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区議会質問
 

豊島区介護保険外訪問介護サービス事業に関する条例の否決に反対する討論(渡辺くみ子議員)

 私は日本共産党豊島区議団を代表して、議員提出議案第1号、豊島区介護保険外訪問介護サービス事業に関する条例 について、可決すべきとの立場から討論いたします。

 2000年から始まった介護保険は、「保険料が高すぎる」「特養ホームに入れない」「利用料の負担が重い」「必要な介護が受けられない」と国民から不満の声があがっていました。
 2005年の介護保険法の「見直し」でホテルコストといって施設入所者の負担を増やし、介護予防の名目で要介護度の軽い方からベッドや車椅子、ヘルパー派遣をとり上げ、同居の家族がいる場合の生活援助のヘルパーを制限するなど、改悪しました。
 政府は介護保険を導入した時、「介護の社会化」「措置制度と違い、自由に介護が選べる」と言いました。ところが介護給付を削減し、同時に保険料を大幅に値上げし、所得税、住民税の大幅な引き上げとあいまっての負担増に、多くの区民から批判の声が寄せられたのであります。

 私たち日本共産党区議団は、必要な介護サービスが受けられない高齢者から寄せられた「なんとかしてほしい」との声を受け、この間、機会あるごとに、介護サービスの拡充を区長に求めてきました。23区では渋谷区など4区では区独自に介護サービスの拡充にとりくんでいますが、本区では未だに実施しようとしていません。
 そこで私たち日本共産党区議団は、区民の切実な声に応えるため、区独自の介護の拡充策として、議案を提案したのです。
 本議案は、高齢者等の在宅生活の継続支援、同居家族等の介護負担の軽減、さらには高齢者等の閉じこもりを防止し社会参加の促進を図るため、第一に同居家族を理由に介護保険サービスを利用できない高齢者へのヘルパーの派遣、第二に日中高齢者のみ世帯を含む老老世帯の食事準備や清掃などを行うヘルパーの派遣、第三に通院、外出等に介助が必要な一人暮らし又は高齢者のみ世帯への外出介助サービスの三事業を、今年の10月1日から施行しようとするものです。必要な予算は、平年度ベースで年間8500万円と見込み、財源は財政調整基金74億円の一部を使えば、実施できるものです。また、介護保険では、介護給付が増えると保険料が上がる仕組みになっており、介護保険料を上げないためにも、区独自のサービスを実施しようとするものであります。

 さて委員会審議で各委員は、「財調基金は23区中20位」「渋谷区とは財政状況が違う」と言いました。しかし保険外サービスを実施している4区のうち墨田区の財政はそれほど豊かといえるものではありません。要はやる気、姿勢の問題です。
 また「介護保険改正は、予防重視が目的。その趣旨と違う」との発言がありましたが、介護予防は大事です。しかし現に必要で利用している介護サービスをはがす理由にはなりません。
 「団塊の世代が高齢化する。今後の需要に対する危機感がある」「制度の根幹を揺るがしかねない」と言いますが、「団塊」の世代が高齢化するのは当たり前、きちんと対応策をとっていくことが政治の役割です。
 「介護の社会化」「選べる介護」「必要な介護が受けられる」と言って保険制度をつくったのは、与党のみなさん、あなたたちではありませんか。それを今度は「制度の根幹を揺るがしかねない」と高齢者を脅し、保険給付を削減し必要な介護を受けられなくする。これこそ「制度の根幹」そのものを崩しているではありませんか。
 「高齢者は4人に1人となる」「今後の需要に危機感がある」などとの発言を、繰り返し聞かされると、「高齢者は生きていてはいけないのか」と思ってしまいます。
 特に私が重大と思ったのは、民主・区民の委員が「自治体がすべてやることは好ましくないと思っている」「自治体がそこまで負担するのは考えていない」と言って否決の態度をとったことです。介護保険制度自体に多くの問題があり、国の大元が悪いことは確かです。しかし切実な区民要求を実現していくことが自治体の最大の役割です。今、目の前で困っている区民をそのまま放置してよいのでしょうか。
 制度の改悪で介護が剥がされ、困っている区民を見捨てていいはずはありません。

 以上のことから、この議案について、直ちに可決することを求め、討論を終わります。