうか。これでは燃えない街づくりが進むはずはありません。今、求められているのは耐震・耐火の改修助成の強化です。抜本的に見直すべきです。

 2つめは【東池袋と南池袋の開発】についてです。
 区はこの間、東池袋4丁目第1地区、第2地区と、新庁舎建設を進めている南池袋2丁目A地区で市街地再開発事業を進めてきました。それぞれの地域では借家人の93%から100%の人たちが転居しており、住み続けたいと願う多くの住民が再開発によって転居を余儀なくされてきました。しかし区は新たに南池袋2丁目B、C地区、東池袋4、5丁目の補助81号沿道街区で再開発事業を進めようとしています。
 その一つ、「東池袋5丁目地区市街地再開発事業」は新規事業として一般財源2,362万円を含む6,292万円が予算化されています。高さ72メートル、21階建てのビル建築計画です。区は2007年度からコンサルタントに委託する手法で計画を始め、2010年度には再開発準備組合が結成され、2011年度までに投入された税金は5,364万円となっています。区は5年間かけて検討してきたと言いますが、肝心の近隣への住民説明会は昨年12月に初めて行われました。
 本年2月の住民説明会において、「なぜ低層住宅街に72mのビルを建てられるようにしたのか」「景観が損なわれる」「21階など聞いていない」「日照は」「風害は」「風度実験をやってほしい」「地域への貢献とはなにか」など、疑問や不安の意見が数多く出されました。該当する再開発地に住んでいる準備組合の人は、「是非応援してほしい」と訴えていましたが、まさに近隣住民同士が一触即発の状態です。そもそも街づくりとは地域住民が何度も話し合いながら納得の上で進めるものであり、このような手法を取ってきた区の責任は極めて重大です。しかも低層住宅街に72メートルのビル建設など、まち壊しなのであります。
 また補助81号沿道B街区はほとんどが都有地です。区が責任を持って福祉施設や住宅等、区民に直接還元する施設建設を進めるべきです。

 最後に【西部地域複合施設】についてです。
 昨年、入札が不調に終わった卵形デザインのまま、区は、未だに価格を下げるための検討を行なっています。質疑の副区長答弁は、今月中に方向性を出すといったものでした。結論を出す前に区民に示し意見を聞くべきです。元々、地域住民は奇抜なデザインではなく、シンプルで使いやすい施設を望んでいるのです。また早急に、閉鎖されたままの校庭と体育館を直ちに使用できるように整備することを強く求めます。

 以上、3つの観点で予算委員会審査に当たりましたが、本予算案は区民の願いに応えていないことは明らかであります。よって、第19号議案、2014年度一般会計予算に反対します。
 そこで、わが党は、予算委員会における各委員の質疑、意見を参考にし、一般会計で区長が予算を組み替えれば、直ちに実現できる最低限のものを対象とした、予算組み替え動議を提出しました。ところが他会派は、これを否決してしまいました。予算編成における首長の権限は大きく、その修正や組み替えについては、議会にとっては極めて、せばめられたものがあります。しかし、わが党の、区民生活を支える最低限の組み替え動議に対し、何の質問も意見もなく否決されたことについては大変残念であります。

 次に3特別会計予算についてです。
 まず、第20号議案、国民健康保険事業会計です。
 来年度の国保料は、基礎賦課額と後期高齢者支援金等賦課額で、1人あたり4,638円の大幅な上昇、介護納付金賦課額では468円の上昇です。賦課方式が、住民税方式だった2010年度と比較して、旧ただし書き方式に変更されたこの4年間で、1人あたりの保険料は実に1万円もの値上げとなり、103,103円と10万円の大台を超えてしまいました。
 値上げの特徴として、これまで一般会計から全額繰り入れていた高額療養費分を減額措置に要する費用と合わせて4分の1を保険料賦課額に算入したため、4,638円上昇の約半分は、この影響によるものです。しかも、毎年4分の1ずつを4年間かけて保険料賦課額に算入する計画であり、4年後は最低でも9千円以上の値上げを決めたようなものなのです。これまでも国庫補助を次々と削減し、23区は法定外繰入金を減額し、国保加入者にばかり負担を押しつけるやり方をしてきました。制度上、経済基盤が弱い加入者が多い国保において、このような保険料の値上げは耐えられない痛みです。そのことは昨年6月時点の保険料滞納世帯が3割にものぼっていることをみても明らかです。短期証発行数は3,597世帯、資格証発行数は3,110世帯で23区中、第2位と高く、いかに高野区政が区民に冷たいかが分かります。

 次に、第21号議案、後期高齢者医療事業会計についてです。
 来年度は、2年に一度の保険料の改定に当たり、均等割額が2,100円の増、所得割率が0.79%の増、1人あたり平均保険料見込額は4,118円増の97,098円となります。制度発足して6年が経過しますが、約13,000円もの上昇となります。保険料の増加抑制策として、区市町村による一般財源投入と財政安定化基金の取り崩しが行われました。しかしながら、その財政安定化基金は多額の残高があります。さらなる保険料の引き下げができたのであります。国保同様、医療費の増加分を加入者に重い負担を押しつけ、公的責任を後退させるものに他なりません。区は、払えない世帯には容赦なく短期証を発行し、今年度は差押えを2件行っています。23区中16区は差押えを行っていません。それは当然、区長の政策的判断によるものと思われます。いかなる理由があろうと75歳を超えた高齢者から差押えするなどとんでもないことです。区民の声がろくに通らない広域化による運用で、なおかつ高齢者を切り離した医療制度はやめるべきです。

 最後に、第22号議案、介護保険事業会計についてです。
 2000年に「介護の社会化」「保険料を払えば必要な介護が受けられる」と大々的に宣伝され作られたのが介護保険です。しかし「特養ホームに入れない」「家族がいるからヘルパーさんを派遣してくれない」「訪問介護の時間が短くなった」「グループホームに入りたいが高すぎて払えない」等々、介護保険制度の不十分さが次々と露呈しています。 
 ところが安倍政権はこれらを改善するどころか、「要支援」への給付の見直しとして、介護予防給付を自治体が行う地域支援事業への移行を段階的に行うなど、さらなる制度の改悪を提案しています。これらに対し、自治体からも施設側からも要支援を介護保険からはずすことになる、介護保険制度としての一律な給付を変えることになるなど様々な批判の声が上がっています。しかし区は「財源構成も変わらない」「要支援者が介護保険からはずされることは無い」「現行の介護予防給付は変わらない」としています。また「保険外の人のための新たな制度」とも言いますが、それであれば区独自の地域支援事業の拡充を今からでも行えばよいことです。多くの専門家、国民が「介護保険から要支援はずし」と懸念している現状を直視し、区民に新たな様々な負担を強いることは絶対にしないように改めて求めます。

 以上、3特別会計予算に反対することを述べ、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。