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保健所移転にともなう3議案~可決に反対の討論をしました 森 とおる【最終本会議10/24】
2025.10.27
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 日本共産党、森とおるです。会派を代表して、ただいま議題とされております、第61号議案「豊島区保健所の設置等に関する条例の一部を改正する条例」、後程上程されます、第70号議案「区分建物の買い入れについて」、および、第71号議案「保健所移転に伴う初度調弁(第1次)中央実験台他の買い入れについて」、いずれも、可決に反対の立場から討論を行います。
 これらの議案は、イケ・サンパークに隣接する池袋保健所仮庁舎を、令和8年5月、南池袋二丁目1番1号に本移転し、名称を豊島区保健所とする。移転先は、令和8年3月完成予定のC地区北街区に建設中の、地上52階、地下2階の再開発ビル。この1階から3階の一部の区分を、保健所として買い入れるとしており、保留床価格は税込43億2,300万円、設計費1億4,415万5千円、工事費14億8,079万1千円の、合計60億315万8千円。初度調弁、第1次分として中央実験台他の買い入れに1億7,050万円を支払うというものです。

 反対する第1の理由は、2段階の移転という手法により余分の税金が使われるからです。
 区民センター隣にあった旧保健所は、建築後20年ほどしか経過していなかったのに、アニメイトに売却し、令和元年に現在のイケ・サンパークに隣接するURの土地を無償利用し、建物を建てリース契約し仮移転。そして今回の本移転という2段階の移転計画です。
 保留床価格は、平成29年時点では、平米単価、約80万円で、総額25億6千万円と説明されていました。その後、令和3年秋に、再開発組合から平米単価、約96万円と2割値上げした提案を受け入れ、さらに面積を拡大し、総額43億円で合意したため、予定よりも18億円増えました。
 また、2段階の移転にかかった費用総額は、まず、仮移転にかかった費用として、建物リース代と移転費用で約17億円。本移転にかかる費用は、初度調弁予算額、3億2千万円。移転経費予算3千万円。それに本議案の60億円を合わせると、約80億円になります。そこから旧保健所の売却価格36億円を差し引きすると、総額44億円が経費として、かかったことになります。
 もしも、来年の本移転まで、旧保健所を使用していたならば、1度の移転で済み、仮移転した17億円の税金は無駄になりませんでした。
 また、建築後約20年だった旧保健所を売却せずに使い続けたとしたら、大規模改修経費25億円を必要としていましたので、44億円かけた移転計画と比較すると、約20億円安く済んだことになります。

第2の理由は、大企業を優先した計画だからです。
 全国で、再開発ビル低層部分の商業施設等が埋まらないといった問題が、至る所で起こっており、そこに公共施設を入れるケースが増えています。
 都心部においても同様、東池袋四丁目地区のライズシティでも、南池袋二丁目A地区、本庁舎が入るエコミューゼタウンでもテナントが長続きしません。渋谷の再開発ビルでも埋まらないまま、昨年、開業しました。C地区でも商業施設等が入らなければ事業そのものに影響したことになります。
 平成30年、第2回定例会に、仮保健所へ移転する条例改正が出された時点は、C地区は、再開発組合は設立前で準備組合でした。当然のことながら都市計画決定前でした。その段階で、「準備組合から公共施設を入れてほしい」と要請され、それを区は受け入れました。買い入れる場所や面積、価格が決まらないまま、口約束程度で条例改正するなど認められず、私は断固反対しました。
 現在、C地区北街区のタワーマンションは、住友不動産が、中心価格帯2億数千万円で販売しています。庶民には決して手が届かず、デベロッパーが大儲けする再開発に、区は補助金として税金337億円を注ぎ込み、さらに今回、事業を応援する形で、保留床購入費43億円の税金投入。これだけの税金があれば、学校改築の為の財源確保ができます。こうした大企業優先の税金の使い方は認められせん。

 第3の理由は、再開発ビルを区分所有すること対し、危機管理意識も対応策もないからです。
 保健所移転先は、52階建て民間タワーマンションの低層部です。区は再開発ビルの耐用年数は100年だと説明しています。その間、民間の区分に問題が発生したときに備え、万全の対策が必要です。委員会で確認すると、「管理組合において、修繕積立金なり、それぞれの管理を適切に行っていくことになる。管理組合の規約の中で定める」という答えしかありませんでした。今後、高齢化社会、人口減少が進み、現在まさにバブルと言われている土地やマンション価格が急落し、マンション住民が少なくなった時の対応。大規模改修の費用が不足した場合、区が肩代わりしなくても対応できるかなど、ありとあらゆる対応策が必要です。そもそも区が所有する土地に、単独の建物であれば心配する必要はないことばかりです。
 将来、建て替え時に、区の持分は大幅に減少します。その先、保健所をどうするのかと確認しても、「そういった情報はない」という答え。これでは、問題の先送り、将来に禍根を残すことになります。
 現在の仮保健所の場所は造幣局でした。保健所移転後は、民間がマンションを建てることになっていますが、今からでも区の持分とし、自前の土地に単独の保健所として活用すればいいのです。

 結びになりますが、これまで豊島区は、区有地を次々と減らしてきました。旧保健所の売却、旧庁舎・公会堂は76年間の定期借地、日出小は市街地再開発ビル建設に使われ、時習小の売却など、多くの区民の財産を減らしてきました。さらに、区は、再開発事業に対する補助は、公共的な役割を果たす側面支援であることを口実に、東池袋四丁目地区には図書館と劇場を。南池袋二丁目A地区には本庁舎を。今度は保健所を区分所有しようとしています。本庁舎、保健所、中央図書館という、区民にとって主要な施設が、いずれも民間ビルの一部を区分所有するという手法に同意することなどできません。

 よって、第61号議案「豊島区保健所の設置等に関する条例の一部を改正する条例」、第70号議案「区分建物の買い入れについて」、第71号議案「保健所移転に伴う初度調弁(第1次)中央実験台他の買い入れについて」、いずれも可決することに反対いたします。
以上、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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