
私は日本共産党豊島区議団を代表し、ただいま議題となっております7陳情第25号「生活保護基準引き下げ違憲訴訟の最高裁判決を踏まえた速やかな対応について意見書提出を求める陳情」について、不採択とせず直ちに採択すべき立場から討論します。
6月27日、最高裁判所第3小法廷は、2013年から3回に分けて行われた平均6.5%、最大10%の史上最大の生活保護費引き下げについて違法性を認め減額処分を取り消す判決を言い渡しました。
この判決は、国の生活保護行政が「個人の尊厳」(憲法13条)「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(憲法25条1項、生活保護法3条)を侵害し続けたことを厳しく断罪した画期的判決です。
この陳情は、 この判決にしたがい、1.生活保護費基準額を2012年まで遡及し、減額によって侵害された原告・生活保護利用者の生存権を一刻も早く回復すること 2.「物価偽装」などの手段を用い、基準部会に諮らないなどの違法な手続きによって保護基準を引き下げ、長期間にわたって原告・生活保護利用者の生存権を侵害し、痛苦を与えたことに対し、真摯に謝罪すること
3.違法な減額処分を行った経過とその原因、責任の所在を明らかにし、検証するとともに再発防止策を策定すること 4.生活保護基準に連動した諸制度においても、侵害された不利益を回復すること この4点について国に意見書を提出することを求めるものです。
判決からすでに、4か月、原告らが謝罪や全面解決の協議を求めているにもかかわらず、いまだに厚生労働大臣は謝罪もせず、また、生活保護費減額処分を違法として取り消した「最高裁判決への対応に関する専門委員会」を設置し議論しているといって、原告との協議にも応じていません。本当に許せないことです。
2014年から、全国の生活保護利用者が各地で、憲法第25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を侵害するとして、国を訴えました。これら一連の裁判は、「いのちのとりで」裁判とよばれています。全国の1,000名を超える原告のうちすでに少なくとも232名が亡くなっているとのこと、早期解決が求められています。
私も2013年基準額の大幅な引き下げのとき、生活保護利用者からは、冠婚葬祭はあきらめたといわれましたし、その後も月2,000円引き下げられたことに「これだけあれば靴も買える、洋服も買える」と言われたことは忘れられません。区の説明でも三人世帯で引き下げ前の2012年に基準額が16万2,100円、23年8月には15万6,810円と5,360円も減り、三年間の引き下げで2015年10月には15万110円まで減り、この10年間多少の引き上げはあったものの、今年4月が15万4,670円と、月4,500円、一人当たり1,500円しか上がってない、元の水準に戻っていないのです。都心では住宅扶助は一人世帯で5万3,700円のまま、家賃も上がっていますが、住宅扶助では賄えない共益費が上がって、生活費が目減りしたという声も聴いています。
引き下げが違法であり、原告の処分が取り消されるということは、原告以外の生活保護利用者にとっても引き上げにつながります。
委員会では、最終的に日本共産党と立憲民主が採択を主張しましたが、公明党、都民ファースト・国民、自民党、維新・無所属が国や専門委員会で議論をしている、難しい問題となどと言って不採択を主張、結果不採択となってしまいました。
人間らしく生きていける「健康的で文化的な最低限度の生活」が保障されるような制度にするためにも、陳情を採択し、四つの項目を求める意見書を国に挙げるのは当然のことです。
よって、陳情第25号「生活保護基準引き下げ違憲訴訟の最高裁判決を踏まえた速やかな対応について意見書提出を求める陳情」は不採択ではなく採択することを求め、討論をおわります。