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一般質問
第3回定例会/一般質問 渡辺くみ子 「命と暮らしを最優先にする区政に転換せよ」
2022.09.21

 私は日本共産党豊島区議団を代表し「命と暮らしを最優先にする区政に転換せよ」と題し、第一に区長の政治姿勢について、第二に2021年度決算と区民の暮らしについて 質問します。区長の区民生活を直視した答弁を求めます。

第一に区長の政治姿勢について3点質問します。

1点目は、平和に対する認識についてです。 

 日本がアジア・太平洋戦争に敗北した1945年8月15日から77年目を迎えました。15年にわたる侵略戦争は310万人以上の日本国民と2000万人を超えるアジア諸国民の命を奪いました。そして1947年には、戦争放棄を定めた憲法9条を制定したのです。

今、ロシアのウクライナ侵略という暴挙で、破壊しつくされた街、砲撃で恐怖に震える子どもの姿―ウクライナから伝えられる光景は本当に悲惨で胸が締め付けられる思いです。

ところが、岸田首相はこれに乗じて国政の最重要課題のトップに軍事力の「抜本強化」を掲げ、「敵基地攻撃能力」の保有や、軍事費を過去最大5,6兆円という、まさに大軍拡に拍車をかけています。同時に憲法9条に自衛隊を明記する改憲策動も加速する構えです。戦後の歩みを逆転させる動きを強めていることは重大問題です。本当に許せない思いです。

私は戦後生まれで、70数年経ちました。幼少時の遊び場所は大きな防空壕であり、近くにはアメリカ軍の飛行場があり、日常的にアメリカ兵がいました。もちろん戦争とは全く無縁ですが、戦後の復興期であったことは確かです。

高野区長は8歳の時、城北大空襲を経験され、その4か月後に終戦を迎えられたとのことです。区長はその時「日本はもう終わりだと感じた」と語り「そしてその後の復興で今がある」と2020年4月のヤフーニュース記事で語っています。

そこで質問します。戦争被害の体験者として、今、改めて悲惨な戦争について区長は、どう認識され感じていますか。答弁ください。

憲法9条について、朝日新聞社『ジャーナリズム』8月号で、アメリカのイエール大学のオーナ・ハサウェイ教授は「1928年の不戦条約があり、第2次世界大戦があり、国連が生まれ、そして日本国憲法が生まれた」。憲法9条は「戦争違法化の流れからいって、人類の一つの到達点」と強調しています。

9条を守り生かすことは世界の平和にも重要な貢献であると考えます。特に自治体の長として区民を守る立場から9条を守る立場を貫くべきです。

しかし先の二定でわが党清水議員が、公務員の憲法擁護義務に従う事を定めた憲法99条の規定からみても、憲法9条改定に反対すべきと質したところ、区長は「96条には憲法改正に関して考えを述べることは制限されていない」とし「現時点で(憲法9条改定には)反対を表明しない」と答弁しました。

戦争そのものを体験している区長として、絶対、戦争を起こしてはならないという立場に立つなら、「憲法9条を守る」のは当然ではないでしょうか。憲法9条改正の動きに対し、なぜ反対の立場に立たないのか。戦争放棄と戦力を持たないと定めた平和原則をどうとらえているのか区民に説明すべきです。答弁ください。

 区長の政治姿勢の2つ目の質問は安倍元首相の国葬についてです。

 岸田首相は9月27日に予定している安倍元首相の国葬に16億6千万円もの税金を投じることを一方的に閣議決定しました。国葬を定めた法律は今の日本にはありません。法的根拠がないまま多額の国費の支出を決めたことは許されません。さらに強行することは法の支配を人の支配に変える暴挙であり、民主主義を破壊する行為です。

戦後の国葬では1967年の吉田茂元首相の時も厳しい批判が出されました。

今、マスコミ等の世論調査でも異論や疑問が相次ぎ、各新聞社の世論調査でも反対が多数となっています。毎日新聞と社会調査研究センターの9月17、18日の世論調査では反対が62%となっており、安倍氏に対する国葬は「国民の理解はえられていない」としています。国葬は中止すべきです。

わが党区議団は、8月30日にコロナ対策について、高際副区長、金子教育長に緊急申し入れを行いましたが、その中で国葬に関して区長として反対すること、区民に弔意を強要しないことを強く求め、副区長から区長へ伝える旨答弁がありました。

そこで質問します。先程も言いましたが、戦後の憲法下で国葬令が失効したのは民主主義と相いれないからです。自治体の長としてこのような国葬については、きちっと反対すべきです。同時に公的機関の職員、区民や団体に弔意の強要は絶対にしてはなりません。答弁ください。

区長の政治姿勢の3つ目は、世界平和統一家庭連合(旧統一協会)についてです。

 自民党は自民党国会議員379人のうち世界平和統一家庭連合(旧統一教会)や友好・関連団体等と接点があった議員は179人と公表しました。しかし氏名の公表は121人のみです。わが党国会議員団は、政府に対して「国民に深刻な被害をもたらした反社会的カルト集団がなぜ野放しにされ、解散命令も含む対処が行われなかったのか、名称変更の経緯も含め、政府自ら調査し、国会に説明すべき」と指摘しています。

そこで質問です。区長は、政治家であります。区議、都議の過去の時代から、現在の区長に至るまで、旧統一協会とのかかわりがあったことがあるのかどうか。明確にお答えください。

また、議員から行政に対して、旧統一協会に関連して何らかの働きかけがあったことがあるのか答弁ください。

次に区民の方から寄せられている疑問、問い合わせについて伺います。

「区はこのような団体から募金等を受けているのか」などの問い合わせが相次いでいます。区と旧統一協会との関係について、その有無、関係、経過、毅然とした対応、具体的策について区民に対し説明が求められます。いかがですか。答弁ください。

大きな第二の質問、2021年度決算と区民生活について順次質問します。

 コロナ禍と異常な物価高騰、円安の中で本当に区民生活は深刻です。こういう時にこそ真剣に区民生活に向き合う区政運営が求められます。

わが党区議団が行っている定例の区民アンケートでは、まだ中間報告ですが「生活が苦しくなった」「苦しい状態で変わらない」を合わせると69,9%を占めています。苦しい原因の支出増の中身は公共料金、食費、保険料、税金の順番となっています。

ここで最初の質問です。

今、多くのマスコミでも様々な厳しい生活実態が取り上げられています。帝国データーバンクの調査によると食品の値上げは8月に2431品目、9月以降は8043品目で、値上げ幅も拡大し平均値上げ率14%と言われています。

区長は区民の置かれている生活実態について、どう認識しているのか。今回の決算において、予算の執行により区民生活が向上して、豊かさが感じられる結果となったといえるのかどうか、区長の見解を伺います。答弁ください。

次に、国はこのような状態の下で住民税非課税世帯への5万円給付を決定しました。しかし、低所得世帯の給付金というのに、なぜ住民税非課税世帯だけなのか、なぜ5万円なのか。昨年度末が10万円なので半分です。住民税が課税されていても、コロナの影響で収入や売り上げが減った、非正規雇用で仕事が無くなったという方、子育て世代で食費・教育費負担が重いという人はいます。

そこで質問です。住民税非課税世帯だけではなく、コロナ危機で収入が減った区民、生活に困っている区民へ特別給付金を区独自に給付すべきです。答弁ください

次に決算の特徴について伺います。

 2021年度決算について区長はその特徴を第1に感染拡大防止と社会経済活動の両立、第2に貯金と借金のバランスで過去最大規模を達成した過去最高の決算、第3に区制施行90周年、さらには100周年に向けた準備を整えた決算としています。

では第1,第2について伺います。

 第1に、「感染拡大防止と社会経済活動の両立に最大限に取り組んだ決算」についてです。

後で、コロ禍の下での区民の深刻な事例を述べますが、決算では、コロナから区民の命を守るために最善策が打たれ、地元の商店も含め経済の発展があったのかどうかです。

そこで質問します。昨年度よりも特徴づけられるほどの効果があったのか、具体的事例をあげて、決算の特徴を裏付ける内容をお示しください。

 第2に、貯金と借金のバランスで過去最大規模を達成した過去最高の決算という特徴について伺います。

区長は今年7月12日付けで「区政の進展に関する資料の作成について」を配布しましたが、これによると「高野区政の7大実績」として「過去最大446億円貯金」が強調されています。なぜこんなにも余らせたのか。これが「健全財政を達成」と言うのか。 

そこで質問です。やるべきことをやらなければお金は余ります。コロナにかかっても病院に入れず亡くなる人、コロナ禍で商売が立ち行かず倒産に追い込まれる店、物価高で生活がますます苦しくなる低所得者、どうして貯金が過去最高になったと胸を張れるのか、やるべきことをやらないでため込んだお金ではありませんか。いかがでしょうか。答弁ください。

さらに先ほども言いましたが、7月12日付の「区政の進展に関する資料の作成について」には「高野区政の7大実績」と書かれています。しかし議会では資料の説明もされず、そもそも決算議会できちんと審査をすべきものです。斎藤副区長に抗議をしましたが、まさに議会無視であります。同時に「高野区政の7大実績」などとする資料を区として作ること自体大きな問題です。実績でもないことを議会の審査もしないうちに配布するやり方は議会無視であり、区政の私物化であります。答弁を求めます。            

次に、今回の決算からみて区民の命と暮らしを守る立場から、直ちに是正し、やるべき課題について順次、質問します。

その第一は、コロナ対策についてです。

 豊島区の感染者は、6月には1週間で200人台まで下がったにも関わらず、7月末では4852人まで大幅な感染者拡大となりました。学校では2学期が始まり8日までの一週間で小中学生は70人が陽性となっており、さらに高齢者介護施設での職員、利用者への感染が拡大しています。

今回の第7波では、日本共産党都議団の調査で、東京都では罹患者は7月30日現在約22万人となり、さらに自宅療養中の患者が体調悪化で救急搬送を要請しても半数以上が搬送されていないことが明らかになりました。

私自身の周りでも、身近な人が感染し、医療を受ける体制、療養条件の確保の重要性を改めて感じています。仕事に行けず生活困難のケースも多くなっています。

区内のコロナに感染した具体的事例です。

妻と義母の3人家族のAさんは陽性となり、家族感染を防ぐためホテル入所しましたが、その後、介護度5度の90代の義母に感染、やっと購入したパルスオキシメーターで酸素濃度を測定した結果、大幅に低下し肺炎を併発し、かかりつけ医に相談、急遽酸素ボンベを設置、酸素吸入し同時にかかりつけ医と保健所に相談。数時間後に何とか入院することができました。

Aさんは今回、「新型コロナ感染の脅威を痛感した」、特に義母の経験の中で、「高齢者にはあらゆる対策が必要」と強調しています。

保健所が相談窓口になりますが、第1に保健所との連携・報告はスマートホンによるもので、扱えない人は保健所との連携は困難。第2に保健所は土・日は電話連絡不可で、相談の電話をしたが対応に非常に困惑したとのことです。

そこで保健所の体制についてです。区長はこの間、「職員の適正化」と称して第7次の定員管理計画で2016年度から10年間で171名の削減を計画し、正規職員、専門職員を減らし続け、派遣、非常勤、会計年度職員で対応、職員の雇用条件を悪化させてきました。結果、当然、区民サービスは削減され、反対に貯金を増やしてきたのです。

そこで質問します。現在、保健所では保健師は2020年度から若干増員されているものの、看護師はこの5年間24人のまま、現在8名の派遣で対応しています。土日な連絡が取れない、保健所から連絡がないなどは区民に不安を抱かせます。また専門職として区の他職種との連携も重要です。

区民サービス確保と職員が安心して働ける環境づくりは区長の責任です。特にコロナ禍の下で、区民に的確に対応するためには保健所への更なる専門職の配置を含め改めて対応が必要と考えます。答弁ください。

第二は高齢者福祉について質問します。

 先ほども言いましたが、Aさんは高齢者にはあらゆる対策が必要と強調しています。介護を受けている家族や高齢者本人が罹患したとき、まず介護が受けられなくなります。入院等が必須になりますが、医療機関の体制が取れていないというのが現実です。この間、一人暮らしの人が亡くなるという状況も起きています。70代のBさんは発熱したため救急車を呼び、北区の病院を紹介されました。しかし救急の方から、もし入院とならなかった場合、「帰宅するためには6,500円の特殊タクシーを」と紹介されたため、受診をあきらめたとのことです。幸いBさんは改善しましたが、「近くに入院先がないのは不安」と言っています。

そこで質問します。区長はこの実態をどう受け止めているのか。答弁ください。

次に至急対策をとるべきとして5点質問します。

 1つ目は感染し入院が必要な場合の対策についての対応です。医療、介護現場の深刻さへの対応について答弁ください。

 2つ目の質問は介護が受けられなくなった高齢者に対し、独自に看護師や保健師の訪問看護体制の確立です。

 3つ目は先ほど紹介した症例のように、敏速な対応のため、希望者に対してパルスオキシメーターを支給すべきと考えます。答弁ください。

 4つ目は後期高齢者医療費2割負担導入への対応です。本年10月から後期高齢者医療費2割負担が導入され、本区では6186人が対象となります。二定でわが党清水議員の「高齢者医療費負担増への対策をとるべき」との質問に、「区として今後とも丁寧に相談を受ける」と答弁がありました。

そこで質問です。「区として今後とも丁寧に相談を受ける」との具体的な対応策について答弁ください。また区長として区を支えてきた高齢者が安心して老後を迎えられるためにも様々な施策の一つとして区独自の医療費補助制度を行うべきです。答弁下さい。

 5つ目は加齢性難聴の補聴器購入費補助の拡充についてです。  日本共産党議員団は厚労省に対し、加齢性難聴に対して国としての補助、地方公共団体の施策の把握等の説明を求めてきました。厚労省は「聞こえは人権問題で情報を得られることは大切」「自治体からも要請を受けている」としながらも「慎重な議論が必要」との回答です。さて豊島区の高齢者補聴器購入費助成事業は2018年7月から始まりました。65歳以上、住民税非課税で、20,000円一回限りです。2021年度実績は申請が68人、実施が61人で65歳以上の高齢者の僅か1、07%です。2022年度は今現在32人が申請、決定は20人。今年度予算は201万7000円ですが特定財源が101万円で区独自の負担は半分の100万円です。2019年度には6区だったのが、現在15区が実施し、対象を20歳から実施している千代田区を入れれば16区で、助成額を拡充している区もあります。しかし本区の今年度予算で補聴器支援の拡充はありません。区長は「早期の対策で健康長寿を延ばすフレイル予防」「65歳以上の約半数が聞こえに問題がある」と言っていますが、補聴器が必要と判断された人への支援の拡充こそすべきです。

そこで質問です。現状に見合った制度として補聴器購入助成額を大幅に引き上げるべきです。答弁ください。

第三は子育て支援についてです。

 葛飾区では、23 年度から区立小中学校の学校 給食の無償化を実施することを、9月7日の記者会見で区長が表明しました。完全無償化は都内では初めてです。

国は「保護者負担が原則」と言ってきましたが、この間、わが党の吉良よし子参議員の質問で、1954年の事務次官通達で「学校給食法の『学校の経費の負担区分で給食食材費は保護者負担が原則』」について、「自治体の全額補助を否定せず」とし、学校給食法で保護者負担と区分されている食材費については、自治体が全額補助することも否定していないことが確認されています。安心して子育てができる条件整備は国の役割であり、本来義務教育は無償が原則です。

そこで質問です。区独自に給食費の全額補助をすべきです。給食費の無償化の費用は5億3000万円です。区長の決断でできます。直ちに取り組むことを求めます。答弁ください。

以上で、区長の区民の立場に立った答弁を求め、質問を終わります。

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